北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『ヒミズ』の感想


二階堂ふみについてが8割


  2012年の新作映画初めでございます。元日に2度目の『MI4』を観たんだけど、初見では初という意味ね。

 「ヒミズ」。ちゃんと発音できますか? 「ミミズ」のイントネーションですよ。「清水」じゃないですよ。
 有楽町のヒューマントラストシネマで観たのですが。ワタクシの前に並んでいた客「清水」、ワタクシを担当した受付「清水」、もぎり「清水」、館内アナウンス「ミミズ」、というイントネーションでした。「清水」率たけぇっ!!!!

 ちなみに、「ヒミズ」とはモグラのことです。「日見ず」ということらしいです。劇団ひとりの処女小説と同じ感じですかね(←多分違う)。

 本作へのスタンス。原作は未読。未読どころか存在すら知りませんでした。すいませんね。
 園子温作品は今回が初です。園子温バージンでした。バカ高い評判は聞くものの、あまり食指は動かなかったです。
 んで、本作を観た理由なんですけど。二階堂ふみが好きだから。この一点です。『指輪をはめたい』観てドハマリしました。単純に見た目が好きです。

 ということで、全うな楽しみ方からすると大分ズレてると思います。御了承下さい。

 あらすじ
心底ダメな父と母を持つ主人公
主人公のことをストーキングする二階堂ふみ
頑張れ住田!!

 ヴェネツィア映画祭での有名なエピソードとして、上映後客席から「ガンバレスミダ」コールが起こったとか。一応、超ラストのシーンなんだけど、こういうのはネタバレになるんでしょうかね?

 二階堂ふみですよ。正直二階堂ふみしか興味ない。二階堂ふみしか見えない。
 前にも書いたと思うんですが、二階堂ふみの魅力というのは、非日常感だと思います。平常時、無表情になるとホントなに考えてるかわからないような顔になる。この浮き世離れした非日常感、同じ世界の住人とは思えない存在感に引き込まれてしまう。そして、感情が露わになり、笑みがこぼれると宮崎あおい似の笑顔になり、その振り幅により圧倒的な精神破壊力を発揮するワケです。「かわいすぎて生きるのがつらい」状態に陥ります。

 そんな二階堂ふみ。本作のイントロから登場する。
 イントロでは、いきなり東日本大震災後のガレキの映像が流れ、その中で1人詩を朗読する二階堂ふみ。ぐはっ!!!(吐血) とってもイイです。完全にロックされた。
 ここでもやはり非日常感なんですよ。あのガレキの山という信じ難い世界の中、浮き世離れした美少女が1人突っ立ってる、というあり得なさ。ヤバかったですね。映画のイントロとしてもですが、なにより二階堂ふみ映画として素晴らしい導入でした。
 しかし、あの映像を映画館で観ると、ずっしりきますね。テレビで見慣れてしまったはずなのに、新鮮な衝撃、絶望を味わいました。

 『指輪をはめたい』で二階堂ふみにハマり、過去作『ガマの油』を前に観たんですが、『ヒミズ』とそっくりでした。父子の一方が死に、残った一方を二階堂ふみが救済するという物語が。
 二階堂ふみは非日常感が魅力とか言いましたが、『ガマの油』の二階堂ふみはそんなことなくて。むしろ天真爛漫なフツーの女の子役。
 一方、『指輪をはめたい』では、ファンタジックな役でして。ほとんど妖精みたいな役です。二階堂ふみの非日常感が爆発したはまり役だと思います。細かく書くとネタバレになるんですが、『指輪をはめたい』の中で二階堂ふみは成人女性も演じてるんですね。この大人の女性の姿が妖精然とした状態とギャップがありすぎて別人と疑う程でした。
 そこで、本作。本作での二階堂ふみは主人公のことをストーキングするちょっとヤバイ人。ただ、感情に正直な天真爛漫な女の子でして。ここらへんはホント『ガマの油』を彷彿とさせる演技でした。『指輪をはめたい』以降に『ガマの油』演技に戻っていることに驚きました。『指輪をはめたい』時のあの姿は二階堂ふみ自身の肉体的成長ではなく、演技の賜物だったということですね。いや、かわいいだけじゃない二階堂ふみの底力を垣間見ましたよ。
 役の年齢を考えても、撮影順に『ガマの油』では中学生(多分)、『指輪をはめたい』では20代中〜後半(多分)、『かまってちゃん』では高校生、そして『ヒミズ』では中学生ですからね。年齢不詳すぎます。この年齢不詳感が非日常感にも通じていてイイですね。

 本作について。まず、設定ですよ。二階堂ふみが主人公のことをストーキングしてる、・・・・・・ってうらやましすぎんだよバカヤロー!!!!
 とはいえ、本作での二階堂ふみはちょっとヤバイ女の子でして。明らかにちょっとおかしい。劇中「575ゲーム」を勝手に始めて主人公に平手打ちを始めた時は「こ こいつ狂ってやがる・・・・・・」って感じでしたね。まぁ、殴られたいですが。
 そんな天真爛漫さとストーカーとしての狂気という日常と非日常を行ったり来たりしてる本作での役は二階堂ふみの魅力を引き出すのにピッタリだったのだと思います。少なくともワタクシは大満足でした。

 二階堂ふみ以外について少し。窪塚洋介がよかったですね。動きがやたらカッコよかったです。彼の犯罪シーンはもっと見れたら眼福でした。

 それと、夜野が好きですね(役者名と役名ごっちゃ)。主人公のことを慕ってるけど、主人公からはなにも帰ってこない感じがイイ。ぶっちゃけ、二階堂ふみよりも主人公のために頑張ってますよね。単身金貸しの事務所に行くとこは素晴らしかったです。
 ただ、ラストに近づくと夜野の扱いがぞんざいだった気がしますね。少なくとも、「おめぇも自首しろよ!!」と思いました。この人のケリをつけないと主人公のラスト、「頑張れ住田!」の感動が削がれます。

 あっ、主人公について。主人公にはあまりノレなかったですね。演じた染谷くんは存在感も狂気もあってすごかったけど。
 正直「絶望→通り魔」の論理が全然わからなかったです。それと、クズ認定もしていて、父親に依存はまったくしてないのに父親に「お前なんか死んでればよかったんだよ」と言われてあそこまでショックを受けるのもちょっとわからなかったような。それと、マジメにボート屋やればかなり繁盛するんだから「地道にボート屋頑張れよ」とか思いました。
 ・・・・・まっ、これはワタクシがゆとりだからですかね。親に「死ね」って言われたらショックですよね。通り魔もしたくなりますよね。


 ということでした。二階堂ふみ充という意味では申し分ない作品でした。パンチラもあったしね。あの全然エロくない、全然ありがたくない感じがよかったです。
 が、それを抜きに考えると、特別ハマりはしなかったかなぁ。
 70点。