続きです。続きだけど、キャラ名鑑的な内容はメインではないです。そんなに増えてないので。メガネの使われ方、演出、メガネのあるシーンをいくつか挙げていきます。
集計範囲はジャンプ直近の21冊。2015年43号から2016年12号までです。たまたま古雑誌の整理をするタイミングだっただけで深い意味はありませんw 出来れば前回の記事の直後からやりたかったんだけど、当時は「疲れたからもうやらない」って思ってたんですよね。なんだけど、面白かったんでまたやりたくなってしまいました。
まずは、前回からの続き的な内容。キャラの紹介、名鑑的な。
『火ノ丸相撲』より。たしか堀さん(雑)。マネージャーというポジションがメガネと相性がいいってのはもはや説明不要なレベルでしょう。メインステージから一歩引いてる、というのが実にメガネ的なんですよね。観察者やサポート役という人にメガネはハマります。『ハイキュー』にもいますね。
一歩引いてる、という意味ではもう1つありまして。堀さんが相撲部に興味を持ったのはこの直前にあった大会での活躍を見たためなんですよね。つまり、一歩引いた場所から観察していたキャラなんですよ。まさにメガネでしょう。完全にメガネ。それがサポート役を志願するんですから超メガネ。
堀さんの場合はメガネの上に三つ編みですよ。古典的ですね。伝統芸能みたいな趣すらありますよ。また堀さんは引っ込み思案な性格ながら内に秘める情熱がある、みたいなキャラクターだと思います(まだよく分かってないけど)。内に秘めてる熱量を外に発露してない、という状況が実にメガネなんですよね。メガネが蓋のような機能を有してるパターン。
堀さんの登場はメガネキャラ愛好家的に充分ご褒美だったんですが、連載派の人としてはもう1つ事件がありまして。
『ものの歩』に似たようなメガネ出てきた! 三つ編みの次はおさげだぜ!!これ面白いのが同じ号のジャンプなんですよ。しかも連載位置が隣接してる。リアルタイムじゃないと単なる似たキャラってだけなんですがw
主人公が大会で活躍すると、その翌日学校に行くとメガネから「大会見たよ」と声をかけられる、という展開まで一致してるんですよね。打ち合わせでもしたのかよ、と言いたくなるレベル。
大会を見てた、というのが実にメガネ的という話は既にしました。ここに両作品の共通点が加わりまして。それは部活の日陰者感。『ものの歩』の場合は主人公自体が日陰なんですけどね。そんな日陰者が大会での活躍で注目を浴びる、という流れですね。ただ、部活自体の人気が極度にあがるワケではないので、本気で興味を持つのは学内ヒエラルキーが低い傾向にあるメガネ、というバランスなのではないでしょうか。『ものの歩』のメガネはマネージャーに志願するワケではなく、文字通り「少し興味が湧いた」程度なんですけど、それは両作品の大会での活躍度の違いに起因すると思います。
そんな『ものの歩』のメガネ。まだ細かい描写が揃ってないんですけど、今のところ、作品における役割としては将棋門外漢というポジションです。同じく門外漢である読者のための質問役。元々は主人公がそのポジションだったんですが、大会で活躍する程度には将棋を分かってきたので、それと入れ替わるようなタイミングで新たな門外漢がやってきた、という感じですかね。メガネというのは視力が弱い人が使用するアイテムですので、未熟さのアイコンとしても機能するんだと思います。逆にインテリのアイコンという側面もあるんですが、これを知的好奇心という解釈をすればちょうどピッタリくるんじゃないでしょうか。
まだその兆候はありませんけど、今後将棋部のマネージャーになるようなことがあったら、『火ノ丸相撲』との一致が増すので爆笑ですね。今後も目が離せないメガネです。
次。もう1人だけ新キャラ挙げます。
『左門くんはサモナー』より嫌田さん。この人はメガネキャラが抱かれるテンプレ的なキャラクターというものを逆手に取ったギャグになってるんですよね。てっしーの友達その1が爽やか体育会系なこともあり、それと対になるようなメガネなんだろうな、という前提も効いてると思います。大人しい、文化系、休み時間本とか読んでそう、などなど。ひょっとしたら女性メガネキャラにおける伝統芸能「あの子がメガネを外したら……」が炸裂する可能性すら感じさせます。
ところがー。 とことん逆にいく、というギャグ。何があっててっしーと友達になったんだ……と気になりますw
ギャグを作る上でギャップというのは大きな要素の1つだと思います。「○○かと思ったら××」というギャップを用意する際の「○○」をメガネが担っているのですね。マンガにおけるメガネキャラは記号的に描かれがち、という共通認識を利用してると思います。逆説的にメガネキャラが記号的であることを証明している、という例。
次は、メガネ演出。フィクション作品におけるメガネはとっても便利です。
