北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『モテキ』の感想


今年有数の詐欺ポスター


 テレビ東京で深夜に放送され、好評だったので映画化された作品。流行語大賞にノミネートされてましたね。去年、「今頃モテキが流行語って古いなw」って言ってる人いましたけど、この作品のことですよね?

 ドラマ版のファンです。久々にハマったテレビドラマでした。野波麻帆にすっかりヤラれました。イイメガネでしたね。
 原作マンガは知りません。ので、比較はドラマとだけです。

 あらすじ
ドラマ版で成長したと思われたが、まったく成長してなかった主人公
そんな主人公の前に、長澤まさみが! 麻生久美子が!
第二のモテキ到来!!

 映画観て、まずおもしろかったのが、イントロの部分。イントロが完全に劇場版『ドラえもん』と同じなんですね。
 ダメな男がいて、死にそうになる、「死にたくない死にたくない・・・・・死ぬ前に、もう一度訪れてくれ・・・・・・・・モテキよぉ〜〜〜っ!!」。んで、フジファブリックのお馴染みのオープニング曲がかかり、「好きよ 抱いて」のモテキ神輿が現れる、と。このモテキシャウトの直後にお馴染みの曲のイントロがかかると大変アガりますね。
 のび太ジャイアンになんか言われて、「ドラえもぉ〜〜〜ん!!」 って言ってお馴染みのオープニング曲、ってのが一致しますね。
 絶望したダメ男がシャウトしてる映像って需要があるんですかね。不思議なもんです。

 んで、キャスティングについて。
 前情報としては、モテキの主人公の前に現れる4人の女性として、長澤まさみ麻生久美子仲里依紗真木よう子
 4人いて、皆さん違ったタイプの美人さんながら、全員タイプ!! 全員好きだぁぁぁぁぁ!!なんていう俺得キャスティングだったんで、超楽しみにしてたんですね。
 ところが、蓋を開けてみたらクリビツテンギョー。物語的に重要なのは長澤まさみ麻生久美子の2人だけ。超ガッカリでした。観る前は、「2時間前後の映画で4人もさばけるのか?」なんて不安視してましたが、端から2人でした。じゃあ、4人を強調するようなこと言うなよ。マジで予告編詐欺と言われても仕方ないレベル。

 まずね、2人じゃなくて、4人というのは『モテキ』的に重要なんですよ。だって、2人だったらフツーの恋愛モノじゃないですか。ただの三角関係ですよ。超古典的布陣。
 4人から好意を寄せられた非モテが対処できない、ってのが重要なワケで。「○○ちゃんとうまくいかなくたって、後3人いるもんね〜」というおもしろがなくなってしまう。
 それに、映画はどう見ても長澤まさみが本命で、麻生久美子は寄り道に過ぎないですからね。「主人公は誰とくっつんだろう?」という引っ張りもない。

 仮に、「長澤まさみ麻生久美子はタイプじゃないけど、仲里依紗真木よう子は大好きなんだよなぁ〜」って人がもしいたとしたら、その人は期待値を下げないと痛い目に遭いますよ。

 仲里依紗は、物語上の必要性が感じられない。いや・・・・キスはしたけど・・・・・って感じ。まぁ、一応、その後の展開に呼応するようなセリフは言ってたけど、それは別に仲里依紗じゃなくてもよかったんじゃね?って感じ。
 出てきて、おっぱい揉まれて、キスして、退場。マジでこんだけ。おっぱい要因と言わざるを得ない。

 んで、真木よう子こちらに関しては、キスすらない。もうモテキとか関係ないじゃん! ドラマ版でいう菊地凛子的なポジションかと思いきや、あそこまで主人公に接近しないですからね。なんだそれ。
 まぁ、仲里依紗よりは大事だとは思うんですよ。本作には「とりあえず仕事しろ!」という裏テーマがあったんですけど、「仕事」を司ったヒロインが真木よう子。モテないくせに恋愛を理由に仕事を疎かにする主人公に活を入れる役割。
 ・・・・・なんだけど、最後の最後に「恋愛>仕事」の後押しをしてるんですよね。ここが結構批判受けてたりします。ただ、個人的にはこのシーン、大好きなんですよね。たしかに真木よう子のキャラがブレてるし、作品のテーマもブレてるんだけど。
 前半に主人公が告白するかどうかでウジウジ悩んでる時にYouTubeももいろクローバーの「走れ!」を観て、勇気づけられる。そんな主人公に真木よう子が、「アイドルソングなんてな、どれも自分の気持ち伝えること至上主義で同じなんだよ! そんなのに勇気づけられてんじゃねぇバカ!」 と言う。そんで、ラストシーン直前、仕事現場で長澤まさみとふと出会って、仕事を放り出し告白しに行く主人公に対して、真木よう子が「走れ!」って言うんですよね。ももクロの曲名そのまま。このセリフにグッときてしまって、大好きなんですよね。その後、考えると、真木よう子がブレブレなのに気になったりもするんだけど、その場の勢いでスゴイ感動してしまった。

 んで、肝心の長澤まさみ。物語的にヒロインNo.1です。ドラマ版と違い、頭からケツまでずぅーっと本命の女性。
 長澤まさみは素晴らしかったです。前半のなに考えてるかわからない超絶美人から、後半の長澤まさみの視点が入るトコまで、主人公と共に振り回されっぱなしでした。「天使だ!」と「ビッチだ!」と終始入れ替わり続けてました。
 あと、単純にものっそいエロかったですしね。

