北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『TIME/タイム』の感想


ローマ字とカタカナの混在タイトル(邦題)ってややこしいから嫌い


 ジャスティン ティンバーレイク主演映画でございます。『ソーシャル ネットワーク』ですっかり魅了されてしまったので新作は気になってました。
 寿命が通貨として機能している世界、という飛び道具的な設定が魅力ですね。この設定自体はおもしろかったです。見せ方はさておき。

 あらすじ
25歳以降、年を取ることなく余命が通貨になった世界
スラム出身の主人公
ある日、長生きしすぎて自殺願望のオッサンに莫大な余命(金)をもらう

 経済にまったく詳しくないワタクシとしては、「余命=通貨」という設定を表面だけ見て「楽しそ〜」なんて思えました。経済好きな人はどう見るんでしょうかね。人口の多い中国はマネーサプライが大きくて・・・・・みたいなことを考えるんでしょうか。「マネーサプライ」ってよくわからないので気になりませんでした。
 要するに、貧乏人が金持ちに金を搾取されてる格差社会のメタファーですよね。まんまだけど。『ペントハウス』と同じテーマなワケなんだけど、こんなにルックスの違う作品に分かれてしまうなんて、物語って奥が深いです。

 そんな設定を説明するイントロの部分はメチャクチャおもしろかったです。本作で一番胸躍る部分といっても過言ではないです。肉体的に25歳以下しかいない見た目の迫力が心地よかったです。
 設定のおもしろみとしては、主人公の母親がバスに乗ろうとするシーンも好きだった。「バスの運賃2時間(通貨)ね」 「1時間半(通貨=余命)しかないんです」 「じゃあ歩いて帰りな」 「歩いたら2時間(時間)かかるんです」 「じゃあ走れば?」 ってやり取りがおもしろかったですね。この世界では貧乏人は走り続けるんですよね。移動中はひたすら走る。主人公は貧乏人出身なので、映画の間ずーっと走ってる。「ダニー ボイルかよ!」って勢い。ただ、走ることに設定上の意味があって、それがバスのくだりで端的に示されてるので非常にスマートだったと思います。大金を手にした主人公はまず車を買うんですが、それもその一貫ですね。
 他にも冒頭のシーンで、主人公がスラムで働いてる工場で作っているのが「金=余命」の引き下ろしを処理する機械だったりして、「社会は俺たちが回してんだ」感ですよね。『ペントハウス』にもありました。こういうのが冒頭に提示されると下克上する主人公のことを応援したくなります。

 それと、この設定でおもしろいのが肉体年齢。金持ちは富の限りの命を持っているので何百年も25歳のまま。「家族を紹介します 順に母親 妻 娘です」って言うんだけど、全員タメにしか見えないっていうね。予告にもあったけどインパクトあるシーンでよかったです。
 ここで、オリヴィア ワイルドの話を。『トロン レガシー』という映画が好きでして、この映画のクオラというヒロインが心底好きなんですよ。ホントかわいい。それを演じたのがオリヴィア ワイルドという人で、気になる女優ではあります。ただ、ワタクシが好きなのはクオラであってオリヴィア ワイルド自体は全然タイプではないんですけどね。
 そんなオリヴィア ワイルド。『トロン レガシー』で演じるのは電子世界に生きる新種の生命体でして、要は人外。人間に憧れる人外というが萌えポイントでした。去年の映画『カウボーイ&エイリアン』では謎の女役でして、その正体はなんとぉ〜・・・・・・って話でした。このオリヴィア ワイルドさん、フツーの人間を演じてないんですよね。たしかに、目力が強すぎてちょっとただ者には見えない。それを通り越して「ホントに人間?」ってレベル。この非日情感が人気なんでしょうね。
 本作では人間役なんですが、非日情感は生かされている。というのも、本作において初めて登場する「肉体年齢と実年齢が食い違ってる人」なんですよ。主人公は25歳になったばかり、「余命=通貨」の世界に飛び込んだばかりなので。そこに登場するオリヴィア ワイルドは主人公の母親役。一緒に暮らしてるんだけど、知らないと「おやおや随分な美人と同棲してますな〜」なんて思ったりするんだけど、主人公が「おはよう ママ」なんて言うからビックリ。主人公が母親として接するオリヴィア ワイルドなんだけど、この設定にまだ慣れてないのでギョッとしました。気持ち悪いとすら感じるレベルの異物感。そんな異物感とオリヴィア ワイルドはマッチしてました。
 真人間役を見たことないんですが、逆に真人間役が出来るのかどうか気になるよ。

