北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『パシフィック・リム』の感想

司令官「私にいい考えがある」

 期待度の高さでは今年最高レベルの1本『パシフィック リム』観てきました。あまりに期待していたため、遠路はるばる成田まで行ってきましたよ。成田のIMAXはスゴイらしい、という噂を信じて。

 ↑成田のIMAXのここがスゴイ。劇場が完全に後付け。そこらへんにある(日本の)IMAXシアターは既存のシアターをリフォームしてIMAX仕様にしているけど、成田のIMAXは新築。IMAX用に建物ごと作ってしまったのである。
 成田のHUMAXシネマは建物の2階にあり、IMAXシアターもそこから連絡通路で繋がっています。ただ、そこはIMAX用の建物なので1階には何もありません。だだっ広い駐車場が存在するだけです。なので、1階の駐車場を歩きながら、「元はただの駐車場だったんだなぁ‥‥」と上を見ながら悦に浸るのがオススメです。映画館だけの建物って最近なかなか見ないですよね。

 ↑そんなIMAXの感想を先に。
 スクリーンの大きさでいったらもっと巨大な劇場もあると思いますが、壁一面がスクリーンになっているのはIMAXならでは。あの劇場には行った瞬間の高揚感はなかなか味わうことができません。
 『パシフィック リム』は後付け3Dながら、3D映像にもかなり凝った作品だとは聞いていたのですが、正直3D自体はフツーだったかな、という印象。まぁ、悪いとは言わない。3Dに嫌悪感抱いてない人ならとりあえず3D版にしとけ、ってレベル。
 あとは、音ですね。アホみたいな音響効果があり、劇中で怪獣が、巨大ロボがのっしのっしと歩く度に地響きが起こります。スクリーンが視界いっぱいに広がる席だったこともあり、映画への没入感がハンパなかったですよ。

 そんな中、最高のIMAX体験だったのが、本編開始前に入るイントロダクション映像(IMAXあるある)。
 前にIMAXに行ったのが『ダークナイト ライジング』だったこともあり、3Dは久々だったんですよね。IMAXの3Dというと、数字がカウントダウンする例のアレ。観るのは初めてじゃないけど、たまらなかったです。2013年のベスト映画決定!!と言いたくなるレベル。

 てなワケで、IMAX 3Dで観てきました。吹替版です。
 吹替版は基本的に素晴らしかったと思うんですよ。唯一のタレント声優であるケンドー コバヤシはエンドクレジット見るまで気づかなかったくらい滅私していて、フツーにうまいと思いました。そういえば、いつぞやの『ドラえもん のび太の人魚大海戦』でも声優やってましたね。あの映画はさかなクン真矢みきがヒドかったので忘れがちですが、ケンコバうまかったですよね。ちゃんと誰だかわからない程度に個性を殺してくれるのは嬉しい限りです。
 逆にいうと、プロの声優陣の方が気になったというか。有名声優が揃い踏み、というのが本作の売りなのですが、個人的な好みとしては、観てる最中に「この声はあの人!」とか思いたくないんですよね。その思考がノイズというか。英語マスターしすぎて日本語に聞こえるぜー、と錯覚させてくれるのが理想のバランスです。わがままなのは自覚してますが。
 吹替版だと、エンドクレジットの時に吹替のキャストやスタッフの名前が字幕で出るんですよね。通常のクレジットに添えて。この手の形式は初めて見たのですが、かなり良かったです。

 あらすじ
主人公「もうイェーガー乗りたくない‥‥」
司令官「ここで死ぬか イェーガーの中で死ぬかだ」
主人公「乗ったるぜ!!」

 予告の段階で楽しみにしていたのは、巨大ロボと怪獣のプロレスでした。その期待は概ね応えられたと思います。冒頭から怪獣は出てくるし、「もう乗らないって決めたんだ」みたいにウジウジ悩まないのもサイコーでした。
 怪獣プロレスでは、香港でのバトルが素晴らしかったです。怪獣の2体同時出現、特殊能力を披露する怪獣、瞬殺される味方ロボ、絶体絶命のタイミングで登場する主人公、主人公の必殺技、怪獣の本気モード‥‥もうすべてがサイコーでした。怪獣が翼を広げ、咆哮をあげながら見得を切るシーンにはあまりのカッコよさに鳥肌立ちましたよ。「ぶっ潰せ!ジプシー!」という応援する一般人目線が入るのもとても好みです。まぁ、こいつもパイロットなんですが。

