北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

映画『ハッピー フィート2 踊るペンギンレスキュー隊』の感想

 「まーたウンコみてぇな副題つけやがって、ファックが」 とか思ってたんですが、観終わると、「意外と的を射てるじゃないの・・・・・」 と感心しました。踊りとレスキューを結びつける理屈が見事でした。

 オスカー長編アニメ賞を取った『ハッピーフィート』の続編。その年のライバル作は『カーズ』。あのピクサーから、あのジョン ラセターからオスカー像をブン取ったという奇跡。互いの続編が同年公開ということで、今度のアカデミー賞でリベンジマッチか?と期待したいトコですが、おそらくどちらもノミネートすら危ういんじゃないでしょうか。・・・・なんてことを以前記事にしました。『ランゴ』vs『タンタン』になると思います。もしくは非アメリカ作品。白黒のヤツが『シンシティ』みたいで超おもしろそうです。
 そんな前作『ハッピーフィート』がワタクシは大好きでして。ピクサー、ドリームワークスアニメという二大巨頭がいる中、第三勢力として過去サイコーの出来でいて、ピクサーもDWアニメもやっていないCGアニメでしか出来ない唯一無二な作品だと思っております。具体的に言うと、デフォルメなしの動物アニメという点ですね。そして、デフォルメなしだからこそなし得た「人間が実写で出てくる」というウルトラC(ネタバレすいません)。『ハッピーフィート』はもちろん歌やダンスも素晴らしいんですが、この人間描写の巧みさは未だに衝撃的です。

 そんな『ハッピーフィート』の続編なのですが、ヒロインのグロリア役のブリタニー マーフィーが死んでしまったので、グロリア役の声優だけ変更となってます。代役は歌手のP!NK。歌うま女優から歌手というちょっと逃げた感はあるけど、それだけブリタニー マーフィーの存在が大きかったということでしょう。残念でなりません。

 3D字幕にて観ました。

 あらすじ
タップダンサーの前作主人公マンブルの息子エリックはダンスが苦手
そんな中、異常気象によってペンギンの集落が崖に囲まれてしまう
ペンギンが踊ってレスキューします

 デフォルメなしの動物アニメというのが本作の魅力なんだけど、欠点としてキャラの区別がつかないという問題が。ヒロイン役は声優が変わっているので、「どれがグロリア?」 ってなります。まぁ、割と歌声が似てたんですけどね。
 キャラの区別をつけるためだと思うんですが、マンブルの毛が未だに生え替わってない。前作で、マンブルの毛が生え替わってないのは、「まだ大人になってない」という意味があって、前作のラスト、毛が抜けきるという描写があったんですけどねぇ。前作のキャラデザを変える勇気がなかったということですかねぇ。

 キャラデザでいうと新キャラとして、オキアミのウィルとビルというコンビが出てくるんですが、こいつらデフォルメされとるやんけ。すげぇかわいいよ。かわいいけど・・・・・デフォルメはどうなのかなぁ・・・・・前作ファンとしては複雑。
 ただ、キャラクター自体はおもしろくて。この2人、ゲイなんですよね。「子供が欲しいよな」 「男同士じゃ無理だろ」 「養子を取ればいいんだよ」 という会話がなされるので間違いない。ちなみに声はブラピとマット デイモン。『マネーボール』『コンテイジョン』と連続して観ていたのでタイムリーな2人です。ブラピは養子子沢山なので、上の会話はそこらへんも意識してるのかと思います。
 ゲイというキャラクター自体はめずらしくない。ただ、それが動物アニメとなると一気にレア度が上がる。さらに本作のスゴイところとして、ゲイであることを一切ギャグにしてないんですね。ドリームワークスアニメとかだったらギャグにしそうなものを。ディズニーでゲイはあり得ないでしょう。ピクサーだったら、ゲイを匂わすだけで明確には示さないかな。ということで、ゲイであることを前面に出しつつ、それをギャグにしない本作は現行のCGアニメ界において唯一無二であると思います。ここらへんはさすがですね。

 新キャラでいうと、もう1人。スヴェン。空飛ぶペンギン。
 人間に捕まっていた過去を持っているんだけど、この過去が前作とマンブルと同じなんですよね。マンブルとスヴェンは表裏一体の関係で、さらに実はペンギンではないただの鳥というオチがあり、物語的に超重要そうなんだけど、特別な着地をしない。一応、すべてを失ったスヴェンがペンギンたちのために活躍するシーンがあるんだけど、最終的に問題が解決するのはまったく別の手段だったしね。
 劇中、ゾウアザラシが出てきて、「異種なのになぜ助けなればいけないのか」 みたいな話になるんだけど、この「異種なのに」ってテーマがちょっとスヴェンと被ってるよね。
 南極の生き物でない新キャラってのは魅力的でして。別の地域のキャラが今までになかった曲(「マイアヒ」)を歌うってのは本作らしさもあっておもしろいんだけどね。

