北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

映画『暗殺教室』の感想

これなら抜ける(触手が)

 ワタクシはジャンプの感想をブログに書く、というのを週課にしてる者なんですが、今回の映画は完全にジャンプ読むついでという感覚です。多分だけど、原作の感想だったら第1話から全話書いてあると思います。
 映画を観てきたワケですけど、今回に限っては原作の延長として、という意識でしか観てません。大げさな言い方ですけど、研究の一貫として、みたいな感じ。まぁ、原作の方の作品理解に繋がったらいいなぁ、的な。
 なので、ほとんど原作との比較みたいな話になると思います。

 今回の記事はいろいろとネタバレですので、原作を含め全部知ってる人以外は気を付けてくださいね。全方位的にネタバレです。
 映画の続きの話もしますけど、それは「原作がこの後こうなるから‥‥」というものですので、大体は当たるはずです。1作目の感じからして、原作から大きく変わるとも思いませんので。
 ちなみに、ワタクシは単行本未購入の完全な連載派ですので、ネタバレの位置が微妙にズレてます。例えば「連載だと今○○の話してるんですけど‥‥」みたいなこと書いたらネタバレになるでしょ。気を付けてね。

  • あらすじ
    • 1学期

 ジャンプの感想読むとわかるんですけど、ワタクシが『暗殺教室』という作品にハマってるのはほとんど主人公の渚というキャラクターに起因してまして。今回も「実写だと渚くんどんな感じかなー?」という確認が目的でした。予告を観た段階で、「これは期待できる‥‥!」という感じだったのです。
 んで、渚というキャラクターの何が好きかってなると‥‥かわいいんですよね。ジャンプ記事以外でこういうこと書くの恥ずかしいんですけど。
 原作読めばわかると思うんですけど、作者は明確に、渚という男子が女性視されることを理解して作劇してるんですよ。てか、そういう風に仕掛けてる。簡単にいえば、中性的なキャラクターなんですよね。「渚くんかわいいよペロペロ」みたいなものを作品の魅力として組み込んでおきながら、なぜ彼が女性的なのか、という点について重苦しい説明をしてきたり。話が重すぎて「もうブヒれない‥‥」と読者が思ったら、直後に渚くんに女装させたりする作品なのです。
 「渚くんペロペロ」的な読み方は決して読者の勝手な暴走ではなく、すべては原作者の手の上、ということですね。‥‥このパラグラムすべて自己弁護なんですけどw

 んで、そんな渚くん。実写ではどうだったかというと、すげぇ中性的だった! 平たく言うと、全然かわいかったです。ジャニーズ怖い‥‥。
 山田涼介に関して、テレビドラマ『金田一少年の事件簿』を観てたくらいで、他のアイドル業役者業を全然知らないんですけど、原作の理解度、そして原作の再現度、適度に実写用に改変を加える案配、すべてが理想的だったと思います。実写で『暗殺教室』をやるにあたってコレ以上の出来はもはや想像できないですね。コスプレ的に似せればいいってもんではありませんから。
 喋り方、仕草、立ち振る舞い、ナヨナヨした態度というのが非常に中性的で、男らしさとはかけ離れてる時点でワタクシは「わかってるじゃん!!」と大興奮でした。ただ、原作と実写で一目でわかる違いというのもありまして。髪型ですね。まぁ、実写に耐えうる髪型ではない、って理由なのかもしれませんが原作のあの髪型には大きな理由、意味があったんですよね。渚くんが女性的な件とも関わる重要なエピソードなんですが、それは実写シリーズではなやるつもりないのかな、とか思ったり。やったとしても、原作ほどの衝撃度は出ないんじゃないでしょうか。やるなら、母親役の女優に大怪演を期待するしか道はないんじゃないかなぁ。
 もう1つ、渚くんを語る上で重要なのは「性別イジリ」の有無でしょう。原作だと、クラスメイトから「男だったの!?」みたいなイジリがあるんですよね。そもそも最初の頃は渚くんの性別がわからないように描かれてましたので、読者の声の代弁という意味でもあります。そういうのが実写版では一切ない。もちろん、演じてる役者の性別がわかる以上このネタは使えないってのが大きかったんでしょう。この渚くんの性別問題は『暗殺教室』という作品の非常に特徴的な部分だとは思いますが、この判断は賢明だと思います。多分ですけど、あの性別イジリをまるっと実写化したらイジメに見えちゃうと思うんですよ。あれはギャグ漫画的なノリで描いてるからギリギリで成立してるものだと思います。なので、今回の映画制作陣は「ただ原作に似せればいいんだろ」ではなく、実写化するにあたってのしっかりと取捨選択をしてるのがわかります。ここらへんはマジで好感ですね。
 原作の渚くんのシーンで特に好きなのが、修学旅行みたいな大きなイベントの終わりに茅野とする「もうすぐ暗殺教室も終わりだね‥‥」みたいなセンチメンタルなトークをしてる場面なのですよ。ホントあの茅野うらやましい‥‥ではなく、こういう茅野とのやり取りが実写版ではありませんでしたよね。ああいうシーンがあることによって、渚にとって茅野はE組の中でも特別な存在というのが強調されて‥‥今ちょうど連載でやってる話に大きく関わってくるんですよね。だから、茅野とのシーンが減ってるのが今後『暗殺教室』という作品を続ける上で非常に重要な問題なのです。続編で茅野の触手が出てくるのは当確なんですが、その解決策が「やっぱり茅野のこと好きだったの!?」みたいな感じなんですよね。それが実写版だと大きく違う。A組に仲の良い、てか恋心を抱いてる風の女子が出てきた件とも関わってきますよね。渚くんの茅野との特別な関係性が弱まってる状態でどうやって触手の話をやるのか、非常に気になるところだったりはします。
 今回の実写版渚くんで個人的に一番感動したのは、何かに驚いた時に見せる変顔にも近いリアクションですね。原作だと白目で表現される部分なんですけど、ここでの山田涼介が見事すぎて、「コレが見たかったんだよ!!」と興奮しました。マジで原作愛、というか原作理解度が高すぎるぜ‥‥。
 リアクションの顔芸というのは原作にもある部分の感動なんですが、原作にはない、実写版での改変部分での感動もありました。カルマと渚がイトナの触手を抜くシーンで、渚がイトナのことを抱きしめるでしょう。ぶっちゃけあの抱きしめってまったく意味ないじゃないですか。けど、あれこそが『暗殺教室』らしい、渚くんらしい表現なんですよ。「原作者が口出したんじゃねぇの?」と疑ってしまうくらいに原作の空気を掴んでいたと思います。

