北区の帰宅部の意訳

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『サイコメトラー』(15巻)の感想

サイコメトラー(15) (ヤンマガKCスペシャル)

サイコメトラー(15) (ヤンマガKCスペシャル)

でぶせん(1) (ヤンマガKCスペシャル)

でぶせん(1) (ヤンマガKCスペシャル)

マンガ『サイコメトラー』(14巻)の感想 - 北区の帰宅部

 先に『でぶせん』の話をば。
 マンガボックス掲載分は既に読んでたんですが、ヤンマガに引っ越してからは放置してました。まぁ、それが『サイコメトラー』の方と同時発売だったので買いました。‥‥実をいうと本屋で発売してることを知ったんですよね。隣に置いてましたので。

 そんな『でぶせん』。みっちゃんのスピンオフ。といっても、『サイコメトラー』のブレイク回と違って、立派な(?)学園モノになってるのが特徴ですね。ひょんなことから教師にみっちゃんが偶然によって問題を解決していく、という。
 ブレイクではない長編ですので、勝手は少し違いますよね。状況の説明的なこととか、今後の布石みたいな描写が多いので、ブレイクのような気楽さはない。その代わりスケールのでかさや、いつまで経っても事件が解決しないみっちゃん地獄な感じが味わえます(ホメてます)。
 まぁ、とはいえ、ブログに感想を書くかどうかが非常に悩ましいのです。今回は同時発売だからついでに書けるけど、今後は別日になることが予想されるでしょう。そうすると、わざわざ『でぶせん』の感想を独立して書くのもめんどいなぁ、と。

 とりあえず、軽く感想を書くと、やっぱ運命のイタズラ的にみっちゃんが活躍するトコはおもしろいですよね。くまモンを懐柔するシーンとか笑ってしまいます。
 それと、個人的に凶器持ってる女の子というのは好物ですので、百鬼丸の子も好きですよ。ああいう一見、というかどう見てもギャグでしかないキャラが特にツッコミもなく成立するのは『サイコメトラー』よりもフィクション性の高い『でぶせん』ならではだなぁ、と。
 あと、女の子みたいな男の子。性別不詳と言えるレベルに中性的なキャラ、というのは本作に限らず流行ってると思うんですけど、こと本作においては物語的にも重要ですよね。主人公であるみっちゃんも性別がひっくり返ってるキャラですので、あの子とみっちゃんは対になってると思います。みっちゃん自身も高校時代にはイジメに遭っていたので、彼はみっちゃんの分身とすら言えるかもしれない‥‥おもっくそ美形になってますけど。とりあえず、「かつての自分を救えるか」みたいなテーマがある気がするんですよ。まぁ、それにしては彼へのイジメ描写が少ないんですけど。とはいえ、思えばクラスに入って一番初めの騒動は彼がキッカケでしたよね(正確に言うと彼の裸を見てデカくなったみっちゃんマグナム)。今後どこまで続くのか、どのように続くのかはわかりませんが、彼が密接に絡んでくるのは間違いないのではないでしょうか。
 ということで、『でぶせん』感想終わり。

 以下『サイコメトラー』15巻の話でござんす。
 収録内容としては、「黒い山羊」が10話。始まりから終わりまでキレイに収録してある巻というのは結構珍しいんじゃないですかね。いや、連載は追ってないので、アレで「黒い山羊」が完結したという絶対の自信はないんですが。さすがに終わったでしょうアレ。
 ではー、以下、本編を順に追って。

 話の導入が2ちゃん。最近の2ちゃん頻出っぷりが異常ですね。好きなのか。
 んで、そこでエイジが“高校中退じゃブラック企業ぐれーしか雇ってくんねーだろうからなあ”って言ってますけど、今回の事件の動機に繋がりますね。何も知らずに読んでたら終盤になって「あー!あの時エイジが言ってたのは伏線だったのか!」って驚けますけど、単行本の帯に“ブラック企業の暗部をえぐる生き地獄の実体をまざまざと!!”って書いてあるんですよね。
 ひょっとして:ネタバレ

