北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

映画『劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影』の感想

限りなくホモに近いブロマンス(という言い訳)

 『ONE PIECE FILM Z』に引き続き、集英社へのお布施。‥‥というのは(少し)言い過ぎで。どちらも原作者が少なからず絡んでいるそうなので、本気で楽しみにしてる部分もありました。

 原作は全部読んでます。連載中(笑)のジャンプも毎号読んでますが、これはあんまり関係ない情報ですかね。
 テレビアニメに関しては、テレビ放送されたる分に関してはすべて観てます。前にアニメ化された分も観たことあります(よく覚えてないですが)。

 アレですね。『ONE PIECE』と同じく劇場で0巻なるものが配布されてることで有名ですね。ワタクシもそれを目当てにしてた節があります。読み切りはジャンプ掲載時に読んでるんですが、作者の一問一答ってのが気になりまして。


 ↑そんな0巻。一緒にあるのは、友達にあげる用にジャンプから切り取ったもの。
 目玉はやはり一問一答で。その中で、団長について作品内で説明しようとしていることがあるようです。アイディアはあるらしい。よし、早く描いてくれ。

 映画館で、上映前にこの0巻を読んでる人がたくさんいましたねぇ。体感で7割くらいの方が上映前に読んでましたが、ジャンプ掲載時は読んでないってことなのかしら。
 だとすると、完全な単行本派、現行テレビアニメシリーズのみ、という2種類のファンが大多数ということになりますね。

 あらすじ
幻影旅団編とグリードアイランド編の間(多分)

 オフィシャルな情報を正確に追ってるワケじゃないんでアレですが、本作は『HUNTER×HUNTER』の正史ってワケではないと思うんですよ。『ONE PIECE FILM Z』は原作シリーズにも関連する正史扱いでしたが。
 というのも、時系列的にどこに入っても違和感が残るような作りなんですね。ゴンとキルアの力量から察するにグリードアイランドに入る前なのは明らかで、なら幻影旅団編の直後かと言うと、それはそれで疑問が残る感じでして。まぁ、現在放送中のテレビシリーズから考えて、幻影旅団〜グリードアイランド編と考えるのが無難でしょう。

 上映開始。ワタクシが観た回はCM、予告編をすっ飛ばしての本編上映でしたので、いきなりアレが始まります。「ゴンと♪」「キルアの♪」「「ハンサイクロペディア♪」」ってヤツ。
 ビビりましたねぇ。まさか映画館でアレ観るとは。いや、一見さん用のガイダンス映像というのは親切でいいと思うんですが、本作を観に来る人の中には単行本オンリーというファンもいたりすると思うので、そういう人の顔が見たいですねぇ。毎週テレビシリーズを観てるワタクシでも口あんぐりでしたから。

 ほいで、本編。本編のイントロは、「キルアの初めての暗殺」(ドーレミファーソーラシドー♪)。
 なんて、茶化しましたが、かなりイイ開幕だったんじゃないですかね。やはり本作の主人公はキルアだよね。初めての暗殺を描くことで、キルアの生い立ち、ゴンへの後ろめたさ、イルミの呪縛、というものが伝わります。ファンが観たら、「あぁー本作はゴンキルの友情がメインなのね」と察しが付きます。作品の所信表明として適切なイントロだったのではないでしょうか。
 まぁ、イルミが道行く子供を惨殺する、ってのは違和感でしたけどね。快楽殺人者じゃん。‥‥てか、アレ夢?

 そして、時間軸が現在に戻り、飛行機の中。ゴンとキルアがイチャついてるとスッチーさん(死語)に怒られます。あのスッチーさんかわいかったですね。
 そんなゴンとキルアがかなりホモいんですよ。映画館の大画面で観るのが恥ずかしくなるレベルに。寝顔見た見てないのくだりとか、完全に新婚旅行ですぜぇ‥‥。

 というワケで、本作のテーマはずばり「ホモ」。
 いや、フツーに「友情」でもいいんですが、それじゃおもしろくないんで、「ブロマンス」あたりに言い換えましょうか。ブラザーロマンスの略であって、同性愛ではないです。
 ゴンキルの2人の他にも、クラピカとレオリオ、そしてパイロなんかもその雰囲気ありましたね。今も心の片隅にいる幼なじみと大人になってから仲良くなった友達、っていう。中盤にはウボォーギンとノブナガの名コンビ描写もありましたから、本作全体を通じるテーマとして考えて間違いないと思います。

