先行上映の日に浦和のIMAXで観てきましたよ。
過去作の印象としては、『バットマン ビギンズ』おもしろい、『ダークナイト』超おもしろい、といった感じです。結論から言いますと『ライジング』はすげぇおもしろかったです(過去2作の間)。
タイトル。原題『THE DARK KNIGHT RISES』、邦題『ダークナイト ライジング』。
映画の中でダークナイトを始めいろいろなものがライズするので原題は素晴らしいと思います。上昇したり、立ち上がったり、蜂起を起こしたり、よみがえったり、そりゃもうライズしまくりでしたよ。ただ、「主語+動詞」ってタイトルはカタカナ化しづらいから邦題が困るよね。
・・・・と思ったら『ダークナイト ライジング』。動詞を動名詞に変えただけなんですが、うまいと思います。「ダークナイトライゼス」とかイヤだし。
ただ、「DKR」以外にこれと言った略称がないのが少し困った。ローマ字の頭文字を使った略称が好きじゃないんで、使いたくないんですが、他の選択肢が見当たらない。シリーズモノだと大体「○○3」とかって勝手に呼ぶんですけど、本作だと3作目なのに「ダークナイト2」ってなっちゃいますからね。なんかいい呼び名ありませんかね?
ネタバレがありますよ。いつも以上にネタバレがあります。
イントロ。今回の悪役ベインによるハイジャックがド迫力でサイコーでした。
ベインの顔出しシーンもうまくて、登場時、2人の男が袋を被せられてて、そのどちらかがベインだとわかる。顔を隠した悪役が・・・・ってもうこれ『ダークナイト』のジョーカーじゃないですか。例の銀行強盗シーンを思わせる作りじゃないですか。憎いことしまはりますわぁ。ベインが顔出しすると同時に喋り出しまして、この声がまー怖い。ジョーカーもそうだけど、声って大事ですね。そんなワケでIMAXで観てよかったです。あの不気味さが3割増し(IMAX以外を知らないくせに)。
他にも、ベインが「part of plan」って言ってたけど、これまたジョーカーを連想してしまいました。まぁ、たまたまでしょうね。ついでに、ゴードンと初対面した時に「Why you here?」って言ったのは「Why so serious?」を連想してしまった。気にしすぎですか? あーそーですか。
そんなベインさん。登場シーンと声のせいで映画冒頭ですっかりベインさんの虜でした。
バットマンとの初戦も素晴らしかったですね。バットマンが金にものを言わせて武器防具をこれでもかってくらい装備してるのに対し、ベインは両腕丸出しのラフスタイル。『アイアンマン2』のモナコでの対決シーンもそうだけど、ハイテクスーツ着た主人公に半裸のオッサンが立ち向かうって絵面はアガります。
そんな初戦。雰囲気やBGMがなくなったりして、一打目から「あーこりゃバットマン負けたわー」って敗戦濃厚な絶望感が伝わってきてよかったです。
逆に言うと、バットマンとの2戦目はいまいちでした。バットマンがどうしてあんなに有利に試合を運べるのかが全然わからない。マスクが弱点ってわかっただけで初戦のあの一方的な力の差を埋められるとは思えなかったです。
それと、ベインって銃使わないですよね。銃どころか武器を全然使わないイメージです。人を殺す時は常に腕力を用いますし。バットマンが銃を使わないことと呼応してるんでしょうか。だとしたら、ベインのあの最後はないですよ。キャットウーマンが「やっぱ銃サイコー!!」って・・・・。バットマンの不殺生のポリシーは無視かよ。あの後、バットマンによる説教がないとダメだろ。まぁ、『バットマン ビギンズ』でも悪役殺してるか・・・・。
とにかくベインさん、魅力が尻下がりすぎる。最後の最後に「脱獄なんてしてねーよ」とか言っちゃうし。「すべては彼女」のためとか、てめぇの筋肉見て言えよ!って感じですし。女のコマって意味じゃあ、『バットマン&ロビン』のベインとなんにも変わらないですね。挙げ句、バットマンの女にルール違反して殺されるとかかわいそすぎるよ・・・・。
そんなベイン含め悪役の悪行のピークというのが、ゴッサムの破壊。マイケル ベイもビックリという映像的魅力でサイコーでした。間違いなく本作のハイライト。
スタジアムの破壊は『ダークナイト』の病院爆破のアップグレートだし、水道管にプラスチック爆弾ってのは『バットマン ビギンズ』のアップグレード、と過去作超えの気概を感じたのも好印象です。しかも、水道管を利用したのはただの私怨だったっていうツイスト付きですから。お見事ですよ。影の同盟、水道攻めんの好きだな!
キャットウーマン(劇中名前は出ないけど)。正直、アン ハサウェイってそこまで好きな見た目ではなかったんですが、本作はサイコーでしたね。やっぱ女怪盗ってイイわぁ。
あとはバットポットに乗ってる姿が素晴らしいですね。前作でお馴染みのバットポットが違う使われ方を!っていう捻りが利いてるのも好きですが、まぁ、アン ハサウェイのフォルムがエロいですわな。バットポットになりたい!!
