北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『ペット』の感想

 イルミネーションエンターテインメントの新作。『ミニオンズ』みたいな人気シリーズの人気キャラで押し出す感じではなく、『ミニオンズ』で会社のブランドを確立した後の完全新作ということで、ある意味イルミネーションの真価が問われる一本だったと思います。

 完全新作だけどヒットの担保としてなのか、ミニオン人気の継続を狙ったのか、ミニオンズの同時上映あり。『ミニオンズ アルバイト大作戦』。
 短編なのでミニオンがドタバタやるだけで終わる。一応そこに「ミキサー買うお金が欲しいアルバイトする」という話が付いてくるだけ。老人ホームみたいな所に駆け込んで芝刈りのサービスを押し売るものの、安定のミニオンクオリティーにより大失敗&ドタバタ劇。意気消沈して帰ろうとすると、「いやーええもん見せてもらったわw」と大爆笑のバーサンたちがお金をくれる、というオチ。芝刈りではなく何かのパフォーマンスと勘違いしたらしい。ちなみにバーサンたちが関西弁(吹替)なのは本シリーズなので仕方ない。
 これ、要するに、ミニオンズの映画を見て「ミニオンちゃんきゃわわー!!」って悶絶する我々とまったく同じなんですよね。ミニオンズのドタバタ劇には金を払う価値がある。実際『ペット』には興味ないけど同時上映目当てで来た人も多かったと思います。そんな人たちにこんな話を見せる。『ミニオンズ』大ヒット後ならではのメタ構造で素晴らしかったと思いますね。ミニオン人気の本質を作り手自らが指摘する、というぐうの音も出ないパターン。

 悪かった点を強いてあげるなら吹替。『アルバイト大作戦』はミニオンがちゃんとした言葉を発するシーンがわりかし多いんですが、そこの吹替がちょっと違和感あったような気がします。『ミニオンズ』はミニオン語と英語(つまり吹替で日本語)の部分の区別がつかないくらいに自然だったんですが。『怪盗グルー』シリーズ2作の時はまぁあんな感じだったと思うので、元のレベルに戻っちゃったということなんですかね。

 はい、以下『ペット』の話。

  • あらすじ
    • ミニオン「illuMINatIONの中にはMINIONが隠されてたんだよ!」
    • ミニオン「イルミネーション! イルミネーション!!」

 2D吹替でした。ホントは3Dがよかったんですけど、便のいい所でやってなかったので泣く泣く2D。イルミネーションは3D映像で楽しませてくれる稀有な存在なんですけどねぇ。残念です。
 吹替。主演の2匹をバナナマンが揃って担当。バナナマンは『ミニオンズ』で脇役をやってたので昇格という形になるんですかね。もちろんバナナマンが吹替うまいってのも大きいと思います。基本的にリアルな温度の芝居が求められるワケではないと思うので、コントの人にやらせるのはハマりやすかったのかもしれません。なんだけど、本作におけるバナナマンは吹替のうまさというよりも、「これ当て書きだよね?」と見てて自然に思ってしまう所にあると思います。ビジュアルもそうだし、2匹の関係性がバナナマンのキャラクターに奇跡的にフィットしてると思います。逆に、英語版の予告を観ると「あれっ設楽にあんま声似てねぇな」ってなると思います。設楽版が異常にしっくり来てたので、「本物の方が吹替っぽい……」という不思議な感覚に陥ります。まぁ、アニメなので全部吹替っちゃ吹替なんですけど。とにかく、設楽がハマリ役なのは声が似てる、以外の理由によるというワケです。不思議ですね。何を持ってハマってると感じたのか。とりあえず、今回の日本語吹替は、原語版の再現として優れているというよりは、日本版独自の魅力を引き出してて傑作、というような扱いが適切なのだと思います。
 バナナマン以外のタレント声優もよかったと思います。個人的には佐藤栞里かなり好きです。
 あと、本作には謎のミュージカルシーンがあるんですが、そこも文句なしのクオリティーで吹替版仕上がってたと思います。今思い出しても「あのシーンは一体……」ってなるんですけどw 『アーロと少年』のラリパッパのシーンと似てるのかな。「一緒にラリったらマブダチだぜ!」的な。

 ……ここまで書いて思ったんですが、タレント吹替があると検閲の如く「このタレント吹替はダメ」「こっちは良し」みたいな普段吹替に興味ない人がウダウダ言い出す傾向にあると思います。例えばワタシ。この現象が起きてる時点でタレント吹替を仕掛けてる側としては「計画通り…!」という感じなのかなぁ、と思うと非常にヘコみます。話題にしてる時点で負けなのかもしれない。タレント吹替が全部嫌い、という過激派思想ではないものの、やっぱ平均点は下がると思うんですよね……。