 そんな本作の中で最もブロマンスしていた要素が、映画オリジナルキャラクターのレツ。街で出会ったレツとゴンが仲良く喋っていると、キルア合流。その仲の良さに超ジェラス相当ジェラス。冒頭の「キルア初めての暗殺」が利いていて、ゴンへの後ろめたさ、自分では越えられない壁を他人が悠々と越えていく様に我慢ならない。そして、怒りが思わぬ形で発露して、暴力。‥‥と思ったら、「お前‥‥女か!」。
 このシーンでおもしろいのは、この直後、キルアとレツはそこそこ仲良くなってる件ですね。つまり、「女ならオッケー!」ってことで。まぁ、性別の判別がおっぱいタッチってのも相当笑えるんですけどね。初期『ドラゴンボール』の「パンパン」かよ。
 ブラザーの関係性をロマンス映画のように描く、という点で本作はまさにブロマンス映画。通常のブロマンス映画において、女という存在は男友達の関係を阻害するライバルのような位置づけなんですが、このおっぱいタッチのシーンでは、逆ですね。「女には俺たちの邪魔はできないぜ!」という感じで。これはこれでアリだったと思います。ただ、おっぱいはねぇよ‥‥。
 あと、レツでよかったところは、終盤に明らかになるオモカゲの人形だった点。これは当然イルミの人形であるキルアとの対比なワケで、やっぱり本作の主人公はキルア一択。クラピカ?旅団?なにそれおいしいの?
 「女は敵じゃない」というのがブロマンス映画としては珍しい、と言いましたが、レツが女であることには意味がありまして。ウボォーギン(人形)に襲われるシーン。戦闘配置に付こうとするゴンキルの2人を隣にレツは寝起き。その寝起き姿に2人がドキッとするんですが、ゴンとキルアが異性を意識するシーンって珍しくないですか? この「原作じゃ見たことない2人の姿」が見れただけでも親指おっ立った上に、ブロマンスの隣にいる異性という点もとてもおもしろくて。それまではレツとは対等な関係だったんですが、ここで「守るべき対象」となるんですよね。寝起き姿にドキッ、とウボォーとの戦闘という2つが同時に起こるために非常にスマートで、異性というテーマの扱いも適切で、個人的なベストシーン。まぁ、おっぱい触った時にもドキッとしろよ、とは思いますが。
 その後、レツに服を買ってあげると、「お人形さんみたい」な格好になるのもそのまんまですが、アリ。同性→異性→人形、という流れも華麗ですね。人形というのはイルミを連想しますが、その他にも、妹(弟)への兄の偏愛というのはキルアに対するイルミであり、アルカに対するキルアでもあるんですよね。「お人形さんみたい」というのはアルカ初登場時にも当てはまる表現だと思います。
 などと、いろいろありまして、レツは本作における最後の良心。なにより、レツちゃんかわいかった!(すべてが台無しになる一言)。

