北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

『サイボーグ009VSデビルマン』の感想

やっぱり共通の敵パターン

 本作のオープニングとエンディングについての話をダラダラと前置きとしてするんですけど、長いので飛ばしてください。

 映画を観るにあたって事前情報をまったく入れないって考えがあります。ネタバレを嫌うのと似た発想で、それが極端になったものだと思います。気持ちはよくわかるんですよ。観るかどうか迷ってる間はいいけど、どうせ観るって決まってるなら必要ないと思います。
 気まぐれですがワタクシもそう思うことはありまして、本作の場合は結構それだったんですね。「なんかよく知らんけど『009』の新作やるならマストで観るよ」って感じ。
 これが間違ってました。ホント後悔してます。事前情報って大事。というのも、本作は劇場用に作られたワケじゃないようなんですよ。ビデオ用に作ったものを特別に期間限定で映画館で上映してる……そんな感じだと思います(詳しくは未だに知りませんが)。
 映画だと思って観ると困ったことがありまして。本作にはオープニングとエンディングがそれぞれ3回あるんですよ。おそらくテレビアニメみたいな感覚で30分で1セットってことなんでしょうね。テレビ放送しないんだったら30分区切りにする必要はないと思うんですが、アニメのことはよくわかりません。そんなワケで、何も知らずに映画館行ったら面食らいました。「上映ミスじゃん! スタッフに知らせに行かなきゃ!!」とガチで思いました。通路沿いの席だったらマジで行ってたと思います。
 アバンタイトルがあって、オープニングが来ます。これは『サイボーグ009』をベースにしたものになってます。そして、本編がしばらく進むと『デビルマン』ベースのものが始まります。これは30分区切りのエンディングなんですが、何も知らないワタクシはこの段階では、「なるほど……クロスオーバー作品だからオープニングが2種類あるのか! シャレとるやんけ!!」とか素っ頓狂なこと考えてました。今思うと勘が悪すぎるんですが、地獄はその後です。『デビルマン』ベースのものが終わると即座に『009』ベースのものが再び始まります。さっき見たのとまったく同じものです。もうパニックですよね。ここで上映ミスを確信しました。心配なまま本編が再開し、そっちに再び集中したような所で再び『デビルマン』のアレ。またもやパニックです。頭の中がハテナでいっぱい。そして、嫌な予感の通り直後に『009』のアレになります。このあたりでようやく「あー30分で区切ってあってオープニングとエンディングなのか……」と気づきました。遅いとは思います。
 パニックになったのは別にいいんですよ。まぁ、実際に「上映ミスですよ!!」と駆け込んでたら迷惑行為もいい所ですがw 問題なのは退屈な点。まったく同じ曲と同じ映像が流れるのってホントつらい。多分オープニングとエンディングを合わせても3分程度だと思うんですが、あんなに3分って長かったんですね。よく考えたら上映中の映画館って映画観る以外に暇潰しの方法がないんですね。家だったら良かった……。

