北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『カリフォルニア・ダウン』の感想

揺れたら机の下

 容赦ない地震描写のため日本公開が危ぶまれた本作。「本作には地震 津波のシーンが含まれます」という注意書きと共に公開しました。予告でこの注意書き出されても「観ないという選択肢がないやん」とか思ってましたが、予告は本編に比べたら控えめだったんですね。ともかく、映画館で観れてよかったです。映画館で観てナンボ系の作品だったと思います。

 ちょっと観に行くのが遅れたせいもあり、上映回の選択肢が少なく、時間の関係で2D版になりました。ホントは3Dがよかったんですけどね。いかにも凄そうな作品じゃないですか。

  • あらすじ
    • 筋肉「現場で家族を救う」
    • 博士「大学でアメリカ人を救う」

 個人的には大好きな作品なんですけど、人によってはダメなのかもなぁ‥‥と思った点がありまして。ロック様演じる主人公が職務を放棄して家族レスキューに終始してた点。まぁ、途中からはただの被災者なんで放棄っていうのは言い過ぎかもしれませんが。誰よりも人を救う能力を持ち合わせてるのにその能力を大多数を救うために使わない、ってのは気になる人は気になるでしょうね。『ハートロッカー』のラストと真逆というか。
 ワタクシは全然気になんなかったんですが、それはおそらく博士の存在だと思います。ポール ジアマッティ演じるのがもう1人の主人公とも言える存在なんですが、この人が不特定多数を救う英雄として描かれるんですよね。筋肉で私的なレスキューを行うロック様と対照的な存在としてうまいこと機能してたと思います。「人を救うのは筋肉だけじゃねぇ!」というのが非常に胸熱でした。
 博士も好きなんだけど、博士の相棒キムも最高でしたね。自分が死ぬって時にあんな優しい言葉を吐けるなんてマジ聖人。

 ロック様の家族。ロック様のワンマンプレイで助かる映画かと思ったら意外と家族も頑張ってました。特に娘はロック様の遺伝子を感じさせる活躍ぶりでしたね。いわゆる「おっぱい要員」なんですが、決して男に助けられるだけの存在ではなく、むしろ男の方をガンガン助けてる、という。
 まぁ、そのおっぱいに関しては、「ちょっとそれはやり過ぎじゃないのかい‥‥」と心配になるレベルでしたw いや、ホント凄い。ド迫力すぎるだろ。走るだけで笑えるくらいに揺れるし、最終的には上着を脱ぐわ濡れるわの大サービス。ここらへんの大味さは嫌いな人もいそうなイメージ。いや、おっぱいが嫌いとかそういう話ではなく。
 娘の他に、母親。ロック様から見たら妻。この人は最後の最後まで助けられるだけの存在だったんですが、最後の一番大事なトコで活躍したのがよかったですね。その場にいる全員が力を合わせても娘を助けられない‥‥という時に母親覚醒。ぶっちゃけ途中まで「同行する必要なくない?」とか思ってたので、心の中で土下座しました。
 それと、イギリスから旅行中の兄弟。この兄が娘とくっつくんですが、こっちの方がヒロイン役っぽい雰囲気ありました。最初に活躍はすれど、その後は娘の活躍ぶりに影を潜めるばかりでした。とはいえ、この兄弟にも意味はありまして。ロック様の家族には娘の下に妹がいたんですね。川での事故で亡くなってしまい、そのことがキッカケでロック様は意気消沈、夫婦は離婚の危機に陥ってました。そこでこのイギリス兄弟。娘とくっつくのは兄貴で弟はほとんどマスコット状態だったワケですが、要するにコイツはかつて救えなかったロック様一家の次女なんですよね。あの時救えなかった妹の代わりにイギリス兄弟を救うことで、家族はトラウマから脱する、という。だからほとんど「助けられ待ち」状態だったことにも嫌味はなかったかな、と思います。
 ただ、このイギリス兄弟。最初に娘を救うために地下駐車場に来るんですが、「こんな危ない所にまだ小さい弟を連れてくるんじゃねぇよ!!」とは少し思いましたw まぁ、あの状況で兄弟が離ればなれになるワケにいかないってのも分かるんですがー。

 地震関連で印象的なのは、序盤にある地震博士の地震講義の冒頭で311が言及されてた件。やっぱ触れないワケにはいかないネタってことなんでしょうか。今に思うと「地震そのものよりも津波の方が怖いんやで」という伏線だったのかもしれませんね。
 そんな津波地震に詳しいワケではないんですけど、直下型の地震津波って来るんですかね。予告に「津波の映像がありますご注意ください」って出たけど、「直下型だから津波はないだろー」と余裕ぶっこいてました。なので津波の予兆、異常な引き潮が描かれた時にはガチで血の気引きましたよw やっぱ怖いですw
 それと、地震描写でおもしろかったのが、地震博士が女記者に言った「逃げるより机の下に隠れるんだ!」って指示出してたシーン。これって地震に詳しくない記者が間違った行動を取ったのを地震博士が正しい行動を教える、って意味だと思うんですけど。つまり、一般的なアメリカ人は「地震が来たら机の下に隠れる」っていう当たり前のことを知らないってことですよね。いやもちろん記者はパニクってただけ、とも考えられるんですけど、相当なカルチャーギャップでした。なんか改めて日本が地震大国であることを意識させられたというか。
 これね、、別に「日本マジ有能ww」みたいな愛国ポルノ的な話ではないですよ‥‥と急に不安になったので念のため。別にアメリカには日本人の知らないハリケーン対策とかあるでしょうし。

 アメリカと愛国ということで思い出すのはラストのアメリカ国旗。最後にロック様が「壊れたらまた作ればいいさ」ってカッコよく言うシーンで、萎んでた国旗がバサァァァッと広がるじゃないですか。要するにアメリカの復興を暗示するシーンなんですけど、ちょっとあまりに露骨なんで少しだけ笑っちゃいました。笑ったんですけど、よく考えたら本作の悲惨さを考えたらこのくらいマッチョな思想はむしろ救いになるのかな、という気もしてきました。ぶっちゃけあの国旗シーンのおかげで晴れやかな気持ちになれましたからね。


 ということで終わり。容赦ない災害描写からの解放というのもあって予想外に大感動してしまいましたよ。ヘリで空飛んでもビルが倒れてくる、みたいな地獄描写のアイディアが次々に出てきたのもサイコーでしたし。
 地震描写に敬遠する人はいると思うんですけど、そういうのに免疫ありそうな人は観てほしいですねぇ。てか、日本公開してホントよかったです。あざます。

 原題でググると本作と同じかそれ以上ヒットするのがコレ。やっぱGTA人気ってすげぇんだなー、と。

アントマン:プレリュード (ShoPro Books)

アントマン:プレリュード (ShoPro Books)

『アントマン』の感想 - 北区の帰宅部
 旧ミスターファンタスティックが安易なクズだったのはちょっとアレでしたね。まぁ、悪役は地震なので「誰に怒りをぶつけたらいいんだ!」ということで用意されたキャラなのかもしれませんが。
 妻の現在の夫(恋人)というキャラの扱いでは『アントマン』の方が大人でしたね。