 逆に言いますと、レツ以外はキツイです。キルアは主人公だったのでアリとするにしても、クラピカとか幻影旅団を期待してた人はどうすればいいのさ、ってレベル。
 特に旅団ですね。まず、なによりも、全員出ませんしね。どっかで映画用に描かれた幻影旅団の集合絵とかあったと思うんですね。とんだ詐欺企画でしたよ。
 死んだウボォーギンを出すために用意したようなオモカゲの人形使いって能力はよかったんですけどね。所詮映画なんてファンサービスですから。ウボォーはよかった。ノブナガが出てきて、ウボォー人形を殺す、って展開も熱かったです。まぁ、ノブナガが出てくる度に鳴る和風な曲(音)はダサイんですけどね。テレビシリーズでもお馴染みでしたが。なんというか、『エクスペンダブルズ2』でチャック ノリスが登場する度に『続 夕日のガンマン』のテーマ曲が流れるヤツみたいにギャグっぽいんですよね。
 ウボォーの他にもオモカゲの戦闘員として、フランクリン、フィンクス、フェイタン、団長とか出てくるんですよ。このごった煮感は楽しいじゃないですか。なんだけど、致命的にみんな弱いんですよね。本作の主人公サイドであるゴン、キルア、クラピカ、レオリオに対してあまりにオーバースペック。ということで、取られた措置が人形の弱体化。オモカゲの能力不足な知りませんが、人形元の強さを全然再現できてませイ‥‥それ一番やっちゃいけないヤツや。興醒めでした。せめて、クラピカの鎖を知らないオモカゲが油断してたら、中指無双で旅団人形を一網打尽、とかならいいんですよ。中指って旅団にか使えないけど、人形ならアリですし(絵面的に)。
 人形だとしてもさ、団長がベンズナイフ使ったり、インドアフィッシュする、ってどういうことだよ。ナイフも人形化って意味わかんねぇし、インドアフィッシュって格下相手に無双する技じゃない。しかも、ゴンたちがインドアフィッシュに苦戦してると、ヒソカ登場! ‥‥ん? 戦ってたのは密室っぽかったけど、ヒソカがそこに入ってきたってことはインドアフィッシュ解除されないとおかしくね? 逆に解除されないということは、ヒソカはインドアフィッシュ発動時から密室内にいて、ゴンたちがピンチになるのを待ってたってことだよ。だせぇよ、ヒソカ
 フランクリンの技も超弱体化してて、ただのマシンガンくらいの威力でしたね。堅使えば防げたと思う(まだ使えないけど)。フェイタンはまだ能力解禁してないからアレだけど、剣ということで最低限の個性はあった。問題はフィンクスだよ。まぁ、肉弾戦しかないキャラだからさ、弱体化すると、完全に個性が死ぬんですよ。一応本体が、解禁前のリッパーサイクロトロンを使ってたらしいんですが、技名をコールするだけで肝心の腕ブンブン回すトコが全然映ってないのでこれまた残念。
 弱体化と言ったら、旅団の他にもイルミですよ。イルミ人形はワーストクラスに酷かったですねぇ。何よりも弱さが目立ちますねぇ。原作では強さの指標がそこそこ示されてるキャラだけど、アニメ版だとまだまだ謎の段階だからうまく描けないのはわかるんですよ、イルミを強そうに戦わせるのは至難の技だと思います。‥‥けど、わざわざイルミを人形にして出したのはアンタらだろうがよ!!と声を荒らげたくなるレベル。針もただ投げるだけの手裏剣程度。他は肉弾戦。ものすごく滑稽に見えます。そもそも人形使いのオモカゲとか、イルミの下位互換にしか思えないんですよ。その2人を並べるって悪手にしか思えません。

 そもそもね、バトルが全体的にダサイんですよ。テレビシリーズだと悪くなかったと思うんですけどね。団長vsシルバゼノ戦とかよかったし、クラピカvsウボォー戦もそれなりのレベルだったと思うんですが。本作は全部ダメ。
 多分、これも人形の弱体化と同じだと思うんですが、弱いキャラしかいないんですよ。当然バトル描写に光るところがないってのが大問題なんですが、その上、バトルが意味する理屈の部分でも全然燃えないです。だって、幻影旅団編が終わったばかりのゴンとキルアがメインで戦うんですよ? まだ念覚えたばっかじゃねぇかよ。作品の中ではもっと強そうで、おもしろい戦いをするキャラが山ほど出てきてるんですよ。それなのに、なんの能力もない、大して強くもないゴンとキルアっていうね‥‥。はぁ‥‥そうですか‥‥。
 味方サイド最後の良心はクラピカなんですが、鎖をなかなか使わないっていうね。せめて薬指くらいは使ったらよかったんじゃないんですかね。
 そして、本作のラスボスはオモカゲ。問題は山積みで、人形の弱体化から察するに、その戦闘力は旅団の戦闘員に遠く及ばないと思います。そんな旅団が怒ってオモカゲ探してるんですよ。えっ、じゃあ、任せとけばよくね? ゴンたちの活躍よりも旅団の活躍の方が見たいですし‥‥。それに旅団が本気出したら瞬殺できそうな力量ですので、全然緊迫感がないんですよね。「どうせ旅団さんがうまいことやってくれる」って思えるので。
 もう1つ、えぐい問題が、オモカゲが旅団じゃないこと。クラピカが本気出せねぇじゃん、と思ったら出してましたね。「お前を旅団と認識する」みたいな口上述べてましたが、あの旅団か否かって判定はクラピカが意識的に行うものではないんですよ。だから自分にも使う小指は旅団限定って縛りを外したワケで。あと、なにより小指の描写がダサイ。なにあのウネウネ。とっとと刺しちゃえよ。刺してからでもルール宣告できるんだからさ。

