北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

テレビアニメ『サムライチャンプルー』、映画『アフロサムライ』『アフロサムライ:レザレクション』の感想

 今回は少し変則的に複数の作品の感想です。
 テレビアニメ『サムライチャンプルー』、映画『アフロサムライ』、続編『アフロサムライ レザレクション』の感想です。長いけど我慢してねー。
  

 まずは。
 友人にすすめられて観たテレビアニメ『サムライチャンプルー』。

フィクションにおける「大食いヒロイン」というジャンルは好みだったりする

 あらすじとしては、超絶強い2人のサムライと「ヒマワリの匂いのするお侍さん」を探す少女が出会い、3人で旅をする、というもの。
 「ヒマワリの匂いのするお侍さん」というのは後半になるまで正体がわからないんだけど、「お侍さん」と呼んでるあたりから心の底から憎んではいないというのがわかる。

 そんで、本作の特徴として、サムライの活躍する時代劇なんだけど、時代考証は無茶苦茶で。音楽がヒップホップだったりして。殺陣でブレイクダンスっぽい動きをしたり、画面が変わる時に画面がスクラッチされたりしてる。江戸時代だけど、現代用語も平気で使われてる。『銀魂』ほど現代要素ないものの、「時代劇ってなんかカッコイイよねぇ」程度の感じ。
 初回に、「ガタガタ言うな。黙って見やがれ」という前口上が出てくる。
 しかし、逆に言うと、そんなこと言う程度にはマジメなワケで。『銀魂』もそうだけど、時代劇の体裁で無茶苦茶な作品は多い。この後書く『アフロサムライ』を考えると、『サムライチャンプルー』は時代劇としてちゃんとしてる方。
 藩、隠れキリシタン、浮世絵、とかのキーワードが出てきて「根はちゃんとしてるんだね」っていうのがチラホラしてる。

 本作の主人公の2人のサムライってのは、琉球のガサツなサムライ、メガネのクールなサムライでして。この2人がケンカしながらも仲いい感じで見ていて楽しい。「どんなに離れても、俺たちはこうなる運命」とかいうセリフまで飛び出す。イイ感じでホモっぽい。

 劇中、死ぬべきキャラはちゃんと死ぬ、という意味でもちゃんとしてます。それに、主人公が必要ない殺しをするあたりもよかったです。絶対正義じゃないんですよね。
 前半にフランケンシュタインの怪物みたいな敵が出てくる。怪力で醜いけど心はキレイってやつ。ヒロインと心を通じあわせるんだけど、仲間が殺しちゃうんだよね。ここらへんで、作品の世界観がうかがえる。ただ、この件でヒロインはもっと責め立ててもよかったと思うけど。

 トンデモ時代劇として大変楽しい本作なのですが。個人的に一番好きなのは、ヒューマンビートボクサーが出てくる回。口だけは達者なお調子者のサムライのお連れとして出てくるんだけど。そいつが喋ろうとすると、連れに合図を出す。すると、刀をマイクに見立ててビートを奏で始める。ちゃんとしたヒューマンビートボックスだと思っていたら、エンドクレジットでビックリ。
 このヒューマンビートボクサーの声の出演(セリフはない)っていうのがAFRAなんですよね。すっげぇぇ。豪華だぁ。
 個人的にはこの回が一番好きです。

 戦闘シーンも多くておもしろかった。ただのチャンバラじゃなくて、いろいろとギミックの利いた敵が出てきててイイ。
 先述のフランケンシュタインの怪物風の男、カンフーサムライ、二丁拳銃、と思い出すだけで楽しい。実にバカっぽい。けど、この3人との戦いはどれも結構シリアスな回なのが笑える。てか、ちゃんとした戦闘は基本的にシリアス回にしかない。

 印象的な敵というと、盲目の女殺し屋。
 女殺し屋というだけで大好物なのですが、それに加えて盲目とか。ヨダレが止まらん。
 しかも、コイツの出てくる回ってのは数話構成のかなりのシリアス回で。戦闘までのフリもしっかりしてる。
 武器もカッコイイ。それに初戦が橋の上というのもイイ。その後の雨の中の戦闘もイイ。なにより強いしね。

