北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『バトルシップ』の感想

 13日の金曜日公開。初日に観てきました。ユニバーサル映画100周年記念作品。
 13日の金曜日には同日公開で同じくテイラー キッチュ主演、ウォルト ディズニー生誕110周年記念作品『ジョン カーター』も公開されてたんですが、時間の都合で『バトルシップ』を選択。こっちのが期待値高かったってワケじゃないです。
 しかし、テイラー キッチュは見事にアニバーサリー主演男と化してますね。『ジョン カーター』は日本以外での売り上げが酷く「史上最大の赤字映画」などと言われてますので、せめて『バトルシップ』だけはヒットするといいですね。テイラー キッチュの今後のために。『ウルヴァリン』のガンビットはあんなにカッコよかったから応援したいです。

 あらすじ
世界中の海軍が集まってお祭り(アメリカと日本とその他)
軍事演習中にエイリアンが攻めてきた
「昨日の敵は今日の友」発動(場所はパールハーバー)

 主人公。本作ではバカ丸出しのクソニート役ということで、「客の共感? なにそれおいしいの?」状態。あんな出会いなのになんでヒロインが主人公と付き合うようになったのか誰か教えて下さい。さらには、主人公に迷惑をかけられた同僚が口を揃えて「お前は才能はあるんだから・・・」とかフォローしてくるのもムカつきますね。「才能ある」描写ないのに連呼されてもムカつくだけですよ。才能と美女を持ってるダメ人間って嫌みかよバカヤロー!!
 ・・・・・と、怒ってみましたが、これは映画を観た後に話を冷静に思い返した際に気になるコトでして、観てる最中は「宇宙人Fooooooo!!」とか「海軍Fooooooo!!」ってなってました。要するに、こまけぇこたぁいいんだよ。

 そんな主人公を演じるアニバーサリー男テイラー キッチュガンビットファンとしては、映画冒頭の長髪姿の方がイイですね。海軍入隊後は軍人らしく短髪にしてしまい、「こんなのガンビットじゃないやい・・・」と落ち込みました。

 共演は浅野忠信。チンギス ハンを演じた映画『モンゴル』がオスカーノミネートを果たして、ハリウッド進出を始めました。『マイティー ソー』のことは忘れてあげて。
 そんな『ソー』の印象が強いから「どうせ顔出す程度なんでしょう・・・?」と思ってたら、こいつはオドロキ!(戸田奈津子映画ということで)
 メチャクチャ役多いじゃないですか! てか、フツーに2番目の役じゃん。主人公とバディー組んじゃってさぁ、「初対面は最悪だっけど・・・一度殴り合ったらマブダチ!」みたいな役で2人のシーンはどれもサイコーでしたよ。主人公がクソヤローだけど、気にならなかったのは浅野忠信とのコンビ萌えしてたからかもしれません。

 ハリウッドのトンデモジャパン描写という意味では、そんなに楽しくない本作です。ちゃんとしてる。日本の海軍が米海軍と対等もしくはそれ以上な扱いでした。
 主人公のバカさを表すシーンとして、策を考えた浅野忠信に対し主人公が、「孫氏の兵法か? 6回も読んだけど意味わかんねぇよ」って言う。アメリカのバカは日本と中国の区別が付かないっていうことなんですね。似たようなバカは『グリーン ホーネット』でもいましたね。
 ハリウッド映画における日本描写としてお馴染みなのが、「字幕ばっか見てたら急に日本語が出てきてなに言ってるのかわからなくなる」現象。この現象は本作でも健在なんですが、「酷い片言日本語なのに字幕がなくて理解不能」ということはまったくありません。まぁ、浅野忠信だから当たり前ですね。浅野忠信は英語と日本語を使い分けて、これは新鮮でした。とっさに出る言葉とか悪態が日本語っていう。これは日本語以外だとよくある光景なんですが、いざ日本語でやられると、しかもよく知ってる俳優にやられると軽い感動ですね。日本人俳優の日本人役としてケンワタネベを超えたんじゃないでしょうか。
 日本人描写としておもしろかったのが、「日本人は英語がヘタ」というシーン。浅野忠信が「サマーキャンプ」という単語を言っても主人公が「さまきゃんぷー??」と聞き取れないというシーンがありました。子音である「プ」を母音として発音してしまってるんですが、このよくあるミスってアメリカ人的にはあるあるネタだったのね・・・・・エイゴムズカシイネ。

