北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『ザ・ウォーク』の感想

ワールドトレードセンター3D

 2016年2作目。初の3Dなんですが、「今年の3D映画ベスト決定だろ!!」という傑作でした。……なんですが、よく考えたら今年は『カンフーパンダ3』の日本公開があるらしいので、さすがに3D映画全体でのベストは難しいのかな、と何となく思います。『カンフーパンダ2』『マダガスカル3』を思い返すとDWAの3D映画はバケモノ級ですからね。
 なので、『ウォーク』はおそらく実写3Dの2016年ベストになるんじゃないかな。マジでもう無理でしょ。仮に『アバター2』とかが来ても全然やり合える作品ですよ。
 本作の3Dで好きな点として、メチャクチャ飛び出るんですよ。奥行き系の3Dでは決してない。もちろん高さの表現として奥行き3D効果は絶大なんですが、ビックリ箱的にモノが画面にビヨーンと飛んできます。序盤の綱渡り練習シーンで主人公がバランス棒を落とすんですが、このバランス棒、予期せぬタイミングで画面に向かって落ちてくるんですよ。ワタクシ恥ずかしながら目をつむっちゃいました。顔を横に逸らしちゃいました。多分隣の客にバレたと思う……いい年こいて何やってんだ……。言い訳ですけど、ここまでリアクションしちゃったことは初めてですよ。まぁ、ビックリ箱演出で声出して驚いたこととかはありますけど、飛び出す3D映像を真に受けて避けたのは初めてです。むむむ。
 監督はロバート ゼメキスなんですが、オスカー常連の名匠じゃないですか。なのでギミック感満載の3Dを撮ることが少し意外でした。なんだけど、よく考えたらゼメキスってついこないだまでCGアニメ映画に傾倒してたんですよね。当然のように3D映画も数多く撮ってますので、よく考えたらギミック系の3Dの名手であることはまったく不思議じゃないんですね。いやぁ、あのアニメ期は無駄じゃなかったんですねーw(マジレスすると結構好きなのもあります)
 絶対にないだろうけど、今後ゼメキスが『バックトゥザフューチャー』的な映画を撮ることがあったら3D実写映画としてとんでもない金字塔になりそうですね。今最も信頼できる3D映画監督はロバート ゼメキスかもしれません。

  • あらすじ
    • 「ワールドトレードセンター渡ってみた」

 本作はチームを組んで不可能と思えるミッションに挑戦するケイパーモノなんですよ。徐々に仲間が集まり、下見をし、作戦の概要が決まり、必要な手段、道具を集め、いざ決行、という熱い流れ。なんですが、特徴として主人公、チームリーダーが奇人なんですよね。実力は申し分ない。彼の技術に魅せられてチームが拡大していった、というのは間違いないです。ただ奇人。とんでもない変人。そして結構自己中です。リアルで会ったら絶対嫌いになりそうな人ですw なんですが、本作を観てる最中は少なくとも彼に魅せられてしまったんですよね。彼のキャラクターもそうですし、綱渡りの魅力もそう。勢いにやられた面があるのかもしれませんが、彼に感情移入、というか彼のチームに感情移入かな、出来たと思います。
 主人公は奇人でワケのわからん人ではあるんですが、ラストの綱渡りが始まると、彼の奇行がエスカレートするんですよ。正直ここから「はああぁぁ? バッカじゃねーの?」の連続でした。だって、念願の綱渡りが成功して、向こうまで辿り着いたのにまた同じ道を戻るんですよ。ワケわからなすぎて爆笑ですわ。ここでうまいのが、本作の中で綱渡りシーンは数多く出てくるんですが、それが詳細に描かれるのはラストのワールドトレードセンターだけだと思うんですよね。他は結構サクサクと結果だけ報告する感じだったと思います。よく考えたらノートルダム寺院で綱渡りするのも相当スゴイんですけどねw なので、ラストの綱渡りシーンで何度も「まだ終わりじゃねぇかよ!!」と驚いてしまうワケです。リアル時間だあと45分綱の上だったそうで、完全にきちg……理解の外にいますね。

 綱渡りも大事なんですが、本作ではワールドトレードセンターという建物も大事でして。結構フェティッシュに描かれるんですよね。予告でもあったようにタワーを舐めるように上昇するカットとかありますが、謎のエロさがありました。
 そもそも主人公は完成前からワールドトレードセンターに魅せられてしまった、恋してしまった男なんですよね。会うために何度も渡米して、あまりのデカさに挫けたり、触って元気もらったり、写真パシャパシャ撮ったり、フィギュアまで作る始末。どんだけ好きなんだ。こんだけ愛されたら観てるこっちも愛着湧きますよ。愛着が湧けば湧くほど、それと同時に「もうないんだよね……」とメッチャ落ち込むワケです。本作の中で911テロのことはまったく言及されませんが、明らかにそれを意識した作りにはなってたと思います。映画観た後、「ツインタワーちゃんにまた会いたい……」ってなりますもん。


 ということで終わり。3Dはよかった、ケイパーモノとしてもよかった、ワールドトレードセンター萌えとしてもよかった、という三拍子ですよ。大満足。

 『ウォーク』を観た後に気になったので観ました。同じフィリップ プティのワールドトレードセンター渡りを扱ったドキュメンタリー。
 ドキュメンタリーなので劇映画よりは真実に近いと思うんですが、『ウォーク』で描かれた「劇的だけど少し嘘っぽい」出来事がガチで行われててビックリしましたよ。深夜に棺に釘ガンガンとか絶対ウソだと思うじゃないですか。マジでやってたw あとはエレベーターの梁に隠れるくだりも本当なんですね。ぶっちゃけ「劇映画だからってサスペンス用意するやん?」とか思ってました、ごめんなさいw
 まぁ、この2作を観て思ったことは「コイツ頭おかしいな」ということですね。『ウォーク』では全然誇張されてません。むしろ『マンオンワイヤー』の方が「なんなのこの人……(ドンビキ)」という感じが強かったかもしれません。これも事実で驚いたんですが、足に釘ぶっ刺すじゃないですか。それなのにコイツ、「松葉杖あったらみんな優しくしてくれてどこにでも忍び込める! 俺は自由だ!!」とか嬉しそうに語ってるんですよ。なんなのこの人……