北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『完全なる報復』の感想

完全なる報復 Blu-ray Disc

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ジェイミー フォックスの部下が美人


 こないだゲオで準新作レンタルが50円だったので、借りてきました。結果、超おもしろかったですよ!! コスパはてしねぇな!!!

 借りた時は気づかなかったんだけど、『完全なる報復』って2011年の作品だったんですね。もっと昔の作品だと勘違いしてました。今年は3月11日が衝撃的すぎて、時間の感覚がおかしなことになってますね。

 あらすじ
幸せな家族の元に強盗がやってきて嫁と娘が殺されます
犯人は司法取引で死刑を免れます
み な ご ろ し

 『完全なる報復』って邦題、結構好きだったんですよ。ですが、本作を観てみたら原題の『LAW ABIDING CITIZEN(法を守る市民)』というのが深い意味を持っていまして。
 まず、イントロ。幸せそうな家族が強盗に襲われる地獄絵図。ここら3分くらい。身動き取れないように縛られ、目の前で嫁を殺され、自らも腹をブッ刺され、強盗が帰ろうとした時、「ママァどうしたの?」と最愛の娘がやってきてしまって・・・・・・・・・という地獄。そして縛られたまま一部始終を見てる主人公の顔がアップになり、タイトル『LAW ABIDING CITIZEN』ドーン。いやぁ、意地悪ですね。法を守ってきた小市民が法を犯す小悪党にすべてを奪われてしまう。このシーンのおかげで今後、どんなに残酷なリベンジをやっても「やったれ! フゥゥ――ッ!!」ってなります。
 その後、視点が変わり、やり手の検事が登場する。コイツが自らの有罪率をキープするため、犯人と司法取引をして罰を軽くするんですね。確実に有罪にするために。司法取引はアメリカ的には当然合法な方法でして、この胡散臭い検事も「LAW ABIDING CITIZEN」なワケです。ただ、クソ検事かと思われたものの、コイツにも家族がいて合理主義なこと以外は優秀で善良な検事だとわかる。
 そんな2人の「LAW ABIDING CITIZEN」の対決という構図になる。そして、被害者である方が法をから逸脱し、復讐を始める。その復讐計画はあまりに用意周到で、どうしても証拠を挙げることも計画を阻止することもできない。合法的な捜査をする限りは。そして、最終的に検事は「法なんて知るか!」とブチギレ。違法捜査によって復讐を阻止する。結果2人とも「LAW ABIDING CITIZEN」じゃなくなっちゃうんですね。
 そしてラストカット。事件は解決し、検事は「LAW ABIDING CITIZEN」に戻る。娘の演奏会(映画の前半では仕事が忙しくて行くことができなかった)を観てる検事の顔が映し出され、エンドクレジット。冒頭のタイトルが出るシーンとの対比になってるんですね。この対比は『完全なる報復』では意味ないですから。やはり『LAW ABIDING CITIZEN』でないと。まぁ、「じゃあどんな邦題にすりゃええねん」と言われたら黙る他ないですが・・・・・。

 んで、見所といえば、やはり復讐シーン。かなりえげつないことやるんですよ。動けないけど意識と感覚は残る毒を盛り、アドレナリン打って気絶しないようにして、まぶたを切断して拷問を鏡ですべて見せつけ、チンコちょんぎって、手もちょんぎって、足もちょんぎって、点滴やらを打って死なないようにして・・・・・・・・という拷問ショー。正直ね、ドン引きです。拷問を直接的に映し出さないものの、最終的に25もの肉片に変えましたからね。やりすぎです。けど、ドン引きはするけど、主人公のことを否定はできない。感情移入はできる。それもこれもイントロでの地獄絵図を見てるから。
 そんな復讐の鬼を演じてるのがジェラルド バトラー。『300』のレオニダス王ですね。本作でも「ディスイズスパルタァァァッッ!!!」と叫んでるに等しい虐殺ぶりでした。基本的には知能犯なんだけど、刑務所の中で同室の囚人を骨付き肉で殺すトコとかは大変カッコよかったですね。血塗れになり、めんどくさそうにその血を拭い、何事もなかったかのように眠りに付く、っていう。カッコよすぎるぜコノヤロー!!!! ディスイズスパルタァァァァァァッッッ!!!!!(無意味なシャウト)
 今回のレオニダス王は頭が良くて、10年にかけてカンペキな復讐計画を練り上げる。計画の一部として自ら捕まるんですが、警察が家にやってきたとわかるとおもむろに服を脱ぎ始めるんですよ。多分、無抵抗をアピールする意味での全裸なんだろうけど。ただの露出きょ・・・・・・(ゲフンゲフン)。


 ということで、ひたすら殺戮ピタゴラスイッチに興じるレオニダス王を愛でるという意味においてかなりの完成度を誇る本作。超楽しかったです。こんな楽しい映画を劇場公開時にスルーしていたとはね・・・・・・不覚です。
 本作の持つ司法制度に対する警鐘とかの部分はあまり興味がなかったです。そういうちゃんとしたテーマを語るにしてはツッコミどころもありましたからね。リベンジエンターテイメントとして消化するのが心地よいと思います。脚本の精密さを重視する人にとってはつまんないかもしれませんね。
 90点。