北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『アイ・アム・ナンバー4』の感想


出てくる女性は2人ともタイプです


 豊島園のユナイテッドシネマにて。金曜公開だったので、金曜の会員サービスデーとのコンボによって、初日なのに千円。お得感が異常です。

 そんなに期待してたワケじゃないんだけど、初日千円という誘惑があったので観ました。とはいえ、超能力バトルモノだったらある程度はおもしろいだろう、という考えがありました。
 結果としては、うーん、微妙・・・・って感じ。そこそこイイところもあったけど、大嫌いなところもたくさんあったっていう。一番記憶から消えやすい温度の映画でしたね。



   あらすじ
主人公は潜在パワーを秘めた宇宙人
全部で9人
9人を殺そうと宇宙から使者が来る
既に3人殺されてしまった
アイアムナンバー4ということで、次は主人公の番



 と、あらすじを書いたんだけど、実際はちょっと違う。宇宙人である主人公は素性を隠して暮らしてるんだけど、「ジョン スミス」という偽名を使って高校に通うようになる。この高校生活パートが映画の半分以上あるんですね(体感)。
 これが退屈なんだよね。アメフトのクオーターバックがいじめっ子で、科学オタクがいじめられっ子。んで、ヒロインはアメフト野郎の元カノで、その娘に近づくとアメフト野郎が邪魔をしてくる、っていう。スクールカーストの教科書みたいな展開が繰り広げられるんですね。
 しかも、主人公としては、かなり早い段階で、秘めるスーパーパワーに覚醒するから、アメフトのクオーターバックとか全然怖くないんですよね。触れずに勝てますよ。そのくせ、アメフトくんの恐怖演出は結構続くんだよね。いらないよ。
 ・・・・ちなみに、科学オタクの子がいじめられてたけど、イジメの原因はオタクとかじゃなくて電波さんだからだと思いますよ。「宇宙人っているんだぜ! 俺見たもん!」とか言ってますからね。宇宙人が地球にいる、って設定の映画だからいいものの、いくらなんでも電波ゆんゆんすぎました。

 このね、主人公の「持ってる」存在って設定。苦手です。ハリポタくんとか、修行もなく、あとは目覚めるだけ、って人。
 途中でね、スーパーパワーが発作的に出てきちゃって、パニックに襲われるシーンがあるんですよ。『X-MEN』みたいでイイ感じなんだけど、保護者が「落ち着いてコントロールしてみろ」って言った次の瞬間にコントロールできちゃってますからね。簡単だなぁオイ!!

 スーパーパワーについて。主人公の力は簡単に言うとテレキネシス。触れずに物を動かせる。これによって、敵を吹っ飛ばしたりできるんですが。『スターウォーズ』でいうフォースみたいな感じかな。この力は特別で、主人公とナンバー9しか持っていないらしい。まぁ、シンプルですが、見せ方によってはカッコよくなりますよね。『スターウォーズ エピソード3』のヨーダVSシディアス戦みたいなの期待しちゃいます。
 このテレキネシスはいいんだ。なんだけど、主人公が能力を発揮する時に手のひらが光るんだよね。ぼやぁっと光るんじゃなくて、手のひらに懐中電灯仕込んだみたいな光り方。これが、ちょっとダサい・・・・・・・。テレキネシスって物が動く以外に見た目の変化がないから映画的に地味って判断したのかもしれないけど、あれはないと思います。手のひらが光ったまま全力疾走するシーンとか、なんだかシュールでした。

 んで、もっと問題なのが、ナンバー6の存在。予告とかだとお馴染みの存在ですね。煙の中からショットガン持った美少女が現れるってシーンがめちゃんこカッコイイです。
 予告では結構メインっぽく出てるんだけど、実際は終盤になるまで出てこないんだよね。すげぇ残念。
 んで、終盤になって出てくると、やっぱり魅力的。こいつが魅力的すぎて映画のバランスが悪くなってるような気がするほど。

 まず、本作のヒロインは6ちゃんじゃないんですよね。高校で出会う一般の女の子が、主人公の恋の相手。
 それが終盤、6ちゃんが登場してから出番が激減。アクションパートだから一般人には活躍しようがない、っていってもさ、さらわれるとかあるじゃないですか。敵に利用されたりもないんだよね。じゃ、とっとと帰れよ、って感じ。あとは主人公と6でなんとかするよ。
 んで、6ちゃんは超カッコよくて、アクションパートで大活躍するから、観てると6ちゃんの虜なんですよ。それなのに、アクションパートが終わって、エピローグになると主人公とヒロインがいちゃこらやってるんですね。その間6ちゃんは傍観者。なんだかどっちつかずな印象でした。

 6ちゃんの魅力について。
 6ちゃんはスーパーパワーがカッコイイ。簡単にいうと『マトリックス リローデッド』のツインズみたいな能力かな。体を(半)透明にしてあらゆるものをすり抜けられる。この能力を利用した殺陣がカッコイイんだよね。あと、耐火能力があって、炎を防ぐバリアを張ることができる。これがね、『ファンタスティックフォー』のインビジブルウーマンみたいでカッコイイんですよ(あるいは『Mr.インクレディブル』のバイオレット』)。
 しかも、グラサンかけてバイクとか乗っちゃって。戦闘時にはナイフとかショットガンとか使っちゃって。カッコよすぎませんかね。その横で手をかざしてるだけの主人公がちょっと不憫。殺陣の見栄え的に主人公を喰っちゃってる。
 やっぱさ、超能力モノって観てて「オレもこの能力使いてぇーっ!」って思わせたもん勝ちだと思うんですよ。そういう意味で、完全に「6ちゃん>主人公」。主人公ちょっと地味すぎるわ。
 ラスボスを倒す時の主人公と6ちゃんのコンボ技っていうのは燃えるんだけど、活躍の度合いがちょっと違いすぎる。6に頼りすぎるだろっ!って感じ。
 そんなにカッコイイ美少女ということで、やっぱり魅了されちゃうんですよね。超好きだよ。だから、逆に本来のヒロインがショボく見えちゃう。メリットとデメリットが共存してますね。

