北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

COMIC快楽天 2019年5月号の感想

 次号はゼロスより先に快楽天感想やろうと思います。珍しく同日なんで。

gohomeclub.hatenablog.com

『楽園のわるい子たち』ぼっしぃ

 フルカラー6ページ。まさかのアダムとイヴなので笑った。笑ったけど、めちゃくちゃエロマンガにふさわしい内容なので驚きもしました。女の子が裸でいる理由がいらなくて、恥じらいを覚えて、イケナイコトとしてエロを知って、無知なショタを手取り足取り誘惑していく。もうこれ完璧なエロマンガでしょ。聖書に対するイメージが激変してしまいますわw アダムだから「あっくん」になるのも良いですよね。何も間違ったことは言ってないのに、こんなにもフィットする。
 オチも笑った。人類の誕生じゃねぇのかよw なんですが、ちゃんと葉っぱがイチジクになってるので考証的にも正しいですね。描かれてることは何も間違ってないのに……

『供花の庭』藤丸

 2人だけの世界という意味での「庭」であり、当然テニスでもありますね。うまいタイトル付けるなぁ。
 藤丸先生の『思秋期の薬』がめちゃくちゃ好きで、当時は知らなかったんですが、世界観が共通したシリーズらしいです(以前から続いてるらしいです)。正確なシリーズ名は知りませんが、水没しつつある終末世界が背景として出てくる。『思秋期の薬』は人類滅亡を回避するために事務的にセックスする2人の心境の変化がエロかったのですが、本作はずばり青春。終末世界設定がそのまま青春のメタファーとしても機能すると思います。終わりが見えてて、今を生きようと輝く若者ってそのまま青春の定義になると思います。隠れ設定みたいなのが作者の独りよがりじゃなくてしっかりテーマと合致してて見事だと思います。ハードなSFでもおかしくない設定なのにエロにフィットするんだから本当に驚きます。
 幽霊とテニス対決して勝ったらセックス、負けたら成仏……って書くとギャグっぽいですねw いや、ギャグパートは結構な強度のあるギャグなんですよ。ギャグがメインの作品でもおかしくないレベル。ただ、それが若者同士の交流としてリアルなんですよね。何事にも全力な感じで。テニスにも全力、ふざけるのにも全力、だからこそ淡い恋心や別れの寂しさも100%。この振り幅が本作の大きな魅力だと思います。20ページしかない読切なのにあまりに濃い。
 終末世界設定として面白いのは幽霊の男の子がどうやらリアルの今から見ても昔の人らしいんですよね。 “オレらの時の女の子はな…ッ それこそ嫁入りまで” “しない子が多いくらいだったぞ…” とありますので。テニスをやってるので大正か昭和の世代なのかな。ひょっとしたら戦争で彼は彼で世界が終わる予感を感じたことがあるのかもしれない。終わってしまうかもしれない世界の中で出会った2人が、その時だけは最高に幸せな空間(庭)を作ろうと全力になる……とか考え出すとエモさが増すと思います。エロマンガ感想で戦争って単語使うとは思わなかったw
 幽霊だから1日中練習するので、目に見えるように上達していき、それはすなわち別れがの訪れを意識させて……ってもう最高。別れを意識すればするほど相手のことを求めようと今この瞬間のエロが濃くなっていきますよね。感動とエロは矛盾しない。すごいw

『奉仕妻のおもてなし』mogg

 外装の修繕。このシチュエーションがすごい。奥様と配達員みたいな組み合わせはよくあると思うんですが、要するにアレは合法的に自宅という日常に入り込んでくる他人ということですよね。本作もそれと同じなんですが、毎日来るので顔馴染みになる、そして家の外に常にいるという違いがデカいですよね。これがはマジ良かったなぁ。エロじゃないにしても、この経験ってほとんどあると思うんですよ。自宅なのに外に知らない人、だけど顔はぼんやり覚えてる人が常にいる感じ。あの日常が浸食されてるような気まずさ、あるじゃないですか。それをエロに変換するんだからそりゃ面白くなるよなぁ。
 家全体のリフォームではないから家の中には入らないんですよ。家の中と外という一線が強烈にあって、当然それが理性や常識のメタファーになる。あの窓ガラス越しに奥様が誘惑してくる場面、名シーンですねぇ。
 作業員が2人なので奥様の魔性というかアリジゴク感が増して面白かったんですが、その奥様を支配する旦那がラスボスとして登場するのも良かったですね。普段は顔もあわせない人にまんまとコントロールされてた感。あの旦那がまた極端に感情を見せないように演出されてるのもうまかったですね。不気味で底知れない。おっぱいを出せるのは彼だけ、という特権も分かりやすく用意されてたのも見事でした。

