北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

映画『モンスター・ホテル』の感想

早くDVDが欲しいです(字幕的な意味で)

 ソニー ピクチャーズ アニメーションの新作。ソニピアニメは『くもりときどきミートボール』がとても好きです。

 観たのは2D吹替版。ワタクシが調べた範囲では字幕版がなかったので仕方なく。非3Dなのは、『マダガスカル3』を観て以来、3D映画に対して燃え尽き症候群のような状態になっているので「2D版でいいや‥‥」っていう。

 あらすじ
箱入り娘(バンパイア)とバックパッカーのビビビ婚

 舞台はタイトルの通り、モンスターたちの泊まるホテル。観る前は、「はいはい『千と千尋の神隠し』ね」 なんて思ってたんですが、意外とそんなことなかったですね。まぁ、『千と千尋〜』は宿じゃなくてソープですし。
 ホテルのロビーのシーンがとても楽しい。オーナーであるドラキュラの元に古今東西の有名モンスターが挨拶してくるだけなんだけど、オールスター感もあり、既存のキャラ故の説明無用なテンポが心地よかったです。主要キャラはドラキュラ、狼男、フランケンシュタイン(の怪物)、ミイラ、なので『ヴァン ヘルシング』的なモンスターの選出かと思ったんですが、ビッグフット(UMA)やヒュドラ(ギリシャ神話)などもいたので完全なるごった煮ですね。半魚人やスライムがいたので『モンスターVSエイリアン』も連想しました。
 個人的に真っ先に連想したのが『シュレック』。あれはおとぎ話の世界が舞台、ということでおとぎ話のキャラを総出演させてブラックな笑いをやってたんですが、本作『モンスター ホテル』はそこまでブラックな笑いではないものの、「人間怖い」って視点がどうも『シュレック』的だと感じました。ラストに主人公たちが歌い出すのも『シュレック』と通じますね。
 また、「ノートルダムのせむし男」カジモドが出てきて、コイツがおそらく劇中唯一の悪人。ネズミにエスメラルダと名付けてるんですが、こういうギャグも『シュレック』っぽいと思ったり。さらに、ネズミを連れた料理人ということで『レミーのおいしいレストラン』にしか見えないんですよね。そいつが唯一の悪人。こう考えると、ディズニーとピクサーにツバ吐きかけてるようで、これまた『シュレック』っぽい。まぁ、『シュレック』の標的はディズニーだけですし、『シュレック』だったら「ネズミを食べる」くらいのことはやりますがね。

 著作権フリーのキャラ総出演映画として、ラストの展開が個人的にはツボでした。「人間怖い」と信じていたドラキュラが人間の街に出ると、街ではドラキュラを始めとしたモンスターたちの仮装をし、主人公のことを見ても、「本物!? やっと会えた!!」 と完全ウェルカムな雰囲気。
 というのも、本作の原題は『ホテル トランシルヴァニア』でして、ホテルが建てられた場所はトランシルヴァニアなんですよ。トランシルヴァニアは『ドラキュラ』の舞台→観光地→みんなモンスター大好き、という理屈ですね。これがなんの説明なしに描かれるんですが、スムースに理解できて、感服しました。『シュレック』にはなかった人間描写というのもあって、なかなかのアイディアなのではないでしょうか。

 『シュレック』と違って現実世界にいるモンスターたち、ということで現実世界ならではのギャグもあって、それがツボ。一番ハマったのが、ヒロインと破局した人間が傷心モードで人間界に戻り、飛行機で旅に出ようとする際、機内で観ている映画が、『トワイライト』なんですよね。映画内映画で男(バンパイア)が女(人間)に向かって、「バンパイアになる覚悟はあるかい?」 みたいなこと言っていたので爆笑してしまいました。男女逆じゃねぇかよ。