 ただ、この怪獣プロレスにも不満な点はありまして。
 まず、夜が多いトコですね。せっかくの怪獣がよく見えないじゃないですか。出てくる怪獣はカッコイイのですが、どれも結構似ていたりするのでよく見えない状況だと区別が付かないのですよ。
 そして、バトルシーンでアップが多すぎたのもちょっとしたストレスでした。夜の話と同じですが、怪獣の全体像がよくわからないんですね。香港のシーンでは2体の怪獣が出てくるんですが、暗くてアップが多いため、「今襲ってきたのはどっち?」と割とマジで混乱しました。
 そんな2つの状況が最悪の形で融合したのが、ラストの深海戦でして。暗いし、アップ多いシチュエーションで怪獣が3体も襲ってくるもんですから、もうワケわかんないですよ。水中ですから前後左右に加えて上下までありますからね、各イェーガー各怪獣の位置関係がまったくわからなかったです。さらに水中だから動きにくい、という。ラストバトルは全力vs全力が見たかった‥‥。香港でのバトルがよかっただけに、尻下がりに感じてしまいました。

 アップが多くて位置関係がわからない、というのは『トランスフォーマー』でも似た感じでしたね。巨大ロボですし(厳密には違う)。ただ、『トランスフォーマー』は昼間でしたし、変身も合体もあって、グロまでありますからね、巨大ロボのバトルという意味では『トランスフォーマー』の方が質が高いのではないでしょうか。怪獣がいないのが問題ですが。
 『トランスフォーマー』より良かった点としては、巨大ロボの見た目がハッキリと違う点ですかね。一目で区別が付くのはよかったと思います。お国柄、パイロットの個性もあるので、キャラが強いのですよね。ただ、ジプシーデンジャー以外の活躍が皆無なのは残念でした。設定とか調べて脳内補完しなかったら、ただの雑魚という認識しかありませんよ。

 似た作品でいいますと『アベンジャーズ』ですね。時空の歪みが生じて、そこから別世界の兵隊がわんさかやってくる、という設定が同じです。ただ、本作の場合は本編が始まった途端に時空の歪みが開く、という景気の良さが素晴らしいです。
 あと、その時空の歪みに入って潰す、という点も同じでしたね。核爆弾か原子炉か。正直、原子炉のメルトダウンを嬉々としてカウントダウンしてるのにはちょっと引きました。『アベンジャース』の方では、トニー スタークが核爆弾を捨てる、という行為自体にドラマがあるので感動的なんですけどね。まぁ、シリーズモノじゃないとそういう細かいフリは難しいんですかね。

 ちょっと引いた、という点ではラストのオーストラリア親子の息子が死んだトコもそうでした。あそこは司令官だけが自爆して、息子は脱出すればよかった気がしてならないです。主人公はそうやってただけに気になりました。
 息子が死んだのに悲しむ気配がない親父の方もちょっとどうかと思いましたし。まぁ、そういうセンチメンタルな描写が少ないのが本作の魅力なんでしょうが。


 大満足なんだけど、気になるトコもあったよ、という印象。100点を期待してたら85点だった、という感じ。まぁ、香港でのバトルがサイコーだったので何度でも見返したい作品ではあるのですけどね。
 85点。

Pacific Rim Original Motion Picture Soundtrack

Pacific Rim Original Motion Picture Soundtrack

余談

 好きなマンガで似たシーンを見つけたよ、のコーナー。

 ↑本編観ながら「あぶない!なんでもとかしそーな液だ!!」と叫びそうになってしまいましたよ。
 ちなみにこの『サイボーグクロちゃん』の方では、何でも溶かす液を噴出した口が溶けるというギャグに繋がります。怪獣の口は丈夫でよかったね。
 この旨を映画館の帰り道にツイートしたら作者(を含む公式アカ)にRTされたのもいい思い出です。