それと、個人的にツボだったのが猫耳ね。あの猫耳に一応の機能が付いてたのはよかったです。ノーラン版ならではのリアリズムと言いますか。「べっ 別にコスプレがしたいワケじゃないんだからね・・・っ!」って感じがかわいいです。
同じ理由でバットマンのマントも大好きなんですが、本作ではまったくの無意味でしたね。あのマントを使った飛翔シーンがないと、コウモリっぽさがなくてダメだと思うんですよね。新兵器のバットもカッコよかったけど、一度はマントで飛んでほしかったです。
あとは、おじいちゃん勢。「今回もまたアルフレッドとの夫婦漫才が見れるわぁ」なんてワクワクしてたら、いきなり仲違い! しかも原因は前作のレイチェル!! 「もう葬式には出たくないのです」って言ってたのに、葬式に行くことになった時のアルフレッドの泣きといったら。そらこっちも泣くわっ!! 涙泥棒!!!
ルーシャス フォックスの方は、会社は乗っ取られるわ、兵器は取られるわ、新エネルギーも取られるわ、人質にされるわ、水攻めされるわ、かわいそうでした。
チョイ役でいうと、スケアクロウ。完全に出オチでしたね。ギャグとしておもしろかったです。もはやスケアクロウとしての活動はしてないのね。
最後にわかる超重要人物、ジョン ブレイク。「本名はロビンでしたー」ってファンサービス。ブルース ウェインの秘密基地に進入してましたが、アイツはロビンにはなりませんよね。クリストファー ノーラン監督は散々「ロビンはダサいから出さねぇ」って言ってますし。
なによりも映画のラストショット。秘密基地に進入したロビンの床が上昇(rise)して、タイトル「THE DARK KNIGHT RISES」ドン! 要するにロビンはダークナイト2世ということだと思います。「ダークナイトってお前のことかぁーいっ!」って思いながらエンドクレジット眺めてました。初日だったせいかクレジット始まった時に劇場内で拍手が起こってましたよ。
非出演陣としては、ケイティー ホームズとケンワタナベがかわいそうですね。リーアム ニーソンはまさかの再出演を果たしたっていうのに。ジョーカー以外はオールキャスト集合って様相だったのに黙殺された2人。
ケンワタナベが影武者に選ばれた経緯とかも描いてあげて。あと、ウェイン邸のレイチェルの写真は見事にマギー ギレンホールだったので笑ってしまいました。
あと、あの脱獄シーン。場所はあんまり気にならなかったんですが、ちょっと簡単そうじゃないですかね。サスケオールスターズなら全員余裕でクリアできそうな感じでした。
そして、ラスト。バットマンが爆弾背負って自爆。かと思ったらぁぁ??っていう。
映画観た時は「ブルース生きてたよ よかったねアルフレッド・・・・」って涙ぐんでたんですが。ブログ等でいろんな人の意見を見ると、「バットマンは死んだまま」説ってのもあるんですね。言われるまで考えつきもしなかったです。あれはフツーに生きてると捉えて問題ないと思うんですけどね。
「バットマンは生きてるよ」の立場からの話になりますが、ゴードンとキャットウーマンには自動操縦できることを教えてもよかったんじゃねぇの? ただ、カッコ付けてキスしたかった以外に理由が思い当たりません。
それとですね、あの爆発シーンがいまいち迫力ありませんでした。意図的なのかもしれませんが、あの爆発だけ迫力が皆無でした。時限爆弾を1人で遠くに持って行く、ってのは『天使と悪魔』でもありましたけど、あちらはすげぇ迫力でしたね。威力が強すぎて風で街が破壊されちゃう、って超楽しいシーンでした。まぁ、あちらもオチは同じ。
余談&蛇足になりますが、先日『サイボーグクロちゃん』というワタクシが小学生の頃に愛読していたマンガが復刻されまして。おかげで脳味噌が浸食されてるんですよね。
そんな状態で本作のラストを見たもんだから、『サイボグクロちゃん』のとあるシーンが頭に浮かんでしました。
とある漁師が海を荒らす巨大クジラを殺すために爆弾を積んだ船で特攻します。
お ん な じ !
クリストファー ノーラン監督は横内なおき先生にお金送った方がいいですね。
「おまえはプリンセス天功かっ!」 本作のラストを見ながらこう思わざるを得ませんでした。
と、最後に関係ない話を挟みましたが、こんな感じです。結構粗はあるし、それがノイズに感じれた部分もあるんですが、映像的、音響的な魅力が異常でした。ぶっちゃけ映画なんて目と耳が幸せならそれでよくね?ってワケで大満足な作品でしたよ。今年のベスト級ですね。
90点。
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*1:横内なおき『サイボーグクロちゃん』講談社2巻34ページ
*2:横内なおき『サイボーグクロちゃん』講談社2巻35ページ