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マンガ『サイコメトラー』(7巻)の感想

サイコメトラー(7) (ヤンマガKCスペシャル)

サイコメトラー(7) (ヤンマガKCスペシャル)

マンガ『サイコメトラー』(6巻)の感想 - 北区の帰宅部

 超お久しぶりです。『サイコメトラー』7巻がついに出ました。6巻が出たのが去年の9月ですよ。半年ぶり。週刊連載にしては随分と遅いですね。連載は追っかけてないんですが、休載とかしてたんでしょうか?
 ‥‥なんて思ってたら、帯。

3月、4月、5月破竹の単行本3ヶ月連続刊行!!

 だそうな。なるほど。しかし個人的には規則正しく出してくれた方がうれしいです。
 まぁ、中身を読んでみてわかったんですが、今回の長編「黒眼鏡の死神」は7巻で完結しないんですよ。事件の真相で次巻まで引っ張るのは忍びないので毎月刊行、という配慮だとしたら読者としてうれしいですね。だとすると、この次の長編は8巻だけで完結しない、ということか。それはそれで困ったなぁ。

 いきなり脱線失礼します。
 ワタクシ、7巻をとても楽しみにしてたんですよ。というのも、6巻の感想を書いた時にコメント欄にて「次の事件は期待していいですよ」という感じのコメントを頂きまして。そんなん聞いたら期待が膨らむじゃないですか。そしたら6ヶ月待たされてしまって‥‥。
 おまけに、この6ヶ月間、「サイコメトラー 7巻」って検索をしてうちのブログ(6巻の感想)を訪れる人が後を絶たなかったんですよ。オフィシャルの情報がないから感想ブログが上の方でヒットしてしまう事態。「うちに来ても7巻の情報はなにも得られないよ‥‥」と大変申し訳なく思っていたワケです。だから一刻も早く7巻には出てほしかったんですが、6ヶ月‥‥。

 では本題。
 中身としては、6巻のラストに収録のブレイク回(みっちゃん)の後編に始まり、ブレイクが2話、そして長編「黒眼鏡の死神」となってます。完結しません。待て次巻。

みっちゃん

 まずはみっちゃん。ネコ耳メイドの巻後編。
 冒頭のミミガーってのは、「みっちゃん=ブタ」と「耳があぁぁぁぁぁ!!」って2つね。前巻と続けて読まないと忘れてしまいますね。

 そして、おっぱい。完全なギャグおっぱいですよ。「特に意味のないエロは好きではないんだけど‥‥」なんて思ってたんですが、胸部だけ脱いだメイドのおっぱいがエロかったです。コスプレモノは半脱ぎが相場ですが、メイドの場合はおっぱいだけでいいのかもしれない。いや、むしろおっぱい以外まで脱がすとか無粋なんじゃないか?‥‥何の話をしているんだろう。
 まぁ、おっぱいというのはヤンマガ仕様ですね。シリアス回でのおっぱいはあったけど、「さすがに初出しがギャグ回はまずいだろう‥‥」という兼ね合いもあったのかな、なんて邪推もしてしまいました。
 あと、下ネタ関連ですと、モブが言ってた「マヤちゃんのミルクおかわり」。おっぱいじゃなくて股間の方かよ。

 そしてみっちゃん。サルグツワを超越する食欲を発揮とかすごすぎる。ただの超人じゃねぇか。志摩さんの勘違いギャグが成立してねぇ。あれじゃ、マジモンの超人だよ。
 あとは、みっちゃんのマグナム。この日2発目なのに、刺激ナシなのにあの威力である。志摩さんに手コキされた1発目はパンツぶち破っても不思議じゃないです。

 最後は、まさかの「次回へ続く」的なフリ。「これはオキテ破りの‥」って何なんだ。オキテ破り感だと、男の娘とかか? いや、「どんなコスプレだよ」って言われてしまうんですが。

 あー、どうでもいい話なんですけど、ネコ耳の格好する時は、人間の耳を髪で隠そうね。そのが好みです。ウサ耳くらい一般化されたものならいいんだけど、ネコ耳だったら一応設定とか考えてくれよ、とか思ってしまいます。耳が2セットあるとかおかしいじゃないですか。

