北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『アナと雪の女王』の感想

れりごー♪

 なんだかんだでディズニー映画は大好きなのです。
 本作の大成功でディズニーとピクサーのパワーバランスが崩れてきた感じがしておもしろいですね。

 3D字幕で観てきました。アカデミー賞なんで外せませんでしたよ。

 同時上映の『ミッキーのミニー救出大作戦』について少し。超おもしろかったです。あれだけエンタメに徹したアニメが観れるとは思ってなかったです。3Dという表現方法を最大限活かしたのもサイコーでした。
 ただ、オリジナリティーはあまり感じなくて。ディズニーランドにあるアトラクション「ミッキーのフィルハーマジック」とよく似てたんですね。画面サイズがどかん!と大きくなる仕掛けの使い方が。元ネタなんじゃね、ってレベル。「フィルハーマジック」は特別な施設ならではの仕掛けで画面の巨大化を周到に隠してるんで、そっちのが興奮度は高いんですが。まぁ、それをただの映画館で似た感覚になれるだけでスゴイですよね。
 あと、画面の中からキャラが飛び出してくるってのはミニオンズなんかを連想しましたね。モノクロが云々というのはないですが。
 決まった画面があってその奥に世界が広がってる、という3Dの奥行きを利用した映像は『トイストーリー3』の同時上映『デイ&ナイト』を思い出したりもしました。
 まぁ、要するに3Dのギミックがこれでもかと詰め込まれてるワケですね。それが素晴らしかったです。とにかく楽しいですしね。モノクロ時代のミッキーを出すことで、アニメーションの根源的な楽しさが強調された気がします。3D映像になっても根本は変わらないよね、っていう感じかと。

 んで、『アナと雪の女王』。

  • あらすじ
    • 王子「結婚してください!」
    • 氷屋「好きです!キスしてください!」
    • ??「ちょっと待ったー!!」

 3D映像について。意外なことによかったです。ジョン ラセターは3D映像に興味がないというイメージだったんですが、結構3Dで観ると楽しいシーンが多かったですね。
 何が楽しいって映画の開幕ですよ。氷の張った湖の中からのショットなんですけど、画面に向かってノコギリがどん! 初っ端から心を鷲掴みにされてしまいましたよ。映画のオープニングというのはまだ映画に集中できてないので、3Dメガネをかけてるという違和感が強いんですよね。だからこそ、3Dを強く意識させるようなシーンを冒頭に用意するのは効果的だと思います。『ホビット 竜に奪われた王国』もそうですよね。映画が始まると雨が降っていて3D感がすごかったです。
 本作には雨の代わりに雪がありまして、それも3Dならではの迫力がありました。「大雪はエルサの荒れた心情を表している」みたいなことよりも先に「雪すげー!!」ってなって楽しかったです。こちらに向かって吹雪いてくるんですよね。

 予告などでも擦りまくってる「Let It Go」。オスカー受賞曲。当然このシーンを楽しみにしてたんですが、すごくよかったですね。今まで抑圧されてきた能力を解放させて、自信たっぷりに歌い上げながら自らの城を建てる、というのはドラマ的にも大感動でした。自分の意志で使えばこんなにも美しい能力だったのか、という驚きもありましたし。
 なんですが、このシーン既に観たことあったんですよ。映画館でかかる予告としてこのシーンを丸々観させられてたんですね。1曲全部。当然それまでの物語がなくても映像的に、楽曲的にサイコーなシーンなので「超おもしろそー!!」とはなったんですが、映画本編を観た時に初見の感動は取っておきたかったという気持ちも強くて‥‥。全部知ってるから「はいはいココに橋かけんのね」「衣装チェンジして髪も下ろして‥‥」みたいな確認作業みたいな感覚が少なからずありましたよ。なんかもったいなかったなぁ、と。
 まぁ、事前に知ってるからこそ、該当シーンが来てイントロがかかるだけで「れりごーキター!!」という興奮はあったんですが。まぁ、けどこういう興奮は2度目以降に感じるものですよね。

