北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

快楽天2018年10月号の感想

 Komiflo登録したんですよ。その後初めて配信されたということで、通しで読みました。なんか驚くほど面白かったので感想書きたくなりました。
 続けるかは分かりません。連載以外は全部読みましたが、続けた場合全部読むかも分かりません。

快楽天 2018年 10月号

快楽天 2018年 10月号

『密会』Hamao

 フルカラー短編。本編は2ページ。背景が見えるコマは1つ。あとはタイトルと、限られまくったセリフだけで、最低限の物語(設定)を説明してるのでスゴイ。とりあえずエロい絵がカラーで見れれば……なんだけど、漫画にするには物語が必要なんだよ、という情熱を感じる。
 あと、カラーは結構読んでてはずい。アニメのお色気みたいな場面が照れくさくなって苦手なんですけど、ひょっとしたらアニメだからではなく、カラーだからなのかもしれない。……なんだこの感想。

『畳句』幾花にいろ

 アバン3ページがカラー。エロ漫画の宿命だと思うけど、当然のように行為が描かれるわけじゃないですか。せっかくのカラーなんだし。そうすると、そっから回想とかで時間を飛ばして一旦物語をイチから始め直す必要があるんですが、このカラー3ページはちょっとしたトリックというか、仕掛けになってて面白い。要するにラブホに慣れた今がカラーで、モノクロの最後にも出てくる。本編のほとんどで描かれるのは初ラブホ。それを今で挟む。どぎついピンクのライティングとかいかにもラブホっぽい楽しさもありますが、髪の色の件とか言われるまで気づかなかったです。まさにカラーならではの仕掛けで面白かったですね。カラーページが黒なので逆に騙されるというか(騙す意図があるかは知らん)。やり慣れてる方が黒髪ってのもリアルな気がする。
 んで、初ラブホの方。互いの初っぷりが可愛くて良い。テンパって失敗というのを、スマホの詐欺広告踏んで、で描くのも面白い。そっから「何見てたの?」で話が次に進行するから最高ですね。点であるギャグが線になる。
 あと、超好きだったのが、ゴムの付け方をスマホで調べるくだり。ものすごく小さい場面でなくても全然成立するんだけど、とても良い。ムードねぇぇ!!!けど生々しいぃぃいいいいい!!!みたいな。
 ラブホという現実の中にある圧倒的に異質な世界をテーマにしてるのが非常に面白かったです。場所がある意味で主人公というか(群像劇ではないんだけど)。

『ユイシズク』40010試作型

 コスプレイヤーである姉の友人にあーだこーだされる話。基本的にあーだこーだされる話が大好きです。
 今コスプレイヤーってのはやっぱあのイベントを意識した時期なんでしょうね。「どうせいかがわしい人たちなんだろ」という偏見であり、少し「そうであってほしい」という気持ちの現れなんじゃないでしょうか。この作家ではなくジャンル。エロファンタジーですね。まぁ、本作は直接コスプレの話ではないのが特徴か。コスプレの現場に憧れる気持ちを見透かされて……という。このワンクッションは面白いですね。
 しかし、外でやらんでも……とか思ってしまうんですが、やっぱコスプレという題材を扱う以上は外ってのが大事なんでしょうね。外でこんな際どい格好してけしらかん(うらやましい)!みたいな。

『熱帯夜』えーすけ

 夏の合宿。さっきのもそうだけど、それ以上にダイレクトに季節感ある。季節ごとのエロってのは趣深くて良いと思います。
 誰からも好かれるマネージャーが、誰からも嫌われる顧問の教師に……という話。ちょくちょくモブ部員たちの噂が挟まるのが面白いですね。と思ったら教師が「あいつら噂してんだろうな」って言ってきたりしてツイストも効いてる。分かっててもやるクズ感であり、噂するというある種の優位性を崩す。
 ラスト、夢オチならぬ妄想オチかと思ったら……も良い。一方的に陵辱されてるようで案外、となる最後も好きです。意外とノリノリみたいな要素たしかにありましたね。

