北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』の感想


シリーズのファンですが、ガッカリでした。


 映画観て、感想を書く。この間の期間が長くなってきている。今回は1週間以上空いてしまった。筆無精すぎる。別に1週間構想を練っていた、とかではもちろんないんですよ。なんとなく腰が上がらなかっただけ。これはマズイ。この性格は、ブログに限らず人生に関する問題な気がしてきました・・・・・。

 そこで、本作『パイレーツ オブ カリビアン4』ですよ。シリーズモノとかめんどいね。今までのシリーズに関しては特に書きません。
 個人的には大好きですよ。ただ、熱狂的なファンのことは嫌いかも。『1』と『2』が特に好きかな。『3』は『2』の続編ということで、その余韻で(惰性で)楽しんだ感はあったかもしれない。
 ともかく、好きなんですよ。本作を観るにあたって、とりあえず『1』だけ観直したんですが、おもしろかったです。やっぱジャック スパロウというキャラクターは発明だと思いますよ。



   あらすじ
ジャック スパロウ、ロンドンに見参
元カノに騙されて世界最悪の海賊黒髭の船に乗せられる
黒髭の狙いは不老不死が手に入るという生命の泉
一方、スペイン軍に生命の泉を奪われぬようイギリス軍もかつての海賊バルボッサに船を託す
しかし、バルボッサにはとある企みが・・・・・・



 イヤな予感はしていたんですよ。『1』を観返して思ったんだけど、本シリーズってウィルが主人公なんですよ。物語上の中心はウィルなんですよ。ジャック スパロウはそれを引っかき回す魅力的な脇役、みたいな感じで。
 そして、本作のキャストには、ウィル役のオーランド ブルームがいない。ついでにキーラ ナイトレイもいない。2人からしたら、「ええぇっ、だって『3』で終わるって言ってたじゃん!」ってことなんでしょうかね。知らないけど。
 オーランド ブルームは今度、『三銃士』で悪役を演じるらしいですね。そんで、『ホビット』にも出演が決まったとか。やっぱりコスプレ劇ばっかりですね。

 そんなウィルの不在。それが痛い。今までならば、「すべては愛のために!」という明確な目的を持ったウィルに対してジャック スパロウが絡む、という形だったのに、本作はジャック スパロウが単独主人公。
 ジャック スパロウってさ、なに考えてるかいまいちわからないじゃないですか。そこが魅力でしょ。おかげさまで、本作の本筋もよくわかりません。ジャックさんはなにがしたいのかがよくわかりません。
 生命の泉に行って、永遠の命が欲しい? いいえ、それは違う。日本版ポスター「永遠なんてくれてやる」って言ってるもん。じゃあ、なにがしたいんだよ。黒髭を殺したいワケでもない。ペネロペ クルスが好きだとしても、特別そのためになにかをするワケでない。


じゃあ、なにがしたいんだよ。

 真人間役のウィルが不在の中、本作で登場する真人間というのが、宣教師のフィリップ。黒髭に捕らえられていたところ、たまたまジャック スパロウたちと行動を共にする。そして、人魚と恋に落ちる。真人間、恋に生きる、実にウィルみたいでいいじゃないですか。
 ところがこの人、本筋と、ジャック スパロウと全然絡まない。多分、ジャック スパロウと言葉を交わしたのなんて3、4回ですよ。この人は人魚のことしか考えてないですからね。なにより、弱いですから。いざとなって、戦闘になると、即負けちゃいますから。主人公失格ですね。ていうか、出演時間的に全然主人公じゃないです。
 人魚の涙が必要なんだけど、強情な人魚はなかなか涙を流さない。そこで黒髭がとった作戦、っていうのはなかなかよかったんだけど。宣教師と人魚の思いがすれ違うのと同時に黒髭の悪役ぶりが光る。まぁ、ジャック スパロウはいないですけど。