 ヒロインについて。こないだ上半期のヒロインについて書いたりしたんで、ちょっとヒロインについては注目度が高かったです。
 6ちゃんに喰われちゃってる、と言ったんですが、ヒロイン自体はそこまで悪くないんですね。一言でいうと、カメラガール。常にでかいカメラ持ち歩いてるような女の子。カメラ女子ですね。こういう属性と思えるほどのわかりやすいキャラ付けは嫌いじゃないです。てか、カメラ女子ってアメリカにもいるんですね。ワタクシは全然興味ないけど、日本でも最近いるじゃないですか。個人的には「カメラ持ってる女子がかわいいんじゃなくて宮崎あおいがかわいいだけだよバカ!」って思うんですが。
 んでこのカメラ女子というキャラクター。これがね、ただ単に属性として扱ってるだけじゃないのが本作のイイところ。カメラというアイテムが物語とリンクしてる。
 主人公はアメリカ中を転々と逃げ回ってるので、恋人も作れないし、写真も残せない。引っ越しをする時にすべての写真を焼却するんですね。しかも、主人公の保護者はなんか特殊な機械を持っていて、ネット上に存在する主人公が映った写真は自動的に消去される。そんな保護者に対して主人公は反抗するんですが。すなわち、写真は主人公の孤独の象徴なんですよ。ここに、カメラ女子であるヒロインが絡んでくる。なかなかイイですよ。
 なんだけど、ラストになんらかの形で写真ネタが欲しかったかな。せっかくのイイ設定なんだからクライマックスに使ってほしかったです。旅立つ主人公が世界でたった1枚の写真をヒロインに託す、とかでもいいじゃないですか。ただでさえね、ラストバトルの部分で6ちゃんの魅力が爆発してヒロインの影が薄くなってるんだから、ヒロインの最大の武器であるカメラを使ったなにかが欲しかったです。ちと残念。
 ついにでいうと、「子供に好かれる」とか「家族と超仲いい」みたいな描写によって心がキレイですよ、って提示するのは薄ら寒いんでドン引きです。

 本編とまったく関係なく気になった点。主人公の保護者役っていうのをティモシー オリファントが演じてるんですが。この人は代表作『ヒットマン』で「エージェント47」という役を演じてるんですよね。だから「アイアムナンバー47」って言ってほしかったです。

↑童貞の殺し屋が娼婦に恋をする映画。大好きです

 あとは、完全にネガティブポイント。

 まずは、悪役がショボすぎですね。特殊能力がなにもない。嗅覚が鋭い、ぐらいですか? 戦闘に使えねぇよ。物騒な宇宙兵器を持ってるんだけど、それもそこまでスゴくないような・・・。この宇宙兵器じゃないと宇宙人にダメージを与えることができない、っていうならわかるんだけど。劇中地球のショットガンでダメージ喰らう描写があったしなぁ・・・・・残念すぎる。悪役に特殊能力がなかったら、主人公たちとの超能力バトルが見れないんですね。超能力無双しか見れない。残念すぎました。

 あとは、「ロリエン」とか「モガドリアン」とかいうネーミングセンスね・・・・・・・ちょっと中二すぎる・・・・・・。

 それと、宇宙人は9人いる、っていう設定のくせに本作には4と6しか出てこない。1〜3は既に死んでるし。いくらなんでも引っ張りすぎです。シリーズ化ありきで映画作るのってよくないと思うよ。それに売り上げ的にも地味だったから続編どうなるかわからないし。

 個人的に一番気に入らないのは主人公ですよ。
 まずね、映画冒頭、イントロの部分で、なにやらビーチで派手なパーリーを謳歌しているシーン。いりますこれ? パーリーの中で女の子から誘われるけど、この子、二度と出てきませんからね。この謎のリア充展開いります?
 そして、なによりも腹立たしいのは、高校生活1日目。主人公はアメフト野郎に気に入られる。「アメフトやんない?」って誘われる。その後、アメフト野郎が電波さんをいじめてるシーンを見た後、電波さんと友達になろうとする。・・・・最初のアメフトに気に入られるトコいります? あくまでも主人公はイケてる側の存在であること強調するのって必要ですか? 『ハリポタ1』でもあったけどさ、「僕はイケてるけど、地味な君らの味方だよ」みたいな描写ってクソうぜぇから。地味な奴らの味方したいなら、主人公も地味な存在でいいじゃねぇかよ。その上から目線がムカツクんだよ。余計なお世話だバカヤロウ!!!!


 ということで、基本的には及第点以下、けどヒロイン描写の一部がなかなか、ということでした。まぁ、結局は全部6ちゃんの魅力が勝っちゃうんだけど。とはいえ、カメラ女子という属性を単なる属性として扱わず物語とリンクさせるあたりは、ホント素晴らしいと思います。
 他は全部ダメダメだけどね。
 60点。