北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

映画『ブラック・スワン』の感想


こんな映画嫌い・・・・・でも・・・・・・でもおもしろい(ビクンビクン)


 随分とタイミングが遅い気がするんですが、『ブラック スワン』です。
 ナタリー ポートマンがアカデミー賞取ったヤツですね。ナタリー ポートマンは本作以外にもいろいろ出てて、今年はずっと彼女のターンですね。

 少しだけナタリー ポートマンについて。中学生の頃、『スターウォーズ エピソード2』が公開されまして、クラス中で大流行してたんですね。その時、クラスのK住さん(べっぴんさんのクラス委員長)がナタリー ポートマンのファンになったらしく、ナタリー ポートマンのことを親しみを込めて「ナポリタン」と呼んでいたんですね。その影響を受けて、ワタクシの中で「ナタリー ポートマン=ナポリタン」という図式が形成されてしまった。
 なので、今回、ナタリー ポートマンのことをナポリタンと呼びます。わかりにくいですが、すいません。

 ・・・・・・・・今思えば、女子とスターウォーズの話を楽しくしていたという意味で、あの頃が人生の黄金時代だったのかもしれないなぁ・・・・・・。




ジム キャリーによる本作のパロディー。ホラーは笑いに通ずるという好例

   あらすじ
バレリーナの主人公
今までは脇役しかもらえなかった彼女に、「白鳥の湖」の主役の座が舞い降りる
プレッシャーに押し潰される主人公
白鳥の湖」の公演が始まる



 話を上辺だけみるとシンプルなんですよ。白鳥の湖の主役に抜擢されたナポリタンが練習して、初演を迎えるだけ。
 問題は、プレッシャーやらその他もろもろの問題にナポリタンが押し潰される様が至極丁寧に描かれるんですね。ココが、本作がホラー作品と呼ばれる所以であります。

 個人的にホラー映画ってあんまり観ないですよ。ハッキリ言って苦手です。粘着質なホラーも苦手だし、「ワッ!!」って驚かすタイプのホラーも苦手です。
 ということで、本作を観ながらイイ気分になることはなかったです。どう転んでも、本作は嫌いな映画です。けど、スゴかった。映画として相当な出来なのは言わずもがなで、おもしろかったと言わざるを得ない。

 またさ、本作でのホラー的な描写って痛いじゃないですか。見てて痛いでしょ。しかも地味な痛み。足の爪が割れたり、逆剥けがどこまでも剥がれたり。体の末端を攻めるのはキッツイわぁ〜。

 それに、心理的にも嫌な描写が多いでしょ。個人的にね、子供が悪に染まるとか、子供が性的ななにかを押し付けられる描写が苦手なんですよ。苦手というか見てらんない。
 本作のナポリタンはもちろん成人した女性なんですが、精神が12歳で止まってる人なんですよね。部屋がガキっぽかったり、ケータイが超簡素だったり、母親に爪切ってもらってたり。正直言って『レオン』のマチルダよりも子供だと思いますよ。そんな主人公が追いつめられて、精神がおかしくなってく様ってのがもうツラくて。

 エロ監督に「おい、家でオナニーしてこいよ。これ宿題な」みたなことを言われたり、それを実行したり、それを母親に見られたり。「もうやめてぇぇぇっ!!」って感じ。まぁ、母親に見られるというのは、ホラーとか嫌悪感とか通り越して、笑いに通じた気もするんですが。
 ちなみに、このシーンとレズビアンセックスのシーンでしかナポリタンは性的興奮をしてはいないんですね。ここらへんに、男性への恐怖、男性嫌悪のようなものが本作の根底には流れているように思いました。男女のセックスっていうのは嫌悪の対象としてしか描かれていなかったと思います。女子校育ちの思春期みたいですね。「男なんて不潔よ!」みたいな。ここらへんもガキっぽい。

 ガキっぽいのが原因とは言えないんだけど、本作のナポリタンは実にエロくない。かわいくない、女性として魅力的じゃない、とも言えるんだけど、物語を考えると「エロくない」という言葉が一番ピッタリ来る。まぁ、精神がガキンチョだから、っていうのもあるんだけど、単純に痩せっぽっちなんですよね。ガリガリで。骨と皮だけで。下衆い話ですけど、全然興味ないですよ。ナポリタン自体はかなり好きな女優の1人ですよ(ビジュアル的な意味でも)。それなのにねぇ、そういう意味では大分ガッカリでしたね。単純にもうちょっと肉を付けてふくよかにしたら、簡単にエロくなって、「白鳥の湖」を演じられるようになると思います。

