北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『宇宙人ポール』の感想

 『ショーン オブ ザ デッド』『ホット ファズ』でお馴染みのサイモン ペグ&ニック フロストの新作『宇宙人ポール』を観ましたよ。
 監督のグレッグ モットーラは、『スーパーバッド』しか観たことないです。『スーパーバッド』は大好きです。
 一昨年は『ハングオーバー』、去年は『キックアス』を映画秘宝が激推ししてましたが、今年激推ししてるのが『宇宙人ポール』。当然期待は高まりますね。
 ・・・・・結果としては期待が高すぎました。そこまでハマらなかったです。

 おそらく本作が2011年の映画館納めです。今後、DVDで今年の公開作を観たりはしますが。

 あらすじ
SFヲタのイギリス人がアメリカのコミケにやってきました
SFの聖地を巡回してたら宇宙人ポールと出会いました

 本作はコメディーで、スピルバーグ映画を中心としたSF作品へのパロディーがあり得ない密度で詰め込まれた作品なんですが、ワタクシ半分もわからなかったです。鑑賞中、ただのセリフだと思ってたら劇場内で爆笑してる人がいました。あれ、結構な疎外感ですね・・・・・まぁ、「あっ ここギャグなんだ」って気づかせてもらったのでありがたいですが。
 元ネタの紹介とか、本作については映画秘宝の12月号がスゴイです。メチャクチャな情報量で映画観るよりも楽しいんじゃないか、って感じです。

 ネタバレですけど、劇中スピルバーグが出てくるんですよ。電話越しで。宇宙人のポールからSF映画のネタを提供してもらうんだけど。電話越しで声だけだから別人だと思うじゃないですか。ところが、驚くことにコレ本物なんですよ。わ か る か ボ ケ 。
 映画を観終わって周辺情報を集めてる時に知ったんですけど、なんかもったいないですね。鑑賞時に驚きたかったです。

 膨大なパロディーを理解できなかったのがワタクシが本作に乗り切れなかった要因なんですが、他にもありまして。主人公の2人はイギリス人なんですが、アメリカ文化にかぶれてるイギリス人っていうのがギャグの根底になっている。ワタクシこれがいまいちピンとこないんですよね。アメリカもイギリスも日本人からしたら「すんげぇ外国」ってイメージですから。そこらへんの笑いがいまいちわからない。逆に誰よりもアメリカ人らしい振る舞いをするのが宇宙人、ってギャグは乗れました。宇宙とアメリカは違いますからね。
 あと、キリスト教原理主義の親子が出てきたりもするんですが、これもいまいちピンとこないですね。「原理主義の人は進化論を信じてない」とか、知識としてはある程度知ってるんだけど、どうも現実味を帯びたものに思えなくて。縁がなさすぎてね。まぁ、ここらへんはワタクシに非があるのかもしれませんね。

 と、ネガティブなことばっか書いてるけど、おもしろかったんですよ。パロディーとかもわかるのもたくさんあって、そこでは爆笑でした。
 なにより宇宙人のポールですね。誰よりもアメリカ人のボンクラらしい言動を取るんですが。この声をセス ローゲンがやってるんですよ。ハイ出ました。今年はセス ローゲンが大活躍ですね。『グリーン ホーネット』『カンフーパンダ2』『50/50』、そして『宇宙人ポール』。『カンフーパンダ2』はチョイ役とはいえ、セス ローゲン出演作が年に4本も公開されるなんて正直信じられません。ただ、『グリーン ホーネット』以外は脇役なんで、日本でも人気が爆発!ってワケではないですね。
 そんなセス ローゲンが今回はなんと宇宙人ですよ。それも特殊能力をいくつも完備してる。セス ローゲンにスーパーパワーなんて与えちゃダメだよ。超おもしろかった。
 『50/50』の時もそうだけど、脇役時のセス ローゲンって人を救うんですよ。いつも通りのボンクラぶりなんだけど、そのフランクさが周りの人を救済してしまう。まったくヒーロー然としてなのにヒーロー級にありがたい存在になってしまう。そんなセス ローゲンが見れただけでワタクシは満足です。脇役時のセス ローゲン最強説。

 そして主演コンビ。サイモン ペグ&ニック フロスト。このコンビは『タンタンの冒険』でも出てますね。ペグは『ミッションインポッシブル4』にも出てるので、12月はサイモン ペグ祭りという様相。
 この2人はいつも通りの仲良しっぷり。サイモン ペグがやや社交的、ニック フロストがペグ以外に理解者ナシ、というのも定番。そんなアメリカかぶれでSFヲタの2人の前にアメリカ文化に精通した宇宙人ポールが現れる。「絶対仲良くなるじゃん!」って感じですね。ところが、ニック フロストは嫉妬するんですね。ポールに対して。「俺よりも仲良くしやがって」という理由で。そらSFヲタという2人の仲ですので、本物の宇宙人には敵わないんですね。ブロマンスの三角関係という世にも奇妙なものが見れて楽しかったですよ。
 また、サイモン ペグには劇中恋人が出きるんですが、当然この人にも嫉妬の矛先は向きます。ゲイでないニック フロストとしては女性には敵うはずもない。そんなニック フロストだけど、ポールと出会うことで救済される。嫉妬の嵐を自ら乗り越える。そして、事件が解決。「やったぜ!!」と一同がハグでもしそうな状況で、ニック フロストはすっと身を引く。すると、サイモン ペグはヒロインとイイ感じになりキス、っていうね。もう、号泣ですよ。
 「身を引くデブ」といえば、『スーパーエイト』の監督くんがいましたね。あっちのデブはヒロインが好きで、主人公に嫉妬してましたが、本作では逆。よかったですねぇ。こういうの大好物です。


 いまいち乗り切れないトコもあったとはいえ、それを抜きにしてもおもしろいのは変わらないです。たとえ、パロディーの元ネタが1つも理解できないとしても、『ステキな金縛り』よりも笑えるんじゃないかと思いますよ。まぁ、笑いのツボは人それぞれな部分があるので、比較してもナンセンスなんですがー。
 映画に詳しい人は絶対おもしろいでしょうね。今年のベスト級なんじゃないでしょうか。うらやましいです。
 70点。