荒川アンダー ザ ブリッジ 1 (ヤングガンガンコミックス)
- 作者:中村 光
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2005/07/25
- メディア: コミック
荒川アンダー ザ ブリッジ(11)(ヤングガンガンコミックス)
- 作者:中村 光
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2010/10/25
- メディア: コミック
こないだアニメを観た『荒川アンダーザブリッジ』の原作マンガを友人に借りたので、読みました。11巻まで。おもしろかったです。思うことがいくつかあったので、そこらへんを。
アニメ→マンガの順ですので、おかしなことになるかもしれません。
まず、本のカバーをめくると、おまけのイラストが表と裏。カバーの折り返しに作者のコメント。そして、本編が終わると、おまけページ。充実しておる・・・・・。この作者のマンガ読むの初めてだけど、好感しか湧かない。
・・・てか、1巻のカバー折り返しを見て驚愕。作者女かよ!!! しかも美人とか!!!!!
うぅーむ、ギャグマンガの作者が美人とか、どんな反応をすればいいのかわからん。正直ブスorブサイクがよかった。おもしろの備わった美形はなんかずるい、っていう僻み妬み嫉みが湧いちゃう。
ぼかぁね、マンガの1巻の作者コメントのところの写真が好きなんですよ。あの「日光なんて浴びません!」みたいな風貌が好きなんですよ。人生を輝きはすべてマンガに使い果たしちゃいました、みたいな感じが。
てか、中村光の「光」って「ひかる」って読むのね。てっきり「こう」だと思ってたわ。リクは作者の分身だと思ってたら、性別違うとか!!
そして本題。読み始めます。すると、驚きます。鉄人兄弟がデカイです。完全に思春期は迎えているような身長です。アニメのお化け屋敷回を観て、「一つ目小僧の鉄人兄弟かわゆい〜!」なんて思っていたワタクシとしては、なんとも言えん気持ちに陥りました。
とはいえ、この件は話が進むにつれて、小さくなり、後半では作品内で鉄人兄弟の縮小についてネタにしてました。てか、11巻でのホームズ&金田一耕助のコスプレがあまりにかわいかったのでチャラです。
鉄人兄弟で言いますと、アニメの時に感じた違和感がマンガを読んでスッキリした件があります。
シスターのブートキャンプを経て超マッチョになる話。そん時に鉄人兄弟の片割れがステラに対して、孕ませてやる的な発言をする。まぁ、おもしろかったとはいえ、突然ステラに対して性的な視点を持ち出す鉄人に違和感を感じてました。マッチョイズム→レイプって発想の飛躍だと思ってました。
それが、原作だと、この話の前に、ステラへの恋心に気づく話があるんですね。ウジウジとした恋心がマッチョ化を経て、歪んで巨大化してしまった、ということだったんですね。なぜ割愛したのかよくわからないエピソード。
アニメ観た時に「荒川シネマ通信」ってサブタイトルがあって、それをテレ東で放送してたのを知って笑ったんだけど、原作読んだら、原作にもあったよ! テレ東だからってネタじゃなかったのか。これは意外だった。
あと、原作読んで驚きだったのが、ラストサムライの恋。まさか、P子のことが好きだったなんて・・・・・・クリビツテンギョー。荒川住人の恋の矢印の数ハンパじゃないことになってるな。鉄人弟くらいじゃないか? 恋の矢印ないのって。
そのラストサムライの恋のエピソードってのが超イイ話なんですよ。影ながらの恋で、気持ちを伝えられなくて、けど、星がその気持ちに気づいて・・・・・・っていう。クソ! 泣けるじゃねぇかバカヤロー!!