 このガキっぽい、エロくない、というナポリタンへの悪口ですが、この形容詞は本作の主人公ニナにそのまま当てはまりますから、ナポリタンの演技に関しては文句はないです。ナポリタンの演技というか、あの役にナポリタンを当てたのがスゴイんだけど。
 ただ、本作の中で、エロ監督がナポリタンの相手役の男に「こいつとヤリたいか?」って意地悪な質問をする。もちろん答えはNO。白鳥の湖を完璧に演じるにはエロさが必要、ということなんだけど。個人的に、演じる人の人格や人生、私生活は演技とは別次元のものだと思うから、このエロ監督の考えはついていけない。同じ理由でラサール石井の例のつぶやきにも嫌悪感しか湧きません。けど、こんなフリがあったからには、後半、相方の男、っていうか観客に「ヤリてぇ!」って思わせないといけないでしょ。・・・・・んで・・・ラストのナポリタンだけど・・・・あんな女ヤリたくねぇよ!!! っていうね。あんな女の人、怖いよねぇ。
 ひょっとしたら、アレは「私生活にもエロさがないと演じられない」ってエロ監督に対するナポリタンの反抗とも解釈できるから、的外れな話かもしれないですけどね。

 バレエに関しては無知なんで、正直ラストのあの踊りが、それまでとどう違うのかっていうのがよくわからなかったです。今まで出来なかった技が出来るようになるとかそういう問題じゃないからね。だからラストの変身を見ても、「ちょっとやりすぎでしょww」って感じが少しありました。いかんせんバレエの凄さがわからないもので。
 それでも、一応、ラストの踊りでカタルシスは得られるようにはできてるんですよ。見た目の変化というのも一応わかりやすいですしね。それに、あのキスもよかった。男女のキスをあんなに積極的にしてる、っていうね。
 ラストもラスト。「白鳥の湖」の最終場面、自殺のシーン。自殺のシーンだけ練習が描かれる。段取りの確認をしたりして。おそらくちゃんとした演技の指導が描かれてるのって本作で唯一だと思いますよ。それだけに、演技の展開がわかるだけに、成功への道筋がわかりやすく、結果的に演技をうまくやっていることへのカタルシスは得られる。うまいですねぇ。このシーンは、劇中の「白鳥の湖」だけでなく、本作自体のクライマックスですからね。

 そしてミラ クニス。世間的に主演のナポリタンと監督のダーレン アレノフスキーばかりが絶賛されてる印象なんですが、ミラ クニスもよかったじゃんかよ。
 個人的に『寝取られ男のラブバカンス』という映画を観て以降、ミラ クニスの大ファンなんですね。大いに期待してたんですが、それに応える素晴らしい存在感だったと思います。
 ナポリタンが持っていないエロさ、大人っぽさ、自由を兼ね備えた女性の役で、主人公とは合わせ鏡のような分身のような存在。見事に「女が憧れる女」っていうのを体現している。ワタクシは、映画を観ながら「なるほど、彼女は女版タイラー ダーデンなのか」って思ってたんですが、全然違いましたね。『ファイトクラブ』のネタバレになるんで、詳しく語るのは避けますが。まぁ、主人公の持っていない男(女)らしさのすべてを兼ね備えた、ちょっと悪の匂いのする理想の男(女)、という意味では遠からずですかね。女版ブラッド ピットって考えたらスゴイことですよね。ミラ クニスがより好きになりました。
 「あの男って最低よねぇ? えっ・・・・まさかあんたあの男が好きなの? あんなののどこがいいのよぉ」ってナポリタンと(一方的に)仲良さげに話してるシーンのミラ クニスはむちゃくちゃかわいかったです。 

 ちなみに、このミラ クニスの役の名前はリリーっていうんですけど。リリーって百合ですよね。百合ってたしか純血の象徴だったと思うんですけど、ミラ クニスが純血っていうのはなんだか味わい深いですね。主人公のことのように思えますからね。
 そして、なによりも百合。たしかに百合な関係にはなってましたね(笑) 監督ったら日本が大好きなんだからぁ〜。


 まぁ、嫌な思いはしたもののイイ映画でしたよ。けど、ミラ クニスはアカデミー賞にノミネートくらいされてもよかったんじゃないかなぁ。
 あとはアレですね。話題の今敏監督の『パーフェクト ブルー』との相似点。ダーレン アレノフスキーは『パーフェクト ブルー』のリメイク権を取得してるんで、なんにも文句は言えないんだけど、「俺は影響を受けてねぇ!」ってスタンスがちょっとイラッとしますね。『パーフェクト ブルー』は未見なんでその内観たいと思っております。あっちはアイドルちゃんが主人公だからバレリーナよりは入り込めそうかな、と期待しております。
 85点。