 吹替版の声優問題。本作の日本語吹替はかなり突飛な出来になってまして。観ている最中も結構なノイズになりました。
 一番わかりやすいので言えば、人間の男役のオリエンタルラジオ藤森。バックパッカーで、行く先々のノリで生きているキャラクター。心配性のドラキュラと対照的なんですが。それを例のチャラ男(キャラ)そのままで演じてるんですね。あやまんJAPANが出てくるんじゃないのか心配してしまうレベル。いや、キャスティングの意図はわかるけどさぁ‥‥っていう。だって、あれはコントみたいなものでしょ。それを別のフィクション上のキャラクターにあてがうってのはどうなんすかね‥‥正直キツイ。ただ、チャラ男演技がキツイのと反面、彼がフツーの演技モードに入るだけでちょっと感動してしまったのも事実なんですよ。マジメなシーンだけでなく、ヒロインとの初対面のシーンとかでも丁寧なしゃべり方になってるのを見ると、「根はイイ若者なんじゃないか‥‥」なんてしみじみと思ってしまいました。
 劇中、箱入り娘のドラキュラ娘ちゃんは旅を重ねるバックパッカーに憧れを抱く。「ねぇねぇ ハワウィーって行ったことある? この世の楽園って聞いたけど」 みたいに。箱入り娘で情報も制限されてるから「ハワイ」を「ハワウィー」と勘違いしている、というギャグなんですが(英語だとHawaweeだったかな?)。これって、オリラジ藤森の「かわうぃー」と引っかけてあるんでしょうか? 彼が直接「ハワウィー」と言い出すワケじゃないんで、そんなにうまいキャスティングだとも思えませんが。

 オリラジ藤森が1人ヒドイのかと言えば、そんなことはなくて。脇を固める大御所声優陣もアウト。ノリノリ過ぎて、明らかに本編を踏み台に遊んでるだけにしか見えない(聞こえない)感じでしたね。「おーはー」とか「すべらない」とか声優個人の持ちネタを放り込んでくるのは完全に一線越えてると思いますよ。オリラジ藤森と同じ。

 芸人でも声優でもないタレント声優なのが、ヒロイン役の川島海荷。エンドクレジットを見るまでタレントが演じてるとは気づかなかったですが、これって大事なことですよね。他の声優陣が我を押し出しすぎてるので、余計に輝いて見えました(聞こえました)。
 ただ、セリフの中で「ヤバイ」っていう単語の代わりに「キバイ」って言うんですが、これはねーよ‥‥。バンパイアだから牙ですか‥‥アーハイハイオモシロイオモシローイ。英語でなんかダジャレ的な言葉遊びをしてるのかもしれませんが、「キバイ」はねーよ‥‥。川島海荷に罪はないけどさ‥‥。

 いろいろと難アリな吹替ですが、歌がちゃんと日本語吹替になってるのがよかったですね。ラストの歌なんて、日本語の歌としても違和感ないレベルに仕上がっていたので、物語上の盛り上がりと相まって楽しいミュージカルシーンになってました。今後、DVD等で字幕版を観る機会があったとしても、あそこだけは吹替版も観たいですね。

 あと、細かい話なんですが、ヒロインのキャラデザ。ヒロイン自身は超かわいいんですよ。箱に入れたくなるくらいかわいらしいんですが、アゴがしゃくれてるんですよね。まぁ、アゴ込みでかわいいから許せちゃうんですがー。
 ‥‥ひょっとして、バンパイア→人を噛む→アゴがたくましくなる→しゃくれ、って理屈なのかしら。

 あと、見た目でいうと、ビッグフットですね。全身が映らず、常に足しか登場しないビッグフットの全身像が気になります。あのホテルどんだけでけぇんだよ。

 子供向け、ファミリー向けな雰囲気に包まれてる本作なんですが、とある1シーンで結構ドキッとするレベルの下ネタがありました。
 ドラキュラがホテルの隠し通路を進んでいると、ホテルの客室に迷い込んでしまう、っていうギャグシーン。その中の1つとして、部屋全体がピンクに染まった部屋が出てくる。無人かな?と思ったらベッドの上から声が聞こえて、豆粒ほどの小人がいることがわかる(元ネタなに?)。「せっかく新婚旅行でこのホテルを利用したのに邪魔するとは何事だ!」みたいなことを言われて怒られるんですが‥‥ピンクのベッド、そして新婚旅行‥‥お前ら真っ最中かよ!! 急にギャグが色っぽいな。ワタクシが観た時には、同じ列にガキンチョがいたんで、笑うのをためらっちゃいましたよ。主人公たちが部屋から去るとキスから再開してたので結合中というワケではなさそうですが、いきなり初夜とかビビりますわー‥‥。


 ということで、日本語吹替以外に関しては大満足。ソニピアニメも侮れねぇな!という印象。今年は『メリダとおそろしの森』『おおかみこどもの雨と雪』もあったので、本作を入れて、人外親子三部作になりますね。この中で満足度は本作が断トツでした。絵柄を変えて後日談を語るエンドクレジットも楽しくて、お得感あって大好きです。
 85点。

The Art and Making of Hotel Transylvania

The Art and Making of Hotel Transylvania

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たった2年前なのに随分と文章が違うなぁ‥‥シミジミ