 ということで、映画を観る際、事前情報は大事、という教訓を得ました。実際に上映ミスに立ち会ったことは何度かありますけど、それよりも混乱したし、退屈だったなぁ。

  • あらすじ
    • 003「デビルイヤーは地獄耳」

 ワタクシは『サイボーグ009』のファンであってそっちを目当てに観に行きました。なので『デビルマン』に関しては門外漢です。存在を知ってる程度。本編を観たことは一度もないです。マンガもないです。
 なんだけど、本作のデビルマンがめちゃくちゃカッコよかったんですよ。観る前は「00ナンバーはよ」って気持ちになるんだと思ってたんですが、実際に観てみたらすっかり魅了されてしまいました。興味ない人に興味を持たせるという抱き合わせ商法の格好のカモのような客になってしまいましたよ。いや、マジでデビルマン最高ですわw
 何が一番よかったかっていうと、やはり変身ですかね。あの手のヒーローモノって変身シーンが大事じゃないですか。『サイボーグ009』には変身要素ありませんからね。一応、加速装置を使ったらコスチュームの上に来てた私服が燃える、という変身っぽい演出が用いられることは多いんですが、それでも『サイボーグ009』という作品の味噌は変身しないヒーローの苦悩でもあるので、変身しないというのは重要だと思います。なので、とにかく変身シーンの快楽に満ちあふれたデビルマンが新鮮で新鮮で。背中から翼が生える所とかもうウットリですよ……。
 そんな両作品の違いというのは変身以外にも沢山あって、一番わかりやすいのはテンションの高さでしょうか。ヒーローってのは少なからず悩みを抱えるものだと思うんですが、その悩み方、悩む時のテンションが違いました。『サイボーグ009』はとにかく陰鬱に悩むんですよ。そこが好きなんですけど。一方、デビルマンは苦悩に直面しても「チクショオオオオ!!」とブチギレてるイメージです(違ってたらごめんなさい)。このテンションの高さがまたイイんですよね。両ヒーローに違いがありすぎて、それがクロスオーバー感になってるんですよね。この温度差ってのがクロスオーバーとしての魅力だと思いました。
 また、『サイボーグ009』を象徴する苦悩って「誰がために戦う」というものだと思うんですよ。本作の中でデビルマンが似たような質問を投げかけられてました。そこで「女のために決まってんだろ!!(ブチギレ)」と即答するんですよね。そこで思い悩んだりしないのか……と『009』ファン的に衝撃でした。まぁ、劇中の009もそんなデビルマンの姿を見て「彼には大切なものを教えてもらった……」って感銘を受けてたんですけど。009がデビルマンにヒーローのあり方について勉強させてもらう、という感じになってますね。
 クロスオーバー感で言いますと『デビルマン』の学校に『009』のキャラデザの人物が転校してくる、というのはビジュアル的な見所だったんじゃないでしょうか。まぁ、元の『デビルマン』をよく知らないので、もしも「元々『デビルマン』っぽくなかったんですけど!」と言われてしまったらそれまでなんですがw
 クロスオーバー感で一番おもしろかったのは映画の冒頭、アバンの部分でしょうね。『サイボーグ009』のミュートスサイボーグ戦のセリフと、『デビルマン』の変なカメ戦のセリフが絶妙にリンクしているんですよ。両作品の世界観の違い、ビジュアルの違い、悩み方の違いというのを一挙に見せる名シーンだったと思います。またミュートスサイボーグってチョイスがまたうまいんですよね。神をサイボーグを出すことで、悪魔への布石になってるワケですよ。

 クロスオーバー感は素晴らしかったんですが、VSモノとしてはどうなの?問題。まぁ、この手の「○○vs××」ってタイトルを聞いても「どうせ共演するだけで戦わないんでしょ?」って思う人が多いと思うんですが、その通りでしたw まさにその通り。
 まぁ、一応戦うシーンはあるんですよね。ただ、勘違いです。物語的にあまり意味はないし、観てるこっちも「話し合えば済むのに……」という感じです。的外れな連想だとは思いますが、森の中でヒーロー同士がすれ違いのケンカを繰り広げる、というのは『アベンジャーズ』っぽいなー、とか。
 んで、やっぱり共通の敵。デビルでサイボーグです。そのまんまだけど、うまいアイディアだと思います。サイボーグ技術のせいでデビルマンをも超越する悪役が生まれる、というのが大事だと思うんですよ。サイボーグ技術がなければ……という考えが『サイボーグ009』世界の強さを示しているようです。そして、『サイボーグ009』陣営はそのデビルサイボーグのサイボーグ要素を除去するために頑張ればデビルマンの戦いに貢献することが出来る、というスンポー。
 これは「どうせ戦わないんでしょう?」と同じくらい誰もが抱く疑問だと思うんですけど、「デビルマンのが強くね?」。結論としては、やっぱりデビルマンのが強かったです。デビルマンと009が共闘するワケですけど、デビルマンの横に立つには009は頼りなかったかなw
 それでも009はデビルマンと同じくらい活躍しないといけないので活躍するんですが、そこの理屈がなかったのは残念ですね。009以外の『サイボーグ009』キャラが活躍するくだりはしっかりしてただけに。009は最後に謎の必殺技を出すんですよ。突然。『サイボーグ009』ファンも知らない謎の大ジャンプを見せます。いくら加速装置があっても成層圏までジャンプは出来ねぇだろ……と思ってると、そこから落下してきてそのまま悪役にズドン。そこまでジャンプ出来るんだったら直接突っ込めばよくね?と思うんですよ。割と盲目気味なファンでも思っちゃったんですが、仕方ないんですよ。なぜならば、あれはおそらく「どこ落ち」だから。『サイボーグ009』名シーン総選挙を行ったら堂々の1位に輝くであろう「地下帝国ヨミ編」のラストにある「ジョーきみはどこに落ちたい?」というヤツ。あれをなぞったシーンがやりたいんでしょうねぇ。まぁ、数年前の映画『009 RE:CYBORG』でも「どこ落ち」はありましたし、今時『009』を作るような人は是が非でも「どこ落ち」をやらずにはいられないという呪いにかかってるんだと思います。ほとんどビョーキ。とりあえずファンは「よっしゃ!どこ落ちやんけ!」って喜びますからね。まぁ、もうちょっと理屈があればもっと好きでしたけどw

