北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

テレビアニメ『ベン・トー』の感想

 年末のMXでの再放送で観ました。観たキッカケとしては友人がツイッターでホメてたというのもあるんですが、なによりそのタイトルですよ。映画『ベン ハー』でしょ? パロディーでしょ? しかも内容は半額弁当を巡ってバトルを繰り広げるっていうじゃないですか。バカバカらしい設定ながら『ベン ハー』的なアクションがあるんでしょ? 超おもしろそうじゃないですぁー!!!

 結果。
 全然『ベン ハー』じゃねええええぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーっっ!!!!!!!!!!!!

 マジすか・・・・・・・・。このタイトルのくせにパロディーないんですか。親友が思想に違いから因縁のライバルになり、レースバトルを繰り広げ、母と妹が業病になり、最終的にはイエス様バンザイ!!的な内容じゃないのぉぉーっ!?
 半分ウソです。ただ、レースシーンくらいはあると思ったよ。タイトルに騙されたな・・・・・・・『よつばと!』が四つ巴のバトルマンガじゃなかった時に匹敵するタイトル詐欺a.k.a.ただの勘違い。

 ということで、よくわからないまま観ました。正直数話観た段階で「『ベン ハー』要素はねぇな・・・・」とは思ってたんですが、途中離脱するのも気持ち悪かったので、全話観ました。おもしろかったトコもあったけど、全体的に好きとは言えない感じでした。

 観終わった後、例の友人に「まぁ萌えアニメ」と一蹴され、驚愕した次第であります。
 萌えアニメ的な要素はまったく予期してなかったので意外な展開が多かったです。安易な下ネタギャグがあったのは結構ノイズだったかな。

 んで、本題。ある程度順を追って感想書きます。(整理するのめんどい)
 当然原作等は未読ですよ。


 1話は半額弁当買おうとしたら気絶したこと、氷結の魔女とは?という謎で引っ張る。主人公は誰にやられたのか?というフーダニット的でありますね。
 主人公はフルボッコにされて倒れてるから氷結の魔女の足しか見えない。よってヒロインの足のアップをフェティッシュに映す。そして、氷結の魔女の正体がわかり、バトル時の姿を目撃する。バトル時に足技が多いってのがおもしろいですね。バトルモノで戦闘スタイルでキャラの個性を出すのは好きです。そして、足のアップが布石だったというのが実にうまい。

 弁当争奪戦という一見トンデモ設定。トンデモ設定に対してキャラたちが大マジメに取り組む姿がおかしいです。設定だけ見たら『世にも奇妙な物語』のコメディー枠で採用されそうなレベルですよ。それを12話もの長さで語ったのにはアッパレです。
 そして、弁当争奪戦というトンデモ設定でありながら、実は弱肉強食というものすごく原始的な争いを今風に置き換えただけなんですよね。現に劇中では「狼」とか動物で例えられることが多いし。こういうのは実におもしろかったですよ。奇抜な設定ながら実は原始的っていう。

 バトルモノでおもしろいのって主人公が強くなる成長の過程だと思うんですけど、本作の主人公は2話でいきなり勝利する。しかも修行とか一切なく。ちょっとドン引き。ドン引きというか、信用できないです。なんで強くなるのかって一番大事なんじゃないですかね。

 本作の主要キャラの中で箸休め的に出てくるのがメガネ(戦わない方)。オタクで腐女子で、弁当部のことを小説のネタにしているんだけど。この人はおもしろかった。キャラ的に一番よかったかもしれない。ラノベバカで、主人公たちのこともラノベの一環として見ているんだけど、この視点ってメタ的なんですよ。本作の登場人物はみんな厨二病ですから。ぶっちゃけ観てる最中に「厨二禁止w」とか言いたくなることは多いんですよ。けど、その主要キャラたちのことを厨二としてメガネが見ていることで、本作のバランスが保たれてると思いました。
 厨二大好きな人が実際に厨二の世界に飛び込む、っていうのは『ホット ファズ』のニック フロスト的な興奮に近いですよね。夢憧れていたポリスアクション映画の世界に飛び込むっていう。
 また、被害妄想の誇大妄想という残念な性格というのが実は過去のイジメ経験に起因していて・・・・というのもキャラに深みがあってよかったと思いますよ。第一印象がガラッと変わるのは良キャラの条件です。

