北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

映画『アジャストメント』の感想


恋愛映画として観れればよかったのだが


 公開されてしばらく経ったけど、『アジャストメント』の感想です。観たのも少し遅かったんだけど、筆を執るのも遅かった。

 原作フィリップ K ディック、主演マット デイモン、ということで、SFな設定の下、『ボーンアイデンティティー』的なアクションが行われる映画だと思ってました。
 全然違いました。



   あらすじ
主人公は上院議員候補
ある日、女性と運命的な出会いを果たす
運命的に惹かれ合う2人
すると、主人公の周りに「運命調整局」という男たちが現れる
人類の運命を正しい方向に調整している、とか言って2人を引き離そうとする
果たして、2人は結ばれるのかぁぁーーーっ



 いつも、あらすじはテキトーに書いてるんだけど、本作に関しては的を射てる。つまりは、運命の女と出会った主人公が運命の恋を成就させられるのか、って話だから。SF的な響きのする「運命調整局」ってのは恋の障害にすぎない。
 今時ね、「運命の恋」とか語る映画はめずらしいですよ。しかも、本作は「運命」ってのが言葉として何度も出てくる。主人公カップルは正真正銘の「運命の恋」とされている。

 そんな「運命」を扱うのが、「運命調整局」。予告を観る限り、本作のミソ。実はそんな大したことない。
 「チェアマン(議長)」という局のトップの書いた「運命の書」がある。人類はすべてその運命通りに動いている。人類に自由意志なんてない!! 自由に選べるのは歯磨き粉ぐらいだバカヤロー!!
 運命を見る限り、人類は大バカで、ほっとくとすぐに大失態をして地球規模で大惨事を起こしちゃう。だから、「調整局」が介入して、良き方に調整してあげる。
 主人公は将来、人類にとって超重要人物になるから、調整してあげる。そんな時、現れるのが「運命の女」。主人公は恋するとどっぷりハマっちゃうタイプだから、本職を疎かにしないように引き離してあげる。

 ここで、問題となるのが、「運命調整局」のその敏腕ぶり。最初の計画はこうだ。
 公園で主人公にぶつかり、主人公の持ってるコーヒーをぶちまけ時間稼ぎ→バスに乗り遅れさせ、バスに乗っていた「運命の女」と出会うのを阻止。
 上司は部下に言います。「絶対に遅れるなよ!! 絶対だからな!!!」

部下「○時×分に主人公が公園にやってくるから、自然とぶつかってコーヒーをぶちまける・・・・・・コーヒーをかけるだけ。こんなの簡単簡単。・・・・ちょっと公園に早く来ちゃったなぁ。あぁ、今日は天気がよくてイイ気持ちだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・いっけね。寝過ごしちった(てへぺろ)」

 もうね、バカかと。いきなりコレですか。予告だと超怖かったのになぁ・・・・。始まりが居眠りだから、この後、「運命調整局」の方々がどんなに深刻ぶっても、「元凶は居眠りだけどねww」っていうのが拭いきれない。
 まぁ、居眠り抜きにしても、他の人もマヌケばっかりですけどね。奥の手として使う手段が、嘘つく、脅す、だからすげぇショボい。小者っぽい。

 けど、設定上、物語上は、全然小者じゃないんだよね。


 こっから、激しいネタバレになりますけど、

 映画観ればわかるんだけど、「運命の書」を書いてるチェアマンっていうのは、明らかに神様なんだよね。名言はされないけど、回りくどい説明セリフがあるから間違いない。
 つまり、チェアマンに仕えてる「調整局」の方々ってのは、天使。天使が居眠りだとはね・・・・・。しかも、その後も、主人公のセックスを覗いたりもしてて・・・・・小者臭がマジパねぇっ!!


「運命調整局」のみなさん(一番手前がお寝坊さん)

 ラスト、主人公が「運命の恋」に生きることを決めるんだけど。「運命調整局」に行って、チェアマンに運命を書き換えてもらうよう頼みに行く。要するに、「運命」、「運命調整局」という存在は否定しない。ぶっちゃけさ、ヒロインと一緒になれたらそれで良さそうじゃん。運命に逆らう恋って燃えるじゃん。けど、違う。認めてもらおうとする。まぁ、神様だからね。
 正直、本作のラストは、主人公が「運命調整局」をブッ潰してハッピーエンド、ってなると思ってたから意外だった。

 意外と言えば、ラストの唐突なハッピーエンドなんだけど。まぁ、アレは「運命だから」、「神様だから」ってことなんだよね。なんかズルい気がする。
 「運命調整局」とは徹底的に敵対しててほしかった。

 文句ばっかり言ってますけど、1つスゴイ好きなトコもありますよ。どこでもドアのシーンね。
 「運命調整局」の人たちは、天使だから超能力が使える。使える超能力の1つがどこでもドア。「調整局」の人がそこらへんのドアを開くと、まったく別のドアに通じることができる。
 ラストに、主人公がその力を使ってニューヨーク中を疾走するシーンがあるんだけど、すげぇカッコイイだよね。主人公の背中をカメラで追って、ドアを開くと別の場所に通じていて、ドアをくぐると移動してる。っていうのを全力疾走で描いてるんだけど、コレは映像的に、映画的にすげぇアガる。
 ニューヨークの街並みの力も相まって、すげぇ魅力的なシーンになってる。まぁ、このシーンがあっただけで本作は及第点な気もする。

 あと、主人公の職業は政治家なんだけど。政治家ってどうもいけ好かないじゃん? 主人公としてあまり応援したくないというか。ちょっと取っつきにくい印象がある。
 そんな政治家としての主人公への距離をグッと縮めるシーンとして、最初に敗北宣言演説っていうのがあるんだけど。ココが見事。簡単にいうと、超ぶっちゃけ演説なんだけど。このシーンで、政治家としての主人公の個性というのもわかり、主人公のキャラクターにも魅了される。また、この演説がヒロインとの出会いの影響で生まれたってのもイイ。

 とはいえ、やっぱり嫌いなトコもあって。
 物語的には小さい扱いなんだけど、扱いが小さいこと自体がムカつく。
 エイドリアンね。「運命調整局」がヒロインの結婚相手として用意した男。コイツがすげぇかわいそうな扱い。いざ結婚っていうところで、主人公に嫁をさらわれちゃう。しかも嫁の気持ちも主人公のところにあって。ちとヒド過ぎやしませんか、と。
 これもどうせアレだろ。「運命の相手」だからとかいう理屈なんだろ。それだったら「運命調整局」が尻拭いしてやれよ。かわいそすぎるよ、エイドリアァァーーーンッ!!!


 SFを期待してたからってのもデカイけど、それを抜きにしてもいまいちだったと思いますよ。どこでもドア疾走シーンはサイコーでしたけどね。
 まぁ、「運命の恋」とか「運命の人」とかそういう言葉に弱い人は恋愛映画を観るつもりで観るといいですよ。それなら多分、おもしろいと思う。結局は、「最後に愛は勝つ」ですからね。
 予告を観て「運命調整局」の活躍とか、「運命調整局」との対決を期待するはトラップ。後悔するからやめた方がいい。やっぱり「運命調整局」の仕事の成功例とかを最初に描いた方がよかったんじゃないかな?とか思った。いきなり居眠りですからね。
 本作の教訓は、「居眠りは気をつけて!!」ですね。
 55点。


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