 そんな「どこ落ち」だけでなく、『サイボーグ009』ファン喜ばせな小ネタは多いんですよ。本作の監督は『サイボーグ009』のテレビシリーズを監督したこともある人ですからね(平成版)。『009』理解度が高い人なんだと思います。
 本編にわざわざ顔を出さなくてもいいような『009』キャラが続々出てくるんですよ。それを見る度にファンは「○○だ!!」と喜んでしまうというワケで。ほとんど早押しクイズですよ。ブラックゴーストの科学者たちとか、スカール様も出てきます。ここらへんは説明のついでとして自然でしょうか。本作には0014から0018まで出てくるんですが、その説明として0010から0013がイメージとして出てきます。0013ファンとしては嬉しかったですね。なんの説明もなく家が出てくるので「知らない人は笑うだろうなぁ……」とか思ったりもしましたw
 本作の時系列はミュートスサイボーグ編の直後です。なのにバンボグートが出てきます。「ヨミ編」はまだだよ!! 今思うと「どこ落ち」アタックへの布石ということだったのかもしれません。
 また、劇中男に理想の女の幻覚を見せて骨抜きにする悪魔が出てくるんですが、そんな幻覚の中にヒルダが出てきてます。004の彼女ですね。ライオンコスプレはあまりにも有名。その時、009の幻覚には誰が出てくるのか。「どうせ003とセックスして『神々との闘い編』オマージュだろー?」と鼻ほじってたら、母親が出てきたのでビックリしました。そう来たか!! なんかごめんなさい!!!
 まぁ、ということで、『サイボーグ009』ファンが満足できる要素はたくさんあったのではないでしょうか。特に平成版のアニメが好きな人ならドンピシャだと思いますよ。
 ……超どうでもいいんですけど、ギルモア博士も例の幻覚を見るんですが、「まさかコズミ博士!?」と一瞬身構えてしまったのは内緒です。