恵美ちゃんの恋人

 恵美ちゃん回来たでぇ。作品的にもちゃん付けされる恵美ちゃんが最強な気がします。
 順番の妙として、みっちゃんのド下ネタの後に恵美ちゃんを見るとなんか申し訳ないような、自分が恥ずかしくなるような、背徳感がヤバイです。

 超今更な話ですが、「血の繋がらないブラコン妹」ってものすごい設定ですよね。それなんてエロゲ?ってレベル。まぁ、昔からそうなんだからどうしようもないですが、現在だったらマジメ作品でこの設定はまず採用されないんじゃないかな、と思います。
 逆に言うと、「血の繋がらない妹」という設定をラブコメ以外の使い方をした深海くんの霊能力話ってのがとても好きです。新シリーズでも早く出ないかなぁ。

 話としては、恵美ちゃんとLINEをする馴れ馴れしいイケメンをエイジ&ユースケが発見して大騒ぎ、という感じ。
 ユースケはもちろんなんだけど、エイジが動揺してるのがイイですね。兄らしさが出てて楽しいです。変態に絡まれない恵美ちゃん回というのもポイント高いですね。
 動揺したユースケが気にするのが、「会う」と「逢う」の違い。高学歴キャラらしいギャグじゃないか。笑ってしまった。

 2人が心配する「恵美ちゃんがイケメンの変態医大生に‥‥」ってそれ、ブレイク回やないか。懐かしすぎるわ。馬用の浣腸だったっけ?
 過去作連想ネタですと、サイコメトリーで際どい下着姿を確認した際の、「恵美があんなエロい下着を自分で買って着るわけねえぞ?」。オイオイオイ。あるぞ。サヤカにそそのかされてエロい下着を買って自室で着てみたところをエイジが目撃、ってネタあったろうよ。記憶障害か。

 勘違いでボコられたシャンプーアンケートの兄さんマジ厄日ですね。それ見ても頬を染めて微笑んじゃう恵美ちゃんは盲目すぎる。いくらなんでもあれはイカンぞ。

 んで、オチ。犯人は恵美ちゃん。2台持ちとかこのコ策士である。恵美ちゃんがブラコンであることをこうやって間接的に描くのはなかなかよかったんじゃないでしょうかね。巻き込まれるユースケは災難ですが。
 ちなみに、エロい下着はサヤカね。今って付き合ってる人いるんでしたっけ? よく覚えてませんがー。

推定IQ220以上

 ちなみに金田一少年はIQ180です。やべぇ、勝てねぇ。『金田一少年の事件簿』における沢木ポジションの高遠がはじめちゃんと互角だとすると、「沢木>高遠」ってことになるんでしょうか。あっちのがエキセントリックなことやってるイメージなので少し解せない気もします。

 内容としましては、前シリーズの名物犯罪者の紹介。前シリーズ未読者に対する説明であり、前シリーズファンへのサービスということなんでしょうね。もちろん今後の布石でもあって。
 阿部さんも出てきて同窓会感ありますね。いつかまたイケメンモードの阿部さんが見たいです。

 具体的な中身としては、まず赤樹さんが化けて出てくる。「ヤベー男が帰ってくる」そうですよ。そして、その後志摩さんがデータの整理という形式で、幾島、カンナビス、沢木、という順で紹介。この流れだと、3人共帰ってくるって気もしますね。同時ってのが少し考えにくいんですが。

 御三家の内容としては、幾島はヨハネスブルグで組織の裏切り者を捕まえ、カンナビスはどこぞで絞殺&爆破、沢木は電話で株取引の指示。‥‥あれっ、リンゴちゃんしょぼくね? 前の2人が実力行使系だったのと対照的に裏から操る、っていう感じを強調したかったんでしょうが、すごさがいまいちわからなかったような気も。「龍兵でも出来そう」とか考えてしまいました。
 幾島は現在ヨハネスブルグだそうで。昔はコロンビアだっけね。組織ってのはやっぱ麻薬密売でもしてるんでしょうか。金だか力が好きですし。
 カンナビス先生は相変わらず女装してました。このブレイクの前に「恵美ちゃんの恋人」を挟んだ理由はハッキリしていて、「恵美ちゃんの恋人」がなかったら、みっちゃんとカンナビス先生が重なって見えてしまうからですね。まぁ、みっちゃんならカンナビス先生とやり合えるかもしれん。
 んで、幾島とカンナビス先生が一緒に仕事するそうで。沢木がハブられてます。やっぱり沢木の再登場は幾島&カンナビスとは別なのかな。