 登場時、エイジを追いかけてハァハァしてる恵美ちゃんかわいい。『全力坂』の魅力ってこういうことか。‥‥脱線ですけど、先日『全力坂』の撮影現場に遭遇しました。
 んで、さやかも登場。すごく新鮮なんですけど、新シリーズになって初登場か? 自信ないけど、そんな気がする。さやか見ると、「ユダ」を思い出しますわ。バーガー屋の店長と「汝は処女か」。

 第一の殺人。無差別テロというのは非常に珍しくてイイですね。‥‥と思ったんだけど、最終的にはミッシングリンクありました。まぁ、それでも個人単位の話じゃないから目新しいですよ。殺人が社会全体に影響を与える、ってのも今までになくスケールの大きい話です。

 野良Wi-Fi。今回出てきたのは個人がパスワード設定してないWi-Fiのことでしたけど、コンビニとかで飛んでるWi-Fiでも大丈夫なんでしょうか。いや、テロ予告する予定とかありませんけど、そっちの方が身近だなぁ、と。セブンイレブンとか飛んでますよね。まぁ、それは野良じゃなくてフリーWi-Fiになるのか。

 そんなWi-Fiという電波の範囲から犯人(の残留思念)を探し出す、というのはおもしろかったです。Wi-Fiは送受信する電波で今回の犯人的には送信に利用したワケですけど、エイジのサイコメトリーは思念を受信する能力ですからね。Wi-Fiが送受信できる半径は、エイジが受信できる半径よりも大きいですが、そこから志摩さんの推理によってさらに絞り込み、円を重ねていく、というのがよかった。やってることは、超能力操作なんだけど、野良Wi-Fiの位置を特定してどうこうって部分が一般の操作と同じで、その2つが合わさって本作独自の操作になる、ってのが楽しいです。これも無差別テロならではの味わいかもしれませんね。

 サイコメトリーしたら「くぱぁ」。このネタまた出てくるとはw どんだけ好きなんだ。
 ただ、エイジの頭で「くぱぁ」部分を隠してるのは下らなくて好きでした。ああいうのは隠すだけでギャグになるから大好きです。

 サイコメトリーが難航してイラついたエイジが自販機をドン。すると、自販機の作業員が驚く。
 ‥‥訓練されたファンだったら、この時点で「このモブが犯人なんだろー(鼻ほじ)」ってなると思います。「殺人シェフ」のパターンですね。「殺人名探偵」もそうだったっけか。まぁ、根拠のない決め付けなので、ここで犯人がわかった所でなんの意味もありませんw
 まぁ、自販機から何かが読み取れた時に、エイジがもっと集中してればその場にいる白髪の男から異常な思念を読み取れたんですけどねぇ。惜しかったですね。まぁ、「たまたま犯人とすれ違ったから逮捕できましたー」じゃ作品としてつまらなすぎる。

 事件が大事になったためか、阿部さんも参加。必要な時だけ協力してくれる、というケースはありましたが、ここまで本格的に協力してくれるのは珍しいですね。
 目の前でサイコメトリーするのをワクワクしながら見てる阿部さんかわいい。

 サイコメトリーでたどり着いた救急車の履歴から、プロファイリングで絞り込んでいく、という作業が超楽しい。これは例えば『金田一少年の事件簿』みたいな容疑者リストが全員分挙げられていて、そっから犯人を当てる、という作業とは全然違いますよね。不確かな情報で絞り込むとミスを起こすので、絞り込むのではなく確実にあり得ないものを切り捨てていく(女や名前に白)、というのも地味ではありつつも着実に犯人に近づいてる感じが出てイイですよ。数人の容疑者から追いつめていくのとは違って、数字で「60分の1」から「5分の1」まで追いつめたのがわかるので操作の進展がリアルに感じられるというか。
 ‥‥まぁ、最終的にこの5人の中に犯人はいなかったワケですけど、このリスト自体は大いに役立ちましたよね。