 そんなメガネに対して明らかに友情以上の感情を有してる生徒会長。ズーレーということですね。完全にビアンちゃん。
 まぁ、基本的にギャグの部分でしか出てこないんだけど、本編に絡まなすぎだよね? いや、弁当のくだりに関わってこないなら別に登場しなくてもよかったような・・・・・・・・・・。ここらへんは原作のある作品はめんどくさいですな。どうせ原作ファンへの目配せとかそんなだろ? 実に無駄でしたね。
 あと、湖の麗人の友人も。まったく必要なかったね。こいつら描く時間あるなら本編をもっと掘り下げた方がいいと思うよ。時間は12話と限られてるんだし。

 そんな湖の麗人。ヒロイン2号。初登場回はOP曲が変わっていて楽しい。
 んで、戦闘が割り箸を使った殺陣でして、これが超楽しい!! 4話にして本作の真骨頂を見た気分。動きにくいドレスのスカートの裾を割り箸で止めて、っていう変身感もサイコーでした。スーパーに置いてあるモノを使って戦うというのは本作の設定を最大に活かしたアイディアで、発明だと思いますよ。とにかく、氷結vs湖の一戦はマジ楽しかった。戦い方に個性がある者同士の戦いって本当に楽しい。眼福眼福。

 まぁ、一方、主人公のバトルが全然魅力的でないという欠点が浮き彫りになるんですけどね。戦い方が没個性なのは主人公だから許すにしても、やはり強くなる理屈が皆無なのが痛い。というかあり得ないわ。『ドラゴンボール』でも読めよ。

 スーパーでのバトル以外だと下ネタorエロの部分が多い。驚くほどに。おそらくは食欲と性欲の対比だとは思われますが。
 エロ、というかお色気シーンは止め絵が多くておもしろくないんですね。展開も無理矢理だし。工夫が足りない。
 一方、下ネタのギャグの方。これは個人的な好みの話になるんだけど、お色気シーンがある作品で下ネタのギャグって相性が悪いと思うんですよ。視覚的なエロがないから下ネタのギャグに笑える、って思うので。まぁ、これは好きずきですけどね。ただ、主人公がボケに回るようなギャグはあまり良くないと思いますよ。ツッコミの役割が出来るのって主人公だけだからね。
 ますます好みの話になりますが、主人公がホットミルクをかぶってしまったのを見たメガネが鼻血ブー、ってギャグはおもしろかったです。定番のネタとはいえ、主人公とメガネのキャラがよく活きたネタだと思います。まぁ、おもしろかった下ネタギャグはこのくらいなので、打率は最悪ですが。

 ギャグ以外で爆笑したのが、モナーク戦。本作で数少ないボス戦なんだけど、こいつが食欲を高めるために3日間断食するんだよね。この断食シーンがほぼ限りなく『あしたのジョー』の力石徹で笑った。蛇口を縛っちゃうトコとかそっくりですね。力石と同じコトやってるはずなのに、本作の映像はあまりにバカバカしい。「バカバカしい設定にマジメに取り込む」という本作の方向性に合致した素晴らしいシーンだったと思います。
 この断食の成果といて、バトル開始直前にスーパー内に腹の虫の音が鳴り響くんだけど。下らなさすぎて爆笑した。誰一人としてツッコまないというのがイイですね。
 この腹の虫演出は、最終回で主人公が再び使うんだけど、これはモナーク戦で学んだってことですよね。本作ではめずらしく主人公の成長に理屈があってよかったです。

 そんなモナークさん。いざ戦ってみたらクソ弱くて笑いが冷めた。強敵演出はうまいのにバトル展開が飛ばしすぎ強そうに見えなかったです。残念だなぁ。主人公、氷結、湖の3人による連携技とか熱い展開があるんだからさ、1人ずつでは勝てない、みたいなフリを用意すればよかったんじゃないでしょうか。
 てかさ、氷結はモナークの部下のリンチで瀕死になったんでしょ。つまりは集団でボコれば勝てるんじゃないの? なにタイマン張ろうとしてんの? 正々堂々と勝ちたかったの? じゃあ、部下にリンチさせるなよ。

