北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『ヤング≒アダルト』の感想


ヌーブラやっほー


 ジェイソン ライトマン監督最新作。若い監督ながらアカデミー賞の常連と化してる二世監督。
 日の浅い映画好きとしては、若手監督というのはありがたい存在でして、作品を全部観るのが簡単なんですよね。話題作を観てるといつの間にか監督作を全部観てるということになるのでありがたい。そんなワケで、ジェイソン ライトマンの長編監督作は全部観てます。どれも強烈な主人公が出てきて楽しい映画ばかりです。

 監督の前作は『マイレージ マイライフ』でして、ジョージ クルーニーが独身貴族を演じた作品。そして最新作である『ヤング アダルト』ではシャーリーズ セロンが独身を演じる。世界一級の美男美女に独身をやらせてるのがおもしろいですね。もうこの2人が結婚しちゃえばいいと思うよ。

 あらすじ
かつてスクールカーストの頂点に立っていたヤングアダルト作家(ゴースト)
学生時代の恋人に子供が出来たとパーティーに呼ばれ、故郷に帰る
寝取るっきゃない!!

 えっと、タイトルは原題も邦題も読みは同じ。『ヤング≒アダルト』に『Young Adult』。主人公がヤングアダルト小説を書いているから。ヤングアダルト小説は日本でいうとジュブナイルとかラノベみたいなもので、映画化されたのだと『トワイライト』『アイアムナンバー4』とかが有名ですかね。
 というのは表面的な話で、当然主人公が大人になりきれないという意味です。邦題のニアリーイコールはそこらへんを強調した感じですかね。ただ、ああいう記号使うのはあんま好きじゃないかなー。

 スクールカーストを扱った作品は多いけど、本作はその変化球。カーストでかつてクイーンビーとして君臨していた気持ちから成長しきれてない人が主人公。しかも、学園生活の様子を直接描いた回想シーンなどは一切ナシ。
 かつてのクイーンが今ではゴーストライターという日陰者になってるのがサイコーですね。

 超ちなみに、ワタクシの乏しい映像作品経験的に「スクールカースト」関連の作品として好きなのが、日本のテレビアニメ『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』とアメリカ映画『グレッグのダメ日記』。
 アニメ『パンスト』は直接スクールカーストを描いた作品ではないんですが、劇中に出てくる学校というのがスクールカーストをデフォルメしたものでおもしろい。「ミツバチのざわめき」という回では、そのまんまクイーンビーが悪役として登場しますし。主人公の一派としてギークボーイという童貞くん(but非処女)まで出てきますからね。
 『グレッグのダメ日記』はクロエ モレッツが超かわいい映画なんですけども、スクールカースト入門映画ということでも傑作だと思ってます。これまた直接スクールカーストを描くのではなく、スクールカーストが始まる予感に包まれた学園生活というのが素晴らしいです。もろにスクールカーストってワケじゃないから、「クラスでイケてないグループに属してる」と翻訳することも出来て、学校あるあるとして楽しいです。観てて「学園生活ってどの国も一緒だな」って感じ。まぁ、結局のところ、クロエちゃん超かわいい。
 スクールカーストといえば、現行の仮面ライダースクールカーストを扱ってるらしいですね。まったくの守備範囲外なんですが、ちょっと興味あります。

 「かつてのスクールカースト」映画としての本作。かつてのクイーンである主人公はすっかり負け犬(本人は気づいてない)。
 かつての恋人を寝取ろうと故郷に戻り、真っ先に出会うのが、かつてのスクールカーストの最底辺であったデブ。ゲイというあらぬ噂を立てられてヘイトクライムの被害者になった男。片足が不自由になり、チンコが歪んでしまうというマジで笑えない被害者。
 このデブがねぇ、超イイ人なんですよ。本作はこの人に感情移入せざるを得ない作りになってます。「もうお前ら付き合っちゃえよ!」と何度も叫びました(心の中で)。
 演じたパットン オズワルドはオスカーから無視されてましたが、ノミネートぐらいしろよバカヤロー。

 本作のおもしろいところとして、ラスト。「えっ 成長した?」ってラストを迎えるんですよね。
 スクールカーストのかつてのクイーンが、かつての底辺と仲良くなって反省と成長を迎えると思うじゃないですか。最終的に2人は行きずりのセックスを交わすんですが、「歪んだチンコを受け入れることで・・・・」みたいな話だと思いましたよ。ところが全然違うんですよね。セックスした後は完全放置だし。
 このデブの妹が街を出ようとする主人公に、「私も連れてって」って言うんですよ。故郷に帰る前にはなかったなにかを得るっていうわかりやすいポイントじゃないですか。なのに、そこで主人公はそれを拒否するんですよ。「あんたにはここが似合ってるわ」って。結構酷いこと言う。
 こういうバランスは独特ですごく好きですね。予定調和に着地しないというか。主人公のキャラ的に「キレイに成長遂げるのは似合わないよね」って感じ。

 本編とちょっと関係ない部分に関してなんですが。
 ワタクシ、映画の中の「化粧」シーンが好きなんですよ。男なんで、化粧の経験もなく理解もないんですが。あの「決戦前に変身を遂げる」っていうのがすげぇ燃えます。
 映画じゃないけど、最近だときゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」とかドハマリしました。けど、歌詞書いてるの男・・・・。

 んで、本作の化粧シーン。まぁ、化粧するのがシャーリーズ セロンなんで、元はイイんですよ。当然ですよね。引くほどの美人が完成しますよ。ただ、化粧シーンはなんか醜いんですよね。映像に不快要素が混在してるというか。それでも、「かつての私に戻る」という変身であって燃える。「なりたい私になる」というのとはちょっと違うのがイイですな。
 また、主人公はストレスで髪の毛をプチプチ抜く癖があるんですが、それを隠すために部分カツラ(ウィッグ? エクステ?)を付けるのも超イイです。自らのウィークポイントを補う変身というのがまた燃える。
 化粧の過程の手際の良さが見ててアガる。なんですかね、化粧シーンって殺し屋が拳銃を組み立てるシーンに似た高揚感があるんですよねぇ。
 化粧というワケではないんだけど、本作だとインパクト強いのがヌーブラ。ありがたいことにシャーリーズ セロンのヌーブラ姿が拝めるんですが、笑えるくらいにエロくない。「残念」という印象しかなかったのがおもしろいです。それと、ワタクシは経験ないんでわからないんですが、ヌーブラ外す時ってあんなに痛そうなもんなんですか? 「んあぁ・・・!!」って呻きながら外すの見て衝撃でした。ただ、「痛みを伴う変身」というのも化粧シーン好きとしてはポイント高かったですね。

 細かい話になりますが、主人公の飼ってる犬の名前が、「ドルチェ」。コレって日本でいう「スイーツ(笑)」みたいな感覚でいいんですかね。話の内容にも合致するので個人的にツボでした。


 今までのジェイソン ライトマン作品の強烈主人公の中だと一番「好きになれない」主人公だったと思います。そこらへんが本作の個性であり、魅力なのではないかと。ちゃんと感情移入しやすいキャラは別に用意してあるので安心ですしね。
 「かつてのスクールカースト」という視点がすごくおもしろかった作品ですね。あと、個人的には化粧シーン。
 70点。