北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』の感想


シン撃の巨人

 観てきましたよ。前編でいろいろ荒れたのがピークで若干話題が弱くなってた印象もありますけど、乗るしかないこのビッグウェーブに精神で行ってきました。直前に『テッド2』も観たので夏のまっちー祭りは満足かな。

  • あらすじ
    • 人が巨人になるのならみんな死ぬしかないじゃない

 前作はよかったトコと悪かったトコが目立ちまくってた作品だと思うんですが、本作はその両方が大人しくなって帰ってきたような印象です。なので荒れたのが前編がピークだったのも何となくわかるような気がします。賛も否も前作以上の盛り上がりはなかったんじゃないでしょうか。年末とか来年に「あー実写版『進撃の巨人』なんてあったねー」と思い出す時に脳裏に浮かぶ映像や感想はほとんど前編になりそうな予感。
 前作でよかったのはやっぱモブ巨人だと思うんですよ。アレが嫌いな人がいるのも分かりますけど、あれがダメならもう特に個性のない凡作(駄作)だったんじゃないでしょうか。そんなモブ巨人によるモブ人類の蹂躙が本作には‥‥ない。一切ありません。なにこの英断。素っ頓狂すぎて悲しくなります。やっぱ続編って前作のよかったことがスケールアップして帰ってくるのが魅力じゃないですか。それがないんですよね。前作の繰り返しになるのが嫌だったって理屈かもしれませんけど、それなら成長した主人公一味が前編ではボコボコにされたモブ巨人たちを返り討ちにする、とかそういうの欲しいじゃないですか。エレンが巨人化する以外に特に戦闘能力の成長がなかった気がするんですよね。そこらへんも残念。てか、終盤でモブ巨人が登場する余地はメチャクチャあったんですよね。なんせ穴の開いた壁の近くでワイワイやってるんですから。そりゃモブ巨人来ないとおかしいでしょうよ。なんかホント残念。
 あーあと、モブ巨人と一緒に立体機動もどっか行っちゃってましたね。たしか前編の時に「立体機動はクライマックスまで出し惜しみしたら?」みたいなアドバイスを原作者サイドから受けたみたいな話を聞いた気がするんですけど、それって立体機動が『進撃の巨人』における最大級の魅力で、巨人に対抗する人間の希望みたいな存在だからだと思うんですよ。ならなんで後編に全然出ないの。活躍しようよ。例え映像的にショボい出来だとしても話としておかしいじゃない。映像がショボいと割り切るなら最初から立体機動なんて諦めようよ。本作で巨人倒した方法って巨人キックと巨人特攻だよ。立体機動が一番活躍したのって壁を登る時だけですよ。かなc
 そんなワケで、モブ巨人がいなくなった代わりに巨人エレン、鎧巨人、超大型巨人が出てくるんですけど、前作のラストにあった俗に言うエレンゲリオンよりモブのが好きだったワタクシとしては「思ってたんと違う」感ハンパないっす。敵は2体しかいないのに、「やったか?」からの巨大化を繰り返してて単調でした。圧倒的ニチアサ感。
 鎧の巨人。ぶっちゃけ長谷川博己状態の方が強敵感あったような気がしますけど、まぁいいや。多分本作で一番よかったのは多分ココの巨人バトルだと思います。個人的にはウルトラマンアクションよりモブ巨人のが好きだからそんなハマりませんでしたけど、それでも一番魅力が詰まってそうなのはココのウルトラマンアクションだと思います。
 問題は超大型巨人ですよ。もしくは超大型巨人をめぐる一連のシーン。とりあえず、超大型さん弱くね? メッチャ対人兵器が効いてた印象なんですけど。巨人を倒す唯一の方法は立体機動じゃなかったんか。石原さとみ赤っ恥だよ!!‥‥と思ったらコイツが一番嬉々として兵器使ってるんだった‥‥。
 あと、超大型巨人でよく分からないのは國村隼が戦う理由なんですよ。壁の復旧を阻止する必要あったんでしょうか。だってアイツが超大型なら、またいつでも好きな時に壁なんて壊せるじゃないですか。わざわざ怪しいマント羽織って敵だとバラすような演説かまさなくても、一同が穴を塞いだ後にこっそり巨人化してもっかい穴開けとけばいいじゃないですか。爆薬ないからもう塞げないですよ。まぁ、演説中に桜庭ななみにブッ殺されるトコは本作で数少ない文句なく楽しいシーンだったと思うので、出しゃばった國村隼を全否定するのもアレなんですけどね。ここはホント好き。桜庭ななみに射抜かれたい。

