北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

テレビアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の感想

タイトルなげぇぇ〜〜〜〜っ。主語、述語、句点の揃い踏み。


 以前、山ちゃん(南海キャンディーズ)がラジオで、「アナルのたくさん出てくるアニメ」 と紹介してました(その後、ちゃんと紹介しましたよ)。そんなこんなで頭に残ってたら、先日再放送があったので、観ました。

 まず言いたいですが、おもしろかったですよ。超おもしろかったです。好きですし、話題になるのもわかります。
 ただ、手放しで絶賛するような作品ではなかったかなぁ、とも思いまして。結構イビツだと思いました。そのイビツさがファンのツボにドハマリする理由の1つなのかもしれまんけどね。ワタクシにはハマりませんでした。
 なので今回、悪口めいたことが多くなります。ただ、「そんなことはあったけど、最終的にはおもしろかったです」 というのが結論ですので。

 それでも、「批判は聞きたくない」って人は読まないで下さい。別にケンカ売りたいワケではないです。

 あと、非常に長いですよ。6千字くらい。


 これは極めて個人的な話なんですが。主題歌の「secret base」に全然ノレなくて。そもそもZONEの曲も特別好きではないんですよ。それなのに、毎話毎話ラストにあの曲かけられて・・・・・全然ノレない。なんてゆーのかな、「ホラ、ここでこの曲かけちゃうのサイコーでしょ?」みたいな押し付けがましさを感じてしまって。ていうか、あざといと思います。この選曲。
 もちろん、この曲に目を付けたのはイイと思うんですよ。「10年後会えることを信じて」 ってのがピッタリです。選曲が先か物語考えたのが先かは知らないですけども。うまいというのは事実です。
 ただ、カバーする意味がわからない。せっかく「10年前の曲」っていう選曲の妙があるっていうのに、カバーしちゃったら「2011年の曲」になっちゃうじゃん。もったいない。
 しかも、コレ、女性声優陣だけでやってるでしょ。めんまが参加してるのはいいとは思うんだけど、本作の物語に絡めるのだったら男性陣も入れてあげないとおかしくない? 除け者ですか? ワタクシはてっきり最終回に男性陣が参加する、もしくは男性陣だけのカバー曲が披露されると期待してたんだけど、違ったね。残念。
 ラブソング要素を押すような扱いだったら女性陣だけでも問題ないんですよ。けど、今回の使い方は多分違うでしょ。万が一にでもラブソングとして使ってるんだとしても、それはそれで問題で。ぽっぽが除け者になっちゃいますね。大問題ですよ。

 せっかく「10年後」ってキーワードがリンクしてるんだから、劇中でめんまたちがZONEの曲を聴いてるってシーンを入れとけばよかったんじゃないかなぁ。そんで、エンディングでZONEの曲が毎話流れたら、曲の好き嫌い関係なくそれなりの感動ができたと思います。
 やっぱね、特定の曲に感動の起爆剤を任せるのって危険なんですよ。曲なんて、人それぞれの好き嫌いがあるものだから。「みんな好きでしょ?」って思惑で選曲されると余計に疎外感が強くなっちゃう。別に「secret base」好きじゃない人だっていますよ。ワタクシだって世代的にはドンピシャリですけども、全然好きじゃないですからね。聴いても「あぁ、ケツメイシの「さくら」にそっくり」程度にしか思わない。
 だから、毎話ラストで曲流される度に、「はい! ココ泣き所ですよ〜!!」って言われてるみたいでドン引きでした。

 逆に、オープニング曲。最終回にあのオープニング曲をラストに使ったのはよかったですね。オープニング曲に乗せてエピローグ的な映像が流れてきたのにはかなりグッときました。

 あなるについて。
 本作最大の白眉ですよ。あなる。声に出して読みたい日本語ですね。あだ名がひらがな表記なのが嘆かわしいです。

 子供の時には無邪気に使っていた言葉を大人になると恥ずかしがってしまう、自分の過去を恥ずかしがる、というのを「あなる」という言葉がすべて表してますからね。本作の大事なことすべてのメタファーですよ。コレ考えた人マジで天才だと思います。ってか、このアイディア発信で物語全体を生み出したんじゃないか?って思うくらいですよ。