 んで、モナークさんが瞬殺されると、3話程ブレイク回が続く。いや、ボス戦後の日常回ってのは好きですよ。ただ、長いよね。その次の双子の紹介用のブレイクだとしてもプールの回には双子ほとんど出ねぇし。
 ブレイク回だとしても、ちゃんとしたバトルシーンは欲しかったですね。バトルがなかったらただの日常アニメになっちゃう。
 ただ、そんな退屈なブレイク回の終わりに主人公の復帰戦を持ってくるのはうまかったです。本編に戻るのと主人公がスーパーに戻るのがかかってる。

 んで、本作のラスボス(?)である双子。ブレイク回に出てきたこともあり悪の化身感は全然なくフツーに仲良くなれそうな感じ。そんな彼女たちがなぜケンカ売ってくるのか?ってのが物語。ちなみに前ボスはダイジェスト的映像で負けてる。モナーク弱すぎるよ・・・・・・・。
 悪人って感じがしない双子だけど、ちょくちょく心の闇が見えるようなシーンがあって興味を引く。過去にトラウマ体験があったんだけど、このトラウマに悩む姿っていうのがレイプ被害者っぽいんだよね。これはおもしろかった。究極のトラウマ体験ということですかね。そして、双子にトラウマを植え付けた裏ボスが登場するんだけど、名前が「ヘラクレス棍棒」ですよ。「棍棒」て!!! 卑猥!! しかもその後に棍棒が「出すぎて叩けない杭は抜くしかない」って例えを言うんだけど、「抜く」ってのがまた卑猥なニュアンスを醸ち出してる(←ここまでくると完全に思い込み)。
 匂わす程度の下ネタ的ニュアンスが見事だったと思います。当然、本作のエロ規制ラインを考えるとレイプなワケがないんですよ。そもそも中学生にレイプとかあったらハードコアすぎて本筋である弁当争奪戦がぼやけちゃうしね。だから、匂わす程度のバランスがうまい。このトラウマ描写があるから、「ただの悪役じゃない」って魅力が生まれたのではないかと。
 問題は、そのトラウマの原因。要するに、双子が強すぎるから、「お前 今日からハブだから」って仲間外れにされちゃったっていう。・・・・・・えっ、ぬるくね? さすがにレイプはねぇよ、とか思ってたけど、これはぬるすぎる。しょーもな!

 そんな双子の戦闘スタイル。カゴ使いで笑った。爆笑した。速すぎて見えない、というフリを散々描いた後の「カゴをバネにする」というトンデモ設定に爆笑しました。超おもしろかったです。双子戦はよかったね。やっぱちゃんとした戦闘があると楽しいね。

 そんな最強すぎる双子にどうやって勝つのか?ってのが最終回の見所なんですけど・・・・・・・・・・・丸々カットとか!!! 描かないとかないわぁ〜。ドン引き。双子との戦いが始まったら、次のシーンでは双子がおにぎり喰ってる(=負け)とか。
 双子戦が一番の見せ場でしょ。どうやって勝つのか教えろよ。ファック。

 最終回の問題はそれだけじゃなくて、裏ボス的な登場を見せた棍棒さんが実力は全然ないという超ガッカリ設定。
 裏ボスは弱い、双子(敵サイド最強)戦は描かない、氷結(味方サイド最強)は病欠・・・・・・・・・・おもんないっ!!!
 試合放棄という奇策に出る棍棒に対して「強者に勝たなきゃ弁当がうまくない」と競技愛を高らかに語る物語を最終回に持ってくるのは見事だと思いますよ。物語はそれでいいから、バトルを描けと。
 マンガ、テレビアニメ、映画、なんでもいいけど、アクション作品のくせに最後の最後を精神論で済ます作品は大嫌いです。最後に一番すごいバトルをやれよと。本作はその典型でしたね。残念すぎる。


 他にも「師匠越えのエピソードが定石だろう」とか思ったりはしたんですよ。主人公vs氷結は見たかったなぁ、とか。
 ただ、とにかく主人公の成長に理屈がないのと、最終回に戦わないっていうのが絶対的に許せませんでした。この2点があるだけで本作のことを好きにはなれない。
 おもしろかったトコは結構大当たりではあったんですけどね、ホント残念。10、11話あたりでオープニング曲の映像だけ変わるのとか超好きですよ。それと、氷結vs湖と対双子戦の2つは弁当アクションとしておもしろいものが見れましたよ。

 ・・・まぁ、所詮は『ベン ハー』のステマでしたね。

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