黒眼鏡の死神

 ようやく長編。ブレイクが4話も挟まったのは結構めずらしい気がします。
 おそらく今回のミスリード要員だと思われるバンドのマモルくんが気になりすぎる。デブなのに黄色い歓声とかただ者じゃないはず。

 んで、第一の犯行。「死んじゃえばいいのに」という小さな心の声からの、見開きドン。迫力ありましたね。怖いっす。
 また、電車にひかれるっていうとどうしても「処刑の塔」を思い出しちゃうんですよね。サチベエと同じくらい死体の損傷は著しいんだろうな、なんてことを考え出したら気持ちが悪い。ただ、周りの人の反応が「ユッケ食えね〜」とか「電車遅れる」とか冷たくて、サチベエの時とは違いますね。同じ死に方だけど、シチュエーションでこんなにも違うのか、と驚きます。

 単行本の感想でこんなこと書いても信憑性ないんですけど、1話で犯人わかっちゃいました。まぁ、ワタクシは「犯人わかる=ダメ」って考えがないので本作に問題があるとは思わないんですが。そもそも本作は犯人当てを楽しむ作品じゃないしね。それに今回登場人物(容疑者)超少ないし。
 今回ワタクシが犯人わかったのって「こいつっぽい」とかのカンじゃなくて、「死んじゃえ」って言ったタイミングで犯行があったのと、突き落とすシーンで加害者と被害者しか映ってないのがリアリティーなくて違和感だったんですよ。メタ的な要素でいうと「犯人の顔映りすぎ」っていうのもあるんですが。んで、「じゃあ アリサの心象風景じゃね?」って思ったワケで。本作ファンだったら精神が云々って方を疑うのが自然ですしね。
 つまり、今回のは犯人がわかっちゃった、ってのは描き方が全うだった証拠だと思うんですよ。話の語りの順序や描写が1つの結論に導くために構成されてるからこそ、わかっちゃったワケで。
 そう考えると今回の事件はよく出来てるなぁ、と自分の中で結論付けたくなります。今までの事件と違って、「これは前シリーズのあの事件っぽいな」っていうのが生じないってのもポイント高いですし。

 んで、2話目でアリサ説に確信を持ったのです。「普通じゃねえものを見た」「その場にアリサがいたのは間違いねえ」ってセリフが完全にそうですもんね。サイコメトリーだからこそ発生するこういうセリフが伏線っていうのは本作ならではの手法で超楽しいです。

 あとですね、細かいところでよかったのが、エイジがボディガードするために電車に乗るシーン。電車に乗る前にエイジが「バイクどうすんだよ」と愚図るんですが、これがエイジが普段電車に乗らないという情報を補強してるんですよね。「あんま電車とか乗らねーし」ってセリフだけで説明するんじゃなくてこういう周辺情報も入れてくるのがうまいなぁ、と思いました。
 しかも、エイジは普段電車に乗らない、という前提があるからこそ、アリサが電車内迷惑男についてエイジに対して説明する、というその後のシーンが自然になるワケで。さらには、エイジが迷惑男に注意しようとするのをアリサが阻止する、ってのが別の意味を持ってくるんだから素晴らしいじゃないですか。迷惑男に注意することに恐怖を抱いているのと、黒眼鏡の出現を邪魔するな、っていう。このシーンが素晴らしすぎて、もうそれだけで本エピソードは傑作認定したい気分です。

 他に好きなシーンとしましては。エイジがアリサの犯行を阻止するシーン。
 アリサが迷惑男を突き落とそうと背後から近づくんですが、コマで描かれるのは手のアップのみ。手のみを映すことで、黒眼鏡とアリサの境界線がゼロになる。そして、その犯行を直前で止めるのが、エイジの手。前の感想でも言ったかもしれないんですが、本作の主人公最大の武器であり特徴は手なんですよ。サイコメトリーをする時はもちろん、決めシーンでは手が象徴的に描かれることが多いワケで、今回もそれ。さらに阻止した手からサイコメトリーして、過去の犯行を確認。
 この流れがもう自然でねぇ。流れるような展開にウットリしてました。今回の事件で一番盛り上がるトコをこれだけ華麗に描かれちゃったら、もう降参です(何と戦ってたんだ)。

