北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

映画『エンジェル ウォーズ』の感想


モテる女子力を磨く4つの心得。セーラー服、日本刀、ダンス、ロボトミー手術


 なにかと話題の映画『エンジェル ウォーズ』観ました。

 『ドーンオブザデッド』『300』『ウォッチメン』などと、ある種の人たちから絶大な支持を受けるザック スナイダーの最新作。
 『SUCKR PUNCH』ってタイトルかと思ったら、いつの間にか邦題が『エンジェル ウォーズ』になったり。アイドル声優ユニットのスフィアが吹き替えをやったり。製作前からのザック スナイダー支持層の期待を削ぐようなことが行われた本作。
 ちなみに、本国アメリカでは、今年有数の大コケ作品となっております。

 『サッカーパンチ』というのは「不意打ち」の意味だそうです。球蹴りのサッカーじゃないです。しゃぶる方。
 ワタクシとしては、月並みながら邦題は『サッカーパンチ』がよかった。とりあえず、『サムサッカー』って映画があるんだったら『サッカーパンチ』だっていいじゃねぇかよ、と思っております。
 まぁ、一応本編の中で「エンジェルが云々」ってのは出てきたから、『エンジェルウォーズ』って邦題を全否定するワケではないですが。

 今までは、リメイクや有名原作の映像化しかしてこなかったザック スナイダーがついに完全オリジナル脚本で好きな映画を、大量の製作費をかけて作ったのが本作『サッカーパンチ』。
 有名コミックの映像化で大成功し、そのおかげでオリジナル脚本にスタジオが大金をくれたという意味で、『ダークナイト』『インセプション』のクリストファー ノーランとよく似ている。
 まぁ、売り上げ、評価、共に雲泥の差となっていますが。
 そんな2人が今度、スーパーマンを撮るんだよね。クリストファー ノーランがプロデュース、ザック スナイダーが監督で。
 今度のスーパーマンはイギリス人、ということで注目を集めております。ちなみに、本作にもスーパーマンはちょっと出てます。すげぇ嫌な役で。



   あらすじ
精神病院に送られたヒロイン
5日後に、脳にクギを打ち込み、全感情を消失するロボトミー手術が控える
妄想して、現実逃避
妄想世界の中で、逃亡を計画する
逃亡に必要なアイテムを仲間と集める
果たして、ヒロインは逃亡できるのか



 っていう。まぁ、精神病院からの脱出、って表現をしたらすげぇ月並みな設定みたいでしょ。
 めんどくさいことに、妄想ってのがややこしいんだよね。
 ヒロインは病院の中で、妄想する。妄想の中では、病院ではなく娼館。ロボトミー手術じゃなくて金持ちに売られる、って脳内変換。この妄想世界の方が映像化されてます。
 さらに。妄想世界で、ヒロインはアイテムを集めるためにダンスを踊るんだよね。超絶ダンスを踊って、敵を釘付けにして、その隙にアイテムを盗む。ヒロインがダンスを踊ろうと、集中するとさらなる妄想世界へイン。妄想世界の中で、ヒロインはセーラー服にツインテール、日本刀と拳銃を持って戦うスーパーヒロイン。
 ・・・・・・観てない人は、突然ワケわかんなくなったでしょ? みんなワケわかんないからアメリカでコケたんだと思うよ。

 本作の予告やポスターで描かれてるのが、この二重妄想世界の中の映像。サムライ大魔神ナチス兵、スチームパンク風のゾンビ、火を出すドラゴン、近未来なロボット集団、そしてそれらを武装した美少女たちがぶちのめすっていうね。
 本作のメインはここですからね。この滅茶苦茶な世界での美少女たちがカッコよく戦ってる、というカッコイイ映像。

 ザック スナイダーの過去作で人気なのが、圧倒的なキメ画。物語は置いといて、とにかくキメ画。キメ画の連続。
 オリジナル脚本ということもあり、キメ画>物語 という特徴がより顕著に。というか、好きな映像を撮るための物語、という印象を受けざると得ない。

 映画は、キメ画>物語 でいいのか。ここが、第一の賛否(というか好き嫌い)の分かれ目だと思う。二重妄想世界の超絶アクションを観て「とりあえずカッチョエエエェェ!!」ってなる人は本作好き。「カッコイイけど、この世界ってなんなの?」ってなる人はダメ。
 第二の分かれ目が、二重妄想世界の世界観。ザックの好きなもの全部乗せ、みたいな世界観にハマるかハマらないかで、本作の好き嫌いが分かれる。

 ワタクシとしてはどっちも大ハマリだったんですよ。特に前者。アクションは相変わらずカッコよく、ずっと観ていたいくらい。
 後者の世界観。こちらも好きなんだけど。少しだけ、難もあった。メイン中のメインである戦う美少女って点。あんまりかわいくねぇなぁ、とか思っちゃった。
 特に主人公。この人は、『レモニー スニケットの世にも不幸せな物語』の時のも幸薄ヒロインだったんだけど。この時のがかわいかったなぁ、なんて。強い女(戦闘力という意味)とか、ビッチ系の役はあんまり合ってなかったと思う。一応、最近流行の困り顔なんだけど、個人的困り顔はあんまり趣味じゃないので。
 ただ、仲間の1人、男勝りなロケットはかわいかったです。アゴが尖ってるくらい気にならないくらいにハマりました。できればロケットに日本刀持たせたかったです。

 あと、戦闘が常にヒロインたちの無双状態で全然緊迫しない、ってのも少しだけあった。
 二重妄想世界でのアクションって4回あって。それぞれ舞台、敵が違うんだけど。ステージごとに「今回のミッションは○○だ」みたいなミッション形式になっててゲームっぽい。
 4ステージ目に関しては、計画の不備もあって二重妄想世界と妄想世界のリンクしたやりとりがあっておもしろいんだけど。3ステージ目は少しだれた。3回目だしね。2回無双乱舞してたからもはや負ける気がしない。後は、映像を楽しむだけ、ってなっちゃう。
 個人的に、1ステージ目が一番好きだから、そこと比べちゃうと、段々尻下がりに感じてしまうところもあった。

 なんだけど。この映画、実はオープニングが一番スゴイ。
 『ウォッチメン』もオープニングはスゴかったが、本作もそれに勝るとも劣らない。
 オープニングでは、主人公がいかにして精神病院に送られるようになったのか、が描かれる。要は、主人公の鬱な体験なワケで、内容も大変重い。心底暗くなるような話なんだけど、そこの描き方がカッコよすぎてテンション上がるんですね。セリフレスで、スローモーションを多用した映像で描かれるんだけど。
 そして、いよいよ主人公が車で精神病院に送られてる途中、豪雨が車の窓ガラスに当たり、窓ガラス上にタイトルの「SUCKER PUNCH」の文字が浮かび上がる。
 もうね、ここで鳥肌が立っちゃって。心は完全に映画の中。このアヴァンタイトルが素晴らしすぎるの、この1点において観る価値がありますよ。年間ベスト級のオープニングでした。


 ザック スナイダーの趣味全開な妄想世界の映像を愛でる他にも、ほとんど描かれることのない現実世界のことを考えたりすると、違った楽しみ方ができるかもしれません。
 が、ワタクシは、「セーラー服に日本刀!」これだけでお腹いっぱいでした。
 ただ、美少女版『300』を期待していたワタクシとしては、「美少女」の部分にあまり乗れなかったのが痛い。
 80点。


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