 『ペット』の話。一番よかったのはアニメーションの部分でして。ものすごく当たり前の話なんですけど、動物たちが動き回ってる映像が超眼福です。とにかく楽しい。『怪盗グルー』シリーズしか観たことないのにイルミネーションを語るのもアレなんですけど、イルミネーションの作品って楽しさを最優先するイメージがあります。「せっかくの3D上映なんだから主観映像でジェットコースター乗ろうぜ!」とかそういうノリ。とにかく絵が動くことによる快感を最大の武器にしてると思います。いや、気がしますw
 アニメ映画において動物モノ、動物アニメって一大ジャンルと思うんですけど、本作で特徴的だったのはタイトルの通りペットなことだと思います。当然みんなペットなんですよね。飼われてる。中でも主人公のマックスは犬なこともあり、飼い主との良好すぎる関係性なこともあり、とにかく忠犬。動物アニメってデフォルメされた中で動物っぽい仕草とかをする所が超かわいくてサイコーじゃないですか。なんですが、マックスの場合は犬っぽい仕草の他に、飼い犬っぽい仕草が加わってるんですね。デフォルメは強めなアニメながらこの飼い犬らしい仕草ってのがいい感じにブレンドされてまして、正直キュンキュンです。やばい、超かわいい。先ほど「もう設楽にしか見えないw」みたいな話しましたけど、それと同時に「もうマックス超かわいい」と感じてたワケですね。今まで設楽のことをかわいいと思ったことなんてないのに。なにこの不思議な感じ。ムズムズする。
 まぁ、そんな飼い犬らしい部分ってのは意外と少ないんですけどね。飼い主と一緒にいるシーンって最初と最後のほんの少しですので。それ以外の部分における魅力ってのは都会というシチュエーションが大きいのかもしれませんね。動物たちが冒険に出るんだけど、行き先は常に都会。人間とは違った動物目線による都会、というのが新鮮だったと思います。
 ものすごく雑に、平たく言うと「動物って何やってもかわいいよね」というのがあると思います。『ミニオンズ』だったら動物をミニオンに代えれば成立するんですが。これが動物アニメ最大の魅力だと思うんですが、それって現実における「ペットって何やってもかわいいよね」「見てるだけで幸せ」という感覚と一致するんだと思います。本作はとにかくペットアニメだったなぁ、という印象。

 ペット。現代社会におけるペットが抱える社会問題について。そんなテーマが本作にはチラチラッと出てきます。主人公たちが劇中でも最も絶望するシーンである飼い主の死というのもそうですよね。ペットロスってのはよく語られますけど、飼い主ロスというのも大変な話。
 他にも、本作には人間に飼われることを拒否したテロリスト集団というのが出てくるんですが、「人間に飼われるのが本当に幸せなのか?」という問題は確かに難しいですよね。漠然と「幸せなんじゃない?」と言いたくなるけど、確信はないです。劇中にも飼い主に依存しすぎるマックスが仲間たちに軽くバカにされるシーンがあったりします。
 そんな「意外と深いテーマあるじゃん?」という部分が、特に掘り下げられない。特に語られない。特に答えが出てこない。観ながらここらへんをマジに考えてると「何にも解決してないじゃん!」となります。ぶっちゃけワタシも少しなりました。アンチ人間のテロリスト(ウサギ)が子供に飼われてマンザラでもない顔しちゃってましたけど、「台無しだよ!」感あるw
 まぁ、だからといって映画館を出る時に「ひげぇ映画だったな」という感じは一切ありませんでした。好き嫌いの分かれる部分なのかもしれませんが、他がメッチャ楽しかったのでもう満足です。むしろ難しい話は置いといて……というバランスが逆によかった気すらしてきます。

 個人的に好きなシーンはラストにあったギジェットの大立ち回りですね。ここまでの戦闘アクションがあるとは思ってませんでしたw 冗談抜きで、年間でも指折りのバトルシーンだったんじゃないですかね。
 強い女が男を救う、ってのは少し現代的なのかな……とか少し思いましたが、第一には「一番意外なヤツが一番強いっておもしろくない?」ってのがあるのと思います。
 ギジェット以外にも主要キャラはみんな魅力的だったと思います。それぞれどんな飼い主に飼われているか、というのが個性として描かれてたと思います。動物の種類によって個性が分かれる、というのは動物アニメの定番ですけど、そこに「どう飼われているか」が加わるのがペットアニメならではですね。クロエの育ちは上品だけど、たまに猫の本性が露わになる感じとかすごい好きです。


 ということで終わり。とにかく楽しい映画でした。まぁ、中盤3チームがバラバラに動きすぎて少しだれる……とか少し思ったんですが、それぞれ映像的な魅力はあったので別にいいかな。
 『怪盗グルー』シリーズと違って一応はリアルな現代社会を舞台にしてるので、そこの差異も魅力だったのかなと思います。
 『ペット』の続編も決まったそうですね。『怪盗グルー』シリーズと『ペット』シリーズは是が非でも追っかけていきたいと思います。

『ミニオンズ』の感想 - 北区の帰宅部
 『ミニオンズ』に出てきたペットといえば、バッキンガム宮殿にいたコーギーですよね。ミニオンコーギーがワイワイやってる光景はもはやポルノ的な魔力があると思います。