ぼくの夏休み』ZACRO

 夏、親戚の集まりであったお姉さんにあれこれされる話。おねショタは良い。
 親戚の集まりっていうシチュエーションが何より良いですね。親戚という非常に濃い繋がりであるとされてるけど疎遠な不思議な関係。日常と地続きの非日常という感じがあると思います。この奇妙な世界に一歩踏み出す感じ、一線を越える感じがエロと相性いいんだと思います。

『けもののさかりかた』もず

 今年の夏は暑いから脱ごう、という話(無理矢理季節に当て込む)。
 一見強烈なSM関係に思えたんですが、Sの方が女王様ではなくお嬢様ってのがポイントですね。お嬢様という環境によって常に圧せられる体裁、それからの解放として今回の露出に繋がるわけで。露出することがちょっと感動的ですらある。そう考えると、1人でやるのは勇気が足りないから、ってことなんでしょうね。SMどころかめちゃくちゃイチャイチャしてる。さっきのマネージャーもそうだけど、第一印象がガラッと逆転する話、好きですねぇ。

『Summer Shower』Reco

 デートが雨によって予定変更になってしまったカップルが車の中であーだこーだ。ラブホ行こうかってなっただけで充分エロいのに、それすら待てないんかーい!!となるのが良い。
 彼女の方がスイッチ入る瞬間、信号の赤がパッと灯るコマが入るのが個人的には最高。彼女の中で何かがはじけた心理描写でもあり、「赤信号ならやってまえ」という理由にもなってる。あと、車の中なので、脱ぎにくそうな感じとかもあって良いですね。
 いざコトが始まると、こっからすごい。マジ感動した演出がある。律儀に全ページそうなんですけど、コトが始まってからはすべてのページにコマを縦断するような彼女の裸体が描かれる。これ自体はまぁよくある演出ですけど、律儀に全ページ、やってる最中だけなので感動した。当然そのページにおけるハイライトなんですけど、それでいて、コマ進行の邪魔になってないから漫画って本当に面白いですね。

『ちぐはぐウィークポイント』外山じごく

 早漏で自分しか気持ちよくなってない彼氏が悩んだ末に逆転する話。逆転前の完全に優位な彼女が可愛いです。女性優位が好きです。女性優位であり、彼女が特別嫌がってる様子でもないので彼氏に対して「そんなことで悩まなくてもいいのに」と微笑ましい気持ちになれるのも良い。2人とも可愛い。

『はじめての人』南北

 アラサー処女がヤリチンに喰われる話……なんだけど、それだけで終わらないのが良かったなぁ。ちょっとした展開ですべての印象がガラァッと変わるの、良いですよねぇ。物語の醍醐味だと思います。
 支配されてると思わせつつ実は支配してる、と最後の最後に明らかになって、このタイトルですよ。やばい、痺れたね。彼女の大逆転の土台となったのは日頃の仕事内容に起因してるってのも面白かったです。歪んではいるけど、努力の結晶のようにも思える。

『処夏』翁賀馬乃助

 陸上部の女子選手が退部した先輩にあれこれされる話。シチュエーションは男子部員の更衣室なんですが、序盤に臭いについて言及してるのが効いてますね。それと、始まりのコマで彼女が持ってるのは冷却スプレー。暑さの表現ですね。暑くて臭い、というのを事前にくどくなく説明してるからうまい。
 先輩は才能あるけど、部内の人間関係に失敗し退部したわけですが、それが物語の根幹。彼女の方は部内で誰からも愛されてて……なんですが、この2人の印象が両方ともキレイに逆転する。彼女の方は男たちにいやらしい目で見られてて、だからこそ彼女は競技に熱中して他人に興味がなかった先輩に好意を抱いた、というこのロジックですね。良い。物語とはロジックであり、第一印象の逆転ですわ。