 人魚。本作の目玉ですね。『1』での骸骨戦士、『2』『3』でのデイヴィー ジョーンズとその仲間たち、みたいな位置づけかな?
 本作での人魚というのは、美しい見た目で船乗りを誘惑し、キスをし、海底へ引きづり込み、食べる(性的かつ食人的な意味で)。かなり化け物寄りな存在なんですね。人魚の初登場シーンというのがなかなかイイ。『ジョーズ』みたいな感じで存在を匂わす。船乗りたちの間に恐怖が走る・・・・・・と、いる。「ギャアァァァーーッ! 出たああぁぁーっ!!」って感じじゃなくて、「おい、お前・・・・・後ろ見てみろよ・・・・・・いるぜ?」みたいな感じで。
 そして、なにがイイってね、その人魚ってのが超美人!! アマンダ サイフリッドのイイところをギュッと凝縮したようなタイプの美人で、人ならざる美しさを完全に体現している。そして、海面から船の上に顔だけ出してる状態だから、下半身の魚部分は見えない。ただの超絶美人に見える。人魚だからもちろん裸ですよ。貝殻ビキニなんてつけません。けど、顔だけ出してるから見えないんですよね。エロいっすねぇ〜。また船乗りにキスしようと、誘ってくるんですが、水面で揺れて、顔が近づいたり遠ざかったりするんですねぇ〜。エロい、エロすぎるぞ!!

 難点としては、宣教師とロマンスに落ちる人魚がこの人魚じゃないですよね。アマンダ サイフリッド似の彼女じゃない。大分レベルは落ちましたね。
 他にガッカリポイントとしては、それまではエロく誘惑してきた人魚が突如として人間を食べようとするんですが。ここで、人間を食べようとする時に「キシャァァァ」って鳴き声を上げて、顔が化け物に変貌するんですね。なんか、ガッカリです。美人のままなら食べられたかったんですけどね。それが突然化け物になられてもねぇ・・・。
 そんで、人魚を生命の泉のある森の中へ連れていくんですけど、運んでる最中は裸なんですよ。マンガみたく髪が垂れて胸を隠してるんだけど、海賊たちが人魚のことを粗雑に扱うので胸が見えそうになる。すると、人魚は胸を隠すんですよね。人魚だぜ。人間は食べる対象だっていうのに恥じらう。ちょっと理解できません。それだったらもうちょっと人間味のある設定にすればよかったのに。人間だってさ、動物の前で裸になったって恥ずかしくないでしょ。
 それと、宣教師とのロマンスですけど。単純に考えて下さい。昨日まで人間を食べていたような人と恋できますか? 人間じゃないものとの恋愛がどうのこうの言うつもりはないです。ただ、人間喰うんだぜ? あの娘。いくらかわいくて、守ってあげたくなったって好物は人間ですからね。ついに言うと、先述の通り、人間を食べる時には顔が化け物に変貌するんです。つまり、美人の顔は人間を誘惑する仮の姿。本当の彼女の姿は化け物みたいな顔してますよ。「キシャァァァ」って鳴きますよ。こういう化け物感がそれまでに強調されてたせいで、人間との種の壁を越えた恋というのに乗れない。嘘っぱち感がハンパない。

 あとは、黒髭ですね。本作の悪役。前作までの悪役ってのはどれも不死身の化け物ばかりだったので、所詮普通の人間に過ぎない黒髭くんにはその外道っぷり、海賊っぷりに期待したかったんですが。
 本作でさ、黒髭くん、あまり人を殺さないんだよね。黒髭といったら部下でさえ平気で殺す外道ですよ。船で反乱が起きた時に、一応部下殺しは描かれるんですよ。けど、そこでは見せしめとして1人だけ殺すんですよね。反乱したのに他は許してあげるんですよ。優しいね。

 黒髭が、最強の海賊たる所以は黒魔術。超能力が使えるんですね。船を自由自在に操れる。浜辺からの遠隔操作も可能。船のマストの上げ下げも自由自在。船のロープをヘビのように動かし、敵を縛り上げることも可能。この力のおかげで、おそらく海上戦では無敵だと思われる。
 海上戦では無敵・・・・・・・・・ここ大事です。こうなると気になるのは、「ジャック スパロウはいかにして海上戦を制するのか」って点じゃないですか。

