北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

映画『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』の感想


ラストバトルで、ハボック(腹ビーム)が空気なのはサイクロップスと同じ


 個人的に2011年最大の期待作。子供の時にテレビでやってたアニメ版の『X-MEN』観てたのもあるし(内容はほぼ覚えてないけど)、実写化されたシリーズも大好き。そして、監督がマシュー ボーン。みんな大好き『キックアス』の監督ですね。そして『1』『2』の監督、ブライアン シンガーも帰ってきて、期待しない方がどうかしているという布陣。スピンオフの『ウルヴァリン』はなんだったんだ、とかは考えないようにしましょう。

 ややこしいんで、シリーズを、

『X-メン』は『1』、
X-MEN2』は『2』、
X-MEN ファイナルディシジョン』は『3』、
スピンオフの『X-MEN ZERO ウルヴァリン』を『ウルヴァリン』、

 と呼ぶことにします。

 ワタクシとしては、本シリーズが、昨今のアメコミ映画ブームの先駆けだと認識しております。『1』の成功がなかったら、『スパイダーマン』もなかったと勝手に思っております。
 ちなみに、設定を完全にリセットもせず、シリーズが5作まで作られたのって最近だとかなり偉業かと思います。『ハリポタ』は無視すれば敵はいないのではないかと。
 まぁ、シリーズ作の数でいうならば、来年には同じマーベルコミックの『アヴェンジャーズ』が超えますけど。4年で6本でスゴイな。役者としてのスタン リーは大忙しですね。

 せっかくだから全部説明しようと思ったけど、想像以上にめんどくさいのでここまで。
 まぁ、アレだ。超能力を持って生まれたミュータントという人たちが人類に迫害されながらもがんばる話だよ。



   あらすじ
主人公① 世界最強のテレパスであるチャールズは金持ち生まれで頭も良く超エリート
主人公② 磁力を介して金属を操るエリックは、かつて母親を殺したナチス兵を殺して回る日々
悪役 エリックの母を殺したセバスチャンは、冷戦下の世界で暗躍し、第三次世界大戦を起こそうとしている
偶然、出会ったチャールズとエリックは協力してセバスチャンの計画を阻止しようとがんばる



 結論からいくと、シリーズ最高傑作の1つだと思いますよ。『2』と同率最高傑作ということで。『2』とは違った良さがあります。
 ただ、シリーズをまったく知らない人に1本だけオススメするならば間違いなく本作。時系列的にわかりやすい、ってのは抜きにしても、一番バランスが整ってる作品だと思う。エンタメに徹底しつつも、テーマである人種差別ネタもしっかり描かれてる。そして、今までのシリーズにあった良いところがギュッと凝縮されている印象。

 まず、本作を観て最初に驚くのが本作のオープニング。ナチスに迫害されるユダヤ人たち・・・・・・・
 ・・・・・・・ってコレ『1』のオープニングと一緒やんけ!!

 新シリーズの開始を告げるかのような素晴らしいイントロでした。ちなみに本作のアウトロもマグニートーで、本作は「マグニートー ビギンズ」であることが印象づけられる(ちなみに、このアウトロは『キックアス』と酷似)。
 今、思えば、『3』のラストシーンもマグニートーだったよね。

 マグニートーは今までは、おじいちゃんだったけど、本作では若い。若々しい故に血気盛んに復讐の旅を続ける。この復讐の旅のシーンがイイだよね。敵陣にナイフ1本で乗り込むエリック(マグニートー)がカッコよすぎて濡れた。

 そんなマグニートー、今までのシリーズでは金属骨格の主人公に対して、金属を操る悪役として登場していた。天地がひっくり返っても勝てないような能力。そんなマグニートーは本作では主人公サイド。
 ということで、本作の悪役がスゴイ。衝撃、エネルギーをすべて吸収&放出する能力を持つミュータント。拳銃はもちろんマシンガン、手榴弾など効果ナシ。最終的に原子力潜水艦の動力を吸収し、原爆人間へとなろうとする。もうね、戦闘で勝つことは不可能ですよ、って諦めすら湧くような悪役。

