北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『グリーン・ランタン』の感想


3Dで観たのだけど・・・・・・・・・微妙だったかな


 アメコミヒーロー映画。『スパイダーマン』『X-MEN』『アイアンマン』でお馴染みのマーベル・・・・・・・・ではなく、DCの方。『スーパーマン』や『バットマン』の親戚ですね。
 マーベルのシネマティックユニバース、みたいな超壮大な計画はまだないので、本作単体で楽しめます。

 前評判は最悪に近かったんですが、結構おもしろかったです。単純、バカ路線のヒーロー映画っていうのは好きだし、本作でしか見たことがないようなおもしろアクションもあった。まぁ、満足です。深いこと考えたりせずに、「楽しいぜー!」って感じ。

 あらすじ
主人公は敏腕パイロット
幼なじみは美人、金持ち、パイロット
ある日、墜落した宇宙人に出会って超能力を託される
宇宙人(悪)の細胞に触れて化け物になる博士、宇宙の大悪党が出てきて、戦います

 DCコミックの映画っていうと、『ダークナイト』とか『ウォッチメン』とか、硬派な印象がありますけど、本作はトコトン軟派。マーベルの『アイアンマン』とかに通じるのうてんき、お気楽ヒーロー路線。

 象徴的なのが、主人公が初登場するシーン。
 目覚まし時計に起こされる主人公。隣には美女が寝てるんだけど、この人はヒロインじゃないんですよね。行きずりの女。
 この時点で『スパイダーマン』みたいな感情移入は不可能ですね。行きずりの女を抱く、というのはまさに『アイアンマン』。
 ただ、『アイアンマン』はプライベートでは完璧超人だったのに対し、本作の主人公は一応、ダメ男なんだよね。パイロットとしての腕は一流なんだけど、世渡りがヘタで、職場を転々としている。ダメ男が地球の危機に一念発起し、「今までは全部ダメだったけど、今回だけはやってやる!!」ってなるんだけど、冒頭に行きずりの女抱いてるから、なんだかなぁ〜って感じ。
 この行きずりの女に対して、物語でなんのフォローがないのもマズイんじゃね?とか思ったりしました。

 監督がマーティン キャンベル。007のリブート映画『カジノロワイヤル』は心の1本と言いたくなる程好きなのだけど。その理由の大きな要因としてヒロインの魅力がありまして。ヴェスパーが超絶かわいいんですよね。映画史上屈指の名ヒロインだと思っているくらいです。
 だから、本作でも結構ヒロインに期待を寄せていました。演じるのは、ブレイク ライヴリーという若手注目株の美人女優。レオナルド ディカプリオの現在の恋人として有名ですね。

 本作のヒロインは主人公の幼なじみ。社長の娘で、次期社長。それでいてパイロットとしても一流、というスーパーウーマン。男に助けられるだけのヒロインなんて時代じゃないわ!みたいなことなんですかね。
 たしかに、とあるシーンでピンチに陥った主人公のことを助けますね。「安全な場所に隠れてろ」と言われたのを無視して助けますね。たしかに、このシーンは燃えます。助ける方法もなかなか熱いです。
 なんだけど、パイロットなんだから、戦闘機に乗るくらいはしてほしいですよね? 絶対乗ると思いました。冒頭に、主人公とヒロインがタッグを組んで無人戦闘機と戦うんですが、ここで主人公はヒロインを囮として使うんですね。それをヒロインにこっぴどっく怒られる。・・・・となったら、ラストバトルでこの再現をしてほしいじゃないですか。ヒロインを再び囮に使うも今度は救う、でもいいし、今度は主人公が囮になる、だっていいじゃないですか。

 悪役。本作の悪役は2人いて、パララックスという宇宙怪人。怪人と言うのがはばかれるほどにデカイ。
 そしてもう1人、地球でパララックスの細胞に触れてしまい、怪人化した博士。コイツをピーター サースガードが演じてるんですが。まー胡散臭い。アインシュタイン風の髪型に、「絶対に悪いことを考えてる」顔。ここまで胡散臭かったら『17歳の肖像』のキャリー マリガンもさすがに騙されなかったでしょう。
 この圧倒的な胡散臭さはいいんですよ。本作のノリとよく合っていて魅力になってると思います。が、本編が進むと明らかになる衝撃的な事実。コイツ、主人公と幼なじみなんですね。ライアン レイノルズ、ブレイク ライヴリーと、ですよ。いやいやいや、無理あるっしょ。いくらなんでも、でしょう。そんで、「俺は彼女(ヒロイン)が好きだったんだ!」なんて言われても、「・・・・年下好き?」なんて思ってしまいました。見た目の年齢が違いすぎて。