 そんな「5分の1」の中に、まさかのみっちゃんww これは笑うわ。くっそシリアスだったのに。そしてエイジたちはシリアスなままなのに、読者だけ気づいてしまう馬鹿馬鹿しさ。
 そして、本人的にはクソマジメなエイジと志摩さんがみっちゃんちに突入。おおっ、「ついにこの部屋に入るのか‥‥」という感慨深い気持ちになります。
 サイコメトリーしたら、今までのみっちゃん事件がプレイバック。確かに死体遭遇率は高いよなw
 『でぶせん』の宣伝というか、橋渡し的な意味があったんだと思いますけど、『でぶせん』関係ないギャグとしても超楽しかったですよ。ぶっちゃけブラックゴートの事件とは1ミリも関係ないんですがー。まぁ、そこはファンサービスということで。

 赤樹さんが夢の中からコンニチハ。今後、赤樹さんと本格的に絡んでくる事件ってあるんですかねぇ。『スターウォーズ』よろしく赤樹さんが霊体化して‥‥というのは言い過ぎだとしても、赤樹さんの過去に関連した話が出てくるのはありそうじゃないですか。てか、リエはよ。

 んで、単行本にして、3分の2くらいの位置ですかね。犯人が発覚。今までの事件と比較したワケじゃないから断言は出来ないけど、かなり早いんじゃないでしょうか。犯人がわかっても次の犯行を阻止しなければ意味がないので、ミステリーは完結してもサスペンスは持続するスンポーですね。

 ブラックゴートの意味。本シリーズの殺人鬼には大体通り名が付けられますけど、今回の「ブラックゴート」は犯人自身が名乗ったものなので、特別な意味が込められてる、というワケですね。
 過去に自称した通り名っていうと、アップルとかがありますかね。あれも心理学的な意味ありました。

 地下鉄の駅にて、犯人と対峙。志摩さんが問答無用で発砲してることが事態の緊迫度を示していますね。いつもだったら、ここで膠着状態になって、サイコメトリーでカウンセリングして解決、そんな流れでしょう。だけど、今回は犯人は取り押さえたけど、毒ガスが巻かれてしまって別のサスペンスが生まれる。犯人の標的が個人ではなくビルの中の人全員という不特定多数(特定はされてるけど)なこともあり、いつもとは全然違った状況ですね。これは新鮮で楽しいですよ。

 いろいろあって無事解決。まぁ、その場に居合わせちゃったオッサンは死んだのかしら。不運である。
 ということで、犯人の犯行までの経緯紹介。まぁ、本作は、特に『サイコメトラー』になってから、特に特にここ最近の事件は犯人のトラウマや境遇が壮絶すぎて、その壮絶さが作品の特色、変な言い方をすれば魅力になってると思うんですよ。「ラストドラゴン」とか「ペニスコレクター」なんて読んでてゲロゲロじゃないですか。んで、今回。今回のは気持ち悪いまでの凶悪犯罪というのではないものの、読んでて「うわぁ‥‥」とドン引きするような類だったんじゃないですかね。
 心底落ち込むんだけど、このドンヨリとした感情になるのを楽しみにしてる、という側面があるのも事実です。今回は無差別テロ(に見える)だったので「チンコちょん切られちゃいましたー」みたいな猟奇殺人としての魅力がありませんでしたが、ラストのパンチ力で帳尻はあったんじゃないでしょうか。


 ということで、終わり。終わりでいいんだよね? 連載は追っかけてないけど、この後「黒い山羊」のエピローグ続いたりしないよね?
 まぁいいや。そんな「黒い山羊」。おもしろかったですよ。特に、Wi-Fiと救急車リストのくだりが好きですね。みっちゃんにも笑ったし。うむ、満足です。
 『でぶせん』の連載形式を全然把握してないんですが、『でぶせん』と『サイコメトラー』って同時連載なんですかね。交互になるのか、しばらくお休みなのか。まぁ、単行本派のワタクシは気長に次巻を待ちますよー。