北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『メン・イン・ブラック3』の感想

69のJK

 シリーズ3作目。シリーズはすべて観ていますが、本作用に予習したのは『1』のみなので『2』の内容はよく覚えてません。豪華なB級SFコメディーというノリが大好きです。

 あらすじ
過去にKが捕まえた極悪宇宙人が脱獄
タイムスリップしてKを殺害
Kの消失に気づいたJは1969年にタイムスリップ

 前作から10年という点。一番年月を感じたのはK役のトミー リー ジョーンズ。前作から10年ということでKがあまりに「おじいちゃん」になってました。現役感が全然なかったです。仕事の現場で宇宙人とケンカしてるKはかなりの違和感でした。アップになるとホントおじいちゃんなんですよね。「この国には老人の居場所がないんだ・・・・」とか今にも言い出しそう。
 しかし、本シリーズ最大の魅力はJKコンビなのは間違いなくて、そこをどうするかが問題。てか、1作目でKは引退してるのに続編で現場に引き戻され、そのまま10年間現場勤務とかMIBマジブラック。引退ネタは使用済み、ではどうするか。「Kを若くしちゃえばいいじゃん!」ということで本作ではタイムスリップ。それでもタイムスリップすることになんの違和感もないのが本シリーズの素晴らしいところですね。「タイムスリップ」というアイディアによって、既存のスーパーコンビを新たな角度から描くことに成功してたと思います。設定の勝利ですなー!(ツクエバンバン)
 そんなタイムスリップをスクリーン上で行う最大の問題点であるヤングKを演じたジョシュ ブローリン。本作のMVP!・・・まぁ、キャスティングの妙なんですが。もう説明不要で、とにかく似てる。この2人は『ノーカントリー』で共演してるんだけど、あの時は似てるだなんて微塵も思わなかったです。気づいた人本当にスゴイ。

 いきなりですが、本作はラストが秀逸でして。ワタクシ不覚にも涙腺が緩んでしまいました。「どーせコメディーだろー」と高を括っていたところに不意打ち。
 ラストにJの父親について言及するんですが、これが不意打ち。この不意打ちというのがこのアイディアの強みであり、逆に言うとディテール不足。個人的には「気づかなかった! 泣きそー!!」ってなったんですが、一緒に観た友人は「フラグ弱すぎだろ!!」となってました。まぁ、本作の細部にどこまで期待するかの違いですかね。
 たしかに「Jパパ登場」という大ネタのフラグ、布石、伏線は少なかったかもしれません。が、それでもあのシーンに繋がる伏線は張られていたと思います。
 Kが笑わない理由というのはもちろん、『1』でKがJに目を付けたことにも繋げてたのにはひたすら驚きました。力技とはいえ、シリーズ作品としておもしろかったです。
 他にも「Kが生き残るには誰かが死なないといけない」という予言(?)はミスリードとしてあのシーンの不意打ち性を強めていたと思います。あんなこと言われたらフツーJが死ぬ(死にそうになる)と思いますもんね。
 旧式ニューラライザーのギャグも小さな伏線として利いてましたね。
 また黒人(実はJパパ)が未来を見せられた段階で物分かりがよすぎたのも、思い返すと感動ポイントなのではないでしょうか。
 また、『1』との対比でいうと、ラストにヤングKがヤングJの記憶を消すシーンは、『1』ラストでJがKの記憶を消すシーンとの対比ですよね。そして、Jパパの死&ヤングKによるヤングJの記憶消去という儀式によりJKコンビの疑似親子性が強まったのもよかったです。
 細かすぎて考えすぎの領域ですが、『1』にて、J「俺にピカッとやったことないよな?」 K「あるわけないだろ」 っていうシーン。ホントは1回あるってギャグなんですが、『3』を観ることによって、「ホントは先日に1回、そして大昔に1回ある」という感動シーンに早変わりしてしまうんですね。続編を観ることによって過去作の見方が変わってしまうというのはシリーズモノの魅力だと思います。

 あと『1』との関連でいうと、Jが悪役のことを「アニマル」呼びして挑発するというシーンがあったんですが。これは『1』のラストでJがゴキブリを踏み殺し、「あれっ これ君の親戚だった?」って挑発するシーンと呼応してますよね。パワーバランス的に不利なのは変わらないけど、挑発に成功した段階でJの勝機が見えるというシーンでおもしろかったです。
 そして、その勝機のアイディアが「タイムジャンプ」だったのがサイコー。映画前半の見せ場である「タイムジャンプ」をもう1回やるという高揚感に加え、本作での経験がJの武器になっているという成長感、「タイムジャンプ」後の銃弾避けという新たな見せ場への流れが自然で眼福の逆転劇だったと思います。
 逆に言うと、ヤングKが悪役に勝つトコがアッサリすぎて拍子抜けだった嫌いはありますね。

 シリーズでお馴染みの「あの有名人は実は宇宙人!」というネタ。いろいろといたようですが、レディーガガはハマりまくりでしたね。この映画のための存在にすら思えます。
 マイケル ジャクソンやガガ様みたいにもろ宇宙人な人よりも、ジャスティン ビーバーみたいな宇宙人の方が地球への潜伏スキルは高いですね。ていうかワタクシ、ビーバーのこと見つけられなかったんですよね。どこだったんですかね?
 それとなんですが、無数のディスプレイが出てくるシーンで、右下の方の画面にベッカムがいたと思うんですけどどうなんですかね。IMDBとかで調べても確信が持てないんで、勘違いっぽいんですが。


 前作から10年ということで今更感が否めなかったんですが、観てみたらビックリ。おもしろかったです。シリーズモノとして全うだし、不意打ち的な涙腺攻撃には屈するしかなかったです。
 まぁ、欲を言えば69年感が弱かったかなぁ、とは思いますが。ジェネレーションギャップ関連のギャグはもっとあってもよかったのではないかと。せっかくの感動のラストも、「黒人なのにエリート?」っていうのが雑念になってしまったのは確かですし。ただ、69年にしたことで、「歴史の裏側ヒーロー」感が増してよかったですね。MIBという組織と相性バッチリですし。
 まぁ、何はともあれジョシュ ブローリン。そっくりすぎて怖い。
 80点。

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