ちなみに、ラストサムライの、荒川前のエピソードも他のキャラと比べると随分とまともで、一線を画しててよかったです。
マンガを読んでると、他にもアニメ化されなかったエピソードがいろいろと出てくるんだけど。アニメの原作エピソードの取捨選択はなかなかうまいなと思った。
もちろん、全部が当てはまるワケではないけど、アニメでカットされたエピソードってのは、オチが弱かったり、中途半端にイイ話系だった印象。日常描写としては、十分だし、もちろんおもしろいんだけど、十何週という限られたクールの中、それなりの統一性を持たせる上で、アニメだと、「ニノさんとの恋」と「父親との対立」の2点に集中させたのだと感じた。シリアスなのはこの2点に集中させ、他はギャグのみ。これは大正解だと思いますよ。アニメ版が原作マンガのイイ意味で、ダイジェストになってる。
アニメ版の取捨選択という意味において、1期よりも2期の方が特殊。原作との順序が変えられていたり、意図的にある話をカットしてる。
アニメの感想の時に書いたと思うんだけど、「金星移住」という物語上の時限装置が放置されたまま終わったんだよね。荒川生活の終わり、変化を告げるなにか、という緊張を描いているくせにそれが解決しないままアニメが終わっちゃった。アニメ2期の終わりはふわふわしすぎ。それが、その後が、原作だと普通に描かれてる。それも作品史上最大の事件として。コレをアニメだと意図的に排している。金星移住のエピソードに繋がるエピソードは根こそぎカット。金星移住のエピソードに深く関わってくる謎の組織「腐葉土」も全カット。
アニメを観た時は、「早く3期やっちゃいなよ」とか思ってたんだけど。原作を読むと、その気持ちが少し変わる。やらなくてもいいんじゃないかと思えてくる。というのも、ワタクシとしては原作の金星移住、腐葉土関連のエピソードがあまり好きじゃないんですね。ギャグマンガのシリアス展開が基本的に嫌い。本作の言い方をいただくと、「ギャグマンガの時計が動き出す」のが嫌い。それまでギャグキャラだったヤツが突然シリアスぶるのが大嫌い。本作だと巨匠ね。あのエピソードの巨匠はキツかった。
シリアス展開の中にも一応ギャグは挟まれるんですよ。これは本作のイイところなんだけど、とはいえ。2期のアニメを考えると、仮に3期があったとしても、金星移住と腐葉土のエピソードだらけになってしまうのではないか。そしたら、1期、2期とあまりに温度の違うアニメになってしまう。連載マンガと違って、クールで区切られるアニメは1期ごとに区切られちゃうから、3期はバランスを取るのが大変難しくなると思う。2期は、1期との温度差をなくすために金星移住、腐葉土のエピソードを排したというワタクシの考えが正しいのならば、3期は無理してまでやらなくてもいいんじゃね?とか思う。もちろん「駄作でもいいから続編が観たい」っていうファン心理があるのもたしかなんだけど。「3期放送決定!」という知らせを聞いても手放しで喜べないと思う。
あっ、そうだ。アニメの感想の時に書いた、謎の男描写について。
アニメだと声が同じだから「謎の男=村長」というのが間違いないと思うんだけど(少なくともそう思わせてる)、声ってのが存在しないマンガだとどうなんだろう?と思ってた。読んだ印象としては、アニメ化されたシーンに該当するマンガだけを読んだら、「謎の男=村長」という考えには至らない。もちろん、深読みをすれば感づく人はいるだろうけど、匂わすような描かれ方はされてなかったと思う。原作だと、謎の男が出た次のシーンくらいでまったく別の場所にいる村長が描かれたりして、「謎の男≠村長」を思わせるシーンもある。とはいえ、アニメ化された話の後に、「謎の男=村長」的な描かれ方はしてるんで、あのアニメ化の方法は正しい、というか超うまいと思います。
最後に。アニメを観て、原作マンガも最新巻まで読み、個人的に『荒川アンダーザブリッジ』ブームはひと段落した印象。
ところが。ところがですよ。問題なのが、実写化の件。7月に始まるんだっけ? この実写版は観るべきなんでしょうかね・・・・。地雷臭しかしませんが・・・・。まぁ、1話目くらいは観ますよ。前も言ったけど、徳永えりの広島弁が聞きたい(・・・1話にはステラ出ないかも)。
ドラマをやったら映画化もするんだってよ。ヤバイね。『スシ王子』と同じ道たどってんじゃん。
個人的な予想としましては、ドラマでアニメでいう1期2期の部分を描き、映画で金星移住のエピソードを描くんだと思います。正直、これだったらアニメの3期をやるよりもスムースにシリアス展開ができると思います。
・・・・まぁ、どんなにうまくやっても失笑しか想像できませんけど。