北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『マイティ・ソー』の感想


星の王子 ニューメキシコへ行く


 ガチムチ系ヒーロー映画『ソー』観ました。
 原題だと『THOR』。4文字というシンプルさ。『THOR』だと文字面がカッコイイけど、『ソー』じゃちょっとね・・・・・と思ったかは知らないけど、邦題は『マイティー ソー』。枕がつきましたね。

 アメコミ映画で、枕の有無でいうと、『ハルク』。それが後にリブートされて、『インクレディブル ハルク』に。後は有名なのが『スパイダーマン』。これもリブートされて『アメイジング スパイダーマン』が来年公開。
 という風に「枕なし」→「枕あり」という流れが多い中、初映画化の本作の邦題には枕がつく。けど、原題には枕がつかない。『THOR』がリブートされるとしたら、おそらくタイトルは『MIGHTY THOR』になると思うんだけど、そん時はどんな邦題がつくのでしょうか。楽しみです。
 ちなみに、『ソー2』の製作が決定したそうなので、リブートするとしても相当先です。

 んで、もう1つ。大変めんどくさいんだけど、マーベル シネマティック ユニバースについて。
 マーベルというのはアメコミの会社ですね。カプコンと格ゲーしたりして日本でも有名。
 そんなマーベルに所属するヒーローたちの中で、ヒーロー大集合映画を作ろうと計画されている。それが来年公開の『アヴェンジャーズ』。そんな『アヴェンジャーズ』に出てくるヒーローたちをそれぞれ1人ずつ映画にするという壮大な計画。今のところ、『アイアンマン』、『インクレディブル ハルク』、『アイアンマン2』が公開されていて、本作『ソー』が4作目。今年もう1本『キャプテン アメリカ』が公開されて、役者が揃い、来年の『アヴェンジャーズ』で大集合するというスンポー。
 マーベル シネマティック ユニバースの作品は世界観を共有してるので、、本作の中にも他の作品を匂わす展開やセリフ、『アヴェンジャーズ』へのフリとかも利いています。

 とはいえ、本作単体でも充分楽しいです。



   あらすじ
神の国の次期国王である主人公ソー
最強なので、調子こきまくり
調子こいてたら、父親に怒られる
最強の武器であるハンマー、そして神のしての力を取り上げられ、地球に突き落とされる
そんな中、ソーの義弟であるロキがなにやら怪しい企みを・・・・・・・



 アメコミヒーローの中でも特異なのが神様って点だと思うんですよ。あのスーパーマンですら宇宙人ですからね。宇宙すら飛び越えちゃったよ。宗教的な神様じゃなくて北欧神話ね。北欧なのにアメコミ。大雑把で好きです。
 そんな神様って点。神様故のスーパーパワー、っていうかトゥーマッチパワー。ちょっとソーさん強すぎませんかね?ってくらいに強い。今までのシリーズの敵キャラが瞬殺できそうなイメージ。しかも、空まで飛べるとか。アイアンマンの立場がない。怪力だからハルクとも被るし、ていうか、そもそもソーのが力強そうな印象だし。ワタクシは原作に関してまったく知らないんだけど、原作だとちゃんとそういうバランスは取れてるのだろうか。『アヴェンジャーズ』楽しみですね。

 『ソー』のイイところ、単純明快。よく言えばまっすぐ、単細胞とも言います。なんだか敵っぽいヤツがいたら深いことは考えずに殴り込み。作戦もない。なぜならソーさんが無双すれば勝てるから。そら調子もこいちゃうわ、って感じ。
 本作で唯一、ソーが本気でヘコむシーンがある。自分のものだと思っていたハンマーを持つことができず、神様へと戻ることができなくて挫折するトコ。物語的にソーがまったく成長してないから、ハンマー持てないのはわかりきっていたんだけど、それまでに描かれたソーのキャラクターがフリになっているので、ヘコんでるソーの姿はなかなかかわいそう。そして、その後、現状を受け入れて、地球での生活に慣れ始めるソーの姿も魅力的。