『食戟のソーマ』より叡山パイセン。これまでのキャラクターとしてはインテリヤクザという感じで直接手は下さなかったんですよね。とにかく相手を煽り倒す顔芸が記憶に新しいと思います。そんな彼の煽りがソーマくんには通用しないどころか煽り返されてしまう。そこでブチギレた結果、メガネを外す。「インテリヤクザ」って表現を使いましたけど、メガネは「インテリ」の象徴なんですよね。それを外すことが何を意味するかは明確で、直接手を下す。自身がドス(包丁)を握り相手を殺す、ということですね。
非常に分かりやすいメガネ演出でございました。ごちそうさまです。
記憶力と勘の良い人だったら気づくと思うんですけど、メガネを外して本気出す、というともう1人います。
『暗殺教室』よりホウジョウ。本気を出すことの演出としてのメガネ外し、それがその回のラストになっている、というのが『食戟』叡山と一致してます。ちなみに『食戟』は2015年51号、『暗殺』は2016年2号、結構近いんですよね。当時「これどっかで見たことある!!」となった読者も多いと思われます。ただ、ホウジョウのメガネはさらに面白いことになってまして。 メガネを外すことが本気スイッチになる、と自覚してるんですよね。メガネ研究的には興味深くて。メガネを演出に利用することは多くてもそれは当然作者の意思なんですけど、ホウジョウに関してはキャラクターの意思なんですよ。メガネキャラがメガネキャラであることを最大限自覚し、利用している。 ホウジョウは作中でも最強のキャラでして(常人では)、E組の生徒たちが同時に襲っても勝てないレベル。そんなホウジョウにどうやって勝つかというと、「メガネを外させない」という作戦に出るんですよね。最近ルーティンというとラグビーの五郎丸が思い出されますけど、相手チームの選手が例のポーズをさせまいとあの手この手で妨害してくる、という感じですね。こう書くとコントだなw この展開、最強キャラの本気が見れない、という弊害はありますけど、中学生がガチ傭兵に勝つ、という無茶苦茶さの理屈としてはうまいと思います。そのスイッチをメガネという分かりやすいアイテムに託す、というのが素晴らしいんですよね。 勝利後のこじゃれたメガネシーン。メガネを外させずに勝った、という事実を噛みしめるような感じですね。つくづくメガネが充実した回でした。
次もメガネの使い方が被った例。
『ものの歩』『ハイキュー』『食戟のソーマ』が偵察のための変装メガネで被り。『ハイキュー』大王様は変装じゃない可能性もありますが。『食戟』秘書子は以前にもPCメガネかけてましたね。裸眼キャラなのにメガネ着用率の高い不思議なキャラです。てかこの秘書子、メガネがメガネを偵察するという凄いシーン。変装といえばメガネ。普段メガネをかけてないキャラにメガネをかけさせる、という一部のファンに対するサービスとしても機能しますね。秘書子とか完全にそうだと思います。
変装にメガネ使うってのはリアルでもあり得る話なんでマンガの演出じゃないってなるかもしれないんですけど、マンガだと「メガネをかける=このキャラは今変装をしている」という意味がより強調されると思います。変な話、メガネで変装をしてるキャラの横をその知り合いが気づかずに通り過ぎても「変装のおかげやな」って感じになりうる、ということがあると思います。スーパーマンとかそんな感じですよね。そこにツッコむのは野暮。(ホントはあのメガネにも理屈があるのは知ってる)
目は心の窓とも言いますけど、そこにメガネという遮蔽物を1枚置くことによって自身の存在を消す、という効果があると思います。まぁ、現実的な側面では、顔面に追加できる数少ないアイテムがメガネ、という感じですかね。女性だと髪型を変える、という方法もあるんですが、男性だと限定されてしまうと思います。髪の長さ的にも、技術的にも。まぁ、それに髪型を変えると誰だか分からなくなる恐れがマンガだとありますし。髪型を変えるのと同じ発想で帽子を用いることもあるんですが、メガネもあったら最強だよね、という話。
心を隠す、という目的ですので、メガネはメガネでもグラサンだとより効果的、というのは猿でも分かる理屈だと思います。まぁ、TPOによってはグラサンの方が目立つこともありますけどね。↑の『ものの歩』はグラサンですけど、この直後グラサンから普通のメガネに変えてます。メガネ意識の高いキャラだと言えるでしょう。
変装と似てる使い道もありまして。
ネビ夫こと少将ネビロス。学園生活に憧れている、という部下の勘違いが暴走した結果がぐるぐるメガネ。このメガネはコスプレですよね。顔面にワンアイテム足せるというのはリアルのコスプレでも効果的だと思いますが、デフォルメされ語られることもあるマンガだとより強固なのではないでしょうか。今回の場合はその上ぐるぐるメガネですからね。
このシーンのコスプレにおけるメガネの意味は台無し感だと思います。単に学ランを着た場合、万が一「似合うじゃん」ってなったらダメなんですよ。ギャグじゃなくなっちゃいますからね。その点、ぐるぐるメガネは申し分ない仕事を見せてくれたと思います。
変装のためメガネで心を隠すという話をしましたが、次はある種の死、もしくは敗北を象徴するメガネ。