 そんで、この悪役は父親の存在が心を病むキッカケになっていて。これが主人公との対比になってるんですよ。
 幼い頃に父を亡くしそれがトラウマになっている主人公、エリート思考Lv.100の父親に育てられながらも落ちこぼれな悪役。まぁ、父親って生きてても死んでも迷惑だよね、って感じでおもしろいんです。
 また、イケメンな主人公はカッコイイ超能力を得るのに対し、ブサイクな悪役は力は得るもののドンドン人間離れした醜悪な姿に変わっていく。
 ちょっと哀れすぎて、同情を禁じ得ないんですね。極めつけに、主人公が悪役と退治した時、「俺みたいになれ」って言うんですね。人にバカにされ続けた人生のブサイクの悪役がそんなこと言われるんですよ。イケメンさんがブサイクに対してその言葉はないでしょう。クソムカつきます。

 んで、こんだけ2人を対比的に描いておきながら、コイツ、メインの悪役じゃないんですよね。ここが大問題。
 ラストのバトルが始まると、コイツは早々に退散しちゃうんですよね(というか死ぬ)。主人公との表裏一体な存在じゃなかったのかよ。その後すぐに超強くて超デカイの出てきちゃったよ。

 と、かなり散々な印象が強い本作なんだけど。1つ、超楽しいシーンがある。
 主人公が得る超能力は、「想像したものを具現化する」というもの。岩石が落ちてきて危な〜い!ってなったら巨大なバネを出してビヨヨ〜ン、みたいなそんなノリ。
 これが矢継ぎ早に高速で行われると、超楽しいんですね。特に、同じ超能力を持つグリーンランタン同士の戦いが実に秀逸。
 この能力って実にマンガ的だと思うんですよ。マンガというか絵。マンガって絵を描くだけで、その世界に自在にモノを具現化できるじゃないですか。グリーンランタンの能力とはまさにそれ。マンガとの相性が良すぎる能力と言える。
 それを実写映画で実現してしまっている、ってのがスゴイですね。まぁ、CGだから絵描いてるのと同じなんだけど。マンガならではの能力を実写の人間が操ってる様は、感動に値します。

 あと、思ったこと。

  • 主人公のドミノマスクの匿名性が皆無。「あれ、お前だろ。バレバレだよ」とか、「幼なじみなんだから、あなたのホホ骨を見ればわかるわよ」とか、作品のフィクションラインが揺らぐ危うい瞬間とはいえ、爆笑でした。
  • 最初と最後に主人公が使う「飛行限界まで飛び上がり、相手の自滅を誘う」 という戦術って『アイアンマン』であったよね? 前半に使って、それをラストバトルで伏線回収する、ってのが完全に一致していたから、ちょっとヘンな感じがした。
  • 主人公の師匠のようなキャラが、「グリーンランタンに選ばれることは最高の栄誉だが、同時に大いなる責任が伴う」って言ってたけど、『スパイダーマン』の「大いなる力には大いなる責任が伴う」ってヤツじゃねぇの? 「大いなる責任」って言葉を字幕で使われると、連想してしまうのだけど。
  • 主人公のスーパーパワーの源であるリングは充電式、というのがおもしろかった。けど、それだったら、ラストバトルで「カラータイマーが鳴り出しちゃった!」ってサスペンスがないとダメじゃね?
  • グリーンランタンの善の力(想像力)=緑色、悪役の悪の力(負の感情)=黄色、という風にわかりやすく対比したのはやはりアメコミ的でおもしろかったです。そして、最終局面で太陽(赤?白?)の前で緑と黄が対決する、という構図もよかったです。燃えた。


 前評判が散々だったんで、期待はしてませんでした。それでもアメコミヒーロー映画は好きなんで観たんですが、おもしろかったですよ。
 たしかに、『アイアンマン』『インクレディブル ハルク』『ソー』という一連の映画に比べると頭1つ届かない、という感じでしたが、それでも十分楽しめました。特に、グリーンランタン同士のバトルは年間を通じてもトップレベルに見応えがありました。
 最近のヒーロー映画はどれもシリーズ化されちゃっててめんどくせー、というのがあったんですが、その点本作は今のところ単体の映画として楽しめるので、そこらへんもオススメですかね。(まぁ、今後間違いなくシリーズを考えているんですが)
 70点。


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