 あー、あと、書き忘れましたが、0巻に収録されてる「クラピカ追憶編」の内容が本作の中でも語られたのが残念ですね。知ってるもの。無理矢理回想を挟むので、物語がストップしちゃうのでいらなかったですねぇ。どうせならマンガの「追憶編」はいらなかった。「追憶編」で謎だった旅団が流星街の文言を使った理由は映画で明らかにならなかったのも残念。
 本作における「追憶編」パートですと、パイロの目がマンガ版よりも悪くなってるのが一番大きいですかね。目を奪うというオモカゲの能力を引き立てる目的なんでしょうが、だったら目が見えるようになったパイロが感動する描写とか入れればよかったんじゃないの? んで、それを見たクラピカが目を取り戻す気力を削がれちゃう、みたいな。
 あとは、小さいとこですが、「謝罪なんかいらない 死ね」がなくなってたのが残念でした。今回のアニメ版は、全体的に低年齢向けになってる嫌いがあるのはわかるんですが、テレビじゃないんだからそういう描写は臆することなくするべきだったんじゃないの? テレビじゃ出来ないグロだって映画なら出来るだろうに。テレビ放送時のことを考えて、とかそういうことなんですかねぇ。これだからテレビ局主導の映画はやぁねぇ‥‥。

 あと、エンドクレジット時にカイトが出てきたんですが、本アニメシリーズにおいては初出ですよね。原作知らない人は「お前誰だよ!」って話ですよ。冒頭にハンサイクロペディアを入れて一見さん対応した作品とは思えないですね。なんの意図があったの?
 なんか映画がもう1コ作られるそうですが、ネテロ押しだそうですよ。ここで、問題なのが、その映画を蟻編の後にやるのか、蟻編前にやるのか。
 蟻編の後だと、ネテロ死んでますので、時間軸を昔に戻すしかないですね。昔になるとゴンたちが弱くなっちゃうので勝算が見えないです。
 蟻編の前だと、ネテロの能力が解禁されてないので、本作のイルミみたいな描写しか出来ず、これまた詰み。
 おいおい、ネテロで大丈夫なのかよ‥‥。不安しか残らないよ。それに今更天空闘技場とか興味ないよ? バトルオリンピアでもする気? 主要キャラが誰一人として興味示さなかったのに?

 これは、ワタクシの聞き違いかもしれないんですが、ラストの空港で「カキン行き」とかアナウンスで言ってませんでした?
 カキンといえば、原作で布石まかれたばかりの暗黒大陸ですよ。あのアナウンスは誰かがカキンに向かうってことを示唆してたりするのかしら。一番有力なのはクラピカですかねぇ‥‥。となると、あのスーツ姿のクラピカが緋の目を保管していた教会はカキンにあるのか?
 ‥‥とか考えを巡らせるのもいいんですが、原作とリンクしてない本映画においてそんな考察をしてもしょうがないですね。そういうところで無理矢理楽しむしかないんですがー。

 はい、ということで、つまんなかったです。今年の映画初め『ルーパー』は大ハマリだったので「今年は幸先よさそうだなぁ」なんて思ってましたが、早速つまづきました。
 全体的に寒く、かろうじてブロマンス要素に注目すれば、そこだけは何とか‥‥というレベル。しかし、肝心のバトルが全部ダメダメだったのがねぇ、救えねぇ。
 30点。

HUNTER X HUNTER32 (ジャンプコミックス)

HUNTER X HUNTER32 (ジャンプコミックス)

週刊少年ジャンプ(2013年1号)の感想 - 北区の帰宅部
週刊少年ジャンプ(2013年2号)の感想 - 北区の帰宅部
 ジャンプ掲載時の「クラピカ追憶編」の感想が中盤くらいにあります。個人的にそこまでハマらなかったです。

映画『ONE PIECE FILM Z』の感想 - 北区の帰宅部
 同じx巻商法でお馴染みの作品。あちらはあんなにおもしろかったのにねぇ‥‥(遠い目)。