北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『かぐや姫の物語』の感想

翁萌えに目覚めましたおはようございます

 話題作観てきました。日時の都合上、初日の夕方に観たんですが、意外と混んでなかったです。なんとなくヒットするのが当たり前だと思ってたんですが、どうなるんでしょうね。

  • あらすじ
    • 帝のレイプ未遂

 本作を観て真っ先に思ったのは、「竹取りの翁かわえぇ‥‥」でした。開幕から子育てに奮闘する翁、子供の成長に驚く翁、子供の幸せを勘違いして喜ぶ翁、と翁が感嘆の声を挙げる度にキュンキュンしてました。動き、仕草もかわいいし、声とのマッチも素晴らしいですよね。地井武男‥‥。

 一方、嫗。演じるのが宮本信子で、ナレーションも担当しているので、『あまちゃん』を連想してしまいました。そういえば、主役は(朝倉)あきちゃんですね。
 ‥‥まぁ、個人的に『あまちゃん』はハマらなかったので、途中で観るのやめたんですけど。

 そんなが子育てのためにおっぱいを出すシーンで驚きました。ババアのおっぱい!! 乳輪でけぇ!!!
 おっぱいの出てくる子育てアニメということで『おおかみこどもの雨と雪』を思い出しました。その時にも思ったことなんですが、アニメだとキャラクターの同一性が保てるんですね。実写よりも。赤ちゃんから、子供、そして思春期、大人、と子供の成長を描く作品を撮る際、実写だったら違う役者を使うしかないじゃないですか。それでも同じキャラクターだと伝えるためには、身体的特徴や言葉遣い、仕草という演出が不可欠だと思います。『パシフィック リム』観て、「菊地凛子の幼少期が芦田愛菜ってww」って思ってしまったものです。
 アニメだとそういう回りくどさは必要なくて。姿形が変わっても同一人物だということが容易に伝わるから子供の成長を描くのに適しているのではないかと。
 『かぐや姫の物語』だと「急速に成長する不思議な子供」という設定なので、成長する過程がそのものズバリ描かれているんですよね。これは本作の見所の1つだったと思います。

 詳しくないなりにアニメーション的な話をすると、アニメーションのおもしろさの根元は絵が動くことだと思うのです。動くことで、「絵が生きてるみたい!」という感動が生まれる、という具合ですよね。
 本作の中で、都に行った主人公は徹底的に「高貴な女性」になるための教育を受けます。それに対して主人公は反発するんですが。この「高貴な女性」の動きってアニメ的な喜びが少ないんですよ。感情を極力表に出さず、立ち上がる時や歩く時に姿勢を崩さない上、走るなんて以ての外。本作の主人公はコレに反発するため、本作では「高貴な女性」としての動きはそれほど多くないですが、絵の動きが少なくて視覚的にあまりおもしろくないんですよね。そんな観客としての感情と主人公の感情が絶妙にリンクしてるのがおもしろかったです。
 そのため、抑圧された主人公がその感情を爆発させて、走り回ったり、挙げ句空を飛んだりするシーンは観ていて超楽しいんですよ。飛翔シーンの高揚感ったらなかったですね。

 物語のラスト、かぐや姫は月に帰ってしまいます。まぁ、原作通りですので、当然知ってましたし、驚くことは何もないんですが。ただ、そこで悲しむ翁があまりにかわいそうでね‥‥狼狽える翁を見てたら不覚にも涙腺にきました。ちょっとヤバかったです。
 その月に帰るシーン。羽衣を着たら記憶が消える、ってなるですけど、あの羽衣をかけるヤツ、かけるタイミング、意地悪すぎねぇ?? 「ちょっとは空気読めよ!!」と声が出そうになってしまいました。まぁ、それだけに不意打ちを喰らってしまいまして、悲劇性が高まったとも言えるんですけどね。あのかぐや姫から記憶が消え、表情が消えるシーンは『WALL-E』を思い出してしまいました。あの映画のあのシーンも観る度に涙腺がヤバイんですよねぇ。
 『WALL-E』ではカップルのキス(同期)によって記憶を取り戻すんですが、かぐや姫はそのまま月に帰ってしまいます。まぁ、とんでもない悲劇なんですが、一応救いはありまして。記憶を失った月に行くシーン。月に近づくにつれて、画面の色合いがどんどん薄れていって、最終的にほぼモノクロになってしまうんですね。そんな中、かぐや姫が地球を背にしているシーンで画面に色味が戻ってくる。すると、かぐや姫は後ろを振り返って‥‥というシーン。具体的にかぐや姫が記憶を取り戻したのか、どの程度取り戻したのか、ってのは全然わかりませんが、暗闇の中で一筋の光を見出したかのような救いになってたと思います。あのシーンがなかったら、心底どんよりした精神状態でエンドクレジットを迎えたでしょう。
 あと、救いという点に関しては、エンドクレジットで流れる主題歌もそうですね。歌詞の中で、「いまのすべては過去のすべて」とか、「必ずまた会える」とか、「必ず憶えてる」とか言ってくれてるんですよ。まぁ、歌詞がそうだからって「かぐや姫は忘れてなかったんだよ!!」的な話にはなりませんけど、それでも映画を観終わって映画館から出て行く時の気持ちが大分晴れやかになりましたよ。イイウタデシター。


 ということで、おもしろかったです。『風立ちぬ』にはハマらなかったワタクシですが、こちらは楽しめたのでよかったです。高畑勲作品に特別馴染みもないので、観るか悩んでたんですが、観に行ってホントよかったですよ。
 80点。

映画『風立ちぬ』の感想 - 北区の帰宅部
 いまいちハマらなかった作品ですが。

あまちゃん 完全版 Blu-rayBOX1

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 いまいちハマらなかった作品その2。

 「かぐや姫」を扱った作品の中で個人的に最も馴染みがあるのはコレだったりします。出てくるのはかなり後半でしたっけね。