北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『ウォール ストリート』の感想


 『ウォール ストリート』観ました。『ウォール街』の続編です。タイトルが同じだからリメイクっぽいけど、続編です。原題では「Money Never Sleeps」という副題がついてます。



   あらすじ
主人公は証券マン
婚約者はゴードン ゲッコーの娘
ある日、主人公の勤める証券会社がと大物投資家ブレトンにハメられ、株価が暴落
社長であり、主人公が師と仰ぐルーが自殺
主人公はゴードン ゲッコーに出会い、魅了される
ゴードン ゲッコーの協力の下、復讐を誓う



 主人公はシャイア ラブーフ。『トランスフォーマー』でお馴染みですね。現在映画館でお目にかかれる『トランスフォーマー3』の予告が超展開すぎて笑えます。
 そして、主人公の嫁、ゴードン ゲッコーの娘役にキャリー マリガンですね。『17歳の肖像』を観て完全にホレました。相変わらず整ってるのか整ってないんだかよくわからない顔してました。不思議な美人です。
 んで、この2人は本作の共演がキッカケで付き合っていたそうです。もう別れたらしいけど。よかったよかった。

 そして、本作の核。ゴードン ゲッコー役はもちろんマイケル ダグラス。本作の撮影終了後に喉頭癌でマジでヤバかったみたいですね。克服したそうでなによりです。
 本作で、ゴードン ゲッコーは8年間刑務所に入れられ、出所後もいまいちパッとしない過去の人。出所してすぐ、映画では「数年後」と扱われてしまう。ゴードン ゲッコーがなにもせずに数年が過ぎてしまう。地下鉄のカードを使いこなすゴードン ゲッコーなんて見たくないよ!

 前作で出てたゴードン ゲッコーのバカ息子。ヤク中で死んだそうです。あまりにぞんざいな扱いで笑えました。溺愛してたからさぞ悲しんだんだろうな、とも思ったんですが、あんまりそんな感じでもなかったです。しかし、息子の死がキッカケで娘とは絶縁状態。ゲッコー的には娘との絶縁の方がこたえてる感じでしたね。

 娘は兄と違ってしっかり者。父への反発心から非営利のニュースサイトを運営してる。けど、証券マンと婚約。ある種のファザコンってことですかね?
 父への反発心からなのか「クリーンエネルギー」という言葉に弱い。婚約者が証券マンで、金マン、ウォールストリートマンなんだけど、クリーンエネルギー信者だから大丈夫。「なんかヤバそうな話だけど、クリーンエネルギー開発に投資するんだから大丈夫」という理屈があるんだけど。金のやり取り、投資なんだけど、金儲けの匂いが(一見)しないってところが彼女のツボなんでしょうね。

 ここで少しネタバレなんですが。

 本作が世間で一番批判されてるポイントっていうのは、あのゴードン ゲッコーがただの気のいいジイチャンに着地してしまった件。ゲッコーが悪の道(欲の道)を全うしないという件。
 これに関して、個人的には気にならなくて。二十何年ぶりの続編なんだから今まで通りのゴードン ゲッコーを見せられても新鮮味がない気がするし。なにより、前作でバカ息子のことを溺愛してたからね。あの溺愛っぷりからしたら、娘、孫というカードにひれ伏すのは至極当然の結果のように思えました。
 ていうか、ゲッコーたんのツンデレかわいいからいいじゃないか! オールバックにして「ゴードン ゲッコー イズ バック!!」とかカッコつける一方で「来ちゃった」って娘の前に現れるゲッコーたん。

 ちなみに、このデレるゲッコーたんのことを娘が許すキッカケってのも「クリーンエネルギー開発に投資」なんだよね。キャリー マリガンに好かれたかったらとりあえずクリーンエネルギー開発に投資しとくといいと思うよ。

 本作の主人公のケータイの着信音が『続・夕日のガンマン』のテーマ曲らしいですね。三つ巴を意味しているそうです。まったく知らなかったです。すごーい。
 父親代わりであり師匠の復讐のために主人公はゴードン ゲッコーの力を借りようとするんだけど。ゲッコーは父親失格の男で、主人公は「助けてくれたら、あんたを父親にしてやるよ」と詰め寄るんですよね。この、主人公、ブレトン、ゴードン ゲッコーという3人が表面はニコニコしながら利用しあってておもしろい。
 しかも、ゲッコーは過去にブレトンにハメられて刑務所に8年ぶち込まれてたことまで判明する。・・・・・・・えっ? 刑務所に入ってたのって前作の主人公のせいじゃないの?
 前作の主人公が前作ラストでやった復讐でも有罪判決出たけど、それは数ヶ月程度の懲役だったらしいです。その後、ブレトンにハメられたそうです。マジか・・・・・・チャーリー シーンしょぼいな。前作のラストはなんだったんだ・・・・・。

 ちなみに、前作を観た人へのファンサービス要素も結構あって。前作の主人公のチャーリー シーンがカメオ出演してる。ゴードン ゲッコーとのやり取りではニヤニヤさせられる。他にも不動産屋のオバチャンも出てきたりしてました。
 本作で主人公はブレトンに対して2度攻撃を仕掛けるんですが。1回目の攻撃方法が前作とまったく同じ方法だったのもおもしろい。そしてそれを踏まえると、2度目の攻撃方法というのが対照的で映える。誰も儲からない方法っていうね。
 さらにゴードン ゲッコーが返り咲きをするシーンで、髪型がオールバックになることで復活を象徴的に表すんだけど。これも前作観てると楽しいです。
 主人公がゴードン ゲッコーのカリスマに魅了されて無意識的にマネをしてしまうっていうのも本作であった。「それは脅迫か?」 「もちろん」ってセリフを完コピしてておもしろかった。

 おもしろかったですよ。ただ、三つ巴の構造しておきながらメインの悪役であるブレトンの魅力があまりなかった、ってのは痛い。どう考えてもゴードン ゲッコーのがカッコイイもん。なんなら主人公1人でもブレトンにだったら勝てたんじゃね?程度の小物感。
 なんだけど。主人公とゴードン ゲッコーの間に、主人公の婚約者でありゲッコーの娘が入ってくるとおもしろくなる。刑務所暮らしを経て、時間を奪われた金の亡者ゴードン ゲッコーが「Time is money」ということに気づくというのもおもしろかったし。そして、娘、孫との時間を手にしようとデレ始めるというのはサイコーでしたよ。



 まぁ、なんだかんだでおもしろかったからいいんです。とにかくゴードン ゲッコーのツンデレ。そして前作を匂わすファンサービス的シーンがおもしろかったから満足です。
 75点。