 本作は『(500)日のサマー』との類似点を指摘されることが多いんですが、まんまなのが劇中突然始まるミュージカルシーン。発表順で言うと、『(500)日のサマー』→ドラマ『モテキ』→映画『モテキ』の順。
 本作では、長澤まさみへの恋心に気づいた主人公の心象風景としてミュージカルシーンが始まる。本気の恋が始まったことによる高揚感なんですね。
 ドラマ版を観てる身としては、Perfumeの「Baby Crusing Love」のイントロがかかるだけでテンション上がります。映画館で観ると、ミュージカルシーンは迫力あって滅茶苦茶アガります。んで、盛り上がったところで、Perfumeのお三方がスクリーンに登場。このタイミング、登場の仕方、共にカンペキですね。そんなに埋まってない劇場だったのに劇場内がどよめきました。みんなPerfume好きだなぁ〜。

 ただ、中には、「えっ、本物??」とか声漏れてる人がいまして。
 Perfumeの出番を心待ちにしてた身としては、「知らなかったんかい!!!」っと叫びたくなりました。

 んで、本題。4人(ホントは2人)のヒロインのうち、ハマったのが、麻生久美子
 この人は、長澤まさみの友人として登場する。そして、主人公にホレます。そして、その恋心に気づいて、告白する。
 この告白のシーン。バックにJポップが流れて、麻生久美子が走り、告白。ここが、実に、『モテキ』っぽい。ていうか、本作で主人公以外の視点になるのは麻生久美子が初なんですよ。そしたらJポップをBGMに走り出す、ってコレ、『モテキ』主人公がやるコトでしょ。
 また、この麻生久美子のキャラは、非モテっぽいキャラですし、超モテる友人がいて、そしてその友人には本命の恋人がいるのによそに手を出す、しかもその相手が麻生久美子の本命の人、って完全にドラマ版の主人公と立ち位置が一緒。

 また、ドラマ版の最終回では、チャリで爆走する主人公の映像に「誰かのモテキにつづけ」 って文字がのって終わるんですが。本作で麻生久美子が告白する時に、主人公はチャリに乗ってるんですね。チャリに乗った主人公を追いかけて、告白ですよ。もはや、麻生久美子が真の主人公と認識するほかない。
 「誰かのモテキにつづけ」というのは映画版の麻生久美子に続いてたんですね(←麻生久美子モテキになってないけど)。

 ともかく、麻生久美子が超絶かわいいんですね。若干の非モテっぷりも魅力になってしまうからずるいですね。その上、『モテキ』の主人公と見紛う活躍をするんですから。本筋から目がそれてしまうほどに魅力的。
 中盤、麻生久美子は主人公にフラれます。フラれた時の麻生久美子が滅茶苦茶イタイ、重い、めんどくさい・・・・・・・・・・・・って描きたいんでしょうが、全然そんなことないよ! もはやそれすらも愛おしく思えてしまう、というか。さっきも言ったけど、ワタクシは麻生久美子を『モテキ』の主人公と見紛えてますからね。『モテキ』の主人公にしては、あのフラれ際は全然大したことないよ! 現に主人公が長澤まさみにフラれる時の方が醜かったよ! フラれる時に言われるセリフも一致してましたね。
 それなのにあのヤロー(主人公)、麻生久美子にあんな酷いこと言いやがって・・・・・・・・・と、麻生久美子にハマるあまり、主人公のことが嫌いになる、という物語として本末転倒なことになってました。

 おそらく、『モテキ』の主人公の要素を兼ね備えたヒロインをフッて違う女に行くことによって、従来の主人公からの成長を描きたかったんでしょうけど、その割には成長してなかったですね。その後、長澤まさみにフラれる時に麻生久美子と同じコトになってましたから。順番逆じゃね?

 そんな麻生久美子の退場の仕方。結構雑なんですね。フラれた後に、どーでもいいセックスをして、吉野家で牛丼喰って、「おかわり!」って言って、おしまい。
 恋に敗れてどーでもいいセックスってあたりが『モテキ』の主人公らしくていいんですが。それだけで成長しました、みたいな描かれ方をしても、納得でないですね。
 納得できないんだけど、だけど、牛丼喰い終わった時のあの米粒が、クソかわいい・・・・・・・・完全に狙ってるのが見え見えで、あざとさ全開なんだけど・・・・・理屈ではわかってるんだけど・・・・・かわいい。

 おそらく、あの「おかわり!」の画面の時に「誰かのモテキにつづけ」って文字が挿入されてたんだと思います(嘘)
 んで、「♪ダンスフロアーに華やかな光」 と麻生久美子を囲んだスチャダラパーが歌いだしてたら、本作は今年のベスト邦画間違いなしでしたね。残念だ。


 ・・・・・と、麻生久美子にどっぷりハマるあまり、主人公の恋の行方がどーでもよくなってしまったという残念な観客でした。
 主人公の森山未來についてが抜けてるけど、まぁ、ドラマ版と同じく素晴らしかったですよ。童貞こじらせたモノローグは相変わらずサイコーでしたね。他にも無駄に高い運動能力が見られましたし(自室での側転がスゴイ)。
 なによりもよかったのが、表立ったドラマ版との関連がなかったトコですね。ドラマ観なくてもまったく問題ないと思います。それでいて、ドラマと同じ選曲をしていたり、ドラマファンが盛り上がるようにも出来てる。ナイスなバランスでした。
 75点。

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