北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『ペントハウス』の感想


↑「棲める者」と「勤める者」ってのもうまいですね


 最近筆無精すぎて困る。腰が上がらなすぎる。観たけど感想書いてない映画が本作を除いて只今5本。ため込みすぎ泣いた。

 んで、『ペントハウス』。エディー マーフィー出演、ブレット ラトナー監督。この2人ってこないだのアカデミー賞受賞式の司会&舞台演出になるはずだったんですよね。それを見越してのオスカーシーズンの公開なんだろうけど。
 ところが、ブレット ラトナーが自身の失言騒動によってがクビ。芋づる式にエディー マーフィーもクビ。全世界のエディラー号泣の事態となりました。お陰様で本作はオスカーとは縁もゆかりもないただの映画に成り下がってしまいました。

 あらすじ
超高級マンション「タワー」
雇用者の退職金がオーナーにパクられた
タワー強盗(TOWER HEIST)計画始動

 おもしろかったですよ。観終わって、まず思ったのが邦題の妙。いつもは「クソみたいな邦題付けやがってバカヤロー!!」とか思ってるんですが、本作は「邦題>原題」だと思います。
 原題は『TOWER HEIST』。TOWERってのはマンションの名前。「HEIST」ってのは「強盗」って意味らしいですね(さっき調べた)。発音が「ハイスト」だから「high」ともかけてたりするのかな? まぁ、シンプルなタイトルだと思います。
 一方、邦題は『ペントハウス』。悪役であるオーナーが住んでいる最上階は主人公たちとの格差を象徴するような存在です。一見、シンプルを通り越してそのまんまなタイトルなんですよ。実際、従業員からパクった退職金をペントハウスの金庫に隠してるという情報を元に計画が進みますからね。不用意なネタバレになるから詳しくは言わないですけど、金庫の中は空だったんですよ。そして、「いや・・・・別の所にある!」って展開になって、その場所ってのがぁぁ〜〜っ。また最後には、「お前ら アレをどこに隠した!!」って展開になるんだけど、それもね・・・・・。ここで驚くのが、キャッチコピー。「全財産は、最上階(ペントハウス)」。「最上階」に「ペントハウス」というルビを振っているのがミソなんですよ。映画観た人が帰りにポスター観たら、「ナ、ナンダッテー!!!」となること請け合いです。ワタシが証明です(←ほら 化粧品のあのオバサン)。

 主演はベン スティラー、共演にエディー マーフィーという夢のツーショットが実現。新旧コメディースターという構図ですね。年はそんなに離れてなくて、劇中もタメって設定なんだけど。

 ベン スティラーは『ナイトミュージアム』シリーズとかがあるので、全世代的に人気者という感じですかね。本作でもスターの風格がバッチリでした。なんというか、「カッコ付け」がカッコイイんですよ。ニヤリと「計画通り!」な顔をするシーンがあるんですが、このキメ顔がホント画になる。あのキメ顔によってカタルシスが生まれてると言っても過言ではない。
 『トロピック サンダー』ではスター俳優という存在をパロディーにし、『ズーランダー』では「キメ顔」をギャグにしてたのにねぇ。どっちも出来るって、最強やないかっ。

 エディー マーフィー。そもそも本作の企画段階から関わってたらしいですね。その割には役が少なかった印象です。ひたすらエディー マーフィーが出ずっぱりな映画、いわゆる「エディラーだけが喜ぶ映画」に出まくってたイメージなので意外でした。
 好感湧く一方、「ベン スティラーとの共演」という大ネタがあるので強烈すぎる個性を爆発してほしい気もしました。ギャグにもマジメにも振り切れないまま退場してしまった印象です。

 とはいえ、「ベン スティラー×エディー マーフィー」のシーンは当然ありまして。やはりここは否応なくアガる。
 エディー マーフィーが保釈され、ベン スティラーが車で迎えに来るシーン。ここでの2人のやり取りは絶品でしたね。エディー マーフィーがマシンガントークをかますので、エディー マーフィー単独の見せ場としても機能してると思います。その隣にベン スティラーいるんだからね。贅沢ですよね。
 もう1つ、印象的なツーショットがありまして。「ゴーストプロトコルかよ!」と言いたくなるようなスタント。あり得ない所に2人がいるんですね。映像的な高揚感も充分なのに、そこにいるのがエディー マーフィーとベン スティラーですからね。眼福でございました。

 あと、特筆すべきシーンでいうとイントロ。開幕に描かれるある場所というのは本作のオチへの伏線となってる、という仕掛けもそうですが、主人公と金持ちの対比をテンポよく見せていて素晴らしかったです。この格差が本作最大のポイントですからね。
 主人公の敏腕ぷりを見るのは非常に楽しかったですね。表には出ない役割なんだけど、「社会は俺たちが支えてんだ」感が非常によく出てたと思います。
 テンポよく登場人物たちを紹介していくのもスマートでしたね。タワー強盗の仲間になる者から敵になる者、後々協力してくれる者、と今後への布石だらけ。見事でした。


 ということで、よく出来たエンタメ作でしたよ。まぁ、「ベン スティラー×エディー マーフィー」ならば、もっとゴリゴリのコメディーが見たかったと言える気もするんですけどね。まぁ、その分持ってないヤツが持ってるヤツに一発かますという激燃えな内容になったので、あながち間違いとも言えないかな。
 全世界のエディラーの感想が知りたいものです。ワタクシとしては印象弱かったのですが、どうなんでしょうね。
 75点。