 そこで、本作最大のガッカリポイントが出てくる。クライマックスの戦闘シーン。
 その1。舞台が生命の泉であること。つまりは海上じゃない。船がない。船がない黒髭なんてただの人間ですよ。超能力なんて使えないし、不死身でもないから刺せば死ぬ。今までのシリーズのラスボスを思い出して下さいよ。みんな不死身でしょ。不死身だったり、骸骨戦士だったり、大ダコだったり、化け物でしょ。そんな中、世界最悪の海賊である黒髭さん、ショボいわ!!
 その2。ジャック スパロウは戦わない。信じられません。主人公のくせに、クライマックスの戦闘に参加しない。おそらくジャック スパロウのベストバトルは映画冒頭にあったペネロペ戦だと思います。ついでに言うと、宣教師も戦いが始まったら早々にリタイアします。人魚に会いに行っちゃいます。
 その3。メインの対決が、バルボッサ対黒髭。黒髭は先述の通りのガッカリ悪役です。それに立ち向かうバルボッサさん、『3』以降にケガをしたらしく、片足がないです。義足&松葉杖です。『1』でラスボスだった時は不死身だったのにねぇ・・・・・。おかげさまで、黒髭が強いのかバルボッサが片足のため弱いのかがよくわかりません。映画のクライマックスなはずなのに最高戦力VS最高戦力という図式になってない。
 その4。スペイン軍が超空気。一応ラストの戦いは、黒髭海賊団、イギリス軍(バルボッサ含む)、スペイン軍による生命の泉の争奪戦なんだけど、スペイン軍には個性のあるキャラクターが1人も描かれてない。ていうか、1人でも名前覚えてる人いますかね?
 その5。人魚が出てこない。本作の目玉は、黒髭と人魚でしょうよ。じゃあ、人魚出せよ。人魚の登場シーンはかなりよかったんだから、クライマックスにも期待するじゃんか。人魚が誰の味方をするかによって戦況が左右される、みたいなハラハラも生まれるじゃんか。しかし、舞台は陸上なので当然人魚は出てきません。ガッカリ極まりないです。

 まぁ、イイところだって少しはあったと思いますよ。バルボッサとかすげぇよかったと思いますよ。今まで以上に魅力が増してたと思います。片足を失うことによって、より大儀そうに歩くあの感じはかなりよかったです。しかも、その義足には酒が仕込まれてるんですよね。海賊っぽくてサイコーじゃないですか。
 そして、本作の登場人物の中で唯一(と言っていいと思う)肩入れできる動機、目的がある。イギリス王国に仕えているのは、イギリス軍を利用するためであって、本当の目的は黒髭への復讐なんですよね。応援したくなりますね。バルボッサだけは。
 ジャック スパロウとの組み合わせという意味でもバルボッサがベスト。この2人が行動を共にするシーンはワクワク度が段違い。
 ついでだけど、ジェフリー ラッシュが英国に仕えていて、「すべてはジョージ○世のために」とか言ってると、『英国王のスピーチ』を連想してしまって楽しかったですね。ファックファック。

 あっ、あとペネロペ クルスについてか。まぁ、よかっったと思いますよ。キーラ ナイトレイよりも豊満だしね。しかも、この撮影時、ペネロペは妊娠中でして、そのせいか元々か胸がもの凄い張ってる。キーラ ナイトレイじゃ、逆立ちしたって敵わないですね。
 それと、これは個人的なことなんだけど、本作を観たのと同じ日に『ブラック スワン』を観たんですね。そこでさ、ガリッガリのナタリー ポートマンが病んでく様を延々と観たので、豊満なペネロペがいつも以上に魅力的に見えました。女海賊って役はハマってたと思うんだけど、もうちょっと海賊っぽい行動があってもよかったかな、とか思ったり。もっとビッチであるとか、男勝りな性格だったりだとか。


 『2』や『3』みたいに1作で終わらせる気がサラサラない、っていうのから単発で終わらせるようになったのはイイと思うんですよ。好感が持てる。ただ、いかんせんつまんなった。シリーズファンとして楽しめなかったというだけでなく、単純につまんなかったですからね。今からで遅くないからオーランド ブルームに土下座して続編に出てもらえるように説得した方がいいと思いますよ。
 さっき、ツイッター見てて、知ったんだけど、『5』の監督にティム バートン、サム ライミ、アルフォンソ キュアロンが候補になってるなんてニュースがあるらしいですね。なにそれ! 超おもしろくなりそうじゃん! まぁ、ティム バートン、ジョニデ、ディズニーだと『アリス イン ワンダーランド』があるからね、残りの2人がいいかな。もしそうなるのであれば、『5』にも大いに期待してます。
 50点。