アメリカでの興収において、今年有数の衝撃だったのが『ライオンキング』の3Dコンバート作品の大ヒット。昔の作品を3D加工しただけ、ブルーレイ発売のついでに公開しただけのリバイバル作品が2週連続で興収ランク1位に輝いちゃったんだから驚きです。
そんなワケで観てきました。『ライオンキング3D』。ディズニーの3Dコンバート作品を観るのは初めてです。
肝心の『ライオンキング』ですが、もちろん観たことあるんだけど、子供の頃のことなので、細かくは思い出せないかなぁ・・・ってレベル。まぁ、新鮮に楽しめていいじゃないですか。
スティーブ ジョブズが亡くなられて、嘆きの声が各所から聞こえますけど、その情熱を映画館に注ぐならば、『ライオンキング3D』を観る他ないですよ。今やディズニーはピクサーの事実上傘下で、ピクサーとジョブズは切っても切れない関係ですからね。
まぁ、別にアップル信者ではないんですけど。しかし、iPodがなかったら、『WALL/E』のイヴちゃんは存在しなかったワケで・・・・・そう考えるとやっぱジョブズは偉大っすね。
肝心の3Dについて。これがなかなかよかったですよ。今年でいうと、『ピラニア3D』というコンバート3Dの良作があったワケですが、それに勝るとも劣らないくらい、素晴らしかったです。こりゃ、一概に「コンバート3Dクソ喰らえ!」とは言えなくなってしまいましたよ。まいったな。けど、『キャプテンアメリカ』は2Dで観ると思います。
最初は少し戸惑ったんです。完全に2Dのキャラクターたちが奥行きを持って配置されてる映像に。冒頭の「サークルオブライフ」のトコですね。
が、しばらくすると、それにも慣れ、本作の持つ独特のグルーヴが心地よくなってきました。というのも、本作の多くはステージ分けされたミュージカルシーンで構成されていて、各シーンの独立性が高いんですね。そのため、それぞれのミュージカルシーンの舞台っぽさが増してたと思います。無限の舞台装置を持つ舞台を観ているかのような感覚に陥りました。アニメというかパフォーマンスと言いたくなるような不思議な感覚。これはおもしろい体験をしました。3D映画おもしろいっすわ。
また、3Dばかりに注目してたのだけど、感動したのが音響。『ライオンキング』は映画館で観たことがなかったので、初めての劇場での鑑賞だったのもあるし、おそらく本作は音響の方もパワーアップしていたんだと思います。
作品の持つ音楽の素晴らしさというのは説明不要なんですが、やはり映画館で浸る音楽というのは何事にも代え難い快感であります。
今回の3Dの劇場公開に関して、少し文句もありまして。
まず、吹き替えしかやってないんですね。これはカンベンしていただきたい。字幕至上主義というワケではなく、ワタクシ、日本語のミュージカルが苦手なんですよ。音楽を聴いてると歌詞が頭に入らなくて。歌詞を理解しようとすると音楽に意識が行かなくなって。要するにアレだ、あたまがわるい。
それと、翻訳したミュージカルというのがさらに苦手でして。字余りとか字足らずが多いでしょ。すごい気持ち悪い。それに、英語の無声音の部分を日本語では有声音で発音されてたりするのがすごい違和感で苦手なんですよ。
ワタクシのこの日本語ミュージカル嫌いっていうのは、子供の頃に観たディズニーアニメの影響だと思うんですよね。しばらくはミュージカル全体が嫌いなんだと思ってたんですが、英語のミュージカルを字幕で観たらフツーに感動したんで、違いました。
久々にディズニーの日本語ミュージカルを観たんですが、苦手なのは治ってなかったですね。
それと、肝心の3Dについて。ワタクシが観たのは新宿バルト9だったんですが、ここの3D方式が苦手で。すげぇ目痛くなるんですよ。本作って90分しかないのに、我慢の限界超えてましたからね。あまりの眼底疲労に、せっかくの没入感を削がれてしまった。もったいない。「じゃあ、バルト9行くなよ」って話なんですが、『ライオンキング3D』はそんなに大規模で公開されてないから選択肢が少なかったんですよ。
しかし、さっき言ったように音響に関しては素晴らしかったです。
・・・・というのが、3D版の感想ですかね。これからは、『ライオンキング3D』、というよりは『ライオンキング』に関しての感想。
本作は、ジェフリー カッツェンバーグ体制によるディズニーの第二次黄金期の最高傑作にして最後の作品。
(『美女と野獣』派の人、すいませんね。ワタクシは『シュレック』信者なので『美女と野獣』の評価は低いです。)