『夜のおひめさま』なぱた

 本号の表紙ですね。新刊発売記念で続編が凱旋という形。
 異世界設定なんですが、とにかくやるだけ、と割り切ってるからスゴイ。ご褒美に徹してる。ページも短めということもありますが、続編かくあるべし、みたいな勢いを感じます。たしかに、説明とかすっ飛ばせるのが続編の良いところですよね。それをエロでやったらそりゃそうだわ。納得しかない。
 話としてはないけど、衣装に異世界設定は生きてますね。2人の衣装のギャップは序盤ながら見所の一つだと思います。ヒロインのおっぱいぺろん、最高ですw

『いちゃぽかバスタイム』Noise

 タイトルの通りお風呂でイチャイチャする話。タイトルが潔すぎる。そのお風呂の魅力が詰まった作品ですよね。狭い中で密着するのとか最高ですし、お湯の暖かさが同時に恋人とのイチャイチャによって生じる心の温かさにも繋がってきますし。
 最初からエロが目的なのは明らかなのに「風呂に入るだけですよ?」という体裁が生じるのが風呂シチュエーションの良さでもありますね。もちろん欺瞞ではあるんだけど、エロ目的ではないという体裁で互いが裸になる気まずさであり、日常が一気にエロに染まっていく気持ちよさ。恋人と風呂はずるいよなぁ。ひょっとして最強なのではないかw
 ラスト。お風呂はエロが主目的の場ではない、という前提を踏まえたオチで素晴らしかったと思います。そりゃそうなんだけど、まだあるのか、という驚きでありボーナスステージ突入みたいな嬉しさもありますね。あのまま服も着ないまま移動するのかなぁとか想像すると憤死してしまいそうですw

『センセイ♡』ユズハ

 風俗で童貞を捨てようとした先生がギャルと。正直1ページ目のヒロイン登場のコマでグサグサきました。もう勝ちです。
 無料案内所の前でドキドキしてたら制服ギャルと出会って誘われる、というシチュエーションもめちゃくちゃ良かった。教師だから制服の子を見過ごすわけにはいかない。からの「釣るためのコスプレ」と返されるあの感じですね。じゃあ合法? みたいな脳内悪魔に囁かれる感じありますよね。ぶっちゃけ、メタ的な読者の立場としては「いやガチなんじゃあ……」と何となく予想はつくんですが、そのくらいが逆にちょうどいいと思います。知らずに釣られる主人公を見ながら「知らないんだから仕方ないよね」と自分への言い訳が成立するというか。
 先生の童貞心理もリアルだし、ヒロインのチンコ大好き感も最高ですね。ヒロインに一方的に攻められるんだけど、彼女は彼女でチンコ大好きすぎるので惚れた弱みではないけど、力関係がちょうどいいというか。
 武器として制服を着ているだけあって最後まで脱ぎきらないのも良かったですね。おっぱいも挿入するまで出さないんですが、そこらへんが彼女から一方的に攻められてる感としてふさわしかったと思います。

