北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

映画『ピラニア3D』の感想


「親の顔が見たいぜ!」は死亡フラグ


 3D用のカメラで撮影した本格3D映画も増えてきた中、本作は2Dカメラで撮影したものを3D加工した作品。
 「3D映画だってのに、全然3Dの意味ないじゃねぇか!!」みたいな映画も多い中、本作は違う。撮影の段階から3D映画というのを想定されているので、3Dが効果的に使われていて、3Dというのが本作の大きな魅力となっております。

 今年は『トランスフォーマー3』『カンフーパンダ2』という超本格3D映画があるんだけど、『ピラニア3D』は低予算ながらそれに勝るとも劣らない3D映画になってました。『カーズ2』よりもよかったんじゃないでしょうか。
 (個人的には『カンフーパンダ2』の衝撃が強すぎるのでそこには敵わないかな。『トランスフォーマー3』はIMAXで観たから一概に比べられない)

 あらすじ
湖で大学生が酒池肉林のバカをやってる
古代の殺人ピラニアが現代に復活
湖が血に染まる

 実に清々しい作品でしたよ。作品を通じてやりたいことが一貫しているというか、やりたいことしかやってない。「こーゆーのが見たいんだよ!!」という情熱しかない作品。
 3Dで、血が見たい!!おっぱいが見たい!!チンコが見たい!!!
 全部ある!! 全部飛び出す! ついでにゲロも飛び出る!

 だから、要するに、ポルノと同じなんですよね。エロが見たいからエロだけ!!というAVなんですよ。AVに無駄にドラマ性を盛り込んでも需要ないでしょ。ヤッてるとこだけ映ってればいいんですよ。
 前に誰かが言ってたんだけど、恋愛映画とかも同じなんですよ。AVと一緒。超カッコイイ男or美人となんかイイ感じな出会いを経て付き合いたい!!っていう願望を凝縮しただけですから。作品性とかはどうでもいいんですよ。いかにラスト、涙を絞る取るか、って一点にこだわってるだけだから。そこに関係ない映画としての質なんてのは必要ないんです。目的の内容が違うだけで姿勢としてはAVと一緒。客から搾り取る液体が涙なだけです。
 まぁ、そういうジャンルのはっきりした映画というのがジャンル映画というワケで。○○映画、という○○の部分に入る要素をいかに詰め込むかが勝負ですから。その点において、『ピラニア3D』は究極的なクオリティーです。

 いかに人が死ぬか、何人死ぬか、どうやって死ぬか、って映画のくせに意外なんだけど、物語は健全なんですよ。というのも、本作で死ぬのはエロに狂ったバカだけですからね。エロに興味ない人、エロを抑えることのできる人は死にません。つまり、ピラニアの食欲VSバカの性欲、という構図ですね。わかりやすい。
 主人公は、前半部分では大分エロまっしぐらでした。ポルノ女優を追っかけてポルノの撮影を手伝っちゃったりして。好きな女の子のことペロペロしたり。正直観ていて「コイツが主人公なの・・・・? ちょっと死んでほしいかも・・・」なんて思ってました。それが、中盤、妹たちに出会うんですね。守るべき人に出会って、理性を取り戻す。ここで主人公はエロを絶つ。こっからドンドン男らしくなりますからね。エロを絶つと男らしくなるとは皮肉なもんです。

 本作は、子供の使い方がうまい。
 映画冒頭にピラニアが登場し、最初の被害者。その後、しばらくフリの部分で、血のないパートが長いんですね。そこから一転、血、血、血の大虐殺。
 ぶっちゃけ血のないパートが退屈じゃないですか。ハラハラもしないし。興奮もない。その血のないパートを子供が支えてるんですね。映画の初めに湖でバカやってる学生たちが紹介されて、「この人たちが殺されますよ〜」とフリがある一方、子供たちは全然バカやらない。言うことは聞かないものの、かわいらしい子供。観客としては、当然死んでほしくない。前述の通り、主人公はエロバカで前半部では死んでも構わないような人なので、唯一の「死んでほしくない」キャラ。なので当然、危機に陥ります。ここのハラハラするおかげで、無血パートも楽しめるんですよ。血のないトコが一番ハラハラするし、その無血パートのおかげで出血パートのカタルシスが倍増する。ここらへんの構造はうまいです。B級映画だから、ジャンル映画だから、っていうのは関係なく脚本の妙です。