 超ちなみに。どーでもいい身の上話。小中学校の時に近藤真彦a.k.a.マッチとよく似た名前の人がクラスにいました。名前を略して「コンマ」なんて呼ばれていて。
 そして、ワタクシが思春期突入する少し前の頃、友人が突然ニヤニヤしながら近づいてきて、

 友「コンマっているじゃん。逆から読んだらどうなるかわかる?」
 私「マ○コ。これがどうしたの?」
 友「なんだまだ知らないのか・・・・・つまんねぇの」

 という出来事があったんですよ。若干無理矢理ですけど、「あなる」とエピソードと重ね合わせてしまって、「あなる」ネタには余計に感情移入、というか他人事とは思えなくなってしまいました。
 天才だったらこの出来事をキッカケに『あの花』みたいな物語を思いついたりするんでしょうね。自分に才能があれば・・・・・・・。

 まぁ、それだけこの「あなる」のアイディアが好きなんですよ。ただ、好きすぎるが故に逆に気になるトコがありまして。
 まず、絶対量として「あなる」イジリの数が少ないですよね。こんなすべてを象徴するようなネタはもっと多用してもよかったと思いますよ。「あなる」呼びしてもっと恥ずかしがらせばよかったと思います。あなるが「あなる」という呼び名を受け入れることが物語のテーマのメタファーにもなってますからね。もっと「あなる」関連のエピソードは必要だったのではないかと。
 あなるが「あなる」を受け入れることに関して言えば、あなるは超平和バスターズ以外のところでも呼ばれてほしかったです。物語終盤、もしくは最終回でじんたんが学校で「あなる」呼びして、周りの人間がドン引き、しかしあなるはフツーに受け答える、みたいな描写があったらよかったのになぁ。あなるの例の悪友が聞いて「なにそのあだ名〜ww」ってのは絶対に必要だと思います。

 簡単に言うと・・・・もっとあなるをイジれ!!!(←言いたいだけ)

 それと、「あなる」イジリはめんまがやった方がよかったですね。設定上無理ですけども。じんたんだと「アナル」の意味を理解しちゃってるだけに、ちょっと「あなる」の意味合いが弱くなっちゃってる。「あの日」のままのめんまが「あなる」呼びして、大人になってしまったあなるが恥ずかしがる、って描写が見たかったなぁ。ただ、あなるはめんまのことを認識できないから難しいんだけど。

 あなるについて。人物のことですよ。あんじょうなるこ。

 まず、巨乳なことはもう少し触れないとおかしいでしょ。じゃなきゃめんまの胸がぺったんこな意味がない。めんまに憧れてたあなるが、胸では勝ててるんだから。じんたん、そこらへん注目してあげないと。じゃないと、ただのあざといキャラデザってことになっちゃいます。

 物語序盤は例の「あなる」に感動してたからすげぇ好きなキャラだったんですよ。魅力ある脇役って感じで。それが、物語が進むに連れてドンドン主役級になってきたでしょ。てか、何回かあなるのモノローグとかもあったくらいだし。あなるというキャラクターね、メインにするには少し平凡すぎる気がするんですよね。定番のキャラクターすぎる。「あなる」しか特徴がない。脇役だったらそのくらいベタでもいいんだけど、ほとんど主役だったからなぁ。正直あざとさも感じました。
 同じ理由で、じんたん、ゆきあつもあまり好きじゃないです。キャラクターがフツー。ていうか、1話で見た第一印象から変わらなすぎ。第一印象のまま最終回までもたれ込んでしまった。

 逆に、ぽっぽ、つるこはよかった。好きなキャラ挙げろって言われたら間違いなくこの2人。

 ぽっぽはイイヤツすぎるだろ。善意しか感じないぜ。とりあえず、ぽっぽが幸せになるのだったなら何でもいい、という気持ちにすらなりました。
 子供の頃はみんなのことを羨望するしかなかったけど今度はみんなの役に立ってやる、というのが超泣ける。そして、最終回での彼のトラウマもよかったですね。ここで、ぽっぽの印象がガラッと変わる。単純に考えて一番キツイのはこの人ですからね。それ考えたら他の人ウジウジしすぎ。