 90分しかない映画を2本にして前後編っていくらなんでも悪質なんじゃないですかねぇ‥‥問題。『007 スペクター』なんて一時期上映時間が180分って言われてたじゃないですか(無関係)。
 しかも、後編は最初に前作のおさらいみたいなの付くじゃないですか。それだけでイライラ来てんのに、本編が始まってからも前作と関係のあるシーンが来る度に前作の該当シーンをフラッシュバックするでしょ。時間稼ぎにしか思えない。もう本当にクソ。文字数を増やしたいがために同じ表現を繰り返す小学生の読書感想文かよ。
 予算を増やすために仕方なかったんや、作品のためだったんや、的な理由らしいですけど、それ言ったら世のダメ映画のほとんどが許されちゃいますよ。悪意があってクソ映画作る人なんていないでしょうから。
 あと、90分前後編擁護派の意見として、前編当時に「続編ばっかの昨今で最初から2作で完全に完結させるんだからむしろ良心的!」みたいなのを見かけた気がするんですけど、本作自身が擁護派意見を踏みにじってて笑えました。悲しいなぁ。

 本作で一番ダメだったのはエレンだと思うんですよ。ぶっちゃけ前後編通じてダメなんだろうけど、物語に決着が付く後編でやたら目立った印象。とにかくコイツ、何がしたいのかよく分かんないんですよ。行動原理が謎。まぁ、この手の「○○が分からない」という批判って「分からないのはお前がバカだからだよ」という事態になりかねないんですけど、ここは本作のダメさを信じます。
 考えられるエレンの行動原理は、壁の外に出たい、壁を直したい、ミカサ大好き、のどれかだと思うんですよ。多分前の2つ。まぁ、両方なんですけど、優先順位が分からないんですよ。平たく言うとゴールが分からない。どれを達成したらめでたしめでたしなのかが謎。
 おそらく一番最初に口にした願望は外に出ることだと思うんですよね。ただ、途中から話が壁を直すことに終始するので、「なんでこんなことしてるんだっけ?」ってなる。別に壁を直しても根本的な解決にはなりませんからね。じゃあ、壁を直したら外に出られるという因果関係が生じているかというと全然そんなことはなくて、壁を直すのは漠然とした「良いことだから」程度の理由なんじゃないですかね。故郷を取り戻したいから壁を直したい、ってのは分かるけど、それは外に出たい件と矛盾するんですよねぇ。せっかく故郷を取り戻したのに出てくんかい、という。
 行動原理が分かんないからエレンのドラマにまったく感動が出来なくて。「世界の真実が知りたいんだ!」とか「地獄の自由が欲しい!」とか言われても、「お前そんなヤツだったっけ?」ってなっちゃうんですよ。超大型に再会した時の「この日を待ってた!!」も「そこまで恨んでたっけ?」って思っていましたし。そもそも巨人化を除けばエレンの戦闘能力面の成長ってほとんどありませんからね。そんなオラオラ系の自信が付いたとも思えなかったような。


 はい、終わり。物語上の気になるポイントに関しては前編に比べて大増量だったと思います。結論を出すんだから仕方ないですけどね。前編は「後編が何とかしてくれる!!」って思えますし。
 まぁ、何はともあれ1本の映画で観たかったです。映画観て「金返せ!」って悪口はよくあると思うんですけど、「金は払うからせめて1本分にしてくれ!」というのは珍しいというか初めてだったかもしれません。

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 日本語に字幕が付いてましたけど、日本語に字幕と言えばコレだぜ、と思い出しました。
 いや、日本語字幕つけるのあんま好きではないんですけど。