北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『ランゴ』の感想


 前回、2012年のアカデミー賞の長編アニメの予想をしたんですが、受賞すると予想したのが今回の『ランゴ』。
 ゴア ヴァービンスキー監督、主演ジョニー デップということで『パイレーツオブカリビアン』初期3作のコンビですね。来年だかに『ローン レンジャー』が控えてます。製作中止とか言われてたけど、再開の目処が付いたようで、なによりですね。この次作『ローン レンジャー』も『ランゴ』と同じ西部劇。監督は西部劇が大好きなようです。

 あらすじ
ペットのカメレオンがひょんなことから動物たちの暮らす町に訪れる
「実は俺、前の町ではヒーローだったんだよねぇ〜(嘘)」
「水不足で困ってるんです! 助けて下さい!!」
「えっ・・・・・・」

 本作はCGアニメを担当してるのはILMジョージ ルーカスのトコですね。元を辿ればピクサーの母体でもあるんですが、それが本格的にCGアニメを始めたワケです。本作の成功で、今後も作るようですよ。
 本作は、俳優に演技をさせ、それをデータにアニメにしたそうです。モーションキャプチャーの派生ですね。なので、ランゴは限りなくジョニデそのものに近い。アニメ化することによって、ジョニデらしさというのが凝縮された感すらあります。ファンは必見なんじゃないでしょうか(ワタクシは別に・・・)。

 CGアニメといえば、ピクサー、そしてドリームワークスアニメの二大巨塔体勢だと思うんですけど。ILMはどちらでもない「第三勢力」(←この言い方も随分と使い古されてる)。
 そんな挑戦者としての気概を感じたのが、イントロ。映画が始まると語り部となるフクロウが出てきて、「まぁ、ポップコーンでも食べながら気楽に見てくれよ」 と言ってくる。いきなりメタ視点ぶっこんでくるこの感じ、血気盛んでイイですね。
 ・・・ただ、隣に座ってたポップコーン持ち込みのオッサンはすげぇ恥ずかしそうでした。

 CGアニメでカメレオンというと、2011年は『ラプンツェル』のパスカルがいますね。色がコロコロ変わるというディズニーアニメらしいキャラですげぇかわいかったです。ただパスカルは脇役で、マスコットに過ぎない。

 本作『ランゴ』におけるカメレオンというのは、俳優のメタファーだそうです。何色にでも染まることができるけど自分がない、そんな意味らしいですよ。聞きかじりだけど。
 本作の主人公はランゴって名前なんだけど、コレは本名じゃない。本名は劇中で明らかにされない。「ランゴ」って名乗るキッカケもほとんど『名探偵コナン』と同じ。
 そんな主人公は、ペット時代1人きりでひたすらお芝居ごっこをして過ごしてきた。イントロのフクロウの後に、1人芝居する主人公が映されるんだけど、ここらへんもメタ視点ですね。ペットを入れるケースに顔をぶつける様はスクリーンに閉じ込められてるようでした。このペット時代の「お芝居ごっこ」が高じて、ヒーローを演じることになるワケですね。

 そんな俳優のメタファーであるカメレオンを俳優のジョニデが「演じて」いる。モーションキャプチャーだからね。
 前半はジョニデのコメディー演技がひたすら炸裂するんだけど、個人的にアレあんま好きじゃないんだよね。おもしろいけど、すぐ飽きちゃう。だから映画も前半は結構飽きました。旅に出るトコまでは睡魔に襲われたり。

 旅に出てからはハデなシーンがかなり続く。このアクションパートがすげぇおもしろいん。谷間でのペットボトル争奪戦は特にすごかった。動物アニメならではのアクションが詰め込まれてたと思います。
 まぁ、ゴア ヴァービンスキー監督は『パイレーツオブカリビアン』シリーズで人外のアクションはたくさん実写で撮ってるんだけどね。そう考えると、本作は全員デイヴィー ジョーンズって感じですかね。

 動物アニメとして、もう1つお気に入りがありまして。殺し屋のガラガラヘビが出てくるんだけど、コイツが好きすぎる。死神ジェイク。デイヴィー ジョーンズことビル ナイが演じてるんだけど、監督は彼に人間を演じさせる気がないようですね。今回は人型ですらなかったからね。
 ともかくこのガラガラヘビがサイコーなんですよ。尻尾にガトリング仕込んでて、ガトリングが回る音がガラガラヘビのガラガラ音とマッチしてる。登場シーンはしびれました。
 『パイレーツオブカリビアン』でいうならば、クラーケン級の「コイツにゃ勝てねぇ」って感じなんだけど、ラスト主人公は一騎打ちするんだよね。西部劇のタイマンは燃えるね。この対決シーンもかなりよかった。
 まぁ、この戦いでのとあるピンチの切り抜け方があまり好きじゃないんだけど。それも「1発の銃弾」という伏線の回収だから許容範囲内。

 キャラクターでいうならば、気になるのがもう1人。劇中、主人公が悟りを開くキッカケとして登場する「西部の精霊」。コイツ、見た目が完全にクリント イーストウッドなんだよね。フィクションライン崩壊するようなキャラデザで笑った。
 西部劇といえば、クリント イーストウッドですよね、はいよくわかります。この「西部の精霊」が乗ってる車にはオスカー像が3つ積んであって、小ネタとして楽しい。だけど、イーストウッドが西部劇でオスカー取ったのって3つもあったっけ? 数はテキトー? 見間違い?

 超関係ないけど、「clint eastwood」を並べ変えると「old west action」、「古い(懐かしい)西部劇」になるらしいですね。ウィキペに書いてあった。おもしれー。


 すげぇおもしろかったです。クオリティーの高いアニメで、映像、世界観、キャラクターを愛でるだけで十分に楽しめたんだけど、問題が。
 ワタクシ、西部劇の知識が全然ないんですね。ゴア ヴァービンスキー監督は西部劇の大ファンで、西部劇愛のすべてをこの作品に詰め込んだようでして、いろんな作品へのオマージュが散りばめられてるようです。それが、1つもわからない。雑誌とかでインタビューを読んでると悔しくなっちゃって。
 それと、西部劇慣れしてないから、西部劇ならではの文法とかノリってのがいまいちピンとこなかったってのもありますね。ノリ切れなかったのが残念、というか悔しい。
 まぁ、とはいえ、物語もキャラクターも好きだから、大満足の映画だったのはたしかなんですけどね。マジで来年のオスカー取るんじゃないですかね。あとは『タンタン』次第。予告を観る限り、モーションキャプチャーのアニメよして『ランゴ』のが好きかなぁ。『タンタン』はなんか不自然に感じるトコがある。
 70点。

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