 そんな悪役が手下を連れて、善玉のアジトを襲撃するシーンは、本作のハイライトの1つ。

 このシーンに、悪役の手下としてアザゼルというミュータントが出てくる。赤い悪魔のような見た目で、瞬間移動することができる。このテレポートアクションってのが『2』のイントロにあるテレポートアクションと完全に一致。おそらくシリーズ随一のバトルである『2』のイントトロを本作に移植している。しかも、本作では、武器を持って戦っているので、邪悪さが増していて素晴らしい。
 その他、『3』最大のテーマであるミュータント治療薬である「キュア」も出てくてきたりして、今までのシリーズのイイトコ尽くしの様相。

 もちろん、新シリーズの始まりということで今までのシリーズとは全然違う部分もたくさんある。

 まず、驚くのが、チャールズのキャラクター。ハゲてない、というのはさておき。意外とナンパな野郎だというところ。「君のその瞳は突然変異の賜物だ」などとバーで女子をナンパするシーンが突然始まり、驚かされる。

 そして、もっと驚くのが、ミスティーク(変身できる)のキャラクター。金持ちのチャールズのが、家なき子のミスティークを養っていて、ほとんど兄妹。上のナンパシーンでも、ナンパなチャールズに嫉妬したミスティークが、目の色を変身させ、お兄ちゃんにかまってもらおうとするところが大変かわいらしい。自在に変身できるというエロスは以前にも描かれていたけど、そこに妹属性まで乗っけてしまうとは・・・・・・・・・恐ろしい子!!

 そういえば、過去3作において、チャールズとミスティークが会うシーンというのはまったくない(・・・・と思う)。過去作では敵同士だった2人を兄妹にしてしまうとは随分とブッ飛んだ設定をしてくるもんですね。

 ちなみに、変身、幼なじみ、そして妹、というのは『ドラクエ4』、『ドラクエ5』(ビアンカルート)、『ドラクエ6』のヒロインの属性を一緒くたにしたようなキャラクターであります。ミスティークは、1人天空三部作!!!(無理矢理かつ無関係)

 そんなミスティークは本作の複雑な恋愛模様の中心にいる。
 まずは、お兄ちゃんラブ。次に、同じ異形のミュータントということでビーストと恋に落ちる(落ちかける)。さらに、異形の姿にコンプレックスを持っていたミスティークに「本来の姿が一番」と教えてくれたエリックにも惹かれていく。
 お兄ちゃんはというと、人間の女性モイラと普通に恋に落ち、ミスティークの嫉妬はさらに燃える。ここで既に三角関係だっていうのに、その他に、ビースト、エリックの三角関係もあるので、最終的には計五角関係!! 複雑すぎるわっ!

 エリックはミスティークに本来の姿の美しさを教える前に、ミスティークとビーストのファーストキスを邪魔してるので、おそらく確信犯(と予想)。
 そして、エリックを誘惑しようと、ミスティークがとある人間の女性に変身するんですが、ここはファンサービスになっていて、シリーズファンはニヤニヤが止まらなくなる仕様。
 さらに、エリックの「変身した姿には興味がない」というのは『3』のあるシーンとリンクしているので、脚本力というものを思い知らされる。

 と、色恋沙汰が複雑でおもしろいとか抜かしてきましたが、あまり興味ないです。もちろんおもしろいんですよ。五角関係がラストに失恋ラッシュになだれ込む展開は素晴らしいです。
 けど、一番、魅力的なカップルはミスティークなんかじゃないんですよ。
 チャールズとエリックですね。ですよね。やはりバディームービーとなると、どうしてもそういう腐った視点が捨てきれない。真逆な2人が引かれ合い、絆を深め、次第に離れていく、という大変胸熱かつ胸キュンな物語なんですね。