 ジャスティン ティンバーレイク。『ソーシャル ネットワーク』での自信(過剰)家があまりにハマっていてステキでした。そんな彼が本作では貧乏人の好青年役。イメージと違いすぎる。ただ、野心溢れてる感じが意外と合ってましたよ。ジャスティン ティンバーレイク恐るべし。
 そんな彼がひょんなことから莫大な「金=余命」を手にしたことから物語は回り始める。この「金=余命」を手にしてからがジャスティン ティンバーレイクの本領発揮ですよ。終始ドヤ顔、自信ありすぎ、血気盛ん過ぎ。「あぁ ただのショーン パーカーだ・・・」って安心しちゃいましたよ。こうなってくると、やはりメチャクチャ魅力的なんですよね。彼のドヤ演技は、嫌みを通り越して魅力に思えてしまいます。
 ただ、彼のドヤキャラのために感情移入出来なかった部分も少なからずありました。一番衝撃的だったのは、ヒロインとの初対面。箱入り娘で「冒険がしたい」というヒロインに対して、親の管理下から海へと連れ出す。ヒロイン「キレイね〜・・・・ってなんで脱いでるの!?」 って主人公は突然脱ぎ出すんですよ。「海来たら泳ぐしかないっしょ」って。そしたら、ヒロインも脱いじゃってさ、初対面で裸でスイミング!!! ちょっとレベルが高すぎてついていけませんでした・・・・・・・ジャスティン ティンバーレイクに感情移入しようと思ったワタクシがバカでした。やっぱ彼はアッチ側の人間なんや・・・・・。
 同じくらい衝撃的だったのは後半にヒロインと脱衣ポーカーしてたことですね。マジぱねぇです。勝てる気がしません。

 そんなヒロイン役なのがアマンダ サイフリッド。セイフリード、サイフリードとかカタカナ表記が安定しない女優さんです。Amanda Seyfriedさんです。
 ギョロ目で魚顔なため、あまり好みではなかったんですが・・・・・・あれっ!! 本作のアマンダさん超かわいい!!!
 正確には予告の段階でわかっていたんですが、本作でのアマンダさんはちょっと尋常じゃなくハマりました。理由はなんだろうなぁ、美人のオカッパに弱いのかな? パッツンかわいいです。またミニのドレスも超かわいかったですね。見た目に限ればおそらく今年トップのヒロイン。

 が、問題は後半でして。前半は箱入り娘役でスラム街に戸惑ったりしてかわいかったんですが、後半になるとドヤ顔に突入するんですよ。アマンダさん、元々ギョロ目で後頭部をコンッてやったら目玉が飛び出しちゃいそうな人なので、ドヤ顔、ドヤ演技を始めるとメチャクチャ迫力あるんですよ。ちょっと怖いくらい。ジャスティン ティンバーレイクとのドヤ演技ツーショットはとんでもないですよ。目が合っただけで「・・・・あっ すいません」って謝っちゃいますよ。
 そんなドヤ演技に突入する過程が全然理解できないから問題。ヒロインにどんな心境の変化があったのが全然わからなかったです。突然拳銃ブッ放したトコから置いてけぼりでしたよ。

 そして、肝心の物語。これがねぇ、終盤に向かうに連れてドコに向かってるのかがわからなくなる。主人公はなにがしたいんだろう、とか本気で思いました。後半、ねずみ小僧を始めるんですが、システム全体に疑問を持つ主人公にしてはやることがみみっちすぎるんですよ。街1つ救えるかどうかだし。やるならもっと『完全なる報復』みたくドハデにやらないとダメだね(←あれはあれで問題ありまくる計画でしたが)。
 そもそも、「銀行強盗の難易度低すぎるだろ!!」という大問題もあるんですよね。


 まぁ、いろいろと問題のある作品でしたよ。ただ、設定のおもしろみは揺るぎないですし、それが提示される冒頭のシーンは文句なくおもしろいと思います。それとジャスティン ティンバーレイク&アマンダ サイフリッドのドヤ演技は一見の価値アリだと思いますよ。
 60点。