 この無血パートのうまいトコとしては、映画内の子供たちは怖がらない、という点。バカが死ぬトコが見たくて映画館に足を運んでる観客としては、子供が危ない目にあって怖がってる姿は見たくないんですよ。
 そこで、映画冒頭の殺人が活きてくる。映画が始まると同時に復活した古代ピラニアに1人のオッサンが殺される。喰われっぷりがそれはもう壮絶で、少し神々しくすら感じるくらい。このシーンによって「湖にはピラニアがいる」「湖入ったら喰われる」というルールが提示されるんですね。
 無血パートのハラハラを支えてるのがこのルールでして。やたらと、湖に入るシーンが描かれる。主人公が水に入るシーンがあって、少しだけドキドキする。が、ここではまだピラニアがいるかはわからない。そして、子供が出てきて、湖に足を入れる。ここで、カメラは水中に移りまして、ピラニア目線の映像が入る。ピラニアの存在が提示され、子供の危機が絶対的なことを知らされる。ここでサスペンスがピークに達するワケです。
 しかし、当の子供は、映画冒頭の殺人シーンも水中の映像も知るワケないから、怖がらない。ここがホントうまいですね。感服です。
 そして、無血サスペンスが盛り上がった後、子供たちがセーフゾーンに避難すると、ついに出血パートになだれ込む。怒濤の大虐殺が始まります。サスペンスで溜めに溜めたハラハラが一気に爆発する。けれど殺されるのはバカたち。後腐れなく、清々しく出血パートが楽しめます。

 あと、好きなシーンとしては、

  • ポルノ監督の死に際 「ぬ・・・濡れTシャツ・・・・・見たかっ・・・・た・・・・・・」

 生涯最後のセリフが「うぇっとてぃーしゃつ」ですからね。男らしすぎます。

  • ポルノ監督のチンコの大映

 喰いちぎられたチンコが画面に映される。そして、それをピラニアがパクッて食べて、オエッて吐き出す。すると、肉片と化した元チンコ。チンコのビフォーアフター!!
 ていうか、あのチンコにはモザイク入れなくていいんだね。R-15だっていうのに素晴らしいな。しかし、チンコの数で『ハングオーバー2』に負けてしまったのが惜しいですな。

  • 濡れTシャツコンテスト司会のイーライ ロス

 もうね、「楽しそう」感がやんごとない。生き生きとしてるね。アレが演技だとしたら天才だよ。多分、演技じゃなくて地なんだろうね。
 濡れTシャツコンテストに関しては、アイディア自体は素晴らしいと思うんだけど、参加してるオネーチャンがみんなすぐに濡れたTシャツ脱いでおっぱいポロンしちゃうのがダメだと思うんだ。濡れTシャツ関係なくなっちゃったよ。アメリカ人は雑だなぁ。

  • ボートのスクリューで無双乱舞

 ピラニアたちに一矢報いる瞬間。ちゃんとスクリューを使う前に画面に向けてスクリーンから飛び出させるあたりが素晴らしいです。あれ、わざわざ水に入ってやらなくてもいいのにね。

  • ポルノ女優2人の死に様

 パラセーリングを楽しんでたポルノ女優が上昇すると、ピラニアに喰いちぎられて下半身がなあぁぁーーーいっ!!っていうのと、水面ギリギリで綱渡りをしたら自慢のロングヘアーが仇となって・・・・・・・ってヤツ。死に方が単調にならないように見せ方に工夫を惜しまない、という姿勢は素晴らしいです。
 ただ、ポルノ女優の片方はイイ人っぽかったから死ななくてもよかったんじゃないかなぁ、とか思ってしまった。


 と、サイコーでしたね。劇場から出た時の清々しさ、という意味では今年ナンバーワンの映画でした。スカッとするとはまさにこのことです。
 85点。