神待ちアプリ』おから

 アプリで出会った子があまりに可愛い。このビジュアル一発で「いやあり得ないだろ」と思わせる説得力が見事でしたね。ちょうど『センセイ』の子みたいなの来るイメージありますが、まったくの逆のベクトルに可愛い子が現れる。少し怪しいというか、不気味さもあって、その印象が最後まで引きずることになるんですよ。最初はめちゃくちゃ都合のいい子に出会えたと思ってると、主人公とのエロにハマるだけでなくアプリを使いこなしてるのか?? と疑わしくなってくる中盤からの展開がもう最高。主人公は彼女と出会う前からアプリは使ってて、そういう経験もあったと思うんですが、途中から「彼女も自分以外とやってるのか?」という疑念が生まれる。別に間違ってないし、人のこと言えないんだけど、そのときには既に彼女に入れ込んでしまっているので……というアンビバレント。プレイがどんどんエロくなっていって、それ自体はおいしい話なんですが「これ俺だけじゃないよね?」と疑いを補強していく。けど、目の前のエロはあまりに抗いがたくて……と溺れていく感覚が最高。
 一応誤解だったみたいなオチもつきましたけど、まだあれ決定打ではないですよね。まだハッキリと自分だけのものという安心は得られないまま終わる。つれぇわぁ。つれぇけどそこが作品としては良いw

『ビーストリミット』外山じごく

 ギャルと先生が卒業式の日にやる。ギャルと先生なので『センセイ』との一致もあるんですが、キャラクターも出会いと学校生活の順序が真逆になってるのが面白いですね。もちろん偶然なんだけど。本作のヒロインはギャルではあるけど天真爛漫な感じがあってめちゃくちゃ魅力的です。一方の先生は「昭和遺産」というあだ名が良いんだよなぁ。それ一発でどんな人が分かってしまうw
 序盤の場面、まぁ説明であり、本番に向けた助走みたいなパートなんですが、ここでの語り口がめちゃくちゃリズミカルで最高。映画でいえば小気味よくモンタージュされて場面が次々飛んでいく感じ。しっかり2人のキャラクターを掘り下げつつ、セックスに向けた準備も描かれ、いざ卒業式で “これ” “終わったら” “これが終わったら――…!” と2人の息がピッタリになるくだりとかホント最高なんだよなぁ。エロ以外の要素として面白すぎるし、エロとして考えても「この後ついにやるんだ……」と考えるだけで超エロい、というのもありますよね。セックスはやる直前が一番エロい。案外あると思いますw
 よくエロマンガとかAVだと、童貞、処女のくせにうますぎ、みたいなツッコミが生じがちですが、本作の場合はこの日のために入念な準備を重ねてきたから納得ですよねw その堅苦しいまでの生真面目さが先生のそれまでに説明されてきたキャラクターと一致してるから「そりゃこのくらいやるわ」と疑う余地がないのが良い。やっぱ、うまいんですよね。
 勢い重視で、その勢いがとにかく気持ちいい作品だったんですが、最後の最後に “卒業式の日ってギリ学生じゃね” と冷静なツッコミが入るので爆笑しました。それは言わないでw 言われてみればそうだけどw

『ナイショの勉強』ハードボイルドよし子

 今度は塾の先生と。しかし、今度の先生はクズ。こんだけ先生が続いたのに意外と初。悪い先生に教えられてしまう、という話。立場的にこっちのが当たり前というか主流になりそうなもんなんですが、意外ですね。
 学校ではなく塾の先生というのも良いですよね。わざわざ学校の外で勉強をする塾という存在が、恋人がいるのにわざわざ他の男にエロを教わるという本作の物語と合致してる。物語の構造が彼の存在を説明していた、みたいな作りになってる。それに、塾の先生とだったら遊びに行っても学校の先生よりは変じゃない……いやけど怪しいか?? からのやっぱダメだったー!! という揺れもあったと思います。そこが楽しい。
 女性に「教えてあげる」という体裁が男のしょうもない欲望としてリアルだし、そこをたまたま「彼氏のために教わりたい」と合致してしまったヒロインが悲劇というか、幼さも感じます。そこで本作すごい面白かったのが、最後まで「彼氏のために教わる」という体裁が最後まで守られた点。きっと快楽堕ちして彼氏のこととかどうでもよくなっちゃうんだろうなぁーとか思ってたんですよ。そしたら違うんですよね。ラスト、再び彼の元に帰っていく。先生との関係がその後どうなるのかは分かりませんが、一度でも彼氏の元に帰るのが意外でした。立派とも思えるし、闇が深いとも思えますね。ここらへんの一筋縄ではいかない人間のドロドロした心理がすごい。勉学では劣る彼氏に対して「教えてあげる」立場になって終わるのも何か悪いことが連鎖してるようで良かったです。最後のコマで彼女の左目が隠れるのも超かっこいい。絵でイヤな予感を残して終わるとかマンガとしてかっこよすぎる。