『青春リビドー山』位置原光Z

 連載はバックナンバー読んでから読もうと思ったけど、あんま関係なさそうなので読んじゃいました。読めた。行為はしない猥談というか、エロ漫才みたいな感じありますね。ちゃんとお題から入ってそれを広げていって、転換があってオチ、とキレイに展開していくのですごい。最初に「事務的手コキ」というパワーワードで持って行くから最高です。言葉だけで笑ってしまう。

『ナイトプールでイってみた』小梅けいと

 フルカラー短編。タイトル通りですね。早速感想がマンネリっぽいですけど、「どうせナイトプール行ってるやつらはいかがわしいことしてんだろ」という裏山けしからんをエクストリームにデフォルメした話。突き抜けてて良い。
 ナイトプールに似つかわしくないオッサンたちが基本的にはメインの竿役ってのも笑った。なんでやw(金持ちだからV.I.P.ってことなんだろう)

『繁みの群れ』kanbe

 部活で鬱屈した日々を過ごす主人公が乱交パーティーに誘われる話。日常からずるずると奇妙な世界に足を踏み入れてく感じが良い。
 水先案内人が女の子で「この子とするのか」と思ってると、なかなかやらない。ここにドラマがあって、ある意味彼女は悪魔でして、彼の中で押し殺された欲望を解放させようとしてるんですね。なので、彼がパーティーの価値観に染まって自分を解放すると、ようやく彼女と致す。やっぱドラマのあるエロは良いですね。
 自分を解放した主人公の成長ドラマと単純に思ってると、それは怪物の誕生を意味していて……という「喜んでいいのかこれ?」となるラストがまた秀逸です。

『家出娘の巣~オフパコ争奪生配信!!~』西安

 読切だと思って読んじゃったけど、どうやら連載だったくさい。失敗した。なるべく良い状態で初読を迎えたかったのに。
 コスプレ、ナイトプールの話と被るけど、「いかがわしい世界が広がってるんだろうなチクショウ」という、どこまでホントか分からないデフォルメされた世界としてのエロ配信ですね。話としては展開とかないんだけど、これはやっぱ連載なんだろうな。落ちていった先の世界とか。いや、上がっていった先でもいいんですが。
 配信なだけあって、ちょくちょくカメラが描かれてるのが良いですね。本作が描いてるアングルとは違うものがこの世界では配信されてるんだな、という奥行き。

『近距離彼女』ももこ

 バイト仲間を車で送ろうとしたら。車はエロいな。そして、やっぱりあったぞ信号。信号もエロい。本作の方が信号演出による焦らしが長くて、「……もうダメだ」となるのに説得力あって良い。我慢できなくなって襲いかかる、とじゃないのも良いですね。彼の頭の中で明確に理性が決壊したけど、冷静さも残ってる。
 彼女の方にも同じことが言えて。一度断って「言うことあるでしょ?」と突き放してくるのが最高。彼女のしっかりしてる面が見えるんですが、「言えばいいですかーヤッター」という話ですよね。その後もセフレになることを警戒するくだりとか出てきて良いっすねぇ。

『Carrot Student』おから

 勉強のできない男が女性教師から個別指導を受け、ご褒美をいただく話。
 タイトルのcarrotは馬の前に吊された人参ってことなんでしょうね。ただ、ド直球に男根のことでもあるのかな。その場合は主語が変わりますね。そんなタイトルの解釈が話の流れで変わってくる感じが楽しい。あってるかは知らん。

『アラサークソビッチの冒険』オガデンモン

 扉から楽しい。アラサーにしては幼すぎるルックというギャップも楽しければ、そっからの本編1ページ目への温度差も楽しい。アラサーっぽくない格好してると思ったら、本編でいきなりアラサーの現実を突きつけられる。
 んで、アラサーだけどクソビッチなので男はいて、3択。その中から結婚相手を誰にするか悩みつつ、致す。ホウケイくんがいいです(好み)。
 3択の相手がそれぞれ個性立ってて、その3択をかなり早く入れ替わり立ち替わりしていくので楽しい。後半一気にスピードアップする感じとか、エロいんだけどコミカルでカラッとしてて非常に良い。
 オチもギャグ調で「しようと思えばいつでも結婚できんじゃん」という第一印象が完全に崩れるw これは無理ですね。ホウケイくんと結婚すればいいのに……(好み)

