北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『モンスター上司』の感想


ジェニファー アニストン無双


 したまちコメディ映画祭in台東に行ってきましたよ。今年、アメリカでスマッシュヒットになった本作とはいえ、コメディー映画ということで、日本公開は望み薄・・・・・かと思ってたら日本公開が決まり・・・・・・・・かと思ったらしたコメのおかげで公開から1ヶ月も早く観れるというね。いやぁーありがたい。超楽しかったです。

 上映前のトークコーナーで、本作の邦題の最終候補が「くたばれ上司」だったと言っていました。まぁ、どっちでもいいんじゃね?
 「モンスター」だと「モンスターペアレント」を意識した造語っぽくて上司を強調、「くたばれ」だと主人公たちのストレスを強調って感じですかね。
 どっちでもいいと思います。無理して原題通り「ホリブルボス」ってしても、日本語的に語呂があんまよくないしね。

 一応公開前なんで、細かいネタバレは避けるようにします。
 ただ、こんなの読まなくていいから、公開されたら劇場に向かわれるのがオススメですよ。マジでおもしろいんで。

 あらすじ
「俺の上司がサイテーでさぁ」
「俺んとこも酷くてよ」
「うちの上司も負けてないぜ」
「殺す他ないかもな(笑)」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・殺すか」
「えっ、本気・・・・?」

 本作の原題は『Horrible Bosses』で「酷い上司」という意味。「Bosses」なので複数。主人公3人組にそれぞれモンスター級のトンデモ上司がいる。
 このタイトルロール3人が本作最大の魅力。

 1人目。コリン ファレル演じるバカハラ上司。早死にした社長の息子。ビールにクスリにオンナ。産業廃棄物は垂れ流し。見た目の悪いデブはクビ。
 ハゲにビールっ腹のオッサンが女をはべらしてる、というコリン ファレルの未来の姿としか思えないキャラクター。ルックスがすべてを超越する説得力を持っている。
 劇中、このキャラの自室が描かれるんだけど。すげぇおもしろい。バカ丸出し。バカはみんなカンフーが好きなんですね。部屋にかかってる、とあるポスターがおもしろすぎました。アレ欲しい。

 2人目。ケヴィン スペイシー演じるパワハラ上司。アメリカの企業では、転勤する際、元の上司の意見を大きな影響を持つので、当然上司が調子に乗る。
 このサイテーな上司をケヴィン スペイシーが、ってイメージ通りすぎて怖い。この手の悪役がハマりすぎ。しかも、この後、悪役としてステップアップしていって、どんどんケヴィン スペイシーの魅力が爆発していく。

 3人目。本作で間違いなく一番おいしい役。ジェニファー アニストン演じるセクハラ上司。ジェニファー アニストンですよ。女性の憧れる女性の代表格であり、ブラピの前妻。アンジェリーナ ジョリーにブラピを寝取られた人。そんなジェニファー アニストンが、セックス狂いのクソビッチちゃんを演じてる、というだけで笑いが止まりません。しかも、幸せいっぱいの新婚さんである部下にセックスを迫ろうとしてる。今度のジェニファーは寝取りにいくぜ!
 麻酔をかけてヤッちゃったり、麻酔で寝てる部下の嫁の上でセックスを迫ったり、がんばってるよ。サイコーでした。ジェニファー アニストンが下ネタに走れば劇場が笑いに包まれる。最強キャラと言う他ない。裸に白衣はエロいっすね。他にも、アイスキャンディーなめたり、バナナ食べたり、ホットドッグ食べたり、出る度に、この映画のすべてをかっさらう。
 と、劇中では、クソビッチちゃんなジェニファー アニストンなんだけど、エンドクレジットで流れるNGシーンで、とあるアイテムを使いこなせずあたふたする姿には今年屈指の萌えを感じました。劇中では一番おいしい役をやり、最終的にジェニファー アニストン本人のイメージまで上げてしまう・・・・・・・・・・・・・・・・・・怖い子!!

 そんなモンスター上司たちの殺害を依頼する「前科のある男」というのを演じるのが、ジェイミー フォックス。殺人を扱うプロフェッショナルである、彼の名前というのが、「マザーファッカー ジョーンズ」。当然偽名です。『ミートザペアレンツ』シリーズのゲイロード フォッカー級に酷い名前ですね。
 この名前のおかげで普通の会話をしていても、語尾に「マザーファッカー」と付いてしまい、すべてが悪口にしか聞こえない(笑)

 と、脇を固めるキャスト陣のハマりっぷりが凄まじい本作なんだけど、魅力はそれだけじゃなくて。脚本がしっかりしてるんですね。コメディー映画ながら、先の見えない物語の上、途中で起こるとある事件。ココは観ててフツーに「えっ!!」ってなりましたよ。が、その一瞬後に笑えてしまうというのが不思議。
 脚本の妙でいうと、物語の重要な転換部にはすべてちゃんとした理屈が用意されていて。それ用の伏線がしっかり張られてるんですよ。しかも、その伏線は一見ただのギャグにしか見えず、伏線として作用することによってそのギャグの笑いがぶり返す、というね。DNAのくだりは観てて大爆笑でした。
 また、その場しのぎで登場したと思われるギャグキャラも物語の超重要部に再登場する、という周到さ。モンスター上司に一泡吹かせる痛快さと同時に、忘れた頃においしい再登場をするギャグキャラに笑わされる。伏線を回収した瞬間、物語的なカタルシスと同時に爆笑が起きる、という贅沢すぎる体験でした。

 上映前のトークコーナーで、「最近のコメディー映画ではプリウスの活躍がスゴイ」と言われていたのだけど、観たらビックリしましたよ。プリウスが実においしい使われ方をしてる。『アザーガイズ』にもプリウスは出てきて、その時は、「燃費はいいけど、あんなの男の乗る車じゃねぇ」みたいな扱いだったんだけど、本作では、プリウスのイメージアップにしかならない、というおいしい使われ方。あれでトヨタから金もらってないなら、請求した方がいいよ。

 あと、カメオ主演として某アメコミヒーローが「水仕事」(殺しの隠語)のプロとして登場します。超カッコイイ姿にほれぼれさせた後、爆笑かっさらっいます。ああいうカメオ出演はホントおいしいよなぁ。


 観たのが、コメディー映画祭ということもあり、会場では笑い声がバンバン沸き上がる素晴らしい環境でした。やっぱコメディー映画はああいう状況で観るのが一番ですね。ビデオスルーにするのはよくないよ。劇場で観たいもんです。
 本作は、コメディー映画としては異例のスピード公開なんですが、それもわかります。アメリカ人ウケとか日本人ウケはあんま関係ないですからね、本作の魅力は。下ネタを見ると脊髄反射で拒絶反応起こす、とかでない限り、かなり万人向けな作品になっていると思いますよ。日本でもヒットすることをお祈り致しております。
 90点。

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