北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『龍三と七人の子分たち』の感想


ジジイあるある、ヤクザないない

 とにかく手当たり次第に映画の感想書かないとまずい状況になってきました。
 たけし映画は全然詳しくなくて、全然観てないです。ただ、本作はコメディーということで興味がでました。日本のコメディー映画はたまに観たくなります。

  • あらすじ
    • ジジイ「若いのが気に入らない」
    • 若いの「ジジイ殺すぞ」
    • たけし「ちょっと落ち着け(いいぞもっとやれ)」

 ワタクシの話になりますけど、割と近い知り合いにオレオレ詐欺の被害にあった人がいるんですよね。だから世に溢れる「おもしろオレオレ詐欺撃退エピソード」とか1ミリも笑えないのです。むしろ少し不快に感じるレベル。
 そこで本作。引退したジーサンヤクザの話なんですが、物語の始まりはオレオレ詐欺に遭うことなんですよね。そこから若いヤクザ一歩手前の詐欺集団の存在を知って‥‥という感じ。なので出てきます。ワタクシの大嫌いな「おもしろオレオレ詐欺撃退エピソード」。なんだけど、結構笑えました。というのも、ここで主人公はガッツリ騙されてるんですよね。相手の詐欺師を心底信じててあるだけの金を渡そうとする。それが本気であればあるほど、元ヤクザという異常性が露わになる。そこのズレがおもしろいんですね。「お前オレオレ詐欺だろ」とか言い出したら個人的には涙目でしたよ。あぶねーあぶねーw

 本作は全編にわたってバカバカしいノリなんですよね。ジーサンはずっとジーサンでブレない。
 物語が終盤にかかるところで、1つ大きな転換点があるんですよ。中尾彬が死ぬトコ。一見熱いシーンなんですよ。それまで小悪党だった中尾彬が孫娘のために体張るってのは胸熱なんだけど、その方法がギャグ交じり。
 そして、中尾彬が殺されて主人公たちが敵討ちを誓うシーン、超熱いです。大仕事の前に家族に電話して思わぬ形で本音を聞くシーンも感動的だったりします(文鳥こっそり買ったんだwって笑いましたけど)。敵のビルのカチコミに行くのも熱いんだけど、「空から特攻するぜ」って言ってるジーサンがボケてる。そして、いざ敵のボスと対峙して戦いが始まってからがひどいw 中尾彬の死体を使ったギャグがこれでもかと繰り返される。ぶっちゃけね、最初の一発の時は引いたんですよ。「そこはカッコよく決めてよ‥‥」って。なんだけど、その後何発も繰り返されるうちに「もういいやww」って観てるこっちのスイッチが変わってしまいました。要するに、最初から最後まで徹底してコメディーに徹してるんですね。これはすごい。

 コメディーとしての質も高かったと思います。フリが伏線のように丁寧にしかれてて後からギャグにしたりしてて見応えありましたよ。
 軽くボケてるジーサンのナンセンスな笑いもあれば、ジジイのあるあるネタも豊富で、そこにヤクザの異常性が加わってていいバランスでした。
 ジーサンたちが集まると完全にツッコミがいない状態なんですよ。若者と絡むと、若者がツッコミ役になるんですね。具体的に言うと敵対組織の若いヤツ。ここでのツッコミというのは映画的な方法ではなく、「だからなんだよ」「知らねぇよ」みたいな漫才的、テレビ的なツッコミなんですよ。ここらへんのコントラストもおもしろかったです。


 ということで、終わり。本作を観て「たけし映画に興味が湧いた!」みたいなことにはなりませんけど、映画館で観てホントよかったと思います。ワタクシが観たのは公開から数週経った時で、劇場の席も半分埋まってるか埋まってないか、という感じだったんですが、笑い声がドカンドカンあげってましたからね。それが年輩っぽい声だったもんですからもうサイコーですよ。素晴らしい体験でした。
 60点。

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 タイトルで真っ先に連想したのはコレだったりします。原題は「白雪姫と七人の小人たち」ですよね。