 そして印象的な敵といえば、やはり最終エピソードで出てくる敵。2グループいて。主人公に恨みを持つ元薩摩藩の3兄弟。中でも隻眼の鎖鎌使いがよろしい。眼帯してるんだけど、それが外れると、目が潰れてて異形のモンスター化するのも素晴らしい。
 そしてもう1人。幕府の放った最強の殺し屋。ラスボスといってもいいヤツ。こいつがまーカッコイイ。今までの敵と違ってギミックはないんですよ。武器も普通、戦い方も普通、ただ滅法強い。主人公ですら手も足も出ない。まったく敵わない相手に対して唯一勝利する方法ってもうまい具合に用意されてあってよかったです。
 ただ、このラストエピソードの敵の2グループがまったくの別行動のまま終わってしまったのには大変萎えた。残念でしたね。敵同士が手を合わせる、とかしてほしいじゃん。

あと、ラストエピソード直前にあった、ゾンビ回と野球回の2つもバカっぽくて好きでした。
 ともかく、カッコつけとバカのバランスが大好きでした。

 んじゃ、次。


 『サムライチャンプルー』が「サムライ×ヒップホップ」ということで、とあることを思いつく。
 「サムライ、ヒップホップといったら『アフロサムライ』だろ!!」
 ということで『アフロサムライ』観た。

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出血多量、苦手な人は気を付けてー

 『アフロサムライ』とは、その名の通りアフロなサムライが大活躍するアニメでございます。
 一応日本製のアニメだけど、アメリカの方が先に公開された作品。最初はテレビシリーズとして作られたのだけど、その後再編集して劇場公開もされました。
 その後、『アフロサムライ レザレクション』という続編も公開されました。もちろん、続編も観ました。
 ちなみに英語吹き替えは、サミュエル L ジャクソンがやってて素晴らしいです。ちなみにプロデュースも担当。セリフの中に少し日本語をそのまま読んでるところがあって、「カタジケナイ」「オイシイ」「ナム」とか発音が超かわいい。特に「カタジケナイ」の破壊力はハンパじゃなくて、本作観たら、「カタジケナイ」が脳内流行語になること必至。

 設定としては。
 時代劇風な舞台。世の中には「一番」と「二番」のハチマキが存在する。「一番」のハチマキの持ち主に挑戦できるのは「二番」のみ。「二番」は誰の挑戦も受けなければならない、その苦行を乗り越えてこそ「一番」に挑戦する資格がある。
 主人公アフロの父親は「一番」の持ち主。ある日、とある「二番」のガンマンと戦い、殺される。目の前で父親を殺されたアフロは父親の復讐を果たすため「一番」のハチマキを手に入れる旅に出る。

 本編は、主人公の父親とガンマンの戦いから始まるんだけど。いきなりガンマンですよ。アフロも父親も一応サムライだからね。日本刀で戦いますよ。黒人でアフロだけど。
 それがいきなり二丁拳銃のガンマンと戦う。個人的にはこの二丁拳銃との戦いがギミック的に一番好きです。

 本作はアニメの分際でR-15指定でして。血みどろです。初戦でいきなり首チョンパです。ついでにオッパイも出てきます。悪態もバンバン出てきます。「ファック」「マザファッカ」「サノバビッチ」「コックサッカー」などなど。サミュエル L ジャクソンの悪態が聞けるよ。

 『サムライチャンプルー』同様ヒップホップが根付いた作品でして、音楽も当然ヒップホップ。戦闘が始まると、ビートが鳴り出したりして大変上がる。
 音楽もそうだけど、まーとにかくカッコイイんですよ。戦闘シーンも迫力も素晴らしいし、「勘違いされた時代劇」という舞台設計もすげぇカッコイイ。