そこで。本作は、「フランク ウェルズに捧ぐ」という言葉が添えられています。ディズニーの社長さんのことです。事故にて亡くなってしまった方です。
このフランク ウェルズの死、というのがディズニーの第二次黄金期的には転機でして。この人の後がまをめぐって、ジェフリー カッツェンバーグとマイケル アイズナーが対立が決定的になり、ジェフリー カッツェンバーグはディズニーをクビになるんですね。その後、ジェフリー カッツェンバーグはドリームワークスアニメで活躍するんですが。
そして、『ライオンキング』以降、ディズニーの作品は落ち目になり、ジョン ラセターのピクサーがもたらす第三次黄金期までは地味な存在になるワケです。ちなみに、ピクサーとの関係を保つため、マイケル アイズナーはディズニーを辞することになります。
さらにちなみに、マイケル アイズナーはスティーブ ジョブズとも犬猿の仲だったらしいですね。
(マイケル アイズナーがすごいイヤなヤツみたいな書き方してますけど、マイケル アイズナーがいなかったら、ディズニーは現在ほど巨大な存在ではなかったと思いますよ。それくらいにスゴイ人です。ただ、この人の続編商法だけはファックです。
それと、ジェフリー カッツェンバーグも人格自体はホメられたものじゃないようですし。それに、現在の3D急進派の姿勢には疑問があります。
ついでに、ジョン ラセターについて。『カーズ』のシャツ着てインタビューに答える様は正直、気持ち悪いです。それと、『トイストーリー』シリーズは『2』以降主役の言い分が絶対的すぎて悪役の扱いがぞんざいなので、どうも信用ならないです。)
ドリームワークスアニメ好きとしては気になったのが、シンバ、ティモン、プンバァの3人が寝そべりながら星空を眺めるシーン。
これ、『シュレック』にもまったく同じシーンあるじゃん!! 元ネタなのかしら?
それと、本作の音楽ってアラン メンケンだと勘違いしてたんですが、ハンス ジマーだったのね。ビックリ。
ハンス ジマー、リーダーのライオンの息子、アフリカ・・・・・って『マダガスカル2』じゃん!!
「いや、そんくらいは気づいとけよ」って話なんですが、『マダガスカル2』を観た時にはそんなこと露ほども考えてなかったので、アハ体験でしたね。『マダガスカル2』ってのはDWアニメ版の『ライオンキング』を目指したものだったのかもしれないですね。そう考えたら、結構話が似てる気がしてきちゃって。それでいて、全然違う結末じゃないですか。やばい、『マダガスカル2』観たくなってきちゃった・・・・・・。アレは動物アニメの金字塔だと思いますよ。
てか、ハンス ジマーすごいっすね。『ライオンキング』と『マダガスカル2』の音楽ってアフリカらしさはあるものの全然違うじゃないですか。『ライオンキング』は広大で高尚な感じの音楽だけど、『マダガスカル2』はビートの利いたノリノリな感じで。
先ほどの星空のシーン。このシーンで、「あの光り輝いてるの(星のこと)、何か知ってるか? あれは実はな、空を飛んでたホタルがくっついちまってるんだ」 ってセリフがあったんですが、これってまさか『プリンセスと魔法のキス』の元ネタ?? 『プリンセスと魔法のキス』は大好きで、特にホタルと星空のくだりは年間ベスト級の大好物なんですが。それの元ネタが『ライオンキング』にあったとしたら、個人的に大事件ですよ。
ジョン ラセターによるディズニー第三次黄金期の時代に、手書きアニメとして公開された『プリンセスと魔法のキス』で第二次黄金期の代表作である『ライオンキング』が元ネタになってたとあれば、味わい深いじゃないですか。ピクサーのライバルであるDWアニメのジェフリー カッツェンバーグ体制の最高傑作の影響をジョン ラセターが手書きアニメで復活させたとありゃあ、これは胸が熱くならざるを得んですなぁ。(←ここまで来ると考え過ぎかなぁ・・・・・・・)
物語についても書こうと思ったんですが、既に超長いのでやめます。まぁ、超有名作だしね。みんな知ってるでしょ。超おもしろいよ。
ディズニーアニメにしてはスカーの死に様は結構好きですね。シンバが殺してないのは納得いかないけど。巴投げで落ちて死ねばよかったのに。
あと、シンバって、超かわいい(多分)幼なじみがいて、イチャコラしてて、生き別れるも大人になって再会し、イチャコラして、子供生んで、・・・・って超リア充やんけ(笑) うらめしい、より正確に言うとうらやましい。けしからん。
80点。
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