魔法少女メルヘン☆シュシュ』ゲズンタイト

 ワームホールを生み出す魔法少女。怪人の倒し方がグロいのでのっけから笑ってしまった。たしかにワームホールを戦闘に使おうとしたらそうなるのかもしれないけど、容赦なさすぎるw
 からのポータブルワームホール。思いついてもやるなよ、というアイディアが次々に連発するので最低で最高w 彼氏が迷いなくその穴に順応するのとか最高です。そっからまさかのリベンジポルノ展開になるのもすごい。考え得る中で最悪のことが起こり続ける。あれだけは絶対に回収しなきゃダメだよw まぁ、ハメ撮りのデータとかも同じで、顔も見たくないから一刻も早く別れたいという思いがこういうミスを招くんですかね。別れ際こそ冷静にならないといかんわ……
 元カレがワームホールにチンコ突っ込んでる姿があまりに間抜けでその絵面がまた面白いんですよね。要するにオナホと同じではあるんですが、チンコが消失するのでより絵面がおかしい。
 ラストの強引なまでのハッピーエンドも笑った。ちゃんと元カレの方にも正義の鉄槌が落ちるのが良かったですね。ただ、爆発がワームホールを通ってこないのか少し心配ですw

異世界はこう抜く』F4U

 第9射。大キノコ男。前回はボーイくんとの関係性が暗にエロかったんですが、今回はかなりド直球にエロい。珍しくまくら嬢のワンサイドゲームというか、苦戦することなく最後まで行くんですよね。だから彼女のプロとしてのテクニックが遺憾なく描かれてる。1ページ目の余裕たっぷりの表情とかめちゃくちゃエロいでしょ。
 前回があるから余計に意識してしまうってのもあるんですが、隣でいちいちリアクションを取ってるボーイくんが良いよなぁ。よく考えたらプレイの最中にボーイが同席するのもよく分からないんですが、あのリアクション込みで完成する感ある。

『talking』ICHIGAIN

 冒頭4ページがカラー。謎の女性と出会って挿入して一発出すまでがカラーで描かれるんですが、めちゃくちゃ面白かったのがカラーページの最後、徐々に色が失われていって終わるんですよね。別に意識を失うとかそういう演出ではなく、モノクロページへの助走として。冒頭カラーの作品としては珍しくカラーとモノクロの境で場面が飛ぶことなく地続きのまま進行するんですが、その境を曖昧にするために徐々にカラーが失われる。『オズの魔法使』の逆バージョンだw(伝わりにくい例え)
 ICHIGAIN先生のサバサバ系ヒロインはやっぱ最高……というだけでも楽しいんですが、物語としては見覚えのある女性の正体という謎で引っ張る。情報収集のためと割り切るほど主人公は打算的ではないと思いますが、タイトルの通り会話が続くんですよね。互いの素性をよく知らない同士の探り探りでもありつつ、体の関係は既にあるという独特の距離感での会話がすげぇ良いです。エロい。行為の最中で喋り続ける作品大好きなんですが、本作は恋人のイチャイチャとは別の魅力が生まれてますね。
 そして、エピローグとして主人公の謎解き。ミステリーマンガみたいなラストだw 『セーラー服と機関銃』ならぬ「ブレザーと日本刀」ってのも最高ですね。こっちのが観たいかもしれないw 金髪は変装ではなく黒髪の方がウィッグというのも今夜の姿が彼女の本当の姿なのかも、と淡い期待を抱けて良かったと思います。あと何より女優ということで、間違いなく本作のハイライトである耳元で “愛してる” と言う場面がより味わい深くなりますよね。それまでも偽りの関係と割り切った上でのウソのセリフとして充分エロかったんですが、女優の演技力も加わってたのかと思うと、いやそりゃホレちゃうでしょw