『銀魂』より坂本。凶弾に死す、という表現でグラサンが吹っ飛びます。『銀魂』だと新八が顕著ですけど、メガネキャラって「メガネが本体」みたいな語られ方をすることって多いじゃないですか。メガネがそのキャラの最大の特徴になっているから、もはやメガネそのものがそのキャラになっちゃってる、みたいな。そんなメガネが吹っ飛ぶことはそのキャラクターの死を意味する、というスンポーですね。まぁ、坂本は死んでないんですけどね。
要するにココは「メガネが吹っ飛んだから死んだと思うじゃん?」という引っかけにメガネが利用された例だったんですね。メガネを失うも立ち上がるというシーンは、死すら乗り越える、という英雄譚のような印象すら与えると思います。疑似的な死を経験することで強くなり敵を打倒する、というのは物語の最もシンプルな型の1つですよね。なのでこのシーンで復活する坂本は勝負を決めるまではメガネをかけてはいけない、ということになりますね。 『ブラッククローバー』よりサリー。普段はメガネかけてます。
アスタとロリコン先輩の合体技によって敗北した際、メガネを失います。まぁ、本作が惜しいのはメガネがなくなる瞬間を描いてない点ですかね。その点、『銀魂』は偉い。……いや、偉いって意味わかりませんけど。
メガネを失った姿を見て「勝ったな」という印象が読者の中に生まれるのは間違いないと思います。描かれてないけど、メガネが機能してる。 『ハイキュー』より武ちゃん先生。
死とか敗北じゃないけど、泥酔すると人はメガネを外す、という表現ですねw 意識が死んでる、という意味では通じますけど。また、メガネは理性や冷静さの象徴として使われることも多いので、泥酔状態を示すためにメガネを外すのは理にかなってますよね。「あっコイツもうダメだ……」というのが一目見てわかるようになってると思います。この感覚的にわかる、というのがメガネの持つ強さなのですよ。 直後のコマでは嶋田マートも泥酔。
『ハイキュー』繋がりで次いきます。今回の記事の中で一番好きな使い方です。傑作メガネシーン。これを見た時に「またメガネ記事書こうかな」と思いました。
『ハイキュー』のメガネっつったらツッキーなんですけどね。
『ハイキュー』という作品では試合の前後でトイレのシーンがやたらと多く出てくるんですよね。そこで数々のドラマが生まれてまして、劇中で「トイレは何か起きる場所だ」みたいなメタ的なセリフが出てきたこともあったと思います。そんなトイレで、ツッキーが、メガネを外してるんですよ。
大事なこと書くの忘れましたけど、コレ白鳥沢戦の直後です。現状最強キャラであるスパイカーを要するチームを倒したワケなんですが、そこでツッキーは監督から「お前がMVPだ」と言われます。読者的にも納得しかないセリフだと思います。白鳥沢戦でのツッキーの活躍&ドラマはちょっと異常で「あれっツッキーが主人公だったっけ?」と何度思ったことか。『ハイキュー』という作品の中でも間違いなく一区切りがつく過去最大の試合なんですけど、そのことを考えたらぶっちゃけバランス悪いですよ。「そこは日向やろ」と思わんでもないですw
そんな中、ツッキーがトイレでメガネを外します。そばには最大の理解者である山口くん。
ここでツッキーはメガネを外して弱音のようなものをこぼすんですよ。弱音というか「全然ダメだった」という感じですかね。そんな悲観的なことを言ってしまうのは、試合中に相手チームのエースにこっぴどくやられてしまったワケがあるのです。完全にラスボスですからね、ウシワカ。
そんなツッキーを山口くんが、「カッコ悪いワケないじゃん」と一蹴。メガネ関係ないんで説明省きますけど、「カッコ悪い」というキーワードだけで泣けます。まぁ、適当に単行本読んでください。
ツッキーが試合中にかけるメガネというのはスポーツ用のメガネなんですよ。この入手に至るまでのドラマがまた……というのは今回省きます。とにかく、スポーツグラスは鎧のような機能を有してると言えると思います。『暗殺教室』ホウジョウみたいなスイッチの切り替えという考え方も出来ますけど、実際にスポーツに適した作りをしているという点からここはスイッチではなく鎧で。なので、トイレでメガネを外すというのは鎧を脱ぎ捨てることと変わらないのです。ここでツッキーは精神的に裸。なので本音も漏らすし、疲労感と敗北感(勝ったけど)に挫けてもおかしくない状態なのですよ。そんな所に山口くん。
普段のツッキーがかけているメガネは分かりやすく心の壁の意味があると思うんですけど、今のツッキーはその壁がないのです。なので山口くんの言葉が沁みるワケですね。ここでメガネをかけてるかかけてないかは大違いです。まぁ、さっきも書いた通り「カッコ悪い」というキーワードが出た時点で大感動なんですけど、メガネを外してるとそこにさらに感動がプラスされますよね。
ツッキーらしいというのもあるんですが、目を細めるというのはメガネ外した人の描写としてリアル、という加点もあります。まぁ、視力より先にツッキーの場合は性格なんでしょうけど。
そしてメガネをかけたら、めっちゃいい顔!!
