北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『SUPER8/スーパーエイト』の感想


「あなたに咬まれたい」そんな気分(←違う映画)


 話題の映画『スーパーエイト』観ました。スピルバーグは製作で、監督はJ J エイブラムス。映画の内容が実にスピルバーグ的であるからスピルバーグ監督作なんじゃないかと思ってしまうが、違う。『タンタンの冒険』まで待ちましょう。
 逆に、『クローバーフィールド』はJ J エイブラムスは製作で監督でないですからね。プロデュースってなんだよ、ややこしいな。

 J J エイブラムスというと、『ミッション インポッシブル3』が大好きなので、基本的に好感。そんなエイブラムスさんは監督を降りて製作に控える『ミッション インポッシブル4』も超期待作です。なんせ監督がブラッド バードですからね。『Mr.インクレディブル』ですよ。初の実写映画とか楽しみすぎるわ。
 ということで・・・・・・・J J エイブラムス先生の次回作に御期待下さい!!

 ちなみに、ネタバレ全開ですよ。いつもだけど。細かいシーンの反芻とかするんで、オチとか以外もバレバレです。



   あらすじ
母親を亡くした主人公
父親とはギクシャク
友達たちと一緒に撮っているゾンビ映画を撮影中
その映画のヒロイン役に出演するためやってきた女の子にホレる
映画撮影中にとある列車事故に居合わせる
空軍が管理するその列車にはやんごとない「なにか」がいた



 予告とかだと列車事故がものすごくフィーチャーされてるんですよ。だから、列車から出てしまった「なにか」っていうのがメインだと思ってしまうんだけど、実際はそんなことない。実際、その「なにか」と主人公たちが絡むのはものすごく最後の方。もちろん重要な要素ではあるんだけど、最重要ではない。『宇宙戦争』みたいな怪獣映画を期待してると肩すかしを喰う。
 しかし、そんなもんはどうでもいいんです。スピルバーグ作品への愛もどうでもよかった。
 主人公たちが魅力的なんですよね。設定としては、13才だったと思うけど、13才にしかないあの感覚、あの友情、あの恋愛。主人公たちはさ、自主制作映画を撮ってるんだけど。このメンバーってのが、主人公(メイク)、ジャイアン気質のデブ(監督)、歯矯正中の火薬オタ(撮影)、すぐにゲロ吐くノッポ(主演)、口よりも手よりも逃げ足が出るビビリ、そして、監督が連れてきた美少女(ヒロイン役)。美少女役をエル ファニングが演じてるからとか、そういうの抜きにこのグループに入りたい。パシリでいいから手伝わせてほしい。ホントに楽しそうなんだよ、アイツら。

 そんな一方で、やっぱりエル ファニングは気になりまして。『SOMEWHERE』のヒロイン役で輝いてたエル ファニング。ダコタ ファニングの妹ね。
 「『SOMEWHERE』のエル ファニングの魅力は越えられないでしょ〜」、とか思ってたんだけど、越えたかもしれない。まぁ、単純にいうとエル ファニングとの恋愛を描いてるから当然キュンキュンするんですね。『SOMEWHERE』のエル ファニングは恋愛しないから。父娘の関係ですから。
 恋の相手役として、エル ファニングの魅力がビッグバン状態。甘酸っぱすぎて死ねる。

 エル ファニングの出てるシーンはすべて本作のハイライトであり、出てないシーンにおいても物語の中心。
 まず、初登場。深夜の映画撮影のため、デブ監督が呼ぶ。そこに車に乗って登場するエル ファニング。この車が現れて、ドアが開いて、エル ファニングが画面に映り込む流れがサイコー。一目惚れまではいかないものの、若干意識するみたいな感じ。そこでの姉御感のある言動もステキ。
 そして、撮影のためにリハーサルをするんだけど、ここで素人であるはずのアリス(エル ファニング)の才能が爆発する。あまりに迫力のある演技にのめり込むと同時に恋に落ちる主人公。主人公とまったく同じタイミングで恋に落ちてしましたよ。
 撮影用にアリスにメイクをするんだけど、こっちが勝手に照れてる感じとかサイコー。「やべぇ!女の子の顔触ってるよ!」みたいな感じ。甘酸っぺぇぇ〜〜!!
 んで、ゾンビ映画撮影のためにゾンビメイクを施すアリス。そこで、主人公に対して「ゾンビってどんな動きするの?」と。この「女の子が俺のオタクな趣味に興味を示している!!」という高揚感。演技指導を受け、虚ろな目でフラフラしながら主人公に近づいてくるアリス。さ、誘っているのか・・・・・・!?とドギマギしたところで、主人公の首元にカプリ。主人公の首元には赤い痕が・・・・・・・・・・・・・・・・甘酸っぱっ!!!!! しかもそれを遠くからなんとも言えん表情で見ているデブ監督が今後のフリになってる。
 他にもさ、深夜に窓をコンコンされて、「来ちゃった。寝てたでしょ?」とかぁぁぁぁーーーっっ!! そんで、互いのデリケートな過去について語らうとかぁぁぁーーーっ!!
 しかも、しかも、互いの親が「アイツと会うのはダメだ」とか言っちゃって『ロミジュリ』燃えするし。その後アリスがさらわれちゃうというピーチ姫っぷり。
 そして、アリスのことを救った時に、勢いに任せてキスしちゃえないあたりとか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・甘酸っぱすぎるやろっ!!!!!!!