『カタコイ×スクエア』スミヤ

 女優ではなく今度はモデル。
 scene2。地獄のような四角関係。今回は1話でメインだった2人はラストシーンのみの登場でもう2人の話……なんですが、きっちり前回の話(ラストシーン)の続きになってるのが良いですね。前回と同じく失恋した者同士が一度だけ結ばれる。つれぇわw 男の方から迫るのが前回と共通してて、好きな相手とセックスするんだからとりあえず良かったね……とは言えないですよね。どっちもつれぇよなぁ。なんて話を考えるんだw
 前回と違うのは好きな人と義理の姉弟になってしまったという部分でして。つらさが増してるw 今回の2人、それぞれが相手に対して2つの呼び方をする構成になってるのが見事ですよね。名前を間違えられるのもつらいし、「姉さん」呼びをやめて、再び戻すのもマジつらい。胃が、胃がキリキリするw
 そして、ガールズサイドが始まりそうな予感で終了。2人ずつが別々に語られましたが、次回からそれがさらに交差して、女性視点という新しいステージに入るので二重に楽しみ。やっぱ全4話になるのかしら。1人ずつやって最後に最終章として第5話でもキレイだと思いますが。

『彼女は甘やかしたがり』いとうえい

 超絶母性で彼氏を包み込むヒロインの話……なんですが、彼の方がなかなか変態なのが面白いですね。彼女の母性に翻弄される話ではない。彼は彼で自分の欲望に正直にリクエストを出していく。それを彼女が真っ正面から受けるので、ちょっとした対決構造にも見えてくるというかw 彼女の母性もちょっと度を超してるので、どっちもどっちなんですよね。どちらの異常性が勝つのか。化け物には化け物ぶつけんだよ、みたいなカップル。ある意味で理想と言えそうですねw
 いざセックスになると彼の変態性が彼女の母性を上回って彼のペース。なんですが、あそこまで彼が変態になったのはおそらく彼女が甘やかしたせいもあると思うんですよね。なので、彼のペースになったところで、2人の間に主従関係が芽生えるようなことではまったくない。不思議ですねぇ。セックスが終わると再び彼女が母性全開になって、彼がそれに甘え出す。歪んでる、けど2人のデコとボコが見事に合致してるw
 からの母性ということで……みたいなオチがつくのも良い。エロマンガだとよく出てくる話ではありますが、母性がテーマになってるのでまた味わいが違ってきますね。彼女がアレを言う重みですよ。

『恋人から』ぴかお

 新刊発売記念で新刊の表題作の続編、という感じでしょうか。
 すっかり日常の一部と化したセックスから始まるのが生々しくて最高。そこからシームレスにエロのない日常に行くのとかマジすごいですね。これぞ恋人の生活、という説得力がある。日常とエロを境なく行き来するの感じがヤバイですね。恋人が、セックスが特別なものでなくなってる感。最高の贅沢なのではないか。そして、後半はそれを再確認して、そこから再び特別ではない日常に戻っていく。定期的に愛が(愛情表現が)盛り上がっては平熱に戻っていく。えっ、ちょっと理想なんじゃないこれ。マジで。