 ヒロイン。とても没個性なキャラだったんですが、とてもタイプです。付き合って下さい。ブリトー買ってきます。
 金髪、巨乳、タンクトップ、ホットパンツというホットなチャンネエ感がたまりませんでした。この人がなぜかずっと山の中で露出しててありがたかったですね。海上の戦闘シーンだと男ばかり(リアーナごめん)で、ホモソーシャルなのは楽しいけどちょっと汗臭いよ・・・・と思った頃に登場する山の中のヒロイン。完全に目の保養でしかない役なんだけど、美人だからいいんだよ。

 というのはキャラクターの話でして、本作の肝はそこじゃない。海軍vs宇宙人の兵器戦です。これがよかったから「こまけぇこたぁいいんだよ」という結論に至るワケでございます。

 本作はボードゲームの映画化なんですよ。バカみたいな企画ですよね。「原作とか関係ねぇじゃんww」とか思ってたんですが、1ヶ所とんでもないシーンがありました。
 宇宙人兵器によって相手の位置がわからなくなってしまう。そこで、浅野忠信が鶴の一声、「津波ブイだ」。はい、世界でしゃべりたい日本語「TSUNAMI」出ました。要は、津波ブイのデータをリアルタイムで取り寄せて、ブイが沈んだところにヤツはいる!ってことです。そして、相手を探すため、モニターとにらめっこ。画面には津波ブイがマス目上に敷き詰められた海の図。戦闘区域は宇宙人のバリアーで完全に区切られてます。すると、なんということでしょう。モニターに映っているのはまさにボードゲームのボード。相手の動きがピコーンピコーンと表示され、そこに向かってタイミングよくミサイルを飛ばす。もう完全にボードゲーム。それまで「バカ映画だwww楽しいwww」って観てたのに、「うっ うまい・・・・・」と唸ってしまいました。
 映像的には一番地味なバトルシーンながら、個人的にはベストシーンでした。

 タイトルの通り戦艦同士の戦いでして、地球の兵器と宇宙人の兵器が大暴れするのが見所でございます。
 開戦するとしばらくは宇宙人の圧勝。バリアーとか音波的なものとかを連発して日米海軍を圧倒。おもしろかったのはその後。宇宙人の遠距離兵器といったらレーザーじゃにですか。よくわかんないけど青い光がビュンビュン飛ばしてくるイメージじゃないですか。ところか、投擲なんですよね。ドラム缶みたいなのを飛ばしてきて、当たると大爆発。それを景気よく飛ばしまくる。当たったら戦艦沈む。一応、重力は地球と似てるっていう設定ではあったとはいえ、宇宙人がブツを飛ばしてくるのは意外でした。ただ、この見せ方がカッコよくて超アガるんですよね。「こりゃ勝てねぇ・・・」感が充分にあって絶望できます。
 もう1つの宇宙人兵器。巨大なタイヤみたいなのを香港に飛ばす。すると、香港の街を巨大タイヤが走り続けて街を大破。「それなんて『トランスフォーマー』?」っていう映像なんですけど、街が破壊される映像ってのはサイコーですね。香港以外でも、もっかい街を破壊してほしかったですね。しかも、終盤になると、街を大破する兵器をこちらの戦艦に向かって撃ってくるんだから、「はい死にましたー」って完全なる諦めモードになります。巨大な爆発1つで大破するのもいいけど、物理的な攻撃で戦艦が沈んでいく様子というのも楽しいもんです。ありがとうございます。

 一方、地球の方。ワタクシ、ミリタリー系の知識がないのでよくわからないんですが、まーいろいろな兵器が出てきましたよ。「搭載してる兵器全部使ったんじゃねぇの?」ってレベル。またおもしろいのが、こちらの兵器もフツーに有効なんですよね。ミサイルも当たりさえすれば沈められるし、バリアーを破壊すれば勝利確定。
 互いにどう当てるかの一点勝負。互いに一撃必殺の真剣勝負だったので、常に緊張感があってよかったですね。なんせ、開戦早々にこちらは2機沈められてますからね。


 そんなこんなでひたすら楽しい映画でしたよ。粗はありましたが。錨を使ったアイディアは既視感ありまくりだし、宇宙人が捕虜を助けに来た時に爆弾の1つでも置いてかれたら負け確定だよなぁ・・・・とか考え出せばいろいろとあります。けど、気になりません気にしません。
 まぁ、リーアム ニーソンの役の少なさはちょっと・・・・って感じでしたね。主人公がリーアム ニーソンの娘と駆け落ちして、リーアム ニーソンが96時間以内に捕まえに来る、みたいな続編があればいいんですが。
 85点。

バトルシップ (リンダブックス)

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バトルシップ〈1〉 (パズルBOOKS7)

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