『アツアツ南雲研究室』Noise

 クーラーの壊れた部屋で汗だく。夏暑いのは最悪で良いことなんてないですが、このシチュエーションは好きです。
 暑さのせいもあり、始める際も心底だるそうってのが良いですね。それが2人のキャラクターであり、関係性でもありますし。会話の中でしつこいくらい「暑い」の言い換えが繰り返されるのも面白いです。そんなに手数あるかと驚きました。

『しゅわしゅわナイト』雲呑めお

 深夜のコンビニで出会った酔っぱらいと。暑さの中で近いものありますけど、酔っぱらい特有の思考がすべて言葉と行動に出てくる感じが面白いですね。色っぽい雰囲気になったと思ったら、酔っぱらい全開してきてムードがぶち壊されるのが楽しいです。酔っぱらいの相手するのに疲れて男の方が逆ギレ的に反撃に出るのも楽しくもあり、当然エロいです。
 なんだかんだ言って酔っぱらいの「めんどくさい」は「可愛い」と紙一重なんだと感じさせますね。良く言えば裏表がない、ですし。

『友達』「タカシ」

 鍵括弧込みでペンネーム。かつて自分を犯したヤリチンにバイトの後輩が捕まったので助けようと交渉に行ったら返り討ち。
 陵辱モノは苦手なんだよなーとか思ってたら、最後の最後、ヤリチンのトドメの一言がちょっとうまくて感心すらしてしまった。「言われてみればその通りでしかない……」という悔しいけど納得せざるを得ないオチ。落語のお後がよろしいようで、みたいな感覚すらある。ヒドうまい。

『僕の幼馴染み』秋

 タイトル通り幼馴染みと致す話かと思ったら、いろいろ捻ってくる。いや、幼馴染みは間違いないし、幼馴染みだからこそ抱えてしまった苦悩であり、それ故の爆発なんだけど。
 そういうオチかーい!!となって終わり。冒頭に女の子とネコが戯れる微笑ましい場面ありますけど、あれで印象を操作された感ありますね。それでいて、そのネコこそが彼女がこっちの家にやってくる動機でもあり、というのがうまい。

投稿ページ

 ネタとかではなく前号の感想がメインなんですね。それに対する編集部コメントがめっちゃ長いので驚いた。下手すりゃ投稿よりも長い。
 あと、編集部のただのコラムみたいなのもあって面白かったです。こういう面白さはまったく想定してなかったけど、面白かったw


 ということで終わり。今思えば巻末に向けてアッチ系の作品が固まってたんですね。よく出来てる……(ジャンプばっかり読んでるとこういう掲載順演出に感動する)。基本的には女性優位な作品が好きなんで、雑誌を通して読むような機会がなかったら読まなかったかもしれません。が、面白かったんですよね。読んで良かった。やっぱこういう出会いは好きなものを辿っていくのではなく、雑誌に身をゆだねることの魅力なんだと思います。
 正直めちゃくちゃ面白かったです。エロ漫画たまには読むけど程度だったんですが、こんなに豊かな世界が広がってたのか……。ただ、エロ漫画がすごいのか、快楽天がすごいのか、どっちかはまだ分かりませんw せっかくKomoflo登録したんで、読めるやつはなるべく読んでいこうと思います。
 いやしかし、長くなってしまった。6k。それぞれは短くしたつもりなんですが、数が多いからなぁ。気軽にやるのは無理あったか。

 最後にお気に入り作品。
 『畳句』『けもののさかりかた』『Summer Shower』『はじめてのひと』『処夏』『繁みの群れ』『近距離彼女』『アラサークソビッチの冒険』『友達』あたりってめちゃくちゃ多い。うへぇ。
 うーん、『畳句』『けもののさかりかた』『繁みの群れ』の3つで。優勝は決めません。てか、うち2つ好きな理由が被ってる……。

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