 まぁ、渚くん以外の部分については関心が薄いんですけど。
 まず、序盤の物語が原作の再現になってるだけなので、退屈なんですよね。知ってるというのもありますけど、原作は週刊連載なので1話完結に近い形でブツブツ切れるのは気にならないんですけど、それを連続で映像化されると、短編が連続するだけで単調なんですよね。ツギハギ感といいますか、それぞれの連結が弱くて、起承転結が終わったら別の起承転結が始まるので、だれる。
 逆に、中盤以降徐々に原作からの改編が増えてくると俄然おもしろくなってきましたね。実写用に話を作ってる部分ですので、短編がブツブツと繋がるだけでないんですよ。それぞれの連結がスムースで、次第に話が大きくなっていって気づけば一気にクライマックス。鷹岡とイトナの悪役連合とかフツーにテンション上がりましたよ。「その手があったかぁぁぁ!!!!」みたいな。
 ただ、鷹岡、イトナに対する対抗策がどちらも「時間稼ぎ」だったのは少し残念です。イトナへの対抗策は殺せんせーへの策でもあるのでいいけど、鷹岡への策はもうちょっと気の利いたものがよかったかな。
 鷹岡に関しては、高嶋政伸のマンガチックな演技が魅力だったのではないでしょうか。『探偵はBARにいる』の時のような極端な感じでしたよね。
 イトナに関しては触手の映像が素晴らしかったです。特に終盤、屋外で繰り広げる触手アクションは『スパイダーマン2』のDr.オクトパスを彷彿とさせます。触手という共通点はあるものの、原作ではあまりああいう使い方はしないので、おそらく実写用の映像として『スパイダーマン2』参考にしたんじゃないかなぁ‥‥と勝手に思いこんでます。
 イトナ役の子供店長に関しては、他のE組生徒に比べると幼い雰囲気が目立ってたかなぁ、と思います。まぁ、イトナが他の生徒とは少し違う、という特別な雰囲気として好意的にも取れますけど。

 イトナといえば、律。橋本環奈というキャスティングは結構うまいと思ったんですが、いらなかったと思います。クライマックスの鷹岡&イトナ戦で律が活躍した、みたいなこと言ってましたけど、「メールでいいよね?」というレベルだったと思います。話がそれるだし、律のシーンをまるまるカットした方がよかったんじゃないかなぁ‥‥。
 そもそも律のディスプレイに表示される人間の姿ってのは実写版でも二次元でよかったんじゃねぇの? 萌えアニメみたいな感じでも理屈は通る気がしますね。嫌ですけど。

 ビッチ先生。これは律と同じで、対して活躍しないんでいなくてもいい気がするんですが、こっちは説明を省く改変が加えられてたじゃないですか。本編が始まった時には既にE組に馴染んでて軽い回想として説明されるだけ、というのはスマートだったと思います。
 また、ビッチ先生が銃火器を使いこなす戦闘力の高い殺し屋に変更されてたのも、個人的にはアリです。ビッチ要素は減るけどハニートラップがどうこうみたいな話をされても、少なくとも映画一作目に関してはまったく意味ありませんからね。「ビッチ」は女性に対する蔑称として考えれば、エロ的な要素は薄まっても大した問題じゃないですよね。単純なキャラクターにして説明を簡略化する、というのは得策だと思いました。まぁ、個人的に美女が銃火器を持ってる姿が好き、ってのもあるんですけどw
 キャストは英語がうまければ誰でもいいと思います。