 小ネタでない『サイボーグ009』について。
 まず一番気になるのはコスチュームでしょうか。個人的な好みもあるんでしょうけど、ださい。変なラインが入ってたり、肩パットとか余計でしたねぇ。シンプルなので充分カッコイイのに。てか、平成版と同じでいいいよ。まぁ、多分オリジナリティーをプラスしないと過去の本編シリーズと地続きの作品という表明になっちゃうので、それを避けたんでしょうか。コスチュームで別の世界観の話、と示すのは完結編でも取られてた手法ですし。まぁ、完結編は青という色だけなんですけど。
 逆に良かった点は、ラストに00ナンバーの協力プレイが丁寧に描かれてた所。ぶっちゃけ「009だけ活躍するのかな?」とかはマジで思ってたんですが、ちゃんと活躍してて、その協力っぷりも見応えあって素晴らしかったです。例えば004なんかは、例の如く右手マシンガンが効かないんですが(相手の強敵感を示すためによく犠牲になる)、その右手も連係プレイには役に立つ、というアイディアがあるんですよね。これは原作含めた過去作の中でも白眉と言えるものだったんじゃないでしょうか。
 シンプルなアイディアながら本作の結構な見せ場になってたと思うのが、002の二丁拳銃。飛びながら二丁拳銃するんですけど、これがとても新鮮でした。今までにまったくなかった描写……と言い切る自信はないんですが、レアなのは間違いないんじゃないかなぁ。とてもカッコよかったです。
 デビルマンと違って『サイボーグ009』人数多すぎ問題。尺の問題で活躍シーンが難しいんじゃないかと思ってたんですが、そこはクリアしてたのでよかったです。ただ、一部00ナンバーがあり得ないくらい無表情なシーンがあったりして、そこは気になりましたね。005とか008とか。「005は元々だよ!」って思うんですが、それ込みでも気になったレベル。まぁ、これはやっぱ劇場用に作られてないことが原因なんですかね。無理矢理劇場でやったことの弊害というか。

 いろいろ言いましたけど、一番大事なのは003です。本作の003、めちゃくちゃかわいいです。とりあえずこの時点で満足しちゃった感じはあります。コスチュームはさっき言った通りあまり好きじゃないデザインなんですが、私服パートですよ。最高でした。『RE:CYBORG』のエロ重視の003も好きですけど、個人的に馴染み深い003ってのはコレだよコレ、という感じ。
 やはり平成版の監督は003萌えに関して信頼できる……のかもしれない。平成版の003はちょっと度を超した母性描写が特徴的でしたからね。


 ということで、終わり。大満足な作品なんですが、オープニングとエンディングがマイナス2億点です。まぁ、だからそのことを前もって知っておけばフツーに楽しい体験だったんだろうなぁ……と思います。

サイボーグ009 VS デビルマン ―BREAKDOWN― / 吉富昭仁 - ニコニコ静画 (マンガ)
 本作のコミカライズが連載中だそうです。まだ読んでないですが、読んでみます。

 本作と一番関わりの深い『009』作品はやっぱり監督が同じの平成版ですよ。
 平成版だと「地下帝国ヨミ編」が最終話になってたりします。つまりバンボグートの出番は最後までお預け。
 例の「どこ落ち」ですが、平成版では002が003にホレてるっぽい描写が途中で一度挟まれるのが特徴的です。これが入ることによってラストの「どこ落ち」の直前、泣いてる003を見てから飛び立つ002の姿に感動できるのですよ。

009 RE:CYBORG 豪華版 Blu-ray BOX

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映画『009 RE:CYBORG』の感想 - 北区の帰宅部
『009 RE:CYBORG』豪華版 Blu-ray BOX買ったよ - 北区の帰宅部
 003の超視覚、超聴覚という能力を拡大解釈して、情報解析のエキスパートにする、というアイディアは『vsデビルマン』『RE;CYBORG』に共通してるんですよね。現代風に解釈すると同じになってしまう、ということでしょうか。
 まぁ、『vsデビルマン』よりも尺が長いのに008の活躍を一切描かない、というのはどうかと思いましたよ。そういう意味では『vsデビルマン』は有能。あくまでも『サイボーグ009』に徹しようとしたのが『vsデビルマン』であって、そこに作家性をふんだんに盛り込んだのが『RE:CYBORG』という感じでしょうか。
 ここでの003は母性といよりはエロ全開なのが印象的です。平成版は母性が過剰なんですが、こっちはエロ。そのせいか、001を抱くシーンが一度もありません。

『サイボーグ009完結編』の感想まとめと単行本最終巻 - 北区の帰宅部
 ぶっちゃけ本作とはまったく関係のない小説『サイボーグ009完結編』のマンガ版、この感想を連載時追っかけてたのですが、その宣伝。最終話の記事で各種『009』作品について一応言及してたりはします。
 ちなみに、マンガの方の最終巻には永井豪のイラストが載ってますね。