 新キャラで最重要なのが、マンブルの息子エリック。本作はマンブル&エリックのW主人公なのかな。
 コウテイペンギンは、感情が高まると心の内から歌orダンスが沸き起こるはずなのに、エリックは歌えない踊れない。
 前作の話で恐縮ですが、前作は見事だったんですよ。コウテイペンギンは歌がすべてなのに歌えず、ダンスしか持たなかった主人公がラスト、歌では叶わない困難をダンスで乗り切る、という流れがカンペキすぎて泣いた。そこで、本作。本作ではラスト、マンブルが絶望の淵に立たされた時エリックの中の感情が爆発し・・・・・・・歌う。・・・・・・・・・・う、歌う!? いやいや、フツーじゃん。一応ね、他のペンギンとは歌のジャンルが全然違うっていうオリジナリティーはあるんだけど(オペラかな?)。にしても、少し拍子抜けかなぁ。だとしても、前作のダンスみたいな 「オペラだからこそ!」みたいな理屈が欲しかったです。
 前半、歌もダンスもダメなエリックは「空が飛びたい」って言ってたから、そっち方面で頑張ると思ってんだが・・・。「飛んでるんじゃない、落ちてるだけだ。カッコつけてな・・・・・・To infinity and beyond」 的な展開を期待しちゃったよ。これだと、崖に囲まれて立ち往生になった困難とピッタリだし。

 新キャラでなく、前作ファンへのサービスとして、人間が前半に早々と出てきます。相変わらずバリバリの実写で笑えます。
 そして、前作人間と交渉をしたのはランブルですが、本作ではインチキ教祖様ラブレイス。ランブルはタップダンスなんだけど、ラブレイスはエアギター。これは笑ったね。たしかにタップダンスよりも人間ホイホイとして機能しそう。
 ラブレイスと声優が同じなラモン。ロビン ウィリアムズ(山寺宏一)なんですが。子供よりも子供っぽいラモンが子守をするトコとかよかったですね。そんなラモン、本作ではなんとカノジョが出来る。ラテン系のツンデレちゃん。この2人のくだりが実に楽しい。ツンパートでは振り回されつつも尽くすラモンがかわいらしく、デレが始まると大感動。「ラモン、幸せになれよ・・・・・」と泣きそうになりました。
 ラモンの仲間たちのアミーゴス。こちらはちょくちょく顔を出す程度なんだけど。それでも、コウテイペンギン界のリーダー的な立場にいるマンブルだけど、アミーゴスと会うと子供の顔に戻る描写はよかったですね。前作のラスト、大人になったマンブルだけど「バカやってた頃のことも忘れてないぜ」的な感じで。

 逆に、前作にあったのになくなってしまったコト。本作では「ソングオブハート(心の歌)」って言葉が一切出なかったと思うんですが、なんでですかね? 前作の超重要事項なのに。
 言葉では語られないけど、おそらくエリックが歌ったアレはおそらく彼のソングオブハートなんだろうなぁ、と思います。
 続編なんだからさ、前作と同じ曲もやってほしいじゃないですか。グロリアのソングオブハート「ブギーワンダーランド」を歌ってほしいんですよ。前作のあのシーンはミュージカル的な高揚と物語的カタルシスが合わさった名シーンだったので。1匹のペンギンのソングオブハートは変わらないはずなんですし。ここぞの場面でグロリアには「ブギーワンダーランド」を歌ってほしかったですな。体力が切れて、タップできないマンブルの代わりにエリックが踊り出す・・・・なんてのもいいじゃないですか。(エリックはダンスじゃなくて歌なんだけど)

 それと、前作の鬱展開の1つ、「ヒロインが別のオスと結婚し、子供たくさん作ってた!」ってヤツについて言及しなかったのは残念ですね。本作では、エリックの男友達としてシーモアの息子が出てくるんだけど、あのガキの母親ってグロリアじゃねぇの? それともシーモアはモテそうだから別のメスとの子供かな? どちらにしても、グロリアとシーモアの間の子供について言及しなかったのは逃げなんじゃないですかね。前作のスーパー鬱ポイントなので、それをなかったことにしてしまうのは少々不健全かと思います。

(追記。↑の段落はとんでもない勘違いの下書いてしまいました。コメント欄にて間違いを教えていただきました。さなさん本当にありがとうございました。大変お恥ずかしいのですが、戒めとして消さずに取っときます。1人羞恥プレイです。)

 結論から言うと、前作と比べるとイマイチ、冷静に考えれば十分すぎるほどおもしろい、ということで。物語としては、行き当たりばったりで、後出しジャンケン的に困難が出てきたし、最終的には「最初からそれやれよ」とも思ったんですが。また、前作の大ファンでありすぎるからこそのダメポイントもありました。
 ただ、それを差し引きしても傑作だと思いますよ。なんといってもミュージカルシーンの多幸感ったらないですからね。増してや本作は3Dですので、必見です。3Dでいえば他にも、オキアミの群れのシーンは圧巻でしたな。
 それと、本作は、自然災害で被害を受けた人を救う話なんですよ。なんでもかんでも震災と関連づけるのは好きじゃないんですが、どうしても連想してしまいましたね。おかげで必要以上に感情移入してしまし、結果大感動、っていう。
 75点。