 ガンマンは出てくるし、グレネードランチャー二刀流、さらにはロボまで出てくる始末。ロボとの空中戦とか、笑いが止まりませんでした。

 秀逸だったのが、主人公の過去が語られるシーン。道場で修行してる時代のアフロの話。
 修行しつつも「二番」のハチマキを探すため殺し屋殺しを続ける日々。そして「二番」を見つけるも・・・・・っていう鬱展開が素晴らしい。
 道場ではぐくまれた友情、師弟愛がある事実によって一瞬にして崩れてく。
 そして、師匠殺しへと発展していき、義兄弟の親友と最悪の形での別れ。
 血みどろで描かれますが、血のドロドロした気持ち悪い感じが効果的になってます。

 そんな過去話も交えつつ、現在のヒロインとの恋模様も結構うまいこと描かれてますよ。花火がとても効果的に描かれてます。
 作品全体がアメリカ人的なセンスに溢れてるんですが、ヒロインもそんな感じで。エロいネエチャンといった感じなんだけど、一応日本人的な慎ましさも描かれてて。おもしろいバランス。

 師匠殺し、義兄弟との対決、を経てついに「一番」とたどり着くんですが。ここでの対決もなかなかおもしろいこと描かれててイイです。なぜ父が負けたのか、とかも描かれてます。

 まぁ、全編に渡って、アメリカ人的なカッコよさに溢れたサムライモノとしてとてもよかったです。とにかくカッコイイですよ。
 80点。


 そして、オマケ。
 『アフロサムライ』の続編、『アフロサムライ レザレクション』も観た。

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まさかのエミー賞受賞!! 続編も期待!!!

 前作で「一番」になったアフロだけど、ある日謎の美女の襲撃にあい、ハチマキを奪われる。(「一番」に挑戦できるのは「二番」だけというルール無視ですが、キニシナイキニシナイ・・・・・)
 父の形見であるハチマキを奪われたため、再び「一番」への旅が始まる。

 『2』でも本編開始早々に大立ち回りが行われる。橋の上での死闘。例によって血みどろ。フェンシングまで出てきて笑えます。

 そして、本作での「二番」は子連れ狼みたいなヤツで。コイツが鎖鎌を使うんですね。『サムライチャンプルー』にも出てきたけど、こっちのが全然カッコイイ。『サムライチャンプルー』のアイツはそもそもそんなに強くないしね。
 そして、子供の前で「二番」を殺す。そして「スマナイ」。
 子供の前での父親殺しっていうのはアフロ自身と同じで、未来のアフロが誕生したって感じでイイですね。

 まぁ、『2』の魅力ってのは大体『1』と同じで、とりあえずカッコイイんですよね。『1』と似たようなことをやってます。ちゃんとロボも出てきます。
 『1』で、主人公以外はみんな死んだはずなのに、『2』で新キャラっていうのが少ない。ハチマキを奪った悪役の美女、「二番」、「二番」の息子、以上。他は『1』で死んだはずのキャラの使い回しです。オイ・・・・・・いくらなんでも生き返りすぎ・・・・・・・。

 そんな新キャラであり、悪役の美女。声はルーシー リューがやってるんですけど。
 実はこいつ、アフロの義兄弟の妹で。兄の代わりに復讐をしようとしてる。
 コイツが『1』のヒロイン以上にエロいネエチャンでして。『1』のヒロインにあった大和撫子性は皆無で、完全にビッチ系。そしてドS。手下をSMプレイで操るシーンは爆笑でした。
 なんだけど、中盤で過去が描かれて、義兄弟の妹ということが発覚する。幼女、妹、という属性を描くあたりが日本人クオリティー。
 前髪パッツンの美女は大好きなんで、個人的に『1』のヒロインよりも『2』のが好きです。

 まぁ、全体的には満足なんだけど。肝心のラストバトルがちゃんと描かれなくて、少し残念でした。
 75点。



 と、『サムライチャンプルー』『アフロサムライ』『アフロサムライ レザレクション』と観たんですが。1つ、わかったことがある。
 「ヒップホップとサムライをミックスしたらカッコよくね?」とか考える人間は心底バカである、と。
 そして、そんなバカの作った作品は大変おもしろい。