北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『17歳の肖像』の感想

17歳の肖像 [Blu-ray]

 映画『17歳の肖像』のDVDをレンタルして、観ました。
 もう12月ということでね、2010年に観た映画リストをより充実させようと思い、積極的に映画観てるんですけど。見事成功。平均点がグンと上がりました。

 本作は、こないだのアカデミー賞で話題になった作品。作品賞、脚色、主演女優、とかいろいろとノミネートされてた。

 まぁ、評判通り素晴らしかったですし、個人的にも大変ハマリました。主演のキャリー マリガン、素晴らしかったですね。ホレました。
 あれですね、シャイア ラブーフと付き合ってたみたいですね。最近、別れたとか。よかったよかった。シャイア ラブーフはねぇ、ちょっとねぇ、嫌だよねぇ。キャリー マリガンは『ウォールストリート』が楽しみだね。来年の1月公開だったかな。ってか、『ウォールストリート』でシャイア ラブーフと出会ったのか。じゃあ、ろくな映画じゃねぇな(嘘) 『ウォールストリート』といえば、マイケル ダグラスが笑えないレベルの喉頭癌だとか。心配ですね。なにかあったら、それが気になっちゃって映画楽しめませんからね。『ダークナイト』状態ですよ。キャサリン ゼタ ジョーンズも大変だ。



   あらすじ。
1961年
ジェニーは16歳、女子高生
父親オックスフォード大学行きを義務付けられてる
今のところ、成績優秀
ある日、デイヴィッドに出会う
恋に落ちる
成績が落ちる
「勉強ってなんですんの? バカみたいw」

調子こいてると、とあるとんでもないことが起こる



 この映画、『17歳の肖像』なんてタイトルがついてますけど、コレは邦題で。原題は『AN EDUCATION』。ズバリ「教育」。物語的にもどう考えても「教育」がテーマなんですよね。ジェニーの中で起こる「恋愛VS勉強」。まぁ、タイトルは人生経験とかも含めた「教養」のことを言ってるのかもしれないけど。

 ジェニーの父親ってのが、ガチガチのオックスフォード信者で。娘をオックスフォードに行かせることしか考えてない。オール フォー オックスフォード。ちなみにこの人、『スパイダーマン2』のDr.オクトパスね。怒るともちろん超怖い。

 そんな家庭で育ったジェニーは一応、成績優秀。それに美人なんでクラスの中心。日々の生活を退屈と感じてる面もあって。フランス文化(映画やら音楽)、芸術やらジャズ、といった「なんとなくオシャレ」なものへのアコガレが強い。
 成績優秀なジェニーの唯一苦手科目ってのが「ラテン語」で。日本でいう古文ね。死んだ言語とか言われる。つまり、学生が思う「こんなん勉強してなにになるの?」な科目ナンバーワンなんですよ。これが重要ですね。

 そんなジェニーが出会うのが、デイヴィッド。オッサンだけど、オシャレだし、しゃべりもうまくて、気も利いて、紳士的、そして絵画や音楽など「なんとなくオシャレ」なものに精通してる。そんなオッサンにナンパされたジェニーはあっちゅーまにホレる。
 ジェニーが「17歳になるまではセックスしない」って言うと、全然待ってくれる。これが大人の余裕。
 しかも初夜のために、ジェニー憧れのパリ旅行まで計画してくれる。

 ちなみに、デイヴィッド関連で個人的に一番好きなシーンなのが、セックスを断られた時のデイヴィッドが「代わりに、君が見たい」 って言うシーン。
 まぁ、要約すると、「オッパイ見せて〜」 なんだけど。デイヴィッドの手にかかると、「オッパイ見せて〜」すら、超ロマンティック。ジェニーもそれに応える。ちなみに背中越しのショットで映りません。たしか、脱ぎアリな人だったと思うんだけどね。

 まぁ、そんなこんなで大人になったつもりのジェニーはすっかりon the 調子。学校でも「カレったらねぇ〜」と自慢話。メガネかけた地味な先生に対して「毎日、生徒のつまんない論文読んでバカらしくない? 私はそんな人生は選ばないわ」とか言っちゃう。校長に対しても「大学を出たら、幸せな生活が待ってるとでも思ってんすか?」とか「教育の意義ってなんですか?」とか言っちゃう。
 もちろん、勉強なんてしなくなって、成績は下がる一方。またデイヴィッドの友人に超バカな女ってのがいて、そいつ見て安心しちゃう。


 そんなこんなで、とある大事件が起きるんですね。ジェニーはドン底にまで堕ちる。


 こっから軽いネタバレだけど、


 デイヴィッドがとんでもないクソヤローだったワケですね。想像通りだけど。中盤で、デイヴィッドは学歴がないものの、努力して金持ちになったって過去があって個人的に好きだったんだけどね。それにジェニーへの気持ちは本物と思われる言動もあったし。
 なんだけど、最終的には、クソヤロー。まぁ、前半と後半でキャラへのイメージが変わるってのはイイことですよ。主人公が見てる面だけがその人物のすべてってことは普通ありえないからね。

 このデイヴィッドのクソヤロー描写として、「車が走り出す音が聞こえる」ってシーンがあるんだけど。このシーン、悲しすぎて心の中で号泣ですね。

 その後、オックスフォード命で、「教育費=投資」とか言ってた父親がジェニーに対して謝罪をするんですけど。ここでも号泣ですね。もうね、お父ちゃんも、ジェニーと同じ心情の変化を追っていたと知って。

 その後、ジェニーが先生の自宅を訪ねるシーンがあって、そこでの先生の「その言葉を待っていたのよ」ってセリフがカッコよすぎて号泣ですね。心の中で。



 まぁ、とにかく、素晴らしかった。ジェニーはかわいいし、デイヴィッドは魅力的だし。と、思ったらジェニーは調子乗って子供っぽかったり、デイヴィッドはとんだサノバビッチで。嫌なヤツだと思ってた父親や先生は実は超イイ人で。
 と、感動しまくりですね。感情動きまくりです。

 まとめると、この映画、ジェニーの通過儀礼なんですよね。大人になるためのイベント。セックスじゃなくてね。
 1回死ぬ思いをして、そこから生き返ると大人になってる、っていう。
 話自体はすげぇシンプルですしね。それでも本作が魅力的なのは、キャストのハマリっぷりだったり、女の通過儀礼に「教育」というテーマをプラスしたことなんじゃないですかね。
 まぁ、とにかく傑作。
 90点。