北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

マンガ『サイボーグ009完結編』1巻の感想

 『サイボーグ009』の完結編「conclusion GOD'S WAR」のweb連載版(早瀬マサト版)の単行本がついに出ましたよー、という話。


 ↑帯(の裏表紙側)に収録内容が書いてあって、わかりやすいので、この順に扱います。

「連載時のカラーページを完全再現!」

 なんですがー。覚えてますか? どんなカラーページの使われ方をしてたか。1話の頭に石ノ森オールスターが出てきて、最後に『サイボーグ009』の面々が現れるんですが、最後のサイボーグ戦士のみがカラー、というもの。これは当然『サイボーグ009』を強調する目的の演出なのでしょうが、単行本の売り「カラーページを完全再現!」という視点からいうと、「カラーページって1ページだけやんかっ!」って思ってしまうのも事実です。
 まぁ、巻頭から16ページは紙が違うので、苦労は察しますが。
 肝心のカラーページについてですが。連載時には気がつかなかったんですが、003のカチューシャが赤じゃないんですね。気がつかなかった分際なんですが‥‥赤がいいなー。003の金髪&赤カチューシャ、超かわいいじゃないですか。「こ‥‥これが萌えか‥‥」的な衝撃じゃないですか。まぁ、表紙のカラーだと金髪赤カチューシャですよ。たしか、今度の映画『RE:CYBORG』もそうですね。
 超関係ないけど、金髪×カチューシャですと、映画『アメイジング スパイダーマン』のエマ ストーンasグウェン ステイシーが素晴らしかったですねぇ。喪服時の黒カチューシャはマジ眼福だった記憶が。

 カラーと言いますと、表紙のが気になるんじゃないでしょうか。スーツが青いんですよ。んでマントが赤い。なんか意味あんの?‥‥と思ったら意味があるそうで。
 早瀬マサトがツイッターにて語ってました。

 ↑「コスチュームは青なんですね」とのリプライに対する返答。完結編は青! 知らなかったです。そういえば、平成アニメ版の完結編序章でも青かったですね。あの時は「今までのとはちょっと違う話ですよー」程度の意味かと思ってたんですが、あまかったようで。

「原作・小野寺丈氏のメッセージ」

 前書き的な部分ですね。完結編は企画自体が複雑で知らない人からしたら「なにこれ?」と思われかねないので、こういうのは入るとは思ってました。けど、小野寺丈が出てくるとは。フツーに早瀬マサトかと思ってました。
 そういや、早瀬マサトのコメントって1巻にはまったくないんですね。滅私ということなのでしょうか。まぁ、巻末記事にこないだの雑誌「pen」でのインタビューの一部が引用されてますが。

「『009完結編』解題コラム」

 コレ! コレですよ!!
 巻末に載ってる『サイボーグ009』の完結編に関する総論なんですが、素晴らしいです。島田一志って方が書かれたのかな。わずか3ページという簡潔さでありながら、3種類の完結編、そして3種類の「conclusion GOD'S WAR」すべてを網羅しているので、超オススメです。これ読めば完結編についての前知識はほぼカンペキです。「『サイボーグ009』なんか新しいの出たの?」って人にも最適ですよ。小説版だけ読もうかな、って人もとりあえず本屋でここだけ立ち読みするのをオススメ、ってレベル。
 長い道のりだった完結編が最終的にマンガ版「conclusion GOD'S WAR」に行き着くという結論なので、読み終わったら「‥‥もっかい読もうかな」なんて思っちゃうこと必至。
 まぁ、難を言えば、「萬画版」なのか「マンガ版」なのか混乱することですかね。まぁ、そんな字の表記はフツー気にしないですからね。問題ないです。
 このコラムが素晴らしくって、感動してたんですが、それと同時に恥ずかしい思いに苛まれまして‥‥。というのも、web連載が決定された時に、ブログで完結編に関する総論みたいな記事を書いてるんですよねぇ。あの時は「連載始まるのか!」という感動の勢いで書いたんですが、今になって思えば、「素人がなにをやってるんだ‥‥」的な羞恥心でいっぱいです。