『終わった世界でこんにちわ』オガデンモン

 ギャアアア、扉かっけぇえええええ!! ハードSFでもおかしくない設定もしびれるんだけど、とにかくこの扉のインパクトでしょ。パンツは見せるけどヒロインの顔は見せないまま扉。そっから設定と不釣り合いなくらい可愛い感じの女の子が出てくるのも含め、オープニングで引き込むチカラとしては本号屈指だと思います。てか最強。
 『地球最後の男』ですか?? という感じの終末世界にヒロインが独り。独りで3年過ごした彼女の元に謎のショタが現れて……。キャラのビジュアルとしては可愛い女の子と可愛いショタなのに背景がSFというアンバランスさ。キャラの絵にデフォルメ多用するし、ホントこのバランス面白いよなぁ。いざセックスということで準備するくだりでもヒロインが滅亡世界を満喫してる感あって楽しいんだよなぁ。そして、道路の真ん中でおっ始めるのも最高だし、だからこそ車の反射で自分たちの姿を見て “こんなことして70億まで増えたの!?” となるのも最高。笑えもしますが、おそらくここが本作の本質と言えると思います。70億いようが、世界にたった2人だろうが、やることは一緒。それを続けて70億まで人類の歴史が紡がれてきた、という。ここらへんは『楽園のわるい子たち』も連想しちゃうテーマですよね。
 そして、終末世界ということで『供花の庭』も連想するんですが、そうすると当然、あのショタは幽霊?? と思うじゃないですか。わざわざ意味深に喋らないですし。絶対最後に真実に気づいたヒロインが「結局独りだったんだ……」となって切ないラストになると思ってましたよ。まさかの未来への希望が続くハッピーエンド。最高やんけ。
 人類を増やすためにコンドーム使っちゃダメだと思うんですが、おそらく “この中に1億とか精子居るわけでしょー?” という場面がやりたかったんだと思います。大げさなこと言いますけど、使用済みコンドームと地球に見立てた場面だと思うんですよ。セックスによって増えに増えまくった人類というのを使用済みコンドームを通じて描いてる……んだと思います。マジすげぇことするわ。ちょうど本号の掲載だったのもあって味わいがより深まったと思います。

『たいひでえられるじっかん』西安

 王道の寝取られ……かと思ったらラストが全然王道じゃないー!! すごいラストぶっ込んできましたね。エロマンガなのに女の子ほっぽりだして主人公とオッサンの2人で新たな大きな物語が始まる予感して終わりやがった。なんだよあれ。思い切ったことしすぎでしょ。最高。komifloのコメ欄でもバトル漫画みたいとか言われてますけど、ホントその通りで。上質な師弟ドラマの予感しかしません。出来るものなら続きがどんなんか読みたいし、アイディアだけでも知りたいんですが、下手すりゃエロとかない物語になる可能性すらありますよねw それはそれで興味あるなぁ。
 エロマンガなのに最終的には女の子はどうでもいい男2人の師弟のオリジンストーリーであったという禁じ手みたいな話なんですが、セックスが丁寧に描かれればそれは何でもエロマンガなんだよ、というジャンルとしての懐の深さを感じますね。『終わった世界でこんにちわ』も相当変則的なエロマンガでしたが、何でも飲み込めるエロマンガの強さ。

『5センチの嘘』翁賀馬乃助

 タイトルどういう意味なのかと思ってましたが、鍵ですね。鍵の嘘がキッカケで始まる話。鍵ってよくチンコのメタファーとして使われるアイテムだと思うんですが、本作もそう読むことも不可能じゃない気がしますね。
 不動産屋と鍵をなくした女の子という設定が面白い。家出少女モノと近いとは思いますが、顔見知りなのでそこが決定的に違いますね。面白いこと思いつくよなぁ。そこから主人公がヒロインのことを疑いの目を向けてるというのもリアル。目の前の可愛い女の子に簡単に溺れはしない。「こういうことだろ?」と分かった上で探り探り近づく。この生々しい緊張感、良かったですねぇ。そこからまさかの破瓜で完全に彼女にペースを握られる展開もすごい。普通、処女だとバレたら力関係としては下になるはずなんですが、本作に関しては逆。「実は処女」という隠し玉によってヒロインが完全に優位に立つ。個人的には手の上で転がされてぇ……という願望が強いんですが、本作の主人公は安易にそうではなく、あくまでも大人としての関係を続けようとするのが良かったですね。彼女に一杯食わされたわけだけど過剰に動揺はしない。あの「はいはい負けましたよ」感が本作の魅力なんじゃないでしょうか。要するに不動産屋で主人公に恋したヒロインが一計を案じた話なんですが、直接「好きでしたー!」みたいなセリフは一切出てこないまま終わるのが良いですよね。最後の最後にかろうじて「初恋」というワードが出てくるだけ。これだけで分かるでしょ? と最低限の情報で止めたのが良いですねぇ。こういうバランス超好き。

