北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『トロン』の感想

トロン [DVD]

 映画『トロン』観ました。レンタルDVDで。

 もちろん、今月公開の『トロン レガシー』に向けてですよ。2010年最後の超大作ですもんね。そら、観たいですよ。それがなんと1982年の映画の続編っていうんだからねぇ。ちょっと、頭おかしいですね。
 もちろん、観客の大方が『トロン』を未見ってことは製作側も承知だろうから、特別な問題はないんだろうけど。
 けど、ジェフ ブリッジスが同じ役で出てたりして。しかも、『トロン』の主人公の息子が『トロン レガシー』の主人公っていうからね。楽しそうじゃないですか。そら、観ますよ。

 『トロン』といえば、ディズニー映画。
 そして、世界で初めて全面的にCGを取り入れた映画として有名。CGアニメってワケではないんだけど。それに、全部CGってワケでもないし。結構アナログな映像技術も使われたみたいで。志に技術が追いつかなかったパターンですね。
 こないだの『ハリポタ最終章』の3D化みたいな話だ。まぁ、あれは志というよりは、拝金主義ってだけな気もするんですが。最終章を前編後編に分けたのは監督の意向って話も聞くんで、なんとも言えないか。まぁ、前編は微妙すぎましたけどね。

 『ハリポタ』はどうでもいい。
 『トロン』ね。個人的に『トロン』と聞くとどうしても連想してしまうのが、『キングダムハーツ2』。テレビゲームのね。公認のディズニーキャラがぞろぞろ出てくるスクエニのゲーム。このゲームの中に、映画『トロン』の世界が再現されてて、トロンくんも出てくる。ジェフ ブリッジスは出てこないけど。

 なので、映画『トロン』は観たことないけど、トロンくんの顔は知ってるし、世界観にも馴染みはある。コンピュータに入るとプログラムが擬人化された世界があって、悪いプログラムと戦う、っていう。ラスボスは巨大な顔のヤツで。
 コンピュータの中に入って、擬人化されたプログラムと戦う、ってのはもろ『マトリックス』ですよね。
 この非生物を擬人化して楽しむってのはいつの世も変わりませんね。今も、変な形で流行ってるし。

 オチがスゴイ!って映画じゃないから、ネタバレは気にせず進めます。てか、『トロン レガシー』にジェフ ブリッジスが出てくるんだから、『トロン』で主人公が死なない、っていうネタバレはしてますよね。『トロン』の段階で息子なんていないし。



   あらすじ
フリンは超おもしろゲーム「スペースパラノイア」を開発
会社の嫌なヤツに盗まれる
嫌なヤツは超出世、エンコム社の社長に
大事な証拠は嫌なヤツ制作のプログラム「MCP」に守らせている
「MCP」は知能を身につけ人間の数千倍賢い
「MCP」は人間世界の征服をたくらむ
フリンは友人に頼みエンコム社に侵入し、エンコム社のコンピュータから証拠を探す
友人は自作のプログラム「トロン」で応援
「MCP」の罠にかかり、フリンはレーザーでデジタルデータ化され、コンピュータの世界へ
コンピュータ世界で出会ったトロンと協力しながらMCPの破壊を目指す



 正直、物語自体は相当シンプルですよ。あらすじに書いたのは設定部分で、あとは、コンピュータ世界で戦うだけですからね。

 それに、映像はショボいですよ。当たり前だけど。よく映画の悪口として「映像がプレステ並み」って言ったりするけど、本作の場合は「映像がプレステ以下」ですからね。まぁ、それでも十分映画としておもしろいんだけどね。
 アイディアですよね。プログラムの擬人化とかコンピュータ内の世界観だったり。映像はショボいけど、デザインは普通にカッコよかったりして。
 中に出てくる、直角に曲がるライトサイクルってバイクがまーカッチョよくてね。
 それと、ディスクを使った戦闘。『キングダムハーツ2』やったことあるから、トロンくんがなんかディスク投げて戦う、ってのは知ってたんだけど。あれ、全然ですよ。スクエニの努力不足。映画のが数倍カッコイイ。
 まぁ、30年前の作品の続編を作るってだけのことはありますよ。ライトサイクルもディスクもカッコイイです。30年前の映像であんだけカッコイイんだから、本物ですよ。あれをね、現在で作り直すっていうんですからね、楽しみだね。『トロン レガシー』。

 アイディアとしてもう一つおもしろかったのが、神という発想。主人公はプログラマーだから、コンピュータ世界を作り上げてた人間の1人なんだよね。もちろん、中には、主人公が作ったプログラムもいて。

 コンピュータ世界の中では、ユーザー信仰派とそうでないのがいて。ユーザーを神と認めるか認めないかで意見が分かれた宗教みたいな扱われ方になってる。悪役のMCPってのはもちろん、ユーザー否定派。「これからはユーザーを利用する時代」って考えてる。そんなMCPが支配してるコンピュータ世界の中にも、昔からのユーザー信仰派のプログラムはいて。そんなユーザー信仰派のプログラムがユーザーである主人公に出会って「オーマイユーザー」って言うんだよね。「オーマイゴッド」みたいに。しかも、その後、主人公はプログラムにはないユーザーパワーっていう超能力に目覚めたりして。完全に主人公はコンピュータ世界の中では神なる存在。それに気づいた主人公が少し調子こいたりもしてておもしろい。
 こういう神の発想って、日本にいるとなかなか思いつかないからおもしろい。
 けど、神に逆らって下克上をはかる、っていう言い方をするとMCP側の方がカッコよく思えるけどね。

 あと、ラストにある、トロンとMCPの手下プログラムの一騎打ちがおもしろかった。ディスクを投げ合って戦って普通にカッコイイんだけど、その後、トロンが勝つんだよね。すると、MCPが出てきて。「私の力を分けてやろう」って言って、手下になんか力(データ?)を分け与えて手下がパワーアップ。手下が巨大化して、トロンがピーンチ!ってなるんだけど。
 これ、日曜朝のテレ朝だよね。戦隊モノの定番パターンだよね。どっちが先なのかは知らないけど。おもしろかった。

 それと、巨大化した手下とトロンが戦うってシーンは、『キングダムハーツ2』的にもかなり懐かしい映像で。その後のMCPの倒し方とかまで、完コピしてある。そっちの方で感動してしまった。やっぱあのゲームすげぇんだな。

 てか、数年前に発売された『キングダムハーツ2』に30年前の映画が取り入れられるってすげぇ話だよな。多分、『キングダムハーツ』をやる層と『トロン』を知ってる層ってまったくズレてると思う。ひょっとしたら、あの時既に『トロン レガシー』の製作の計画があって、そのために入れたのかもね。



 うん、なんだか映画の話のハズなのに、ゲームの話が長くなってしまった気がする。なんだかなぁ。反省。
 まぁ、『トロン』おもしろかったですよ。ワタクシね、昔の映画って苦手なんですよ。文法というかリテラシーが今と違うような気がして。それでも全然楽しめましたからね。それはひとえに映画の持つ牽引力に他ならなくて。
 しかし、『トロン レガシー』を常に念頭に置きながら観てた、という少し歪んだ見方をしていたというのも事実でして。変な見方になって申し訳ないね。まぁ、『トロン レガシー』がなかったら、そもそも観ることもなかったかもしれないから、問題ないか。
 70点。