「超豪華両面ピンナップ」

 表が早瀬マサト描き下ろし、裏が書斎の机の上に関連グッズが並んでる、というもの。
 表は009がスーツの色別に並んでるものなんですが、その色で『サイボーグ009』の歴史を表していてうまいですね。最後に青があるのは先ほどの「完結編は青」という理屈からでして。「いよいよ完結編!」という盛り上がりを感じます。
 裏。机の上に、本編1話に出てくる「conclusion GOD'S WAR」のタイトルが色紙の本物がありますね。本編中の色紙と見比べることができて楽しいです。

本編

 最後に本編について。まぁ、これといった感想はないんですが。
 今、小説版を読み返してるんですよ。文庫1巻から。なので、小説版との比較という視点が強くなるんですが。マンガ版はかなり読みやすくなってる印象ですね。小説版だと丁寧に心理描写がされる一方、マンガ版ではテンポよく進むので飽きることなく読めます。単純に小説版から割愛されてる部分も少なくないですし。個人的な好みでいうと、「003 ありえざるもの」でフランソワーズがアラン&カネットに襲われる部分は小説版は少し冗長に感じたので、短縮されたマンガ版のが好きですね。アクションなので、単純に考えればマンガ版のが長くなりそうなもんなんですが。

 マンガ版で好きな回を挙げるならば、1話「プロローグ 001」と、5話「003 ありえざるもの(後編)」。どちらも小説版からのマイナーチェンジ、コミカライズがことごとくハマっていた印象。
 1話だと、作品全体のイントロにもなる冒頭部も見事ですし、そこから石ノ森章太郎の登場、イワン登場、病室、ギルモア登場、という流れが自然でありながら怒濤の展開で目が離せません。また、絵の中からイワンが浮かんでくる、というのは小説版では味わいにくい要素ですね。また、「石ノ森章太郎の死」という要素は現実と作品内のギルモアの感情がリンクしてしまい、感動してしまいます。小野寺丈による前書きを読んだ直後だと、小野寺丈を初めとした完結編制作の関係者とギルモアの姿が重なって見えます。
 5話は、単純に小説版からの改変部分が多いです。小説版だと「謎の女」「謎の天使」「謎の光」みたいな「謎」が多すぎるんですよ。読んでもぶっちゃけチンプンカンプンなまま終わってしまうんですが、マンガ版だと説明が増え、冗長な部分がスマートになっているので満足感が段違いです。また、「謎の男が謎の光にさらされて消滅する」というラストの展開、文章で読むのとマンガで読むのでは印象が相当違いますね。マンガ映えすると言いますか、マンガ向きな内容なんでしょうね。


 まぁ、こんな感じですよ。単行本1巻が出たのは、今までのマンガ版完結編を振り返るイイ機会になったんじゃないでしょうか。正直、買う前は、「まぁ‥‥内容知ってるしな‥‥」って感じだったんですが、読んでみたら、かなり満足してしまいました。新規収録の部分もそうですし、マンガ本編に関してもそうです。
 マンガ版を単行本でこれから追っかけようかな、って人にも読みやすい出来だったんじゃないでしょうかね。しかも、今なら続きの「004(前編)」がwebで読めますしね。ダーターですよ、ダーター。

 最後に、全話の感想のリンク貼っときます。
 半年近くよく続けたもんだと我ながら思う一方、「ここまでやったら途中で止めづらいよなぁ‥‥」という困惑もあるのも事実です。いや、現在は『サイボーグ009』の関連書の出版ラッシュで、相当熱い状況ですが、来年あたりにはweb連載が粛々と続く、って状況も考えられますからね。いや、どうなるかは知らないんですけども。
 ‥‥って、なんで最後にネガティブなことを書くんだろうか。

これは小説版のコンクル。プロローグ〜004編まで。

これは平成アニメ版のコンクル。プロローグ、009編と内容が重なるのかな?(まだ小説版009編を読んでないからわかんない)