 この2人が互いを認め合い、協力し合い、ミュータントの仲間をスカウトして回るシーンがあるんだけど、ここも名シーン。あるゆる問題がこの2人なら解決できるんではないかと思ってしまうような高揚感が得られる。
 ちなみに、このスカウトシーンでも、ファンサービスがある。ヘンな髪型のあの人が出てきますので、要注意。

 チャールズとエリック。この2人で印象的なのが、エリックが拳銃を避ける訓練をするシーン。
 エリックは自分の実力を確かめるために、チャールズに自分に拳銃を向けさせ、引き金を引くように言う。

チャ「こんなことはやめよう。友人の君に向けて引き金を引くことなんてできない」
エリ「大丈夫だ。弾道を変えられる」
チャ「大丈夫ってわかってるなら確かめる必要はないじゃないか」

 結局チャールズは引き金を引くことなく、このシーンは終わるんだけど。なぜ、エリックはそこまでに拳銃に固執したのか?
 理由は単純で、母親が拳銃で殺されたから。二度とあんなことがないように確かめたかった。
 だからラスト、あのキャラが拳銃を手に取った時にブチギレてしまった。そして、周りが見えなくなって・・・・・・・・っていう。あんなことになってしまったんですね。そのため、2人の別れは決定的になる。
 1発の弾丸によって人生を狂わされたエリックだけど、再び弾丸によってマグニートーとして生きていくキッカケになるんですねぇ。2人の別れのくだりはエンタメ一直線な本作の中では、重点はそんなに置かれてないんだけど、それでも十分にエモーショナルに描かれている。

 エンタメが満載で、恋愛もあって、すれ違いもあって、チームプレイもあって、ファンサービスもあって、エモい展開もしっかりある。それどころか、修行シーンまである。
 そんな中、1つだけ不満を言うとしたら、ラストバトル。エリックVSセバスチャン。因縁の対決。この対決がいまいち盛り上がらない。心理的には十分盛り上がるんですよ。盛り上がるんだけど、派手さに欠ける。シリーズ最強の能力を持つであろうセバスチャンがいるっていうのに、セバスチャンが大暴れしない。原子力の力を手に入れたセバスチャンがその力を発揮しない。そして、修行を経てパワーアップしたエリックがその力を発揮しない。狭い部屋の中でどつきあってるだけ。ちと残念でしたね。前半に描かれたエリックのナチス狩りがサイコーだっただけに尻すぼみに思えてしまった。

 まぁ、そんなラストバトルだけど、絶対優勢のセバスチャンが、「世界の半分をお前にやろう」という竜王みたいなお誘いをエリックにするんですね。それに対してエリックが、「確かに、お前には感謝しているよ・・・・・・」と不穏なことを言う。しかし、そのエリックの目には涙が・・・・・・・・っていうシーン。この涙にはとある伏線が張られてるので、大変に意味深い。
 そして、次の瞬間、勝負がつくんですよね。そして、その後、エリックが取る行動っていうのがまたステキの極み。拳銃と共に、エリックの人生を狂わせてとあるアイテムが出てきます。
 ワタクシ、不覚なことにこのアイテムの存在を忘れていたので、観ていて大興奮してしまいました。


 まぁ、ということで、大満足ですよ。不満はラストバトルの派手さに欠けるという一点のみです。それ以外は文句ナシ。『007』風のエンドクレジットも超カッコよかったしね。
 冷戦下というのを舞台にしたのも効果的だった。ちなみにこの冷戦の終わり方というのが『ウォッチメン』とまったく同じだったのも味わい深い。人種差別によって世界が平和になるという後味の悪さ。
 あと、過去作との辻褄はあまり気にしてないからいいですよ。『ウルヴァリン』の時から辻褄は怪しかったからね。辻褄合わせることに躍起になって、答え合わせみたいな物語になっても困るし。なにはともあれ、大満足、大傑作でした。
 93点。