北区の帰宅部の意訳

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映画『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』の感想


↑この使用済みの服が新宿武蔵野館に展示してあり、ヨダレ


 2011年はドニー イェンの年ということで、今年公開の5作目。なのに、『導火線』を見逃してしまったのが痛いです。

 この作品は、ブルース リー主演の『ドラゴン 怒りの鉄拳』の主人公がもし死んでいなかったら、という設定。正式な続編ってワケではないですね。

 ワタクシはカンフー映画門外漢なので、『ドラゴン 怒りの鉄拳』を事前に確認しました。ボッコボコに殴り殺しておきながら、悲しみの表情を浮かべるブルース リーがサイコーでした。てか、キスシーンがあるのに驚いた!
 ただ、『ドラゴン 怒りの鉄拳』をDVDで観た時は主人公の名前が「チャン」と字幕表記されていたのに、本作の字幕では「チェン」とされていて、ちょっとややこしかったです。

 あらすじ
『ドラゴン 怒りの鉄拳』で日本人をボッコボコにした主人公チェン ジェン
正体を隠し、別人になりすまして生活してます
けど、相変わらず日本人はクソなので、ボコる

 『イップマン』の時もそうだけど、「まったく中国人は日本人が嫌いなんだから〜」と笑ってしまうほどに日本人がクソ。レイプは吐き気がした。
 けど、その反面、「こんなにおもしろい映画の悪役に使ってくれてありがとね〜」という気持ちもありまして。てか、『イップマン』も本作も、映画のスタッフ、出演者に日本人を起用していて、どちらでも素晴らしい魅力を放っているので、作品自体からは悪意はまったく感じません。
 レイプするのには吐き気がしたと言ったけど、大丈夫。ドニーさんがチンコ潰してくれたから。『シンシティ』もそうだけど、エロクソヤローのチンコをもぐシーンのカタルシスってスゴイ。「イテテテ・・・・・けど、やっちまえーーっ!」ってなる。

 『ドラゴン 怒りの鉄拳』オマージュに溢れた本作なのだけど、イントロは関係のない。戦場での大がかりなアクションが見れる。ここがいきなりスゴすぎる。
 映画で、銃弾の嵐の中を主人公が駆け抜けるシーンってよくあるけど、「なんで当たんねぇんだよw」とか思うじゃないですか。本作でもそのシーンはあるんだけど、ドニーさんの走りが超絶すぎて、そんなことは1ミリも思わない。むしろ、「ありゃ当たらんわw」と笑えてくる始末。
 コーエーは「ドニー無双」ってゲームを作ればいいと思うよ。問題は常時無双乱舞状態だからゲームバランスが悪いという点。

 そして肝心の、ブルース リーオマージュに溢れたシーン。
 『ドラゴン 怒りの鉄拳』と本作では時代が大分違うのだけど、『ドラゴン 怒りの鉄拳』でお馴染みの場所、モノ、ゆかりの人が出てくると、やはりアガる。あの道場で日本人が集まって空手の練習をしているだけで、悪役として邪悪さは描き切れてしまう。『ドラゴン 怒りの鉄拳』での「怒り」の原点である師匠への侮辱を再び描くことで、本作の「怒り」とリンクしたのもよかった。「東亜病夫」の看板が出てきた時は、「チクショー! 日本人死ね!」って思っちゃいましたよ。

 そして、『ダークナイト』もビックリのマスクドヒーローになるシーン。あのドミノマスクは『グリーンホーネット』のカトーマスクですね。もはや『ドラゴン 怒りの鉄拳』関係なくなっちゃった!というオマージュの空回りぶりがかわいい。
 てか、アレ、フツーに超カッコイイ。やっぱあの手のヒーローって街との相性が大事だと思うんですよ。その点、本作の上海もドニーさんが守るに値するステキな街並みだったと思います。みんなが街への愛着を語るシーンもありますし。

 そして、オマージュが爆発するのがラスト。最終的に、ドニーさんにブルース リーが憑依する。もはやイタコの領域だぜ。
 ブルース リーの演じた役のその後を演じるだけでなく、同じ格好で、同じ場所で、同じ敵と戦う。
 まずは、白ラン着ます。超カッコイイよ。そして、大量の日本人との対決。偽りの姿を捨て、本当の姿を露わにし、本気を出す主人公。その証拠が怪鳥音。「ホワーーッ!」という例のアレが響きわたるんですね。この瞬間、ドニーさんはブルース リーとなりました。『チョコレートファイター』でも、「ブルース リーが憑依した」という表現として怪鳥音が使われてましたね。どちらでも全身鳥肌ピンコ立ちの名シーン!
 その後、ヌンチャクを腰から取り出し、『ドラゴン 怒りの鉄拳』の殺陣と同じ展開を見せる。
 ラスト、最強の敵(かつての敵の息子)と戦う際に、ドニーさんは上半身裸になり、完全にブルース リーとなります。

 いくつかの種類の殺陣を、段階を経てブルース リー化する、という展開と共に行ったのが本作最大の白眉。ただ強いだけじゃなく、殺陣に意味が生じている。

 ラスボスにトドメを刺す時には、今まで日本軍に虐げられてきた人の映像がフラッシュバックし、「これはクリリンの分!」。これ、『イップマン 葉問』でもあったよね。「アンタも好きねぇ〜」とか思いつつも、胸が熱くなるな

 本作はブルース リー愛に包まれているのだけど、ドニー イェン本人の魅力を出すためだけとしか思えないサービスシーンもあって、とてもありがたい。ピアノは弾くし、全裸で拷問を受けたりもする。が、ワタクシとしては、中盤ドニーさんが発するカタコトな日本語が激萌えでした。超強い人のカタコトは卑怯だよー。
 『ローグアサシン』でのジェイソン ステイサムのカタコト日本語で悶え苦しんだのを思い出したよ。

 逆に、ヒロインの日本語はちょっとヘタすぎて何言ってるのかマジで理解できなかったです。これは、マイナスポイント。

 そして、本作にはEXILEAKIRAが悪役の1人として出てくるんだけど、ちょーよえーのな!!
 見た目は他の日本兵と全然違うから「強いのかな?」と思ったら、瞬殺でやんの。爆笑でした。


 ワタクシはブルース リー映画に関して明るくないので、ドニーさんのブルース リー愛が眩しすぎて、本作に乗り切れなかった嫌いがあったのが実にもったいなかったです。ブルース リー、ドニー イェン、どっちも好きな人だったらヨダレ垂らしながらオシッコちびるレベルだと思いますよ。もはやアイドル映画。
 75点。


レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳 [DVD]

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