『ロック教授のストレンジ・ラボ』アシオミマサト

 再び「鍵」だ。この2作品が同時に現れたのは偶然でしょうが、掲載位置を隣接させたのは絶対わざとでしょw
 そんな本作も「鍵」にまつわるラストが超良かった。ラストのどんでん返しじゃないけど「そういうことか!!」と思わず声を出してしまうそうになるまでの興奮は本号随一でした。マジあのラストは見事。16ページしかない読切でキレイな伏線回収やりやがった。あまりに見事にしてやられたので悔しさも出てくるレベルですよ。手品師にだまされる快感にも近いというか。
 そんなオチを踏まえてみると「鍵」が相手の心の中に入り込むためのアイテムというのがよく分かりますね。『5センチの嘘』は鍵をなくすという変則ではありますが、やってること、描いてることは同じだと思います。鍵のウソによって相手の陣地に入り込む話ですので。そしてやはり鍵はチンコのメタファーでもあるんでしょうね。鍵によって男女どちらの心の中に入っていくのかは2作品で対照的ですが、女性が男性に侵入する話のときは「鍵がない」となるのが意味深です。
 んで、本作。これまた「嘘」にまつわる話になってるのが最高ですね。とことん『5センチの嘘』と表裏一体だ。そして、その嘘が鍵によって明らかになってエンド。この終わりの気持ちよさは本作圧倒的ですね。全ページを通じて最もキリッとした表情を見せてるのに最もデレを意味する場面になってる。くそぅ、オシャレなことしやがる……
 エロ。エロパートに関しては完全にヒロイン主導で、翻弄される彼も可愛いし、クールな白衣美人に翻弄されるマゾヒスティックな快感もあって最高なんですが、やっぱラストシーンだよなぁ(そればっかり)。一度あのラストシーンを見たあとに読み返すとすべてのシーンが違って見えてくるw

『トリツケ業者』かるま龍狼

 チンポの取り付けw エアコンかと思ったらチンポ業者が来てビックリ、かと思ったら母親からの粋な計らいで感涙……じゃねぇよw 主人公がリアクション役やってくれるのかと思ったらお前もそっち側の人間か。このオープニングの二重三重のツイストは見事ですね。完全に振り回されてしまったw
 壁に設置台が既にあるので作業がすぐ済む感じとか、業者が去ったあとのワクワク感とかおかしな話をしてるのに、そういう細かい部分は丁寧でリアルなんだよなぁ。手際よく取り付けていく各工程がいちいち描かれるんですが、あり得ない話なのにリアルに思えてしまうから悔しいw 取り付ける直前に “こちらを取り付けます” と確認してくるのとかめっちゃ分かる。あれ絶対やるわw
 取り付けチンポで話が終わるのかと思ったら、さらなる展開があるので爆笑しました。エアコン業者はまともかと思ったら、こいつもどうかしてたw 同じメーカーだからリモコンが反応してしまうとか、家電あるあるを入れてくるなよ。分かるわー!ってなるけど、知らない話なんだよw
 そんな出てくる人がいちいちどうかしてるので最後のパパの “…ちょっとパパも使っていいか?” で、まさかアナル!? とか身構えちゃうじゃないですか。そっからの使い方が逆の意味で意外で。電マをエロい用途で使うのの逆バージョンですね。あり得ない話に対して説得力を感じてしまうから本作ずるい。うますぎるわ。

「読者ページ」

 コラムがどれも面白かったです。海苔も手書きも。どちらも一瞬「あれっ良い話なのか?」となってしまったw
forms.gle

 komifloでも読者プレゼント応募できるようになりました。藤丸先生の複製原画ほしいぞ。
 アンケート。面白かった作品3つ。『楽園のわるい子たち』『供花の庭』『talking』です。『おわった世界でこんにちわ』を入れて統一感のある3つにしたかったんですが、どうしても『talking』のカラーページ好きなんですよねぇ。

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