 そういえば、エル ファニングのかわいらしさに驚愕した映画『ベンジャミン バトン』でも、主人公とキスしそうになって・・・・・・ってシーンを演じてたね。あんなにガキンチョの頃から男心をもてあそんでくれますね。今後もよろしくお願いします。

 ヒロインに関してはもはや文句なし。とはいえ、主人公が美形すぎるというのに若干の違和感を感じ始めたあたりに出てくるのがデブ監督。
 「あの子はな、俺が好きだからキャスティングしたんだよ。なのにお前は・・・。どうせ俺はデブだから無理なのはわかってるよ・・・・・・・・・なによりムカつくのはな、お前らが両想いってことだよ!!」とか言って、ジェラスに燃えちゃって。なんか映画観ながら主人公に感情移入してたけど、オレはこっち側だったよ。「気になる二人、いや絵になる二人。届かぬ思いまたオレは一人・・・」という失恋なんだけど・・・応援したい気持ちもないこともない・・・けど、わかっちゃいるけど認めたくない、っていうアイツ。大好きだよ!

 と、キャラばかりに熱狂してるけど、演出とかもスゴイんですよ。特に白眉なのがイントロ。「主人公の母が死んでしまった」という設定部分を説明する一連のシーンの巧みさったらない。言葉に頼ることなく伝えてる。
 あとは、予告でもちょっと使われてる列車事故のシーン。ここの迫力がヤバイ。今年最も血湧き肉踊ったシーンの1つ。

 ちなみに、例の「なにか」であるモンスターが大暴れするシーンもよかったです。『クローバーフィールド』ばりのモンスターチラリズムが炸裂しててよかった。ガソリンスタンドでの見えそで見えない大暴れシーンは特によかった。
 そんなモンスターですが、意外だったのが、その暴力性。人間モグモグしちゃってる。しかも、主人公の目の前で。これじゃ、もはや『E.T.』みたいにはいかないですよね。目の前で人間食べられたらさすがに友達にはなれないよ。
 ただ、13才の非力な主人公が凶悪なモンスターに立ち向かえるのは、アリスへの愛故なので、モンスターが凶悪すぎて、普通だったら絶対に諦めるレベル、っていうのはよかったと思いますよ。それでも立ち向かう主人公の気持ちの大きさがわかる。
 設定として、このモンスターは触ると気持ちがわかる。当然、ラストに主人公と触るんだけど。ここでの触り方は、『E.T.』方式じゃないとダメでしょうがぁぁ!! せっかくチャリも出てきたんだから飛んじゃいなよ!!! 「オウチ、カエル」的な展開になるってんだからそういうトコも恥ずかしがらずにパクってほしかった。

 ちなみに、映画秘宝で読んだんだけど、あのモンスターは主人公の怒り、父への怒り、母を失った痛みを象徴してる存在らしいですね。だから、主人公はモンスターと気持ちが通じた、と。それを踏まえると、ラストのペンダントのくだりの感動指数が跳ね上がりますね。
 母の喪失、鬱屈した怒り、父への怒りを象徴したモンスターが大暴れ、って『エヴァ』じゃん。もろ『エヴァ』だよね。13才って年も近いし。
 もうなったら、あのモンスターはクラウチングスタートで全力疾走してフライキャッチに挑戦していただきたかったね。できれば箱根あたりで挑戦していただきたい。

 個人的な勘違いの話。
 どっかで読んだか聞いたんだけど(『アクターズスタジオ』だったかな?)、スピルバーグが幼少期に自分で作った模型をブチ壊してそれを撮影して遊んでたら家族から変人扱いされた、って話を聞いたことがある。
 だから、劇中、列車事故の撮影に失敗したデブ監督が主人公に対して「じゃあ、お前の模型ブッ壊してそれを撮影しよう」って提案するシーンで、「これはスピルバーグの例のエピソードのオマージュだ!!」なんてテンション上がっちゃって。だから当然主人公は喜んで模型を壊すと思ってたんだけど。そしたら、後でアリスに「ホントは壊したくないんでしょ? 言いなりはよくないわ」って言ってきて。ちょっと、「HA? なに言ってんの?」とか思った。
 まぁ、しずちゃんばりに心配してくれるアリスがかわいくて仕方なかったですけど。

 あとね、今までに一度でも自主制作映画を撮ったことがある人だと、劇中の映画撮影シーンで激燃えできるらしいですね。映画撮影の経験がないもんで、そこまでの感動はなかったです。ゾンビ映画愛も足りないので、そこらへんの感動もなかった。
 けど、愛する人をさらわれた主人公がアメリカ空軍に頼ることなく自ら立ち上がるシーンで、映画が関わってくるんですよね。自分たちにはあのモンスターを撮影したフィルムを持っているから俺たちにも分がある、と。しかも、その後で、そのモンスターの過去を知る方法というのもとあるフィルム。この「映画を武器に立ち上がる」という展開は胸熱でしたよ。『イングロリアス バスターズ』とも通ずるね。
 その一方で、劇中、主人公の母が現れるのは映画内のフィルムの中だけ、ってのも味わい深い。主人公が映画に囚われてる、呪われてる、みたいな感じで。


 前評判として多かった「映画愛」「スピルバーグ愛」って部分は個人的にはそこまでじゃなくて、主人公たちのキャラクターにことごとくハマってしまったというのがデカイ。特にヒロインね。エル ファニングに咬まれたいです。
 90点。


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