 まぁ、ということで、今回の事件はかなり満足度高かったですよ。事件の形式も謎も新鮮だし、その見せ方もキレッキレで相当レベルが高いんじゃないですかね。まだ終わってないけど。

 ついでなんで、あと小ネタ的な部分についても。
 木を描かせる心理テストが懐かしかったですね。「時計仕掛けのリンゴ」でも出てきましたね。リンゴは破壊衝動でしたっけ?
 また、その心理テストの紙をサイコメトリーという展開がおもしろかったです。確かにあの紙には深層心理が詰まってそうですもんね。

 それと、アリサ父のクレームを見開きで見せる4ページ。「なげぇww」と笑ってしまいました。まぁ、それだけの狂気ということで。
 がんばって読んでみたら、おもしろいのがいくつか。
 料理に対するクレームはさながら「殺人シェフ」ですね。トオル母に逆ギレされるのが関の山です。 
 あと、メタ的なギャグだと思われる、「サイコメトラーの3巻だけいつまでもないの、なんとかしろよ」。正直言って、読んでるワタクシはつい先日まで、「7巻がいつまでも出ないの、なんとかしろよ」っていう気持ちでした。誰にもクレーム言ってないからセーフ。
 最後に。「あんたの店で買ったワイン、なんか劣化してるみたいなんだよね 酸っぱいんだけど。店長呼んでくれる?」。これまた「殺人シェフ」の回なんですが、沢木晃が同じこと言ってましたよね。ギャグなのかたまたま被っただけなのか判断が付かないんですが、本作で最もクールな犯罪者として描かれる沢木晃のことを迷惑クレーマー扱いしてたのには爆笑してしまいました。

 「黒眼鏡の死神」終わり。あとは、犯人を救うためにサイコメトリー、という展開なんですが、待て次巻。来月というのがありがたいじゃないですか。
 予告。迷惑客だらけの電車の中へサイコメトリーでダイブするそうです。精神世界に行くとか相当新鮮な展開ですね。新シリーズは犯人に対して、「彼もまた被害者なのよ」という救済の視点を多く入れてると思うんですが、今回もそれですね。心の傷をサイコメトリーで救済、というのが本作にしか出来ない展開なのですげぇ好きですよ。ましてや今回は変態犯罪者の回じゃないですからね。犯人を救済するという展開が必要不可欠に思えます。
 んで、気になるのが、沢木晃登場の件。やっぱ直前のブレイクは布石だったワケだ。作者的に、殺人の動機(衝動)のある人物に殺人計画を授けるという『金田一少年の事件簿』高遠パターンってのが連想してしまうんですが、正直言うと、それは別にいいかなぁ。てか、今回の事件は既に十二分に満足してしまってるので、これ以上のトッピングは特にいらないというか。まぁ、沢木がアリサの中の死神を呼び起こすスイッチを押してた、とかそんなんでしょうかねぇ。‥‥いや、ダメだ。単行本派のワタクシが今後の展開予想するとかナンセンス極まりないわ。だって、連載派の人にとっては超過去の出来事ですもんね。恥ずかしいだけ。
 いかんいかん、予想はしない。単行本派の身で感想書く時の個人的なルールですね。予想したけりゃヤンマガ読めよ、って話です。

 まぁ、ということで、おしまい。今回の感想はかなり長くなった印象なんですが、それも偏に内容が充実してたってことなんじゃないですかねぇ。ブレイク回も方向性の違う3本で飽きなかったし。
 次巻は4.5発売。1ヶ月切ってるとかうれしすぎますね。正直事件の続きはそこまで気にならないけど、次の事件は気になります。今回くらいのレベルを期待してしまうんですが、「高望みかなぁ」って思ってしまうくらいには今回の事件好きです。

マンガ『サイコメトラー』(8巻)の感想 - 北区の帰宅部