このメガネをかけるというワンアクションには「いつものツッキーに戻った!」というのがまずあると思います。珍しくイジけるという状況からの復活という感動。いつもの状態に戻ったんだけど、まったく同じではなく以前からは一回り成長した姿になっている、ということですね。このドラマが、トイレで外して再びかける、という短いシーンに詰め込まれてるワケですよ。ツッキーにまつわるドラマの蓄積をメガネというアイテムを使って端的に、そして言葉には頼らず絵によって語り切ってるんですよ。こんなん優勝ですわ。なんのかは知らんけど。
ということで、現ジャンプにおける最強のメガネキャラはツッキーだし、メガネ演出という意味においても『ハイキュー』が最強、という前回も思ったことを再び思い知らされました、というオチ。正直勝てる気がしません。今回のようなメガネシーン出されたら正直「もう完全に頭打ちですわ……」という気にもなってくるレベル。
おまけ。
一番好きなメガネは『ハイキュー』なんですが、おまけでは嫌いなメガネの話。いや、嫌いではあるんですけど面白かったメガネ。
それは『ものの歩』。将棋という文化系な世界を描いてるせいかもしれないんですが、とにかくメガネキャラが多いんですよ。ただし、モブ。主要キャラにはほとんどいないけど、背景にはいっぱいいます。
そんなモブメガネが表舞台に出てきたことが3回あります。それは主人公との対局。主人公は現在4戦3勝なんですけど、その3勝の相手はすべてメガネです。
ということで、『ものの歩』が誇るザコメガネの歴史を振り返ってみましょう。
意地悪、嫌味を具現化したかのようなキモメガネです。これはひどい。
まぁ、メガネの持つ記号性、そして絵に描いたようなクズ的言動によって「なんかムカつくこと言ってますけどザコです」というのを示しているのかもしれませんね。仕方ない、我慢しましょう。 キモメガネの次はデブだー!!
本作の主人公は2戦目で初の敗北を喫します。そっから修行して強くなって、3戦目がこのデブメガネ。とにかく負けるためだけに生まれてきたような扱いです。泣ける。 ちなみに、このデブメガネのチームは全員メガネ。どんだけだよ。
とりあえずメガネは負けとけよ、という感じでしょうか。どうせ負けるんだから全員メガネでいいや、という雑さが見えるというか。
メガネ演出としては、レンズが反射して目が見えなくなる、というのがありますね。目が半分に分断されるようになってますけど、分かりやすく動揺を示してますよね。頭が真っ白になる、という風にも見えるかもしれません。
そんなこんなで差別的すぎるメガネが続いて4戦目。
ちょっと強そうなメガネきたー!!一点強化型の主人公の天敵としてのオールラウンダーということで、この人のメガネは知識の象徴ですよね。やっと好意的な意味のメガネが……。 と思ったら嫌なヤツでした……。
なんでや! メガネに親でも殺されたんか!!
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コイツはホントは目が良すぎるんだけど、良すぎて気持ち悪いから度のきついメガネをかけて視力をセーブしている、という設定。そんなことが可能なのかは知りません。頭痛くなりそう。
ということで、終わり。
今後も『ハイキュー』のメガネが楽しみで仕方ありません。まぁ、ツッキーについてのドラマはもう山越えちゃった感ありますけどね。ツッキーよりも潔子さんあたりが期待できるかもしれません。
心配な意味では『ものの歩』から目が離せませんw まぁ『火ノ丸相撲』とのメガネ女子被りという件もあるし、何かと話題の尽きない作品ということでありがたいっちゃありがたいんですけど。