 映画を観終わった後に考えたことなんだけど。今までのシリーズ作品の中で悪役が輝いてる作品、ヒロインが輝いてる作品、脇役が輝いてる作品ってのを考えてみると、『アイアンマン』が強すぎるという結論に落ち着く。悪役で一番カッコイイのは『アイアンマン2』。ヒロインが魅力的なのも『アイアンマン』だし。脇役も揃ってる。アクションが次々と飛び出す『ハルク』に比べると、『ソー』は地味にも感じる。
 けど、『ソー』はおもしろいんですよ。なにが『ソー』の魅力なのか、って考えると、それはソーさん自身の魅力に他ならなくて。単純で、豪快で、マッチョで、ガハハハって笑って、カリスマ性があって、常識外れだけど部下や恩人のために体を張れて、人の心を引きつけるキャラクターなんですよ。顔も整ってますしね。なんというかブラピに似てるような気がしないでもない。とはいえ、『トロイ』のブラピは越えてると思います。ふいに「写真撮るわ、笑って〜」って言われた時に状況を理解するよりも先にニカッて笑うあの感じ。劇中、ソーには部下がいて、無茶苦茶慕われてるんだけど、それも納得の魅力がある。あの仲間といる時のキャッキャ感、ワイワイ感はうらやましいものがある。

 ウィキペディアでソーの記事をちょっと読んだら驚いたんだけど、原作だとソーは地球に落とされる時に仮の姿を与えられるのね。片足の不自由な人になっちゃうらしい。それがいざという時にソーに変身して大暴れ、ってなるらしい。
 これが映画だとまるまるないんだけど、結構思い切ったことしましたね。能天気路線したのには大賛成です。シリーズ1作目の『アイアンマン』って『ダークナイト』と同じ年に公開されたんだけど、『ダークナイト』とは対照的な作品だったんですよ。暗い、重い、悩むアメコミヒーローってのは捨ててるんですよ、マーベルは。素晴らしいことだと思います。大好きです。

 本作はシリーズの4作目なのですが、シリーズ全作に共通点がある。変身シーンがカッコイイっていう。
 『アイアンマン』は言わずもがな。スーツ装着シーンはエクスタシーに近いカタルシスがある。『アイアンマン2』ではスーツがパワーアップすることで変身シーンにバリエーションができる。
 そして『インクレディブル ハルク』は文字通り変身するヒーローですからね。当然変身シーンも凝ってる。煙の中の変身、空から落下して変身。
 そして、本作『ソー』。人間になってしまったソーが神の力を取り戻し、大暴れするシーンが該当。ボコボコにされて死にそうなところで変身、心の成長がキッカケとなって変身、という2点が特徴だと思います。『アイアンマン』とも『インクレディブル ハルク』とも違う魅力的な変身シーンになっていました。変身後のパワーが桁外れなので興奮もひとしお。力を取り戻すと、空に雷雲が集まって、ゴロゴロゴロ・・・・・・って実に定番なフリである。けど、一応ソーは雷を操る神様だから理屈は間違ってないです。

 作品全体も、ソーのキャラクターも、とくかく大好きなんだけど、1つあまりハマらなかった部分が。悪役ね。ロキ。原作知らない人間としては、「ロキってどうなのよ?」って思う。ロキって『マスク』の神様でしょ。ジム キャリーのイメージが強いぜ。
 ロキは、キャラクターとしては魅力的なんですよ。悲しい過去があったりするし。ソーとの対比にもなってるし。
 なにが不満ってね、バトルが地味。戦闘に関して特別ななにかがないんだよね。ロキさんは。トリックスターって感じで。人を惑わす術が得意っぽくて、マッチョヒーローであるソーに対して「こうかは ばつぐんだ!」ってなりそうじゃん。それがまったく利かない。ロキが分身してソーを取り囲む、ってなるとソーは「ウガアァァァァ」って雷落として分身も本体もまとめて一掃。つ、つええぇぇぇぇ・・・・!
 ソーのキャラクターがよく出てるっていうバトルシーンとしてはイイんだけど、ラスボス戦は強敵と戦ってほしいじゃないですか。主人公と同等、もしくはそれ以上の強さに立ち向かってほしいんですよ。ここでね、ソーさんの強すぎなパワーが悪い方に作用してくる。
 ていうかね、ラスボスはロキじゃなくてよかったと思うんですよ。ロキは頭脳派の悪役で。氷の巨人っていう化け物がいるんだからそれを利用しましょうよ。やっぱね、ソーのあのパワーは、デカイ敵と戦ってる時が一番輝くと思うんですよ。最後の最後に華奢な人間(の姿)の敵が出てこられても・・・・って感じ。


 不満なのってこれだけですよ。他は大満足。単体の映画としても大満足。『アヴェンジャーズ』へのフリ要素もニヤニヤが止まらないですし。ジェレミー レナーが超絶カッコよかったです。『アヴェンジャーズ』が楽しみなのと同時に『ミッション インポッシブル4』も楽しみになってきました。当然『キャプテン アメリカ』も楽しみですよ。フィクションとしての第二次世界大戦ってちょっとイイですよね。
 85点。


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