 つるこ。コイツは、終盤まではかなり定番のキャラ付けなんですよね。優等生メガネ。恋するメガネ。ぶっちゃけテンプレと言ってもいいくらいベタですよ。ただ、あなるの逆で、脇役だから全然違和感はない。
 そして、終盤メインに絡む機会が増えてくるに連れ、第一印象にはなかった彼女のキャラクターというのが見えてくるのがイイ。「めんまではなくあなるに憧れていた!」ってヤツね。これはイイですよ。じんたん、めんま、ゆきあつ、あなるの4人がフツーにキラキラした恋愛模様なのに対し一線離れたところから見ているしかない、っていうね。ゆきあつ、あなるがナンバー2コンプレックスに悩んでるけど、つるこはナンバー2にもなれず、ナンバー2に憧れるしかない、って距離感ね。超泣ける。
 ゆきあつがあなるに「付き合ってみるか?」って言うのを遠くで聞いてるつるこ、ってのは本作のベストシーンの1つです。甘酸っぱすぎるやろっ!!
 今時ね、「失恋して髪切る」って演出がこんなにハマるのは貴重ですよ。

 全キャラの中で一番あざとさ全開なのが、めんま。はいはい幼女幼女・・・・・・・ってキャラクター。序盤はそう思ってました。超ウザかったです。
 が、ここが設定の妙なんですね。子供心を失ってしまった人たちの中、唯一「あの日」のままの精神、ってのが利いてるからある程度過剰なガキっぽさってのは自然に受け止められる。設定の勝利ってヤツですね。

 ただ、この設定にも1つ疑問があって。
 幽霊の設定が滅茶苦茶。主人公にだけ見える、ってのはいいんですよ。主人公だけ触れる、ってのも全然アリ。ただ、めんまが何でも触れる、動かせるってのはナシでしょ。動かせたら何だって出来るよ。そもそもじんたん以外が見たらただのポルターガイストだよ! 超怖い!! 幽霊の作ったお菓子なんて食べたくないです。
 めんまがモノを動かせるから、終盤にあった「実はじんたん、幻覚見てるんじゃね・・・・?」ってみんなに思われる、ってサスペンスが全然活きないんですよ。視聴者はポルターガイストの数々を見てしまってるから。
 ていうかね、モノ動かせる、モノに触れられるなら、全身を包帯グルグル巻きにしちゃえば万事解決ですよ。H.G.ウェルズの『透明人間』見習え。そーすりゃ、フツーに説明できるんだから。

 めんまに触れられる、って問題と通じるんですけども。子供の頃に生き別れた初恋の人が現れたんですよ。キスくらいしようぜ。下衆い話するなら、もっと・・・・ねぇ。
 めんまは精神が小学生だからめんまからってのはなくていいですよ。ただ、じんたんからはしてもよかったんじゃないの。ファーストキス済ませられるじゃん。せっかく相思相愛ってわかるシーンがあるんだからね。じんたん、淡泊すぎるよ。
 あと、めんまはゆきあつにハグの1つでもしてあげればよかったのにね。せっかく出来るんだから。

 それと、この設定だったら、もっとエロ要素が欲しかったですね。じんたんが健全すぎる。どんだけ紳士なのかと。
 生き別れた初恋の人が都合よく成長した体でコンニチワですよ。
 1つ屋根の下の生活ですよ。
 そのことは2人しか知らないんですよ。
 じんたんのベッドでめんま寝てるんですよ。
 抱きつかれたりしてるんですよ。
 ・・・・もっと反応しなはれ。女として意識しなさすぎ。

 1話だと、結構ちょいエロ展開あるんですよね。下半身が反応したとしか思えないシーンもあるし。性衝動が生んだ幻覚、とか言うモノローグもありますし。引きこもりが鬱屈した、堕落した生活してるんだから、エロ要素を無視するのはいくらなんでも無理があります。
 「あの日」の心を持つめんまと大人になってしまったじんたん、って対比にもなりますしね。