 カルマくん。渚くんへの性別イジリがなくなった件とも関係あると思いますけど、ギャグ的な要素が薄まってはいましたよね。まぁ、こういう単純化は全然アリでしょ。鷹岡の授業を後者の校舎から高みの見物、という描写もよかったと思います。
 あと、カルマくんが登場してからの説明シーン。殺せんせーに暗殺を試みるも次々に返り討ち、というのをスプリットスクリーンで表現するシーンはテンポの良さもありますが、スプリットスクリーンというのがマンガのコマ割のようにもなってて楽しかったです。あれを全編通じてやったら『スコットピルグリムvs邪悪な元カレ軍団』みたいな怪作になってたと思います。まぁ、別にならなくていいか。『スコピル』は好きですけどね。

 映画オリジナルのシーンとしておもしろかったのは、映画冒頭にあった武装部隊と殺せんせーの戦闘ですね。あの段階では殺せんせーの姿が現れてないので、「どんな恐ろしいモンスターなんだ‥‥!?」と煽ってるワケですよね。そこが『エイリアン2』っぽいというか、モンスター映画っぽくてとてもよかったです。当然フリとしても機能してますし。
 ただ、ここでガチ銃が乱射される音を聞いてしまったので、その後E組での銃声を聞いても「あぁ‥‥ただのBB弾‥‥」とガッカリはしちゃいましたけどね。生徒が一斉射撃する、というのは『暗殺教室』を象徴するシーンなので、そこで音のショボさに気を取られたのは少し残念。

 あと、映像的に残念だったのは、殺せんせーの肉体破損描写ですね。全然グロくないんですよ。キモくないんですよ。触手としての気持ち悪さもイマイチだったし、人間じゃないんだからもうちょっと頑張ってほしかったですねぇ。
 関係ないけど、グロくないキモくない問題ってのはテレビアニメ版でもそうだと思いますね。なんのための深夜アニメなんや、とか少し思います。

 最後に、エンドクレジット。『海猿』シリーズをどれか観たことある人ならわかると思うんですけど、キャストがカチンコ持った写真を次々に出てくるのは羽住監督作品ならではですね。合宿感もある本作とは相性がいいと思うことも出来るんですが、やっぱ悪役と仲良く写真撮ってるのは映画の中で観たくなかった気もしますね。
 記憶は定かではないですけど、確かあのカチンコって出演者などの現場のスタッフが編集などのスタッフを喜ばせるために始めた内輪ネタだと思うんですよ。実際好評だったらしいんですが、別にエンドクレジットに付けなくても‥‥。まぁ、羽住監督的にはもうすっかりお馴染みなんで、「今更それは変える気も考える気もないよ」って感じかもしれません。
 それよりも不快だったのが二宮和也ですよ。監督よりも目立つのは、ねぇよ‥‥。別に二宮和也がスタッフに「俺を一番目立たせろ」って言ったとは思いませんけど、ムカつく。


 ということで、終わり。「実写化とか狂気の沙汰だろww」とか最初に思ってた割にはよく出来てたと思います。てか、この企画でここまで持ってこれたのは奇跡的なんじゃないでしょうか。
 続編がどれだけ予定されてるのかはわかりませんが、各学期ごとに作って三部作、ってのは一番単純ですかね。2学期が死神と理事長。3学期が茅野シロ死神リベンジって感じでしょうか。微妙に原作と違うけど、バランスを考えたらこうかなと。まぁ、本作を観た限りでは、フツーに楽しみですよ。テスト描写はナシの方向っぽいので理事長Jr.は存在しないんだろうね。。
 茅野の触手が出てきた、というのは原作が映画についてがっぷり四つで関わってることの証拠だと思います。それも映画の続編が楽しみに要因ですね。てか、映画の続編が公開される頃には原作が終了してる可能性も大いにありますので、終わらせ方の違い、とかも楽しめそうですね。
 70点。

暗殺教室 1 (ジャンプコミックス)

暗殺教室 1 (ジャンプコミックス)

 テレビアニメ版はほとんど原作と同じなので、原作の復習としてはおもしろいけど、新たな魅力という意味では印象が弱いかな、という感じです。まぁ、動いて喋る渚くんはかわいいです。

 個人的に馴染みのある山田涼介ワーク。まぁ、漫画原作という共通点はありますね。
 連ドラ版だと変わっちゃったんですけど、その前の2時間ドラマ版では髪型が原作準拠だったりもして、個人的には相当好きでした。三枚目としての要素が重視されてたのも嬉しかったですね。おそらく『金田一少年の事件簿』の実写化においては今までで一番好き。
 山田涼介の化粧がキツイってのは『金田一少年』の時でもそうですので、「渚くんの中性的な雰囲気を出すための化粧だったんだ!」「むしろ母親に化粧されてんじゃね!?」的な話は的外れなのかなw(したかったんですが)
 山田涼介から離れますけど、美雪を貧乳にする、というのは相当挑戦的な改変でしたね。「巨乳だから好きになったんじゃない」的な意図があったんでしょうか。