 『塔の上のラプンツェル』はディズニーアニメ伝統のプリンセスストーリーの王道を真正面から描いた傑作だったと思います。まぁ、白馬の王子様誕生譚とか新しい要素もあったんですが、基本は王道に沿ったものだったと思います。
 一方、本作『アナと雪の女王』は王道を外しまくった傑作だったと思います。最近のディズニー映画は自身の伝統をメタ的に扱うことが多かったと思うんですが、その系譜が続いてますね。
 メタ的に扱うといっても『魔法にかけられて』とはちょっと違うんですよね。あれはセルフパロディーすることでギャグにしてましたが、本作にそういう趣は全然ありません。
 『プリンセスと魔法のキス』もディズニーの伝統をメタ的に扱った作品なんですが、これはちょっと否定するようなニュアンスが強い。「星願ったくらいで夢叶うワケねぇだろ!!」みたいなノリですからね。さらには「アメリカに王族いないんですけどw」という根本的なツッコミになってるのもサイコーです。
 アメリカ的な要素という意味では、『シュガーラッシュ』もおもしろい作品。ネタバレになりますけど、あれってディズニープリンセスが王政を廃止する、というとんでもない展開が最後にありますからね。
 そんな中の本作。『アナと雪の女王』。まず、驚くのはキスをする候補が2人いることでしょうか。アナが呪いをかけられて、「呪いを解くには真実の愛が‥‥」みたいな話になった時、観ながら「キスで呪い解くのきたー!!」って興奮してしまいましたよ。それと同時に、「キス候補2人いますけど?」と混乱してしまって、それが楽しいのです。「2人とも好きなんだけどどうしよう‥‥」という悩みはディズニー的にものすごく新鮮で楽しかったです。‥‥と思ったらまさかの王子様がヴィラン!! ‥‥さらには「野郎とのキスなんて最初からいらなかったんや!!」というウルトラC。これには度肝抜かれました。すげぇことやってきたな、と。まぁ、確かに男女間の色恋だけが愛情じゃない、というのは当たり前な話ですよね。今までなかったのが不思議なくらい全うなテーマです。

 ディズニーヴィランの殺し方問題。個人的にディズニー(ピクサー含む)の悪役との決着の付け方が好きになれないことが多いのです。
 なんですが、本作のはよかった。本作では、アナが「騙しやがってチクショー!!」とパンチ一発。そして相手国に送り返して、法律に則った処分が下るんですよね。これは王族としてなかなか相応しい判断だったと思います。いつもは「ディズニーの主人公は自分の手で殺さないから嫌い」とか思ってるんですが、本作の場合は殺さないことに意味があったと思います。
 なんだけど、気になったのは決着の付け方ではなくて。悪役そのもの。もちろん、主人公とデュエットを成立させた白馬の王子様が!!という驚きは好きなんですが、ちょっと良いヤツにしか見えなかったんですよね。白馬とコミカルなやり取りやったりしてるの見ると悪人には思えなかったです。それなのに、クライマックスでジャジャーンとネタバラシされても、騙すために見せ方に嘘があった気がしてちょっと飲み込みづらいんですよね。
 さらには、「王子と氷屋どっちが真実の愛なんだ!?」とハラハラして見ていたので、片方が悪役になったのを見て、「選ぶ苦悩がなくなったからよかったじゃん」という気持ちが少し湧いてしまったんですよね。テーマが単純になってしまったというか。


 ということで、悪役問題という1点においてのみちょっと乗り切れなかったです。他はサイコー。こういう作品が世界的に大ヒットするとなんか嬉しくなっちゃいますね。関係ないのに。
 90点。

映画『塔の上のラプンツェル』の感想 - 北区の帰宅部
 ディズニーヴィランは勝手に落ちて死ぬ、という伝統。

魔法にかけられて [Blu-ray]

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 セルアニメ&アラン メンケン楽曲が楽しめる最後のディズニー作品(アニメは一部)。
 王子様と愛を誓い合ったけど、その後に運命の相手と出会う、というのは本作も同じですね。こっちの王子様は幸せになれます。

プリンセスと魔法のキス ブルーレイ(本編DVD付) [Blu-ray]

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 個人的には一番好きなディズニーアニメ。
 ディズニー最後のセルアニメにして、唯一の黒人プリンセス、さらには舞台がアメリカ、といろいろスゴイ作品です。
 真実の愛が何たるかはホタルが教えてくれます。

映画『シュガー・ラッシュ』の感想 - 北区の帰宅部
 「げえっ ディズニープリンセス!」というオチが楽しかったです。

映画『スノーホワイト』の感想 - 北区の帰宅部
 男2人いるけどどっちがキスしたらええねん!!という展開が楽しい作品。ディズニー関係ないです。ディズニーじゃなくても白雪姫やってもええんやで、という気概が素晴らしい。
 まぁ、キスするならクリヘムがいいよね。