 ・・・・・・・一番気になるのが、自家発電はどうしてたんでしょうかね。
 めんまに見つかって、「じんたん、なにやってるの〜?」みたいなシーンあると思ってました。

 基本的にシリアスめな雰囲気の本作なんですが、観てて思わず爆笑してしまったシーンが2つだけある。

 1つ目。女装ですね。
 これは、ワタクシの没入感が足りなかったとしか言えない。笑ってしまった。いや、エピソードとしては超大事なんですよ。超シリアスだし、笑えないんだけど、ワタクシの性格に問題がありました。おもしろかったです。
 たださ、「優等生が死んだ初恋の女の子の格好してる」って超ヤバイでしょ。もうちょっとみんな驚こうぜ。みんな、女装のゆきあつ見て、「なんだ・・・めんまじゃないのか・・・・・・」って驚くのそこじゃねぇよっ!!!!
 いや、マジで「病院行こっか?」ってくらいヤバイですよ。それをみんなスルーしすぎだって。無理だって。フツーに振る舞えないって。みんな気持ち強すぎるって。カツラを抱きしめてクンカクンカしてんだぜ。
 もしあの状況にいて、ゆきあつの症状を見たら、そのショックでワタクシが病んでしまいますよ。

 2つ目。あなるがラブホテルに連れ込まれそうになるトコでのセリフ。

 「どうせ、真っ黒なんでしょう?」
 
 酷い。どうしたらこんなクソ寒いセリフを採用できるのか理解に苦しむ。
 もう、このシーンも爆笑でしたからね。それまでシリアスだっただけに。頭の中には「クソワロタ」の5文字しかない。
 このシーンって、もの凄く大事だと思うんですよ。6人の外側に問題が生じる、っていうの。そんな状況他にないですからね。そんな大事なシーンをこんなセリフで台無しにしちゃって・・・・・もったいない。
 まぁ、ホントはあそこであなるが「大人になってしまう」って方が物語上はイイと思うんだけど、そこはガマンしましょう。いろんな大人がストップをかけたのでしょう。だから、逆に、行為には至らないけど、それに匹敵するトラウマ体験、恐怖体験にしないといけないんですよ。それなのに「どうせ真っ黒なんでしょう?」って・・・・。

 ちなみに、こんな目に遭わせたあなるの悪友に対しての落とし前がないのも問題ですね。最終回のエピローグで、フツーに仲良さげにしててドン引きですよ。なんでそんな寛大な心持ってるの?
 てか、アイツらが改心しないのに友達続けるのはマズイと思いますよ。

 それと、物語上の欠陥としか思えないのが、花火のくだりね。意味ないでしょ。ただのミスリード以外のなにものでもない。あれだけ盛り上げといて、説明も理屈もなく、「めんままだいるのか!?」ってなってもねぇ・・・・・。クライマックスにそんな意味ない寄り道すんなよ。
 せっかく「secret base」に花火が云々って歌詞があって、曲がうまいこと伏線になってるのかと感動してたんですけどね。

 最後に、邪推とか抜きに単純にダメなシーン。
 最終回。神社の前で5人が作戦会議してるシーン。みんな呼び名が昔のそれに戻ってる、ってトコ。この「呼び名が変わる」ってのはかなりベタな手法だし、本作の場合は「あなる」というインパクトがあるんだから、誰だって意識しますよ。そんで、呼び名が戻ったら感動しますよ。
 そこで、ゆきあつが、「そういえば、みんなあだ名に戻ってんな」 とかホザくんですよ。
 いやいやいやいや!! 言われなくてもわかってますから!!!! 説明過剰だよ。せっかく感動してたのに興醒めです。


 ・・・・・・と、文句をたらたら言ってきたんですが、最初に言った通り、超おもしろかったですよ!
 「あっ! 思い出した!」って展開が多すぎるのは問題ですけども、これだけの作品がテレビで無料で放送されてたなんて信じられないです。心の1本になった人がたくさんいることでしょう。ワタクシも「secret base」にもうちょっとノレてたら、心の1本になったとしもおかしくないです。
 とりあえず、ぽっぽとつるこには幸せになってほしいですね。それくらい、この2人にはハマりました。